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【懐パーツ】パラレルATAで初めて137GBの限界を打ち破った「Promise Ultra133 TX2」

 今回ご紹介するのはPromise TechnologyのUltra ATA/133インターフェイスカード「Ultra133 TX2」である。ヤフオクで100円だったのでサクッと落札した。

 Promiseと言えば、やはり廉価なIDEドライブをRAID対応にさせる「FastTrak」シリーズであるが、最新のストレージインターフェイスをPCに取り入れる意味では、Ultraシリーズの存在も注目すべきであった。その中でもUltra133 TX2はUltra ATAの末裔規格に対応し、133MB/sという転送速度を誇っている。

 Ultra ATA/133はATA-7で規格化されているものの、実はこれをサポートした製品は少ない。HDDはUltra ATA/133の提唱者であるMaxtorが当然対応したが(最初の製品はDiamondMax Plus D740X)、SeagateやHGSTはこれを追従しなかった。ホスト側も、ALiおよびVIA Technologiesのチップセット、HighPoint/Silicon Image、そして今回上げるPromiseのホストコントローラが対応したが、最大手のIntelは最後の製品までUltra ATA/100対応に留まった。

 Ultra ATA/133の普及が進まなかった理由はいくつもあるが、最大の理由は、当時業界全体がSATAへの移行を推進していたからだ。Ultra ATA/133では転送速度が33MB/s向上するものの、当時のHDDはそこまで転送速度は速くなく、なおかつSATAに移行した方が明らかにメリットが多かった。付け加えると、33MHz駆動のPCIバスの転送速度の上限も133MB/sであり、複数台繋げるとボトルネックになるのは明らかであった。

 むしろUltra ATA/133とともにMaxtorより提唱され、注目されたのは、137GBの壁を超えるための48bit LBA(Big Drive)であった。LBAとは、HDD内の全てのセクタに通し番号を振って、その番号を通じてHDDにアクセスする仕組みのことだが、それまでのEIDEは28bitだった。28bitで表現可能な値は2億6,843万5,456個で、1セクタあたりのサイズは512byteであったため、137GBの制限が生じたのである。Big Driveではこれを48bitに拡張し、約144PBの容量を扱えるようにしたのだ。

 Big DriveはUltra ATA/133とは別の規格であったので、Ultra ATA/133インターフェイスでなくともサポートは可能だし、Ultra ATA/100インターフェイスでもBig Driveを実装可能である。付け加えると、ホストコントローラのBIOSなどがBig Driveに対応していない場合、それはあくまでもOSをブートするパーティションが137GBを超えられないだけであって、例えばOSをインストールするパーティションを137GB以下にすれば起動は可能だし、その上で48bit LBAをサポートするOSやドライバを使用すれば、それ以上のパーティションを作成すること自体は可能である。

 さて、前置きが長くなったが、Ultra133 TX2の特徴は「Ultra ATA/133をサポートした上でBig Driveをもサポートする初の製品」である。日本国内で初めて発売されたのはACARDの「AEC-6880」であったのだが、Big Driveのサポートは謳われていなかった。一方、本製品はBig Driveをサポートし、この137GBの制限を初めて打ち破ったのである。とは言え、本製品登場時点では、まだ137GBを超えるHDDが発売されなかったのだが。

 もう1つ特徴として挙げられるのは66MHz駆動のPCIバスに対応している点だろう。対応マザーボードは多くないが、66MHz駆動させればデータ転送速度が266MB/sに達するため、2ドライブ搭載時でも本製品がボトルネックになることは少なかった(とは言え、当時のHDDの1台あたりの性能は40~50MB/s程度であったが)。

 RAID非対応製品のため、「PDC20269」と呼ばれるオリジナルコントローラが搭載されているだけで、実装部品は少ない。Ultra ATA/133のコネクタが2個見えるほか、HDDのアクセスランプ用ピンヘッダも備えているのが分かる。背面の印字は多く、さぞかしケース内で目立ったであろうが、当時アクリルウィンドウを備えたケースが少なかったのはさぞかし残念である。