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【懐パーツ】クラシックPentiumのアップグレードに好適、IDTの「WinChip C6」

WinChip C6

 はい、いよいよ皆さんお待ちかねのx86互換CPUの時間です。今回ご紹介するのはIDT(Integrated Device Technology)製のSocket 7用CPU、「WinChip C6」である。IDTというブランドこそ冠しているが、開発は当時IDT傘下であったCentaur Technologyが担当していた。

 WinChip C6はIDTが1997年に発表1998年に投入したSocket 7用のCPUだ。180MHz、200MHz、225MHz、240MHzの4種類が用意されたが、今回は200/225/240MHzの3種類を同時撮影できた。ダイサイズを抑えることで、1万円未満~前後の低価格を実現したCPUである。

 WinChip C6の特徴はその動作マージンだ。Socket 7は元々IntelがMMX Pentium用に投入したソケットで、PentiumのSocket 5と上位互換性を維持しながら、I/O電圧とコア電圧を分離させるデュアルボルテージに対応させた。例えばMMX PentiumはI/O電圧こそ従来と同じ3.3Vだが、コア電圧は2.8Vと低く、これにより発熱量や消費電力を抑えている。

 一方でWinChip C6はI/O電圧もコア電圧も共通だった。通常版は3.52Vだが、一部SKUではPentiumと同じ3.3V版も用意。また、Pentiumと高い互換性を持つことで、非対応BIOSでも使用できる可能性が高い。さらに、1.5倍の倍率を自動的に4倍だと認識するため、倍率設定に上限があるマザーボードでも高速に動作し、特に古いPentium 75MHzやPentium 90MHzのマシンにとって、有効的なアップグレードパスであった。

 4種類のSKUのうち、動作クロックが最高なのは240MHz版だが、ベースクロックが最も高いのは225MHz版であり、システム全体として見ればこちらの方が性能が高かった可能性はある。

 WinChip C6はPentiumや同時期のAMD K6などとは異なり、スーパースカラアーキテクチャやアウトオブオーダー実行はできず、i486に近いアーキテクチャを採るとされている。そのため整数演算性能は高いが、浮動小数点演算は苦手で、同時期の他社製CPUと比較すると低かった。もっとも、目的がビジネス用途であれば全く問題はない。

 Centaurはその後1999年にVIA Technologiesに売却される。その後「C3」や「C7」、そして現在の「Nano」シリーズに至るまで、x86互換プロセッサ一筋でビジネスを続けているのだから大したものだ。スーパースカラやアウトオブオーダーを採用しないというC6のアーキテクチャは、2008年に投入されたNanoまで踏襲されている。

今回は200MHz、225MHz、240MHz版を一挙紹介
いずれもマレーシア製
Socket 7だが、シングル電圧仕様でSocket 5でも使える可能性が大きい
上位の240MHz版はベースクロックが60MHzとなるため、ベースクロック75MHzの225MHz版がシステム全体としてはバランスが取れている