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【懐パーツ】3DLabs唯一のヒット作、Permedia 2を搭載した「Fire GL 1000 Pro」
2019年6月19日 16:28
Diamond Multimediaの「Fire GL 1000 Pro」は、1997年に3DLabsが発表したコンシューマ向けビデオチップ「Permedia 2」を搭載したビデオカードである。
3DLabsは1994年に設立されたハードウェアメーカーで、3DLabs自体OpenGL APIの策定に積極的に関わっていたため、OpenGLに特化したビデオチップの開発を得意とする。もともとプロ向けの3Dアクセラレータとして「GLINT」シリーズを展開していたが、Permediaはそのコンシューマ版に当たる。
初代のPermediaビデオカードは、レンダリングエンジンにPermediaを搭載しているのに加え、ジオメトリ補助チップとして「GLINT Delta」を備える2チップ構成であったのだが、Permedia 2ではこのGLINTの機能をワンチップ化し、230MHzのRAMDACも内蔵することで低価格化を図っている。
Permedia 2自体は決して高い3D性能を備えた製品ではなかったのだが、内蔵されているRAMDACがTexas Instrumentsとの共同開発されたもので、表示品質に定評があった。その一方で価格もミドルレンジクラスだったため、Permedia 2は3DLabs史上もっとも成功したチップとなった。
しかし当時、RIVA 128をはじめとする高性能3Dアクセラレータが台頭し、Intel 740やSavageといった低価格製品が相次いで投入されたことで、3万円近くしたPermedia 2は瞬く間に1万円前後というエントリー価格に落ちた。そして後続のPermedia 3も投入が遅れ、その後も性能/機能面で競合に太刀打ちできず、3DLabsは事業縮小を余儀なくされ、2006年にグラフィックス事業から撤退するに至っている。
今回入手したFire GL 1000 ProはAGP 1x接続のものである。ヒートシンクを剥がそうと四苦八苦してみたもののなかなか剥がれず、装着したままでの写真掲載となったことをお詫びしたい。
メモリにはMoSYS製のSGRAM「MG802C 256Q-8」。このチップはカノープス製RIVA 128ビデオカード「PWR128P」の上でも見られるが、後ろの数字が-10(100MHz)ではなく-8(125MHz)となっており、若干高速のようである。Fire GL 1000 Proではこのチップを表裏に4枚ずつ装着することで、8MBという容量を実現している。
基板は6層と、Diamond Multimedia製らしく品質は高いが、Permedia 2自体非常に高度に集積されているので、実装部品数は少ない。表面にビデオメモリを増設できると思われるスロットのパターンが残されている点がユニークだと言えよう。
ちなみに「Fire GL」という製品ブランドは今やAMDのプロ向け製品で使われているが、軌跡を辿っていくと、S3がまず1999年にDiamond Multimediaを買収し、そのS3が2000年に早くもビデオカード事業から撤退。撤退後もSONICBlueのプロ向けグラフィックス部門FGL Graphicsとして生きていたが、これをATIが2001年に買収。そして2006年にAMDがATIを買収して、今に至っている。