ゲーム別GPU性能総比較
「Microsoft Flight Simulator」をGPU 22種類で性能検証!
2022年10月1日 07:20
本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第11回目は世界中を3Dで再現したことで話題となったフライトシミュレータ「Microsoft Flight Simulator」だ。
用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは7種類の合計22種類のビデオカードだ。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。
テストの条件だが、グラフィックのプリセットは最上位の「ウルトラ」に設定。DLSSは使用していない。アンチエイリアスは「TAA」、DirectXは「DX11」とした。
このゲームはベンチマーク機能を備えていないので、ディスカバリーフライトからナポリを選び、AI操縦を2分間行なった際のフレームレートをCapFrameXで計測。今回はその測定結果から、フルHDと4Kの平均フレームレートを掲載する。
約3万7,000箇所の空港を収録するなど、世界中のあらゆる土地をリアルに再現するフライトシミュレータだけにマシンパワーを求める「重量級」ゲームに分類される。
発売は2021年11月で、現在までに無料アップデートは第10弾まで続いており、より精密化した都市の追加やパフォーマンスの改善などが精力的に行なわれている。2022年11月にはシリーズ40周年を記念した超大型アップデートも予定されており、いまからGPUごとのパフォーマンスをチェックしておくのもよいだろう。
動きの激しいアクションゲームではないので、今回はプレイできるラインをいつもの平均60fpsではなく、平均30fpsとしたい。もちろん快適にプレイしたければ、フレームレートは高いほうがよい。
フルHDで見るとエントリークラスのGTX 1650/1630以外は平均30fpsをクリア。GTX 1060やRX 5500 XTなど旧世代が意外に健闘している。
なお、ハイエンドクラスを見ると平均93fps前後で頭打ちだ。GPU使用率を見るとハイエンドクラスは100%に届いておらず、95fps程度がこのゲームの上限と見るべきだろう。
4Kになると描画負荷は強烈に高い。平均30fpsに届くのはGeForce系ではRTX 3060 Ti以上、Radeon系ではRX 6800以上とミドルレンジを超える性能が必要だ。
平均60fpsでプレイできるのはRTX 3090だけと4Kの最高画質で滑らかな描画を求めるなら、最上位クラスのGPUが必要と言える。GeForce RTX系ならアップスケーラーのDLSSを使って描画負荷を下げてプレイしたほうがよいだろう。
グレードごとに見て行くと、GeForce系ではRTX 3060 Ti/3060/3050で大きくフレームレートが下がっている。CUDAコア数の減少に加えて、メモリバス幅も256bit→192bit→128bitと狭くなっているのが影響しているのだろう。Radeon系はグレードごとに順当にフレームレートが落ちている印象だ。
GTX 1650/1630はCUDAコア数が少ない、メモリバス幅が狭い、ビデオメモリが4GBだけと、軽めのゲームをフルHD解像度で遊ぶにはよいが、重量級ゲームを高画質で遊ぶには厳しいスペックと言える。
Microsoft Flight Simulatorは景色がすばらしく美しいので、できればハイエンドクラスのGPUを利用し、4K解像度でのプレイをオススメしたい。
使用PCはCore i9-12900K搭載のマウスコンピューター「G-Tune XP-Z」
この連載で使用しているPCはマウスコンピューターのハイエンドゲーミングPC「G-Tune XP-Z(プレミアムモデル)」だ。
CPUはCore i9-12900K(16コア24スレッド)、マザーボードはZ690チップセット、CPUクーラーは36cmクラスの簡易水冷を採用しており、ビデオカードの性能測定をする上でCPUが可能な限り、ボトルネックにならないようにしている。電源も1,200Wとこちらもどのビデオカードと組み合わせも不安のないものだ。
なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が125W、Short Duratin Power Limit(PL2)が241Wに設定されていた。
ゲーム別GPU性能総比較 記事一覧
使用したビデオカード一覧
ここで使用している多くのビデオカードは定格クロックで動作しているが、一部OCモデルも含まれている(GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデル)。
ASUSのROG STRIXシリーズにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンス用の「Pモード」に設定。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。
また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。
GPU | 製品名 | シェーダー数(CUDA・SP) | メモリバス幅 | ビデオメモリ | ブーストクロック (定格) | カード電力 (定格) |
---|---|---|---|---|---|---|
GeForce RTX 3090 | MSI GeForce RTX 3090 VENTUS 3X 24G | 10,496 | 384bit | GDDR6X 24GB | 1,695MHz (1,695MHz) | 350W (350W) |
GeForce RTX 3080 Ti | MSI GeForce RTX 3080 Ti VENTUS 3X 12G | 10,240 | 384bit | GDDR6X 12GB | 1,665MHz (1,665MHz) | 350W (350W) |
GeForce RTX 3080 | MSI GeForce RTX 3080 VENTUS 3X 10G | 8,704 | 320bit | GDDR6X 10GB | 1,710MHz (1,710MHz) | 320W (320W) |
GeForce RTX 3070 Ti | MSI GeForce RTX 3070 Ti VENTUS 3X 8G | 6,144 | 256bit | GDDR6X 8GB | 1,770MHz (1,770MHz) | 290W (290W) |
GeForce RTX 3070 | MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC | 5,888 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,755MHz (1,730MHz) | 220W (220W) |
GeForce RTX 3060 Ti | ZOTAC GeForce RTX 3060 Ti 8G GDDR6 HDMI/DP*3 | 4,864 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,665MHz (1,665MHz) | 200W (200W) |
GeForce RTX 3060 | ZOTAC GeForce RTX 3060 12G GDDR6 HDMI/DP*3 | 3,584 | 192bit | GDDR6 12GB | 1,777MHz (1,777MHz) | 170W (170W) |
GeForce RTX 3050 | メーカー不明 GeForce RTX 3050 | 2,560 | 128bit | GDDR6 8GB | 1,777MHz (1,777MHz) | 130W (130W) |
GeForce RTX 2080 | ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING | 2,944 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,860MHz (1,710MHz) | 245W (215W) |
GeForce RTX 2070 | ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI | 2,304 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,650MHz (1,620MHz) | 175W (175W) |
GeForce RTX 2060 | ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO | 1,920 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,755MHz (1,725MHz) | 183W (160W) |
GeForce GTX 1660 Ti | ASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING | 1,536 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,770MHz (1,770MHz) | 120W (120W) |
GeForce GTX 1650 | ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK | 896 | 128bit | GDDR5 4GB | 1,710MHz (1,665MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1630 | ASUS PH-GTX1630-4G | 512 | 64bit | GDDR6 4GB | 1,785MHz (1,785MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1060 | ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition | 1,280 | 192bit | GDDR5 6GB | 1,772MHz (1,708MHz) | 120W (120W) |
Radeon RX 6900 XT | ASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING | 5,120 | 256bit | GDDR6 16GB | 2,335MHz (2,250MHz) | 300W (300W) |
Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800リファレンスカード | 3,840 | 256bit | GDDR6 16GB | 2,105MHz (2,105MHz) | 250W (250W) |
Radeon RX 6700 XT | Radeon RX 6700 XTリファレンスカード | 2,560 | 192bit | GDDR6 12GB | 2,615MHz (2,581MHz) | 230W (230W) |
Radeon RX 6600 XT | ASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING | 2,048 | 128bit | GDDR6 8GB | 2,607MHz (2,359MHz) | 160W (160W) |
Radeon RX 5700 XT | ASUS TUF 3-RX5700XT-O8G-GAMING | 2,560 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,905MHz (1,905MHz) | 225W (225W) |
Radeon RX 5600 XT | ASUS ROG-STRIX-RX5600XT-O6G-GAMING | 2,304 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,750MHz (1,560MHz) | 150W (150W) |
Radeon RX 5500 XT | ASUS DUAL-RX5500XT-O4G-EVO | 1,408 | 128bit | GDDR6 4GB | 1,845MHz (1,845MHz) | 130W (130W) |