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【懐パーツ】3Dゲーマー御用達ビデオカード「Voodoo3 3000」
2017年1月17日 06:00
最近筆者が多忙だったため、懐パーツコーナーを更新できなかったことをお詫びしたい。2017年の第1弾は、かつて3Dゲーマー御用達だったビデオカード、「Voodoo3 3000」をご紹介したい。
Voodoo3は1998年11月16日に発表された2D/3D兼用のビデオチップだ。1995年11月に発表された初代の「Voodoo」と、1997年11月に発表された「Voodoo2」は、いずれも3D専用アクセラレータであり、Windowsの画面などの2D表示には、別途ビデオカードが必須だった。2D対応ビデオカードのミニD-Sub15ピンをいったんVoodoo側に入力し、Voodooで描画した画面とリレーで切り替えて表示するという原始的な仕組みだった。
そのため、2D機能を備えたビデオチップを別途組み合わせて1ボードにした「Voodoo Rush」と、2D機能も1チップに内蔵した「Voodoo Banshee」という製品も投入されたのだが、性能的には同時期のVoodooや他社製品よりも低かった。Voodooの購買層を広げることには一役を買ったかもしれないが、ハイエンド3Dゲーマーから指名されて買われることはなかった。
一方でVoodoo3は、Voodoo Bansheeの後継であり、2Dと3D機能を1チップに集約している。その上で、Voodoo2のSLI(2枚挿しの同時駆動)に匹敵、または凌駕する3D性能を実現した。このため、旧来よりVoodooのGLIDE API向けゲームをプレイしていたゲーマーにとって注目の的となった。
Voodoo3には弱点もあった。1つ目は、3Dは16bit(ハイカラー)までしかサポートされないことだ。まあ、かくいう筆者もGeForce FX 5900 Ultraを手にするまではよく16bitカラーで3Dゲームをプレイしていたし、そもそもテクスチャ自身も32bitカラーを駆使するほどリッチなものではなかったと記憶しているが、技術的にマイナスポイントであることに変わりはない。もっとも、高解像度/多色環境以外では、Voodoo3がパフォーマンスリーダーであることには変わりがないのだが。
もう1つは、製品の供給が、3dfxが1998年に買収したSTB Systemsからのみになってしまった点だろう。当時MatroxやATIが採用していた手法で、ビデオカードの品質(ひいては画質)を確保できる利点はあったものの、それを従来からVoodooやVoodoo2のチップ供給を受けてカードを製造していた多くのメーカーが快く思うはずもない。この戦略で、多くのメーカーを3dfxのパートナーからライバルに転身させてしまった。
さて、実際のボード自身だが、内製化しているだけであって非常に洗練されている。背面はコネクタ部を除いて、突起や部品はなくフラットなものとなっている。下位のVoodoo3 2000にはないSビデオ出力端子も備えているが、ここの基板だけカットが入っており、0Ωの抵抗によって配線されている。おそらく基板上のほかの信号干渉を避けるためだと思われ、なかなかこだわっている。
ヒートシンクはパッシブタイプで、騒音は当然ない。チップと接着剤のようなものでくっついているため、今回取り外すことができなかった。ヒートシンクに一部が隠されているAtmel製の「AT49BV512」は512kbitのフラッシュメモリで、BIOSを格納していると見られる。
Voodoo3 3000の駆動クロックはコア/メモリともに166MHzである。このため、ビデオメモリにはSIEMENS製のSDRAM「HYB39S16160CT-6」が採用されている。このメモリは2バンク×512kワード×16bitの構成となっており、1チップで2MBの容量となっている。このチップを8個搭載することで、16MBという容量を実現している。
CE1.0というシールの下に隠れているのは、Conexant製のビデオエンコーダ「Bt869KBF」で、デジタルのRGBまたはYCrCb信号ストリームからフリッカーフリーのコンポジットとY/C(Sビデオ)信号を生成する。当然、下位のVoodoo3 2000では省かれているチップとなる。
このほか、SEMTECH製の2系統入力の低ドロップアウトレギュレータ「EZ1580CM」や、IDTの10bitバススイッチ「QS3861Q」、Fairchild製のQuad 2入力ANDゲート「74VHCT08A」などの実装も見える。この辺りはほかのビデオカードにもよく見られる部品で、特筆すべき点はないだろう。