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【懐パーツ】SoundFontが使えるISAサウンドカードと言えば「Sound Blaster AWE32」

 今回もサウンドカードをご紹介しよう。ISAバス接続のサウンドカード、Creativeの「Sound Blaster AWE32 Value(CT3660)」である。ヤフオクで1,000円と今時にしてはプレミア付き値段だが、ちょっとお高いランチ程度なので落札した。

 筆者はSound Blaster 16およびAWE32が全盛の時代、このカードとはほぼ全く縁がなかった。PC-9821/V12のユーザーであったため、増設するならむしろ「PC-9801-86」--つまりV12の標準にはないFM音源を増設して、98専用のDOSゲーム(DiscStation)で音楽を鳴らしたい程度である。

 しかし、Sound Blaster AWE32という名前自体は雑誌で何度も目にした。というのも、AWE32には当時画期的だったSoundFontの機能が付いており、この扱い方について解説した記事が多くあったからだ。SoundFontは、ざっくり言えばMIDIのWavetable=音色データをファイルとして持っておき、ユーザーが自由に編集できる規格。例えばお気に入りのピアノの音があった場合、「ド」の音をサンプリングしてSoundFontにすれば、MIDIでそれを音のように扱え、「レ」でも「ミ」でも「ファ」でも鳴らせるわけだ。

 これを最初に実現したのが、Sound Blaster AWE32であった。AWE32に搭載された「EMU8000」というDSPチップが、オンボードメモリに保存されたSoundFont(もちろん、ユーザーがこの領域にアップロードできる)を呼び出して扱えたわけである。AWE32には、標準で512KBのSoundFont用メモリが搭載されているのだが、30ピンのSIMMスロットが付いているモデルでは、このSoundFont用メモリを最大28MBまで拡張できた。残念ながら今回入手したのは廉価版の“Value”であるため、このSIMMスロットが省略されている。

 ちなみにAWE32以降、E-MU製チップを搭載したLive! やAudigy、X-Fiシリーズのほぼ全てでSoundFontが扱える。もっとも、Live! 以降は高速化されたPCIバスを採用しているため、オンボードメモリではなく、システムメモリに置くようになっている。

 EMU8000のほかに、近くにはメモリコントローラと見られる「EMU8011-01」、およびSamsung製の512KBファーストページDRAM「KM416C256BJ-7」(256K×16bit)なども見える。またボード上中央は、Creative内製のサウンドチップ“VIBRA16S”こと「CT2502」(Plug and Playをサポートした低価格なSound Blaster 16チップ)を中心に、いくつかの内製チップも見られ、内製率が高かったことが伺える。

 当時のPC用サウンドカードには音質という概念があまりなかった上に、本製品は廉価版なので、出力段は比較的チープな作りである。出力段で一番大きいチップとなるPhilips(現NXP Semiconductors)の「TDA1517P」は、2×6Wのステレオパワーアンプで、これを介してスピーカー出力していたと思われる。TI製と見られる「TL074C」はJFET入力のオペアンプで、3個搭載されている。KA3403はクアッドオペレーショナルアンプだ。出力段には遠いが、Philips製のステレオコンティニュアスキャリブレーションDAC「TDA1387」の実装が見える。また、Philipsの「74HCT4053」はトリプル2チャンネルアナログマルチプレクサ/デプレクサである。

 ちなみに、オリジナルのSound Blaster AWE32は1994年5月に発売され、長さ356mmというRadeon HD 6990もびっくりなほどに長いカードであった。それもそのはず、当時のCD-ROMドライブの接続方式は統一されておらず、Sound Blasterを介して接続していたものも多数存在し、AWE32にはこれらのCD-ROMドライブを接続するためのコネクタも付いていたからだ。例えば初期のCT2760は、Creative/パナソニック製、ソニー製、ミツミ製のCD-ROMドライブを接続するためのコネクタが別々に付いている。

 残念ながら今回入手したValueではこれも省かれているが、このカードの発売時期が1996年であったことを考えると、まあ無理もないだろう。さらに付け加えると、MIDIのWavetableなどを増設できるドーターカード用のコネクタも省略されているようであり、かなり価格を抑えた廉価版であることが伺える。それでも今の廉価版サウンドカードより、遥かに複雑な構成ではあるのだが。

 完全に余談だが、ISAの拡張カードはスロットに取り付けると部品実装面が上向きだった。一方PCI以降は下向きである。側面がアクリルのケースならISAカードをさぞかし眺めて楽しめたのだろうが、当時側面がアクリルのケースを筆者は知らない。

EMU8000
EMU8011-01
Samsung製の512KBファーストページDRAM「KM416C256BJ-7」
Creative製の「CT2502」
こちらもCreative製だが、用途は不明
出力段はチープな作り
Philips製のステレオコンティニュアスキャリブレーションDAC「TDA1387」
「TDA1517P」は2×6Wのステレオパワーアンプ、「74HCT4053」はトリプル2チャンネルアナログマルチプレクサ/デプレクサ、「TL074C」はJFET入力のオペアンプ
ブラケットにはMIDI/ジョイスティックポート、スピーカ出力、ライン出力、マイク入力、ライン入力が並ぶ
カード背面はスッキリしている