Hothotレビュー

M4 MacBook Airは非の打ち所がなかった。何が進化しているのか詳しく教えます

Apple「15インチMacBook Air(M4)」19万8,800円~

 M4チップの新型MacBook Airが3月12日に発売された。13インチモデルが16万4,800円から、15インチモデルが19万8,800円からと価格は据え置き。プロセッサの更新だけでなく、最小メモリ容量が8GBから16GBに引き上げられているので、お買い得感は増したと言える。

 基本デザインに変更はないが、2025年モデルは新色スカイブルーを導入。また12MP(1,200万画素)センターフレームカメラを搭載し、本体画面と同時に、2台の外部モニターに同時表示できるなど使い勝手が向上している。

 今回は10コアCPUと10コアGPUのM4を搭載し、メモリ16GB、SSD 512GBという構成の15インチモデルを借用したので、使い勝手やパフォーマンスにスポットを当ててレビューしていこう。

表示画面数の増加、センターフレームカメラの搭載など使い勝手が進化

 今回の新型MacBook Air(以下MBA)は、macOS Sequoia バ-ジョン15、Apple M4を採用。メモリは16GB/24GB/32GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TB SSDから選択できる。なお、MBAには13インチモデルと15インチモデルが存在するが、13インチモデルのみGPUコアを2基減らした8コアGPU版M4が最下位モデルに搭載されている。

今回借用した試用機のカラーはスカイブルー。MBAは55%以上の再生素材で生産されており、最も再生素材の割合が多いApple製品だ
MBAはファンレス仕様。高負荷時でも無音で動作する

 ディスプレイは13インチ版が13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット)、15インチ版が15.3型IPS液晶(2,880×1,864ドット)を搭載。画面サイズと解像度は異なるが、画素密度224ppi、輝度500cd/平方m、色域P3、表面処理が光沢というスペックは同一だ。

15インチ版は15.3型IPS液晶(2,880×1,864ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3)を搭載。HDRコンテンツの再生に対応する

 画面サイズによってオーディオ仕様も異なっており、13インチ版は4スピーカー、15インチ版は6スピーカーシステムを採用している。音質面では15インチ版のほうが有利だ。

標準キーボードは80キー日本語配列。ほか5種類の言語のキーボードも用意

 インターフェイスはMagSafe 3充電ポート、Thunderbolt×2、3.5mmヘッドフォンジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポートしている。

本体前面と本体背面
右側面には3.5mmヘッドフォンジャック、左側面にはMagSafe 3充電ポート、Thunderbolt×2を用意

 前モデルではディスプレイを閉じなければ2台の外部モニターに表示できなかったが、新型MBAは本体画面に表示したままで、2台の外部モニターに対して最大6K/60Hz表示可能となった。処理性能が向上したことでより高度なクリエイティブワークをこなせるようになったが、それと同時により快適なモニター環境を構築可能となったわけだ。

ディスプレイの最大展開角度は実測133度

 本体サイズ/重量/バッテリ容量は、13インチ版が304.1×215×11.3mm/約1.24kg/53.8Wh、15インチ版が340.4×237.6×11.5mm/約1.51kg/66.5Wh。バッテリ駆動時間は2020年のM1搭載MBAからずっと変わらず、最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生と謳われている。

35Wコンパクト電源アダプタのサイズは実測49.3×49.3×28mm
35Wコンパクト電源アダプタの仕様は入力100-240V/1A、出力20V/1.75A、15V/2.33A、9V/3A、5V/3A、容量35W
本体の重量は実測1,499g
35Wコンパクト電源アダプタとUSB-C - MagSafe 3ケーブルの合計重量は実測161g

 M4搭載MBAの主な進化点をまとめると下記のようになる。

  • Apple M3チップからApple M4チップに変更
  • 搭載メモリが8GB/16GB/24GBから16GB/24GB/32GBに大容量化
  • メモリ帯域幅が100GB/sから120GB/sへと向上
  • 表示画面数が最大2台から最大3台に増加
  • Webカメラ(1080p)から12MPセンターフレームカメラ(デスクビュー対応)に変更
  • 新色スカイブルーの追加(スペースグレイの廃止)

【お詫びと訂正】初出時、新色追加の項目にて「ミッドナイトの廃止」と記載しておりましたが、正しくは「スペースグレイの廃止」となります。お詫びして訂正いたします。

 今回はパフォーマンスの向上もさることながら、表示画面数の増加、12MPセンターフレームカメラの搭載という使い勝手における進化が注目ポイントだ。またM1以降を搭載するMacで利用可能となる「Apple Intelligence」が4月初旬に日本でも利用可能となる点も、大きなトピックと言えよう。

パッケージには本体、デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ、USB-C - MagSafe 3ケーブル(2 m)、説明書が同梱
【表1】MacBook Airのスペック
製品名MacBook Air
(15インチ, M4, 2025)
MacBook Air
(13インチ, M4, 2025)
MacBook Air
(15インチ, M3, 2024)
MacBook Air
(13インチ, M3, 2024)
OS※発売時macOS Sequoia バ-ジョン15macOS Sonoma バ-ジョン14
SoCApple M4(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×6]、10コアGPU、16コアNeural Engine、120GB/sのメモリ帯域幅)Apple M4(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×6]、10コアGPU、16コアNeural Engine、120GB/sのメモリ帯域幅)
※8コアGPU版も用意
Apple M3(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×4]、10コアGPU、16コアNeural Engine、100GB/sのメモリ帯域幅)
メモリ16GB/24GB/32GBユニファイドメモリ(LPDDR5)8GB/16GB/24GBユニファイドメモリ(LPDDR5)
ストレージ256GB/512GB/1TB/2TB SSD
ディスプレイ15.3型IPS液晶(2,880×1,864ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3)13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3)15.3型IPS液晶(2,880×1,864ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3)13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3)
オーディオ6スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク4スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク6スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク4スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク
通信Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
インターフェイスMagSafe 3充電ポート×1、Thunderbolt×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt 4接続時最大40Gb/s、USB 4接続時最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック×1MagSafe 3充電ポート×1、Thunderbolt×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt 3接続時最大40Gb/s、USB 4接続時最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック×1
外部モニターへの対応本体ディスプレイへの表示と同時に、最大2台の外部モニターに最大6K/60Hz表示可能本体ディスプレイへの表示と同時に、1台の外部モニターに最大6K/60Hz表示可能。ディスプレイを閉じた状態で外部モニター1台目に最大6K/60Hz、2台目に最大5K/60Hz表示可能
カメラ12MPセンターフレームカメラ(デスクビュー対応)Webカメラ(1080p)
バッテリ容量66.5Wh53.8Wh66.5Wh52.6Wh
バッテリ駆動時間最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生
本体サイズ340.4×237.6×11.5mm304.1×215×11.3mm340.4×237.6×11.5mm304.1×215×11.3mm
重量約1.51kg約1.24kg約1.51kg約1.24kg
セキュリティTouch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン)
カラーシルバー、スターライト、スカイブルー、ミッドナイトシルバー、スターライト、スペースグレイ、ミッドナイト
【表2】MacBook Airの価格一覧
機種名構成価格
MacBook Air
(15インチ, M4, 2025)
M4(10コアCPU/10コアGPU)
16GBメモリ/256GB SSD
19万8,800円
M4(10コアCPU/10コアGPU)
16GBメモリ/512GB SSD
22万8,800円
M4(10コアCPU/10コアGPU)
24GBメモリ/512GB SSD
25万8,800円
MacBook Air
(13インチ, M4, 2025)
M4(10コアCPU/8コアGPU)
16GBメモリ/256GB SSD
16万4,800円
M4(10コアCPU/10コアGPU)
16GBメモリ/512GB SSD
19万4,800円
M4(10コアCPU/10コアGPU)
24GBメモリ/512GB SSD
22万4,800円
MacBook Air
(15インチ, M3, 2024)
M3(8コアCPU/10コアGPU)
8GBメモリ/256GB SSD
19万8,800円
M3(8コアCPU/10コアGPU)
8GBメモリ/512GB SSD
22万8,800円
M3(8コアCPU/10コアGPU)
16GBメモリ/512GB SSD
25万8,800円
MacBook Air
(13インチ, M3, 2024)
M3(8コアCPU/8コアGPU)
8GBメモリ/256GB SSD
16万4,800円
M3(8コアCPU/10コアGPU)
8GBメモリ/512GB SSD
19万4,800円
M3(8コアCPU/10コアGPU)
16GBメモリ/512GB SSD
22万4,800円

キーボードの刻印を一部変更

 キーボード、トラックパッドはハードウェアとして変更はない。キーピッチは実測19.2mm前後、キーストロークは実測1.1mm前後。キーストロークは数値的には浅めだが、しっかりとしたクリック感があり、また底打ちしても打鍵音は低めだ。

キーピッチは実測19.2mm前後

 また一部海外製WindowsノートPCとは異なり、日本語配列専用のキーレイアウトで製造されている。すべてのキーが等幅に揃えられており、密着しているキーもない。最初からフルスピードで入力できるキーボードだ。

キーストロークは実測1.1mm前後
キーボードバックライトは機能キーからは16段階、「システム設定」からは無段階で調整できる

 細かな変更点としては、キーボードの刻印の「英数」が「ABC」、「かな」が「あいう」となっていることが挙げられる。「英数」は英語入力、「かな」は日本語入力に切り替えるためのキーだが、考えてみると確かに「かな」では「かな入力」に切り替えるためのキーと考える方もいるかもしれない。このような変更もAppleのきめ細かな配慮と言える。

上がM4 MBA、下がM3 MBA。キーボードの刻印の「英数」が「ABC」、「かな」が「あいう」に変更されている

センターフレームとデスクビュー対応Webカメラを搭載

 使い勝手における大きな進化はカメラ。Webカメラ(1080p)から12MPセンターフレームカメラに変更されており、ユーザーを中心に捉え続ける「センターフレーム」や、パームレスト手前の俯瞰映像を撮影できる「デスクビュー」機能を利用可能だ。

ディスプレイ上部の切り欠き部分に12MPセンターフレームカメラを内蔵
iPhone譲りの明るく、自然な発色で撮影できる

 デスクビュー対応Macでは、通常の正面映像とはべつに、デスクビューも同時に撮影できる。つまりデスクビューを大きく映しつつ、自分の顔をピクチャーインピクチャーで表示するといったビデオ通話が可能なわけだ。

センターフレーム、ポートレート、スタジオ照明、リアクション、背景、デスクビューなどの機能を利用可能
デスクビューではパームレスト手前の俯瞰映像を撮影できる

シングルコア性能が着実に向上、総合性能で大幅なパワーアップを実現

 最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回はM4 MBAの比較対象機種としてM3 MBAを用意。両方とも初期化状態からセットアップし、ベンチマークソフトをインストールして、計測を実施している。両テスト機のスペックは下記の通りだ。

【表3】検証機のスペック
MacBook Air
(15インチ, M4, 2025)
MacBook Air
(15インチ, M3, 2024)
SoCApple M4Apple M3
CPU高性能コア×4、高効率コア×6高性能コア×4、高効率コア×4
GPU10コア10コア
Neural Engine16コア16コア
メモリ16GB24GB
ストレ-ジ512GB2TB
OSmacOS Sequoia バージョン15.3.2macOS Sequoia バージョン15.3.2

CPU性能

 まずCPU性能だが、M4 MBAはM3 MBAに対して、Cinebench 2024のMulti Coreで133%相当、Single Coreで123%相当、Geekbench 6のMulti-Core Scoreで125%相当、Single-Core Scoreで121%相当のスコアを記録している。シングルコア性能を着実に向上させることで、総合性能で大幅なパワーアップが図られているわけだ。

Cinebench 2024
Geekbench 6.4.0

グラフィックス性能

 3Dグラフィックス性能については、M4 MBAはM3 MBAに対して、Geekbench 6のCompute(Metal)で112%相当、Compute(OpenCL)で114%相当、GFXBench Metalで平均110%相当、最高139%相当、最低100%相当のスコアを記録している。コア数は変わらず、1割以上GPU性能が向上しているので、こちらも着実な進化を遂げていると言える。

GFXBench Metal

ストレージ性能

 ストレージ速度については、M4 MBAはM3 MBAに対して、Blackmagic Disk Speed TestのWRITEで104%相当、READで101%相当、AmorphousDiskMarkのSEQ1M QD8シーケンシャルリードで102%、SEQ1M QD8シーケンシャルライトで103%相当のスコアを記録している。わずかではあるが、リード/ライトとも速度が向上していることは間違いない。

Blackmagic Disk Speed Test

メモリアクセス速度

 メモリ速度については、M4 MBAはM3 MBAに対して、AmorphousMemoryMarkのSEQ128K T8シーケンシャルリードで113%相当、SEQ128K T8シーケンシャルライトで118%相当のスコアを記録している。M4はメモリ帯域幅が100GB/sから120GB/sへと高速化されており、その効果が確認できたわけだ。

AmorphousDiskMark
AmorphousMemoryMark

実アプリでの性能

 実際のアプリケーションでも処理時間を比較してみたが、M4 MBAはM3 MBAに対して、Lightroom Classic で100枚のRAW画像を現像するのにかかった時間は111%相当、Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出すのにかかった時間は88%相当となった。つまりLightroom Classicでは、M4 MBAのほうがM3 MBAより遅いという結果となってしまった。

Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し

 複数回ベンチマークを実施したが結果は変わらなかったので、なんらかの相性問題、不具合が発生している可能性が高い。

動作中の温度

 ファンレスということで発熱がやや心配だったが、Cinebench 2024を10分間以上実行した際の底面の最大温度は37.2℃で留まっていた(室温27.8℃で測定)。CPU、GPU、Neural Engineがフル稼働し続けるような処理ではもっと温度が上がると思われるが、少なくとも一般的な利用環境であれば熱ダレにより処理速度が大幅に低下することはなさそうだ。

Cinebench 2024を10分間以上実行している際の底面の最大温度は37.2℃ (室温27.8℃で測定)

バッテリ駆動時間

 バッテリ駆動時間についてはディスプレイ、音量50%に設定した上でYouTube動画を連続再生したところ、14時間14分20秒動作した。「最大18時間のビデオストリーミング」には届かなかったが、モバイルノートとして一線級のバッテリ駆動時間を備えている。

ディスプレイ、音量50%に設定した上でYouTube動画を連続再生したところ、14時間14分20秒動作した

性能、使い勝手、デザインにおいて進化した魅力的なニューモデル

 MacBook Air(M4)は、M4の搭載により、処理性能が大幅アップ。また、本体含めて最大3台の画面に同時表示可能となり、モニター環境での利便性が向上している。12MPセンターフレームカメラの導入により、ビデオ通話を高画質、多機能で利用可能となった点も見逃せない。新色スカイブルーも爽やかなカラーだ。

 今回のMacBook Air(M4)は性能、使い勝手、デザインにおいて進化した魅力的なニューモデルと言える。