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【懐パーツ】他社の追従を許さなかった「カノープス Power Window 968PCI-4M」

Power Window 968PCI-4M

 1990年代を代表するビデオカードメーカーと言えばカノープスだろう。定評のある画質を実現した基板をはじめ、高速処理を実現したドライバなど、その独自性が非常に高く評価され、他社の追従を許さなかった。

 今回ご紹介する「Power Window 968PCI-4M」は、そんなカノープスを代表する1枚だと言っても過言ではない。ビデオチップはS3の「Vision968」で、1995年当時最新鋭の2Dビデオチップであった。本製品の定価は74,800円と、2Dハイエンドと言われるMillenniumシリーズもびっくりな価格だ。

 ちなみに、Vision968の以降のビデオチップは、基本的に前身のVision964の廉価版にあたるTrio64V+(RAMDAC統合)をベースに進化を遂げているため、Vision968はS3にとって最後のハイエンド2Dビデオチップである。

 本機の設計でもっとも目を引くのは非常に多くのチップコンデンサの採用だろう。Vision968からVGA出力に至る部分にわたって、整然として同じ方向で並んでおり、このあたりはカノープスならではのノウハウが詰め込まれている。以前紹介したDiamond Multimediaの「Stealth 64 VIDEO VRAM PCI」と比較しても、その差は明らかだ。

 また、本機はIBM製のRAMDAC“PALETTE DAC”こと「37RGB524CF17-A」が採用されている。速度は170MHzまたは220MHzで、画質には定評があるもの。このあたりはハイエンドらしさがある。

 メモリはIBMのデュアルポートビデオRAM「IBM025170LG5B-60」が採用されている。こちらは1チップあたり256K×16bit=4Mbit構成で、これを8基搭載することで4MBの容量を実現している。Stealth 64が70ns品を採用していたのに対し本機は60nsと、より高速なものが採用されている(ただ、実際のクロックは駆動させてみないとわからない)。

 このほか、8回路3ステートバスドライバ「ALS244B」、6回路インバータ「ALS04B」、4回路3ステートバッファ「74LS125A」、8回路D-フリップフロップ「ALS374A」、6回路D-フリップフロップ「ALS174」、4回路バッファ「74LS125A」、8bit双方向バストランシーバ「ALS245A」など、多くのICが実装されている。

表面は多くのチップコンデンサで覆われている
基板背面には実装部品はない
ビデオ出力はミニD-Sub15ピンのみ
S3最後のハイエンド2Dビデオチップ、Vision968
VRAMにはデュアルポート対応の「IBM025170LG5B-60」が8枚採用されている
DACはIBMのRGB524。画質で定評がある
電源回路は質素だ
非常に多くのICが搭載されている