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【懐パーツ】ちょっとレアなAGP版「Matrox Millennium II」

Matrox Millennium II

 別のパーツを紹介しようと思ったのだが、Matroxを3連チャンでやると約束したので約束を果たそう。今回はMatrox製「Millennium II」のAGP版である。ちなみに倉庫にあるものではなく、技術部の同僚より譲り受けたものだ。

 Millennium IIはMillenniumの正統進化版であり、同じ64bitエンジンを引き継ぎながら性能向上が図られている。加えて、下位のMystiqueシリーズと同様、3Dの機能も強化されているというのだが、3Dの速度や機能は大したことがなかったようである。

 とは言え、当時はDirect 3D対応タイトルよりも、3dfxの「Voodoo」シリーズ対応の3Dゲームが多く、描画品質や性能も優れていたため、2D最速のMillennium II+3D最速のVoodoo 2×2(SLI)の構成が、ハイエンドゲーマーの憧れであった。

 さて筆者の手元に来たこの「Millennium II MIL2A/4/OEM」だが、やや特殊なカードである。先述の通りMillennium IIは3Dが全く得意ではなく、そもそもMillennium II上でバリバリ3Dゲームを走らせようとしたユーザーは少なかったはずである。それにも関わらず本機はAGPにネイティブ対応したチップ「MGA-2164WA」を採用している。

 AGPは、CPUを介さずにビデオチップが直接メインメモリを読み書きできるDIME(Direct Memory Excution)機能を搭載しており、テクスチャやZバッファをメインメモリに置くことで、ビデオカード上の搭載メモリ容量を最小限に留められる。しかしそもそも3Dが得意ではない本チップを、わざわざAGP対応にする必要があったのかと言われれば、首を傾げざる得ない。

 もう1つユニークなのは、一般小売されたMillennium IIのAGP版は標準でボード上にビデオメモリ8MB(基板裏面実装)、拡張カードによって16MBに拡張できたのに対し、本カードはボード上に4MB、拡張カードによって8MBに増強されている点である。型番末尾のOEMが示すよう、おそらくOEM向けに出荷されたものが、バルク品としてなんらかの形で一般市場に流通したのだろう。

 拡張カードが外せなかったのでこのまま眺めていくが、チップはMGA-2164WA-B、RAMDACはTI製の「TVP3026-250CPCE」、ビデオメモリはSamsungの「KM4232W259AQ-60」である。ビデオメモリこそ変わってないが、RAMDACが250MHzに高速化されているのが分かる。ちなみに「TMS28F010B」もあるが、これは容量1MbitのビデオBIOS用ROMのようだ。

 ちなみに筆者の記憶の中で最初に手にしたAGPビデオカードの実物がMatroxの「Productiva G100」だった。その日、ちょうど友人の父親がSuper Socket 7環境の新PCを自作していて、目にすることができた。ところがG100とVIAチップセットのAGPの相性問題で、16色でしかWindowsが起動しなかった。新ドライバでこの問題が解決されるまでG100はお蔵入りになっていたのだが、まさかG100の前にMillennium IIのAGP版が存在していたとは思わなかった。

Millennium II MIL2A/4/OEM
ビデオチップはMGA-2164WA。ちなみにPCI版は「MGA-2164WP」に変わる
SamsungのWRAM、KM4232W259AQ-60
ビデオメモリ拡張カード「MIL2/M004」
画質を支えるTI製RAMDAC「TVP3026-250CPCE」
TI製のフラッシュROM「TMS28F010B」