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【懐パーツ】一世を風靡したDFIのゲーミングマザー「LANPARTY UT NF4 Ultra-D」

LANPARTY UT NF4 Ultra-D

 いまや“ゲーミング”を冠したマザーボードは無数にあるのだが、すべての祖先とも言える存在がDFIの「LANPARTY」シリーズだろう。もっとも、そのLANPARTYですら2003年登場当初は“ゲーミング”として謳われていなかったので、筆者も確固たる証拠はないのだが、ケースをLANパーティーに持ち込むためバッグが付属している点と、LANPARTYというネーミングからして、ゲーミング向きの製品であるのは間違いないだろう。

 以下に、各マザーボードメーカーのゲーミング向けブランドを謳う製品を並べてみた。もちろん、これらの製品以前にもゲームに向きそうな装備をしている製品はあるはずだが、少なくともメインストリームから一歩抜きんだ機能やデザイン、ブランドを備えた製品は、以下のように変遷してきたはずで、そういう意味でDFIはこの業界の先駆者ではないだろうか。

【表】各メーカーのゲーミングシリーズ
日本での発売時期メーカーシリーズ製品名チップセット
2003年7月DFILANPARTYLANPARTY NFII ULTRAnForce2 Ultra 400
2004年12月ABITFATAL1TYFATAL1TY AA8XEi925XE
2006年7月ASUSROGCROSSHAIRnForce 590 SLI
2011年1月ASRockFatal1ty(後にPhantom Gaming)Fatal1ty P67 ProfessionalIntel P67 Express
2011年3月GIGABYTEG1-Killer(後にGAMINGおよびAORUS)G1.Assassin、ほかIntel X58 Express
2013年4月MSIGAMINGZ77A-GD65 GAMINGIntel Z77 Express
2016年3月Super MicroSuperOPro Gaming C7Z270-PG、ほかIntel Z270
2016年4月BIOSTARGAMING(もしくはGT)GAMING Z170TIntel Z170

 さて、今回ご紹介するマザーボードは、そのLANPARTYシリーズの中期モデルにあたる「LANPARTY UT NF4 Ultra-D」で、発売は2005年の1月。つまり約15年前のマザーボードなので、たいへん懐かしい……ハズなのだが、デュアルコアのAthlon 64 X2、PCI Expressのビデオカード、SATA 3GbpsのSSDといった、現代でも通用しそうなパーツが普通に搭載できるので、あまり懐かしさを感じないのも確かではある。

 LANPARTYシリーズは一貫してブラックライトに反応する蛍光色の拡張スロット/メモリスロットを備えているほか、オーバークロック機能が大変充実しており、ことメモリについては当時としてはめずらしく、4Vの電圧というとんでもない電圧をかけられるほか(標準電圧は2.5V)、BIOS上から細かにタイミングを突き詰められる設計であった(Windows上からタイミングの行なえるユーティリティ、A64 Tweakerもあるのだが)。Athlon 64はメモリコントローラを内蔵していることもあり、メモリ性能がシステム全体の性能に与える影響も大きい。このため、性能を求めるパワーユーザーのあいだで、このマザーボードの愛用者は多かった。

 このほかの特徴としては、VRM部の固体コンデンサの採用、MOSFETへのヒートシンクの装備、別基板でノイズを低減させたオーディオ機能「Karajan」、デュアルGigabit Ethernet、オンボードの電源/リセットスイッチ、デバッグ用のLEDといった、初期のオーバークロッカー/ゲーミングを兼ねたマザーボードらしい機能をひととおり備えており、“ゲーミングマザーの祖先”らしい風貌である。

 LANPARTY UT NF4 Ultra-Dは、チップセットにnForce4 Ultraを採用しており、ほぼ同時期に発売されたnForce4 SLIチップセット搭載の「LANPARTY UT NF4 SLI-D」および「LANPARTY UT NF4 SLI-DR」の姉妹モデルにあたる。基板設計が共通しているため、PCI Express x16スロット間のジャンパーピンを入れ替えることで、PCI Express x16+x2をx8+x8構成にし、2枚のビデオカードを同時利用できる。

 じつは、本製品は発売前に、nForce4 Ultraを搭載しながら非公式でNVIDIA SLIが使えるのではないかということで話題になったが実際の製品ではSLIが使用できなかった。ところが、海外のAnandTechの解析によると、nForce4 SLIとnForce4 Ultraの違いは抵抗1つだけで、導電ペンでショートさせればnForce4 SLIとして認識させられるという。こうした改造を施せば、本製品はLANPARTY UT NF4 SLI-D相当になる。

今のゲーミングマザーにも共通する機能で満載だ
デュアルチャネルメモリに対応したSocket 939
チップセットはnForce4 Ultra
基板は上位モデルと共通なので、x16+x2をx8+x8に変更できる
SATAを4基備えているが、長いビデオカード装着時は干渉しそうである
メモリスロットは珍しい上部配置
背面インターフェイス。Gigabit Ethernet×2や、別基板のオーディオが特徴
別基板のオーディオ回路は「Karajan」という愛称がついている
Karajanは、アタッチメントパーツを用いてユーザーが自身で装着する
VRM部は3フェーズ
MOSFETにはヒートシンクが備え付けられている(基板にハンダづけのパーツで固定されている)
InterSilのマルチフェーズPWMコントローラ「ISL6559」が採用されている。その隣のITE製「IT8266R」はジャンパーフリーを実現するオーバークロックコントローラだ
上位モデルではSilicon ImageのSiI3114によるSATA RAID機能を備えているが、本機では空きパターンとなっている
POST時に順にチェック済みの部分はその光るLEDが1個ずつ減っていくデバッグLED
オンボードの電源スイッチとリセットスイッチ
Vitesseの「VSC8201RX」はGigabit Ethernetの物理層である。nForce内蔵のNICを使用する
Marvellの「88E8001」はGigabit Ethernetに対応したNICである
VIAの「VT6307」はIEEE 1394コントローラだ