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【懐パーツ】安価なAthlon MP用マザーボードとして登場した「GIGABYTE GA-7DPXDW+」

GIGA-BYTE GA-7DPXDW+

 GIGABYTEは正式な社名を「GIGA-BYTE Technology Co., Ltd.」、台湾で公用語として使われている北京語(繁体字)での社名は「技嘉科技股份有限公司」となるPCコンポーネントのメーカーだ。GIGABYTEのビジネスは一般消費者向けとしてよく知られているマザーボードやビデオカードといった製品だけでなく、データセンター向けの機器(シャシーやマザーボードなど)も提供する総合メーカーだ。そうした製品は自社ブランドだけでなく、ODMビジネスとして他社ブランド向けにも製造を行なっている。

 そのGIGABYTEが2002年の9月から日本市場で販売を開始した、AMD Athlon MP用マザーボードが今回紹介する「GA-7DPXDW+」だ。

低価格なデュアルプロセッサのソリューションとして人気を集めたAthlon MP

Athlon MP/1.2GHz

 AMDが2001年のCOMPUTEX TAIPEIで発表したAthlonブランドのデュアルプロセッサ向け製品がAthlon MPだ。1999年にSlot A版のAthlonを、2000年にSocket A版のAthlonを投入したAMDは、着実にIntelとの差を縮めつつあり、それまでIntelのXeonプロセッサの独擅場だったサーバー市場に参入する武器となったのが、このAthlon MPになる。

 発表当時の記事によれば、1.2GHzと1GHzの2つの製品が用意されており、それぞれ265米ドル、215米ドルという当時のXeonよりも圧倒的に安価に設定されていることが特徴になっていた。このため低価格なデュアルプロセッサなマシンを自作したい、そういうニーズにはAthlon MP一択という状況になっていた。

Socket A(Socket 462)に装着されたAthlon MP/1.2GHz

 このAthlon MPは1つだけ大きな弱点を抱えていた。それは、ヒートスプレッダが装着されておらず、CPUのダイが剥き出しになっており、そこに直接CPUクーラーのヒートシンクを接地させて熱伝導する仕組みになっていたことだ。このため、CPUクーラーがちゃんと装着されていないと、必要以上の熱がCPUダイに集中してCPUダイが壊れてしまうという事故が多発したのだ(慎重に取り付ければ回避できたのだが、そこでミスをするのが人間というものだ)。

 Socket 370のPentium IIIで同じ問題を抱えていた競合のIntelがいち早くTualatinコアのPentium IIIでヒートスプレッダを搭載して対処してきたのに対して、AMDがヒートスプレッダーを導入したのは、CPUアーキテクチャとしては次世代になるK8(Athlon 64/Opteron)まで解決を待つ必要があった。

 しかし、そこさえ気をつければ、コストパフォーマンスは抜群で、デュアルプロセッサが必要な多くのユーザーがAthlon MPを導入していくことになった。

Unbuffered DIMMとRegistered DIMMの両方を使えることが最大の特徴

GA-7DPXDW+、当時のGIGA-BYTE製品はみなこのテイストの外箱だった

 そのAthlon MPのチップセットとして用意されたのが、AMD 760MPチップセットでノースブリッジとなるAMD-762と、サウスブリッジのAMD-766という2つのチップから構成されていた。GA-7DPXDW+は、そのAMD-760MPチップセットを搭載したデュアルプロセッサ用マザーボードになる。マザーボードにはAthlon MP用のCPUソケットであるSocket Aが2つ搭載されている。

AMD-762
AMD-766

 GA-7DPXDW+の最大の特徴は、メモリとしてUnbufferedのDIMMモジュールを利用できたことだ。通常こうしたサーバー用のマザーボードは、Registered DIMMと呼ばれるレジスタバッファを搭載したメモリモジュールを利用するのが一般的だ。レジスタバッファはメモリコントローラとメモリデバイスの間に置かれ、メモリコントローラがメモリデバイスにより安定したアクセスができるように調整される。

メモリソケット、Registered DIMM、Unbuffered DIMMに両対応。メモリはDDR266

 このRegistered DIMMは安定したメモリアクセスを実現するが、バッファを搭載していないUnbufferedのDIMMに比べると高価という弱点がある。とくにPCクライアントとして使う場合には、そこまでの安定性は求められないので、UnbufferedのDIMMが使われるのが一般的だ。

 AMD-760MPチップセットではチップセットのRegistered DIMMが標準の仕様なのだが、GA-7DPXDW+では独自にUnbuffered DIMMにも対応し、低価格にデュアルプロセッサが実現できるように配慮されている。PCクライアントとして使うユーザーであれば安価なUnbuffered DIMMを選び、サーバーやワークステーションなど信頼性重視の場合にはRegistered DIMMと使い分けることができる(ただし2つを混在させることはできない)。

 また、Unbuffered DIMMではメモリは最大2GBまでとなるが、Registered DIMMを選ぶと4GBまで利用できるので、メモリ容量重視の場合もRegistered DIMMを選ぶ意味があった。

Promise TechnologyのPDC20276

 そのほかの特徴としてはオンボードでPromise TechnologyのPDC20276というRAIDコントローラが搭載されている点で、4台のIDE HDDをRAID0(ストライピング)、RAID1(ミラーリング)の設定で利用できた。

マザーボード全景
基板裏面
Socket A(Socket462)
電源周り
I/Oポート
AGP Pro(4x)のスロット
Intelの100BASE-TX NIC(82550PM)
I/Oコントローラ(WinBond W83627HF)
PhoenixBIOS
IDEポート(左の2つがRAID、右の2つがサウスブリッジのIDE)
チップセットのクーラー
クロックジェネレータ
付属のUSB 2.0拡張カード。当時AMD-760MPにはUSBコントローラのバグが発見されており、搭載マザーボードにはこうしたUSBポートを増設する拡張カードがバンドルされていた