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M4 MacBook Airは非の打ち所がなかった。何が進化しているのか詳しく教えます
2025年3月28日 06:28
M4チップの新型MacBook Airが3月12日に発売された。13インチモデルが16万4,800円から、15インチモデルが19万8,800円からと価格は据え置き。プロセッサの更新だけでなく、最小メモリ容量が8GBから16GBに引き上げられているので、お買い得感は増したと言える。
基本デザインに変更はないが、2025年モデルは新色スカイブルーを導入。また12MP(1,200万画素)センターフレームカメラを搭載し、本体画面と同時に、2台の外部モニターに同時表示できるなど使い勝手が向上している。
今回は10コアCPUと10コアGPUのM4を搭載し、メモリ16GB、SSD 512GBという構成の15インチモデルを借用したので、使い勝手やパフォーマンスにスポットを当ててレビューしていこう。
表示画面数の増加、センターフレームカメラの搭載など使い勝手が進化
今回の新型MacBook Air(以下MBA)は、macOS Sequoia バ-ジョン15、Apple M4を採用。メモリは16GB/24GB/32GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TB SSDから選択できる。なお、MBAには13インチモデルと15インチモデルが存在するが、13インチモデルのみGPUコアを2基減らした8コアGPU版M4が最下位モデルに搭載されている。
ディスプレイは13インチ版が13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット)、15インチ版が15.3型IPS液晶(2,880×1,864ドット)を搭載。画面サイズと解像度は異なるが、画素密度224ppi、輝度500cd/平方m、色域P3、表面処理が光沢というスペックは同一だ。
画面サイズによってオーディオ仕様も異なっており、13インチ版は4スピーカー、15インチ版は6スピーカーシステムを採用している。音質面では15インチ版のほうが有利だ。
インターフェイスはMagSafe 3充電ポート、Thunderbolt×2、3.5mmヘッドフォンジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポートしている。
前モデルではディスプレイを閉じなければ2台の外部モニターに表示できなかったが、新型MBAは本体画面に表示したままで、2台の外部モニターに対して最大6K/60Hz表示可能となった。処理性能が向上したことでより高度なクリエイティブワークをこなせるようになったが、それと同時により快適なモニター環境を構築可能となったわけだ。
本体サイズ/重量/バッテリ容量は、13インチ版が304.1×215×11.3mm/約1.24kg/53.8Wh、15インチ版が340.4×237.6×11.5mm/約1.51kg/66.5Wh。バッテリ駆動時間は2020年のM1搭載MBAからずっと変わらず、最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生と謳われている。
M4搭載MBAの主な進化点をまとめると下記のようになる。
- Apple M3チップからApple M4チップに変更
- 搭載メモリが8GB/16GB/24GBから16GB/24GB/32GBに大容量化
- メモリ帯域幅が100GB/sから120GB/sへと向上
- 表示画面数が最大2台から最大3台に増加
- Webカメラ(1080p)から12MPセンターフレームカメラ(デスクビュー対応)に変更
- 新色スカイブルーの追加(スペースグレイの廃止)
【お詫びと訂正】初出時、新色追加の項目にて「ミッドナイトの廃止」と記載しておりましたが、正しくは「スペースグレイの廃止」となります。お詫びして訂正いたします。
今回はパフォーマンスの向上もさることながら、表示画面数の増加、12MPセンターフレームカメラの搭載という使い勝手における進化が注目ポイントだ。またM1以降を搭載するMacで利用可能となる「Apple Intelligence」が4月初旬に日本でも利用可能となる点も、大きなトピックと言えよう。
製品名 | MacBook Air (15インチ, M4, 2025) | MacBook Air (13インチ, M4, 2025) | MacBook Air (15インチ, M3, 2024) | MacBook Air (13インチ, M3, 2024) |
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OS※発売時 | macOS Sequoia バ-ジョン15 | macOS Sonoma バ-ジョン14 | ||
SoC | Apple M4(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×6]、10コアGPU、16コアNeural Engine、120GB/sのメモリ帯域幅) | Apple M4(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×6]、10コアGPU、16コアNeural Engine、120GB/sのメモリ帯域幅) ※8コアGPU版も用意 | Apple M3(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×4]、10コアGPU、16コアNeural Engine、100GB/sのメモリ帯域幅) | |
メモリ | 16GB/24GB/32GBユニファイドメモリ(LPDDR5) | 8GB/16GB/24GBユニファイドメモリ(LPDDR5) | ||
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB SSD | |||
ディスプレイ | 15.3型IPS液晶(2,880×1,864ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3) | 13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3) | 15.3型IPS液晶(2,880×1,864ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3) | 13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3) |
オーディオ | 6スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク | 4スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク | 6スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク | 4スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 | |||
インターフェイス | MagSafe 3充電ポート×1、Thunderbolt×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt 4接続時最大40Gb/s、USB 4接続時最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック×1 | MagSafe 3充電ポート×1、Thunderbolt×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt 3接続時最大40Gb/s、USB 4接続時最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック×1 | ||
外部モニターへの対応 | 本体ディスプレイへの表示と同時に、最大2台の外部モニターに最大6K/60Hz表示可能 | 本体ディスプレイへの表示と同時に、1台の外部モニターに最大6K/60Hz表示可能。ディスプレイを閉じた状態で外部モニター1台目に最大6K/60Hz、2台目に最大5K/60Hz表示可能 | ||
カメラ | 12MPセンターフレームカメラ(デスクビュー対応) | Webカメラ(1080p) | ||
バッテリ容量 | 66.5Wh | 53.8Wh | 66.5Wh | 52.6Wh |
バッテリ駆動時間 | 最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生 | |||
本体サイズ | 340.4×237.6×11.5mm | 304.1×215×11.3mm | 340.4×237.6×11.5mm | 304.1×215×11.3mm |
重量 | 約1.51kg | 約1.24kg | 約1.51kg | 約1.24kg |
セキュリティ | Touch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン) | |||
カラー | シルバー、スターライト、スカイブルー、ミッドナイト | シルバー、スターライト、スペースグレイ、ミッドナイト |
機種名 | 構成 | 価格 |
---|---|---|
MacBook Air (15インチ, M4, 2025) | M4(10コアCPU/10コアGPU) 16GBメモリ/256GB SSD | 19万8,800円 |
M4(10コアCPU/10コアGPU) 16GBメモリ/512GB SSD | 22万8,800円 | |
M4(10コアCPU/10コアGPU) 24GBメモリ/512GB SSD | 25万8,800円 | |
MacBook Air (13インチ, M4, 2025) | M4(10コアCPU/8コアGPU) 16GBメモリ/256GB SSD | 16万4,800円 |
M4(10コアCPU/10コアGPU) 16GBメモリ/512GB SSD | 19万4,800円 | |
M4(10コアCPU/10コアGPU) 24GBメモリ/512GB SSD | 22万4,800円 | |
MacBook Air (15インチ, M3, 2024) | M3(8コアCPU/10コアGPU) 8GBメモリ/256GB SSD | 19万8,800円 |
M3(8コアCPU/10コアGPU) 8GBメモリ/512GB SSD | 22万8,800円 | |
M3(8コアCPU/10コアGPU) 16GBメモリ/512GB SSD | 25万8,800円 | |
MacBook Air (13インチ, M3, 2024) | M3(8コアCPU/8コアGPU) 8GBメモリ/256GB SSD | 16万4,800円 |
M3(8コアCPU/10コアGPU) 8GBメモリ/512GB SSD | 19万4,800円 | |
M3(8コアCPU/10コアGPU) 16GBメモリ/512GB SSD | 22万4,800円 |
キーボードの刻印を一部変更
キーボード、トラックパッドはハードウェアとして変更はない。キーピッチは実測19.2mm前後、キーストロークは実測1.1mm前後。キーストロークは数値的には浅めだが、しっかりとしたクリック感があり、また底打ちしても打鍵音は低めだ。
また一部海外製WindowsノートPCとは異なり、日本語配列専用のキーレイアウトで製造されている。すべてのキーが等幅に揃えられており、密着しているキーもない。最初からフルスピードで入力できるキーボードだ。
細かな変更点としては、キーボードの刻印の「英数」が「ABC」、「かな」が「あいう」となっていることが挙げられる。「英数」は英語入力、「かな」は日本語入力に切り替えるためのキーだが、考えてみると確かに「かな」では「かな入力」に切り替えるためのキーと考える方もいるかもしれない。このような変更もAppleのきめ細かな配慮と言える。
センターフレームとデスクビュー対応Webカメラを搭載
使い勝手における大きな進化はカメラ。Webカメラ(1080p)から12MPセンターフレームカメラに変更されており、ユーザーを中心に捉え続ける「センターフレーム」や、パームレスト手前の俯瞰映像を撮影できる「デスクビュー」機能を利用可能だ。
デスクビュー対応Macでは、通常の正面映像とはべつに、デスクビューも同時に撮影できる。つまりデスクビューを大きく映しつつ、自分の顔をピクチャーインピクチャーで表示するといったビデオ通話が可能なわけだ。
シングルコア性能が着実に向上、総合性能で大幅なパワーアップを実現
最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回はM4 MBAの比較対象機種としてM3 MBAを用意。両方とも初期化状態からセットアップし、ベンチマークソフトをインストールして、計測を実施している。両テスト機のスペックは下記の通りだ。
MacBook Air (15インチ, M4, 2025) | MacBook Air (15インチ, M3, 2024) | |
---|---|---|
SoC | Apple M4 | Apple M3 |
CPU | 高性能コア×4、高効率コア×6 | 高性能コア×4、高効率コア×4 |
GPU | 10コア | 10コア |
Neural Engine | 16コア | 16コア |
メモリ | 16GB | 24GB |
ストレ-ジ | 512GB | 2TB |
OS | macOS Sequoia バージョン15.3.2 | macOS Sequoia バージョン15.3.2 |
CPU性能
まずCPU性能だが、M4 MBAはM3 MBAに対して、Cinebench 2024のMulti Coreで133%相当、Single Coreで123%相当、Geekbench 6のMulti-Core Scoreで125%相当、Single-Core Scoreで121%相当のスコアを記録している。シングルコア性能を着実に向上させることで、総合性能で大幅なパワーアップが図られているわけだ。
グラフィックス性能
3Dグラフィックス性能については、M4 MBAはM3 MBAに対して、Geekbench 6のCompute(Metal)で112%相当、Compute(OpenCL)で114%相当、GFXBench Metalで平均110%相当、最高139%相当、最低100%相当のスコアを記録している。コア数は変わらず、1割以上GPU性能が向上しているので、こちらも着実な進化を遂げていると言える。
ストレージ性能
ストレージ速度については、M4 MBAはM3 MBAに対して、Blackmagic Disk Speed TestのWRITEで104%相当、READで101%相当、AmorphousDiskMarkのSEQ1M QD8シーケンシャルリードで102%、SEQ1M QD8シーケンシャルライトで103%相当のスコアを記録している。わずかではあるが、リード/ライトとも速度が向上していることは間違いない。
メモリアクセス速度
メモリ速度については、M4 MBAはM3 MBAに対して、AmorphousMemoryMarkのSEQ128K T8シーケンシャルリードで113%相当、SEQ128K T8シーケンシャルライトで118%相当のスコアを記録している。M4はメモリ帯域幅が100GB/sから120GB/sへと高速化されており、その効果が確認できたわけだ。
実アプリでの性能
実際のアプリケーションでも処理時間を比較してみたが、M4 MBAはM3 MBAに対して、Lightroom Classic で100枚のRAW画像を現像するのにかかった時間は111%相当、Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出すのにかかった時間は88%相当となった。つまりLightroom Classicでは、M4 MBAのほうがM3 MBAより遅いという結果となってしまった。
複数回ベンチマークを実施したが結果は変わらなかったので、なんらかの相性問題、不具合が発生している可能性が高い。
動作中の温度
ファンレスということで発熱がやや心配だったが、Cinebench 2024を10分間以上実行した際の底面の最大温度は37.2℃で留まっていた(室温27.8℃で測定)。CPU、GPU、Neural Engineがフル稼働し続けるような処理ではもっと温度が上がると思われるが、少なくとも一般的な利用環境であれば熱ダレにより処理速度が大幅に低下することはなさそうだ。
性能、使い勝手、デザインにおいて進化した魅力的なニューモデル
MacBook Air(M4)は、M4の搭載により、処理性能が大幅アップ。また、本体含めて最大3台の画面に同時表示可能となり、モニター環境での利便性が向上している。12MPセンターフレームカメラの導入により、ビデオ通話を高画質、多機能で利用可能となった点も見逃せない。新色スカイブルーも爽やかなカラーだ。
今回のMacBook Air(M4)は性能、使い勝手、デザインにおいて進化した魅力的なニューモデルと言える。