特集

PC Watch「懐パーツ」、これまで書いたものを全部まとめてみた

~なお、連載が終了したわけではないのでまだ続く

 やじうまPC Watchの「懐パーツ」は、実物のパーツを手元で撮り下ろしながら綴ってきた不定期連載だ。基板上のチップ1個1個まで舐めるように追っており、扱う年代はWindows 3.1期からPCI Express初期までにおよぶ。主に筆者が思い思いに綴っているが、中にはライター・笠原一輝氏が寄稿したものもある。以下、ジャンル別に整理した。

ビデオカード/グラフィックスアクセラレータ

 連載で一番本数が多いのがこのジャンルだが、これは筆者がビデオカード好きだから。2D描画の速さと画質だけが問われていた時代から、3Dアクセラレータが雨後の筍のように現れて数年で消えていった群雄割拠、そしてNVIDIAとATIの2強に収束するまでが、ほぼ一続きで追える構成になっている。

 S3、Cirrus Logic、Rendition、3dfx、Matrox、3DLabs、Number Nine、SiS、Intel、カノープス……今、名前が残っているメーカーのほうが少ないが、当時はまさに百花繚乱で、だからこそ好きだったのだ。

 Cirrus Logic CL-GD5434を載せた「Flamingo」。64bitメモリバスとRAMDAC内蔵で安価に手堅い2D性能を出した、Windows 3.1時代の定番構成。EDO RAM最大2MBという容量が、Windows 95以降には力不足になっていく。

 S3 Vision968搭載のDiamond「Stealth 64」。2D全盛期のトップに君臨した1枚で、「速いビデオカード=S3」がまだ常識だった頃の空気がよく分かる。

 同じVision968を、カノープスが自社の画質チューニングで仕立てた「Power Window 968PCI-4M」。同じチップでも出力画質はメーカーで別物、という日本市場特有の価値観を象徴する製品。

 言わずとしれた2Dビデオカードの頂点、Matrox「Millennium」。WRAMを積んだ高価な板だが、その画質と2D性能で「とりあえずMillenniumを挿しておけば間違いない」という地位を確立した。

 その後継「Millennium II」の、比較的珍しいAGP版。筆者の記憶の中でMatroxとAGPの組み合わせは「Productiva G100」で、Millennium IIまではPCI版が主流だっただけに、実物を手にしたときは驚いた。

 NVIDIAの処女作NV1を搭載したDiamond Multimedia「EDGE 3D」。トライアングルではなく二次曲面(クアドラティックテクスチャマッピング)で3Dを描くという野心的な設計だが、これはNVIDIA自身も失敗だと認めている。なお、後にジェンスン・フアン氏によりサインされた貴重な一枚だ。

 実はこれが不定期連載の第1回。Rendition「Vérité V1000L」を搭載したCreative「3D Blaster PCI」で、1997年6月20日発売、価格は2万1,800円。DACを内蔵せずAT&T製の外付けDACを載せている点など、基板の作りが時代を物語る。

 NVIDIA RIVA 128を積んだカノープス「PWR128P」。NV1の失敗から一転、Direct3D対応の本命として一気にNVIDIAを押し上げたチップ。そこにカノープスの高画質チューンが加わり、伝説の1枚となっている。

 Cirrus Logic CL-GD5464(Laguna3D)にRambus DRAMを組み合わせたCreativeのビデオカード「Graphics Blaster MA334」。RDRAMは任天堂「NINTENDO 64」やソニーの「PlayStation 2」(DRDRAMだが)に使われたが、本製品はそれらとは異なり、メインメモリではなくビデオメモリとして使われていたのがユニーク。

 Intel初の単体3Dチップ「i740」搭載カード。AGPのポテンシャルを示すための実証機のような存在で、低価格AGPとして一世を風靡したが、結局は統合グラフィックスの礎になった。

 今のところ懐パーツコーナーで最新の記事がこのCreative「3D Blaster Voodoo2」。2D機能を持たずパススルーケーブルでつなぐという割り切りで、当時のゲーマーを総取りした3Dアクセラレータ。

 Voodoo Bansheeを載せたQuantum3D「RAVEN」。2Dと3Dを1チップに統合しAGPに対応した、3dfxの方向転換を示す製品。性能はVoodoo2におよばなかったが、低価格な手軽さで採用例が多かった。

 SiS6326搭載のPalit製ビデオカード「Daytona 64S DVD」。3D性能は控えめでも、DVD再生支援が付いて安いという実用路線のカード。なお、筆者が中国の田舎で生活していた際、周囲のPCユーザーのほとんどがこのSiS6326だった。

 3DLabsのPermedia 2を積んだ「Fire GL 1000 Pro」。ワークステーション系ベンダーが民生市場に降りてきた数少ないヒット作で、OpenGLの強さで支持された。

 ATI Rage 128 VR搭載の「XPERT 99」。ハイエンドではないが、動画再生画質と安定性でマニアの評価が高かった一枚。

 Matrox「Millennium G400 MAX」。今のビデオカードではモニター出力が3~4基ついていて当たり前だが、当時は1枚で2画面出力可能なのは衝撃的で、DualHeadによるデュアルモニター環境を一般に広めた立役者だった。

 3dfx「Voodoo3 3000」。Glideの3D資産を抱え、Bansheeの2D統合路線を推し進め、性能を高め、ゲーマー御用達の座を最後まで守った。

 Number Nine「Revolution IV」。Windows NT環境、超高解像度の2D表示に特化し、CADや金融系のプロが指名買いした通好みのカード。カード上のビートルズゆかりのメッセージも特徴だ。

 3dfxの最高峰「Voodoo5 5500」。T&Lを捨ててフルシーンアンチエイリアスという画質に賭けた、カード製造パートナーを突き放した結果、そのまま3dfxの終焉につながった。

 「ATI ALL-IN-WONDER RADEON」。3D描画にテレビチューナー、キャプチャ、ビデオ出力まで全部盛りにした、当時の全ユーザーの憧れ。

 Matrox「Millennium G550」。あえて3D性能では勝負せず、画質・安定性・マルチディスプレイで長く売られたロングセラー……というか、2026年現在もまだ購入できる

 ATI「RADEON 8500」と「RADEON 7500」。GeForce3世代とガチンコで殴り合い、ATIが本気で追いついた瞬間。DirectX 8の機能の1つである「N-Patch」を実現する「TRUFORM」もRADEON 8500ならではの特徴だが、これはDirectX 11で標準実装されたテッセレーションそのものだ。

 SiS「Xabre 400」。バーテックスシェーダを省いてピクセルシェーダだけを実装するという割り切った設計で、DirectX 8世代の低価格帯に切り込んだ。

 悪名高い「GeForce FX 5800」。爆音の外排気クーラーとNV30の設計難(DDR2の発熱)で、NVIDIA自身が黒歴史扱いしてページ上から存在を抹消した1枚。ただ、筆者はこの先進的な設計が好きだった。

 同じGeForec FX世代の低価格帯の「GeForce FX 5200」。大量に出回っているため中古でも非常に安価。GPU製造ファブの刻印を手がかりに、どこで作られたチップなのかを追う回。

 Matrox「Millennium P650」。世の中が3D性能一色になったあとで、あえて2Dとマルチディスプレイに特化し続けた孤高の製品。

 「ATI All-In-Wonder X1900」。ハイエンド3Dとキャプチャ機能を1枚に載せた、All-In-Wonderシリーズの完成形だ。ただ、テレビチューナ部分は残念ながら日本国内の放送に非対応。

 東芝のSpursEngineを載せたLeadtek「WinFast PxVC1100」。Cellの技術を動画トランスコード支援に転用した、GPGPU前夜の徒花。

サウンドカード/音源

 これは、PCから音が出るのが当たり前ではなかった時代の記録。ISAバスにFM音源チップを載せていた頃から、PCM+SoundFont、PCIバスへの移行とCreativeの覇権、Aureal・ESS・Ensoniqらの挑戦、そしてオンボードサウンドに押し切られる直前の高音質路線までが一通り揃っている。

 ヤマハOPL3を載せたAcer「MAGIC S21」。FM音源でBGMを鳴らすのが標準だった、ISAサウンドカード黎明期の基本形。

 Creative「Sound Blaster AWE32」。EMU8000によるサンプリング音源とSoundFontで、DOSゲームの音を一段引き上げた記念碑的存在。記事で取り上げた以外にも「CT3990」という基板のモデルがあり、カード長はなんと356mmとサウンドカードとしては規格外だ。

 「Sound Blaster 16 WavEffects」。ヤマハのOPL-3チップを省いて、CQM合成による音源で互換性とコストを両立させ、低価格帯の定番として大量に出回った。

 ローランド「SC-88VL」。サウンドカードではなく外付けMIDI音源だが、日本のDTM文化そのものを作った銘機。連載中でも異色の回。

 「Ensoniq AudioPCI」。カード上にメモリを持たず、システムメモリ上に音源を置く設計が時代にマッチし、しかも強豪のCreativeに先んじてPCI接続を実現した。最終的にCreativeがEnsoniqを会社ごと買収して自社の主力にした。

 「Sound Blaster PCI 128」はEnsoniqの系譜の量産版。当時大流行した猫ゲーム「Stray」の作中にも登場したことで話題になった。

 ESS「Solo-1」搭載のPCIサウンドカード。ノートPCや廉価デスクトップに大量採用され、いつの間にか手元にあった系のチップ。

 Aureal Vortex AU8820を載せた「SOUND MAKER 64」。A3Dによる3Dポジショナルオーディオで、CreativeのEAXに正面から挑んだ陣営の一枚。

 Avance Logicのチップを搭載したAOpen「AW200」。このAvance Logicが後のRealtekオンボードサウンドの源流にあたる、という系譜の話だ。

 Turtle Beach「Santa Cruz」。420MIPSのDSPを積んでMP3再生やエンコードをハードで支援した、CPU性能がまだ足りなかった時代ならではの製品。

 Creative「Sound Blaster Audigy 2」。24bit/96kHz対応とEAXで、単体サウンドカードの完成形と呼ばれた金字塔。

 オンキヨー「SE-150PCI」。2004年11月発売、実売15,000円前後。大型コンデンサがびっしり林立した基板は「石油コンビナート」と呼ばれ、S/N比110dBを謳った。

CPU

 CPU編では、486の最終形からSocket 7の互換CPU戦争、そしてGHz競争、さらにはメニーコアの実験機まで、飛び石ながら要所を押さえている。ヒートスプレッダのないダイむき出しパッケージを素手で扱っていた時代だ。

 「IntelDX4」。クロックトリプラで100MHzに到達した、Intel純正i486の最速モデル。

 「Cyrix 6x86」。低クロックでもPentiumを上回る整数性能を叩き出し、PR表記という独自の性能指標まで持ち込んだ互換CPUの雄。

 IDT「WinChip C6」。Socket 7に挿すだけでクラシックPentium機を延命できる、アップグレード需要向けの低消費電力CPU。

 1.4GHz駆動のAMD「Athlon」。剥き出しのダイにクーラーを載せる構造だが、少し傾けただけでコアが欠けるという緊張感が自作ユーザーの間で話題となった。

 「Xeon Phi 5110P」。1チップ60コアという当時としては極端なメニーコア構成で、HPC向けアクセラレータの一時代を作った。

マザーボード/チップセット

 IntelおよびAMD純正チップセット以外にもたくさん選択肢があった時代の話。ALi、SiS、VIAといったサードパーティが機能と価格で存在感を示し、統合グラフィックスやデュアルCPU、そしてIntelのRDRAM大失敗まで、いま見ると濃度が高い。

 ALi「Aladdin V」を採用したMSI「MS-5169」。Socket 7の最終期を支えた、AGP対応チップセットの代表格。執筆は弊誌ライターでおなじみの笠原一輝氏。

 ASUS「CUA」。ALi Aladdin TNT2という統合チップセットを積み、ボード上にVRAMを載せることで「謎のメモリ」が使えた変わり種。同じく笠原一輝氏執筆だ。

 Soltek(そういやそんなメーカーあったなぁ)の「SL-65MV」。S3 Savage 4を内蔵したVIA Pro Savage PM133採用で、統合グラフィックスの実用ラインを押し上げた。

 Intel「VC820」。i820+Direct RDRAMという組み合わせだが、価格でも性能でも報われず、Intelのメモリ戦略の黒歴史を象徴する板になった。

 Iwill「DVD266-R」。デュアルSocket 370で初めてDDR266に対応した、自作デュアルCPU全盛期の一枚。

 GIGABYTE「GA-7DPXDW+」は、高価だったAthlon MP環境を比較的安価に組めるようにしたデュアルAthlonマザーである。

 ECS「K7S5A」。SiS735の出来が良く、安いのに速いという理由でAthlon XP自作の定番になった、コストパフォーマンスの伝説機。

 今やゲーミングマザーボードは当たり前のジャンルなのだが、それを切り開いたのがこのDFI「LANPARTY UT NF4 Ultra-D」。蛍光色が特徴的。2003年と23年前なのだが、PCIeスロットでSATA付きなので現代的なパーツも利用でき、なぜか古さを感じさせない

ストレージ/インターフェイスカード

 PC Watch創刊の一本目のニュースがまさかの緑電子。SCSIが「速いが高い」憧れとか、IDEが容量の壁と戦い続けていた頃の話が続く。8.4GB、137GBといった、今では意味不明な上限をどう突破したか、そしてSATAが来る直前にIDE RAIDがどこまで無茶をしたかが読める。

 緑電子「MDC-926Rs」。1996年4月16日、PC Watch創刊初日のニュースで扱われた製品そのもの。Cバス末期のSCSI/シリアルボードで、Windows 95のPnPに対応していた。なお、読者向けオフ会で展示したところ「Cバスカードがまだ拝めるとは」とびっくりされた。

 Adaptec「AHA-2940U」は、Ultra SCSIカードの代名詞で、これが挿さっているかどうかがマシンの格を決めていた。

 その上位「AHA-2940U2W」。Ultra2 Wide対応でAdaptec絶頂期を象徴するが、値段も相応で完全に高嶺の花だった。これと7,200rpmや10,000rpmのHDDを4台ぐらい組み合わせてRAIDさせてみたい――当時はそんな気がした。

 アイ・オー・データ「SC-UPCI」。PC-9821のPCIスロットに挿すSCSIカードの模範的なカード。なぜかWindows 10では64bitドライバがあるため(おそらくWindows 11もいける)、今でもPCIスロットさえあればSCSIが使える貴重な一枚でもある。

 Tekram「DC-395U」。他社チップに頼らず自社製コントローラを載せた、Tekramにとって節目のSCSIカード。ただ、SC-UPCIのように64bitドライバがないのが残念ポイント。

 Quantum「Bigfoot TX」。5インチという大柄なプラッタで、IDEとして初めて8.4GBの壁を超えたHDD。速度より容量を取った割り切りが潔い。

 Seagate「U8」。基板をラバーでシールドした独特の外装を持つIDE HDDで、静音設計となっている。低価格帯を狙ったUシリーズの一角。

 Promise「Ultra133 TX2」は、パラレルATAで137GBの壁を初めて破った拡張カードで、48bit LBA対応が急務だった時期の救世主。

 LSI Logic「MegaRAID i4」。2001年末登場で約5万円。Intel 80960RSと16MBキャッシュを積み、4チャネル/最大8台のIDE HDDでハードウェアRAIDを組めた、IDE最後の華。

 3ware「Escalade 7410」。64bit PCI対応のため266MB/sを実現し、性能は高かったが、急遽不具合によりリコールされたり、RAIDカード事業の中止を発表したり、新CEO就任でやはり継続するといった波乱に巻き込まれた製品でもあった。

リムーバブル/光学ドライブ

 フロッピーディスク(FD)の次を狙った規格が乱立し、そのほとんどがCD-Rとブロードバンドに飲み込まれていった数年間。どれも「あと少し早ければ」、「あと少し安ければ」という惜しさがある。

 Iomega「Zip」。1枚100MBでフロッピーの後継最有力と目されたが、メディア単価の高さと、クリック・オブ・デスの不具合で失速した。記事ではパラレルポート接続モデルを取り扱ったが、実際に動かして検証している。

 「SuperDisk」(LS-120)。従来の3.5インチFDも読み書きできる互換性を武器に、国内で一時的に盛り上がり、故・元麻布春男氏も愛用者の一人であった。1.44MBのFDに対してトラックピッチを少しずつずらしながら記録することで32MBの容量を実現する「FD32MB」技術も搭載しており、今のHDDのSMR(瓦記録技術)の原型となっている。

 ナカミチ「MJ-5.16」。16倍速×5連装というチェンジャー式CD-ROMドライブで、オーディオメーカーらしい、ディスク切り替え機構の作り込みが見どころだ。

 松下「LF-D101N」。PDにも対応した初のDVD-RAMドライブで、ほかに類を見ない独自のローディング機構を備えていたほか、2つの対物レンズを切り替えて異なるディスクに対応するという構造も見逃せない。


 実は、筆者の手元には、購入したものの時間がなく、まだ取り上げていないカードがたくさんある。たとえば、アイ・オー・データ機器の「GA-PG3D」のような中学時代に初めて買ったビデオカードから、コネクタが反転できる白基板のサウンドカード「Juli@」などである(ほんの一例)。時間ができたら改めて紹介したい。