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【懐パーツ】3Dがアツい時代の2D特化ビデオカード、「Matrox Millennium P650」

Millennium P650

 先日、突如NVIDIAのカスタム版Quadroを採用したビデオカードをリリースし、「まだ生きていたのか」などとTwitterで話題になったMatrox。2014年にAMD GPUを採用するまでは、独自GPUを開発していたので、なかなか感慨深い。今回ご紹介する「Millennium P650」も、同社が開発したアーキテクチャを採用したGPUである。

 P650は2003年4月に発表され7月に国内で市場投入された。内部アーキテクチャとしては2002年に発表された「Parhelia-512」を踏襲するが、ピクセルパイプライン、バーテックスシェーダなどの3D機能を半分に削減し、ビジネス用途に特化。ビデオメモリも256bitから128bitに削減し、低価格化したモデルとなっている。

 2003年当時といえば、DirectX 9 APIが台頭し、Radeon 9700とGeForce FX 5800が熾烈な3D性能戦争を演じていた時代なのだが、その真っ只中に登場したP650は異例の存在といえる。しかし、本機はMatrox製ビデオカードならではの安定した画質を武器に、無音のファンレス機構を採用したこともあり、3D性能が不要なユーザーを中心に人気を博した。

 カード自体は、当時のトレンドにそぐわない大きなファンレスヒートシンクと簡素な電源回路で構成されている。ヒートシンクの下には、Parhelia-LXビデオチップと、InfineonのDDR SGRAM「HYB250128323C-3.3」が使われていた。BIOSはAtmel製のシリアルEEPROM「34C02N」に保存されている。このほか、IDT製のシグナルスイッチャー「3257Q」、CHRONTELのDVI出力デバイス「CH7301A-T」の背面実装が目立つ程度だ。

 なお、P650はその後、LowProfile版やPCI Express版、90nmプロセスにシュリンクした「P690」シリーズなど、多数の派生モデルを生み出している。

カード背面
出力はDVI-I×2。
DVI出力デバイス「CH7301A-T」。P650はこれを2基搭載する
当時にしては簡素な電源回路。外部電源の供給も不要だ
電源の実装は裏面におよぶ
ヒートシンクを取り外したところ
Parhelia-LXのチップ
メモリはInfineonのDDR SGRAM「HYB250128323C-3.3」。最大300MHz動作となる(データレートは600MHz相当)
VGA BIOSはAtmel製のシリアルEEPROM「34C02N」に保存されていると思われる