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【懐パーツ】ヤマハOPL3 FMシンセ搭載のISAサウンドカード「Acer MAGIC S21」

AcerのMAGIC S21

 あらかじめお断りするが、今回ご紹介するサウンドカードは有名ではない。まぁ名パーツ図鑑ではないので良しとしよう。Acer製のISAサウンドカード「MAGIC S21」である。

 そもそも基板上にAcerという文字は全くないので、当初どこ製のサウンドカードすら分からなかった。しかし調べていくうちに海外のフォーラムで、「Acer MAGIC S30」というサウンドカードの画像が見つかった。MAGIC S30はSound Blaster 16をベースとしたサウンドカードのようだが、シルク印刷の特徴や出力部の作りはこのMAGIC S21に似ていることから、S21もAcer製であることが伺える。

 カードの中央に、CRYSTAL Semiconductor製のチップ「CS4231A-KL」が鎮座しており、これが主要チップだと思われがちだが、実はCS4231AはWindows Sound Systemに準拠したコーデックであり、主な役目は16bitのステレオオーディオA/D変換、再生と録音のフィルタリング、アナログミキシング、音量調節などである。論理層は、その左にあるOPTi Technologies製の「82C929A」が担っている。

 OPTiという会社はあまり聞き慣れないかもしれないが、実は以前NECの「mobio NX」の記事で1回出てきている。そう、PCI to ISAブリッジの「FireStar Plus 82C700」だ。驚くことにOPTiのホームページはまだ残されており、82C700は未だ販売されているという。さすがに会社が本当に存続しているかどうかも含め、そこに書いてある電話番号に電話して聞いてみないと分からない。

 話が逸れたが、82C929AはこのOPTiが開発したサウンドチップのようである。ところがOPTiによると、オーディオ製品については1997年に売却したという。OPTiは売却先の企業について明らかにしていなかったが、Creativeが1998年1月に買収したようである。オーディオドライバはOPTiから提供しないため、サウンドカード製造商からダウンロードするよう指示している。しかし、この製造商の一覧にAcerがないというのも困ったものである(使わないけど)。

【11月7日追記】読者より、OPTiはサウンドチップ事業をCreativeに買収したという情報をいただきました。ご教示に感謝するとともに、追記させていただきます。

 さて、このカードで注目すべきなのはこの82C929Aの上に載ったヤマハのFMシンセサイザー「OPL3」こと「YMF262-M」だろう。OPL3は2オペレータ18ch、または2オペレータ/4オペレータ12ch+リズム10chの動作が可能なチップである。

 正直、OPL3はお世辞にも迫力のあるFMサウンドが出せるチップだとは言い難かったが、1991年に発売されたCreative Technologyの「Sound Blaster Pro」に標準搭載された。MS-DOS時代のDOS/V互換機はSound Blaster Proが事実上のデファクトスタンダードだったので、対応ゲームが非常に多い。特に、その時代にFPSゲーム「DOOM」をプレイしていたのなら、このOPL3が鳴らすショボショボの音楽が脳裏に残っているはずだ(まあ、日本はどちらかと言えばPC-9800シリーズなのでDOOMやOPL3とは無縁だが……)。

 出力部は以前紹介したSound Blaster AWE32 Valueと比較してちょっとリッチかな? と言った印象で、16V/470μFのコンデンサが使われていたりする。「TEA2025B」はSTMicroelectronics製のステレオアンプ。Philipsの「74HC4052D」は4チャンネルアナログマルチプレクサ/デプレクサ。Motorola(後にON Semiconductorに分社化)の「MC3403D」は4入出力オペアンプ、ヤマハの「YAC512-M」はシリアル入力16bit DACのようである。

 一方STMicroelectronicsの「L7805CV」と「L78S09CV」はともにボルテージレギュレータで、ここから電源を生成していたと思われる。この付近のパターンは結構太く、かなり余裕のある設計だ。

 基板上にはTexas Instruments製と見られるオクタルバストランシーバー「LS245」も見え、近くに「Remote Control」とシルク印刷のあるピンヘッダが並んでいるが、用途は不明。この近くにはIRQを7か11かに選択できるジャンパーも見え、明らかにWindows 95のPlug and Play以前のデバイスであることが伺える。

MADE IN TAIWAN R.O.Cが眩しい
背面にもメーカー情報がない
昔のサウンドカードらしく、ラインアウトとスピーカーアウトが独立している。また、ゲームポート(MIDIポート)も見える
CRYSTAL Semiconductor製のチップ「CS4231A-KL」はアナログオーディオコーデックである
こちらが心臓部の Technologies製サウンドチップ「82C929A」
言わずと知れたヤマハのOPL3こと「YMF262-M」
シールを剥がせば正体が分かるかもしれないが、せっかくなので触れないでおこう
電源部入力部の作り
ボルテージレギュレータを2つ搭載している
電源出力部もこだわっているように見受けられる
「TEA2025B」はSTMicroelectronics製のステレオアンプ。Philipsの「74HC4052D」は4チャンネルアナログマルチプレクサ/デプレクサ
Motorolaの「MC3403D」は4入出力オペアンプ、YAC512-Mはヤマハ製の16bit DACである
出力段もこだわっているかな?