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【懐パーツ】Rambus DRAMとCL-GD5464を搭載したビデオカード「Graphics Blaster MA334」

Graphics Blaster MA334

 Creative Labsの「Graphics Blaster MA334」は、世にも珍しいCirrus Logicのビデオチップ「CL-GD5464」を搭載したPCIビデオカードだ。

 Cirrus Logicのビデオチップは「CL-GD5434」という製品がよく売れていて、あちこちで搭載製品が見られたので、特別な存在というわけではない。しかし、3D性能に定評のあるビデオカードが次々登場し、普及し始めた1997年頃にとって、CL-GD5464は十分にマイナーな存在だった。

 CL-GD5464が発表されたのは1996年9月だったのだが、実際に搭載製品が登場したのは1997年第1四半期。当時、3Dグラフィックスの性能向上は目まぐるしく、半年程度で新製品が旧製品になるのが当たり前。その中でCL-GD5464は発表から時間が経っただけでなく、実際の3D性能は振るわず、ドライバの完成度も低かったので致し方ない。

 CL-GD5464の最大の特徴は、ビデオメモリにRambus DRAM(RDRAM)を採用している点であった。ビデオカードにとって、メモリの帯域幅は性能に直結するのだが、バス幅を広げようとするとピン数が増え、配線が複雑になる。

 RDRAMではバス幅を抑える一方で、クロックを引き上げて高速化することを目指した。配線も容易に行なえるよう配慮し、CL-GD5464はその特徴を活かすよう設計された。実際、Graphics Blaster MA334でも、ビデオチップから出ている線は少なく、そのいずれも直線。その配線上に2つのメモリチップを配したという、シンプルな構成となっている。

CL-GD5464チップ本体。珍しく日本製となっている
LG Semiconductor製のRDRAMを搭載
実装されていない方を見ると、まっすぐ信号線が通っているのがよく分かる
RDRAMの上部のピンは、何か信号や電気が通っているわけではなく、固定用だと見られる。信号線の末端にはターミネート処理が必要なため、抵抗などが実装されている

 搭載されているメモリはLG Semiconductor製なのだが、動作クロックは不明。実際にはおそらく500MB/sないし600MB/s程度の帯域だろう。確かに1チップ(2MB)でも2チップ(4MB)でもこの帯域を達成できるのは立派なのだが、100MHz駆動のSGRAMを採用したRIVA 128が1.6GB/sを達成していたので、本機に3D性能云々を求めるのはやはり酷だ。

 ちなみにカード自体はビデオチップとメモリ以外、電源用MOSFETやBIOS ROMチップ、RAKON製水晶発振器が載っているぐらいで、コンパクトにまとまっている。一方で、背面にもコンデンサを多数搭載している辺り、RDRAMの高消費電力を支えていると思われる。

 ビデオメモリ付近のパターンをよく見ると、ソケットを実装するようなパターンもある。また、逆側にもメモリ実装用の空きパターンが伸びている。ソケットによるビデオメモリ増設や、8MB構成も視野に入れていた基板設計かもしれない。

空きパターンは逆側にも伸びているが、用途は不明。よく見るとソケット実装用のパターンまである

 筆者は、レアなRDRAMを採用したビデオチップということで欲しくて、長年ヤフオクに張り付いて運良く入手できたのだが、じつはほかに米Chromatic Research「Mpact2」なるものがあるらしい。しかしこちらはPC WatchやAKIBA PC Hotline!で検索しても引っかからないぐらいマイナーなので、担当として出会えるかどうか……である。

カード本体
カード背面
RAKON製の水晶発振器(左)と、VESAフィーチャーコネクタ
電源周りの実装
BIOS ROMチップなど