やじうまPC Watch
【懐パーツ】言わずと知れたサウンドカードの金字塔「Creative Sound Blaster Audigy 2」
2016年9月23日 14:19
筆者はビデオカード厨なのでこの企画はビデオカードばかり続いたが、サウンドカードでも眺めて一休みするとしよう。懐かしいと言う割には比較的新しいが、Creativeの「Sound Blaster Audigy 2」は、2002年に登場した高性能サウンドカードである。手持ちのこのカードは、作曲を手がけ、GarageBand解説記事を執筆した石山晋平氏より譲り受けたものだ。
搭載されるAudigy 2のチップの型番は「CA0102-IAT」だが、これはE-MU Systems製の「EMU10K2」サウンドプロセッサをベースとしている。E-MUは元々音楽制作機器を製作している会社であり、EMU10K2は音声処理用に開発された高性能DSPプロセッサである。Audigy 2はそのプロセッサパワーをコンシューマ向けに転用し、EAXと言った3Dゲームサウンドに有用な機能を付加したものである。
CreativeとE-MUの関係は古い。E-MU Systems自体は1971年に設立されたのだが、1993年にCreativeに買収されており、E-MUが開発したサウンドDSPは「Sound Blaster AWE32」や「Sound Blaster Live!」と言った製品にも搭載されているため、PC/AT界では知名度が高い。
Sound Blaster Live!はさまざまな音響効果をCPUに負荷をかけずに実現できるDSP「EMU10K1」を搭載したことで名機となったが、その後の2001年にさらに性能を向上させた「EMU10K2」を搭載した「Audigy」というサウンドカードをリリースした。DSPの性能は順当に向上し、カードとしては24bit/96kHz対応としながらも、実はそれはDACとADCが24bit/96kHz対応となっただけで、DSPとしては24bit/96kHz非対応だった。
Audigy 2はこのAudigyに搭載されたEMU10K2をベースに改善した「EMU10K2.5」を搭載することで、エンドツーエンドで24bit/96kHzの6.1チャンネルの再生が可能になった。ステレオに限定すれば、192kHzも可能である。ただしこの場合パススルーのみで、DSPによる処理はできないとされている。これはサウンドを処理するというより、一時期流行したDVD-Audioの再生をサポートするための意味合いが強い。
チップも機能や性能的に優れてはいたのだが、サウンドカードとしてのスペックを見ても、SNR比106dBを実現しており、当時優秀であった。とは言え、Creative製サウンドカードは「部品レベルに頼らない音作り」という思想を貫いており(ただしこれは後のX-Fi Titanium HDを除いても良い)、本製品もそれを踏襲していることは明らかである。
例えばDACはCirrus Logicの8チャンネル統合型DAC「CVS4382」1つで済ませているし、オペアンプも“非常にメジャー”とも言えるSTMicroelectronicsの2回路入りバイポーラ型オペアンプ「MC4558CD」である。音質に多大な影響を与えるとされているコンデンサも、オーディオとはまったく無縁とも言えるJamicon製のスタンダードライン「SS」シリーズ(高さが7mm、それだけ)だ。回路の作りもオーディオらしくない。それでも大半の人が満足する音を出せるのだからスゴイとも言える。
高性能DSPが持つ多くの入出力を活用できるよう、カード上に多数の端子を備えているのも特徴だが、本機がユニークなのはIEEE 1394端子を備えている点だろう。筆者は1つもIEEE 1394デバイスを所持したことがないので、使い道が思い浮かばないが、IEEE 1394オーディオインターフェイスを繋げてみるとシャレが効いてて良いのかもしれない。