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ゲーミングモニターはHDMI 2.1で4K/120Hz表示対応がオススメ!ゲーミングPCやPS5の性能を発揮する最新モニターの選び方

ASUS製HDMI 2.1対応ゲーミングディスプレイ3製品

 2020年後半、PCではNVIDIAがGeForce RTX 3000系を、そしてAMDはRadeon RX 6000系を発売し、家庭用ゲーム機ではPS5やXbox Series Xが発売された。これらの機器の発売が、ゲーミングモニターに対して新しいスペックを求めるようになってしまった。それは「HDMI 2.1」対応だ。

 そう、前出の新世代機器達は、映像(+音声)の出力端子としてのHDMI端子が、これまでのHDMI 2.0対応からHDMI 2.1対応となったのだ。今、ゲームプレイ時に使っているディスプレイに満足しているならば、無理に「今すぐに買い替えろ」とはいわない。しかし「そろそろ買い替えたいな」という購入予備軍に対しては「これから買うならばHDMI 2.1対応のものにしておき!」とは言っておきたい。

 では、HDMI 2.1対応になると、どんなメリットがあるのか。そのあたりを1つ1つ解説していくことにしたい。また、HDMI 2.1対応の最近発売された新製品として、ASUSの32型「PG32UQ」、43型「XG43UQ」、28型「VG28UQL1A」について実際に検証も行なった。きっとこの3機種の中から気に入る製品が見つかるだろう。

HDMI 2.1がもたらす効能(1)~4K/120Hz対応でハイフレームレート映像が美しく

 「HDMI 2.1」で最もホットな機能は最大4K(3840×2160ピクセル)解像度においてリフレッシュレートが120Hzに対応することだろう。リフレッシュレートとは実質的にそのディスプレイ装置が表示できる最大フレームレートを表すので、これは、事実上、HDMI接続時に4K/120fpsの映像表示に対応するということだ。

HDMI 2.1は4K/120fpsに対応

 これまでもゲーミングディスプレイ製品で4K/120Hz表示に対応した製品はあったが、そうした製品では「DisplayPort(1.3以上の)端子での接続時に限って」という条件が付けられていた。そうした製品にもHDMI端子は搭載されていたが、HDMI 2.0対応止まりだったので、HDMI接続では4K解像度においては60Hzまでの対応だった。

 その意味では、PCにおいては、2016年前後から4K/120Hz出力対応のDisplayPort1.3に対応したGPU製品が存在したので、4K/120Hz(fps)対応という「機能」自体はそれほど真新しいものではない。

 とはいえ、せっかく4K/120Hz表示に対応したHDMIの仕組みが出てきたので、今からゲーミングディスプレイ製品を購入するのであれば、HDMI接続でも4K/120Hz表示対応が行なえるようなものを選びたい。今、そんな「気運」が高まっているのである。そうした「気運の高まり」のきっかけとなったのは、他ならぬ、昨年発売されたPS5やXbox Series Xなどの新世代ゲーム機達の存在だ。

 そもそも120fps対応は、家庭用ゲーム機ではそうした新世代ゲーム機で初対応となる要素で、これまで60fps対応止まりだった家庭用ゲーム機のゲーム映像のフレームレートが、新世代ゲーム機ではその2倍にまで対応することを意味する。昨今のeSportブームなどもあって120fpsオーバーのハイフレームレートでのゲーミングは既にPCゲームの世界ではなかば常識となっており、結果的にこれが家庭用ゲーム機にも波及した格好となった。

 では「120fps表示が可能になって何が嬉しいか」という点が気になるところだが、その最大のメリットは、視点移動による画面全体の視界移動や、画面内を動く動体(敵キャラクターなど)が格段に見やすくなること。もちろんゲーム側が60fpsを超えたフレームレートの表示に対応している必要はあるが、アクション性の高いゲームを好んでプレイする人であれば重視したい要素である。

 また、多くのゲームは映像のフレームレートと同頻度でゲーム操作入力を受け付けているので、60fpsよりも120fpsの方がプレイヤーのコントローラ操作に対する遅延も小さくなると言うメリットもある。

 なお、60fps固定のゲームであっても、PC版の場合、CPUとGPUが十分に高速な場合、リフレッシュレートが60Hzを超えたディスプレイでプレイした場合に操作遅延が短縮することが多い。これは、Windows PCの場合、映像の描画が手早く完了して、それがリフレッシュレート120Hzのディスプレイの表示タイミングに間に合う場合、(1/60秒のサイクルを待たずに)そのまま先行して表示してしまう特性があるからだ(下図)。一部の格闘ゲームなどでプロゲーマーや上級プレイヤーが家庭用ゲーム機版からPC版に移行する現象が最近多くなっているのはこれが大きな要因となっている。

フレームレートが60fps固定のPC版格闘ゲームにおいてリフレッシュレートを上げると遅延が低減する理屈

 初心者に注意してもらいたいのは、ここで述べている「120Hz(fps)対応」とはTV製品に広く採用されている「倍速駆動機能」とは全く別ものだということだ。

 中堅クラス以上のTV製品に搭載されている「倍速駆動」(TV機種によっては補完フレーム機能と呼称している場合もあり)は、60fps入力された映像を算術的に120fps化して表示するもの。いわば、60fpsでしかない映像を疑似的に120fpsとしてみせる機能である。HDMI 2.1が対応しているのは「120fps(Hz)入力対応」。疑似ではなく、本物の毎秒120コマの映像を伝送/表示できる機能なのだ。

ソニー製TVでの「倍速駆動」説明図。TVで倍速駆動を行なう場合、同じコマを複数回表示、もしくは補間コマを挿入するのが一般的。こうした倍速機能と「4K/120fps入力対応」とは全く別モノなので注意
PUBGを60/120/240fpsで実行。その前進移動の様子を20倍スロー再生した様子。動画のコマ数がここまで違うのが分かる

 なお、PS5、Xbox Series Xなどでは4K/120Hzが上限となるため、HDMI 2.1接続時に伝送できるのは4K解像度の120Hzまでとなっている製品もある。しかし、今回紹介するASUSのPG32UQ、XG43UQ、VG28UQL1Aは、PC接続時、その上を行く144Hzまで対応する点に注目したい。

PG32UQ

 HDMI 2.1では、理論上は、HDMI 2.1で新採用となったDSC技術(Display Stream Compression。映像ストリームを非可逆圧縮する仕組み技術)を使うことで、4K/240Hzまで対応でき、DSC非使用でもHDMI 2.1ならば帯域的にWQHD/240Hzへの対応が可能だが、現状、そうした製品はない。

 現在、実際に発売されているリフレッシュレート240Hz以上に対応した製品の多くは、HDMI 2.0接続のフルHD/240Hzまでの対応となっているようだ。ハイリフレッシュレート(ハイフレームレート)表示対応ゲーミングディスプレイ製品を選ぶ際にはこのあたりの知識も参考にしていただきたい。

HDMI 2.1がもたらす効能(2)~可変フレームレート映像もなめらかにするVRRとは?

 ブラウン管時代からずっと映像は、60fps(秒間60フィールド)の固定フレームレートで伝送することが当たり前になっていた。これは、(ブラウン管時代では)高速な電気信号のやりとりを、送信側と受信側の都合を伺いながら(ネゴシエーションしながら)行なうことが当時は困難だったこと、そして固定フレームレート伝送で大きな不都合がなかったことなどが原因だ。

 ところが、ゲームというメディアにとって、この固定フレームレートは、都合が悪い局面が多い。家庭用ゲーム機においては60fpsが維持できないゲームタイトルは、泣く泣く30fps出力に仕様変更すると言ったことが行なわれてきた。これは、30fpsと60fpsの間で揺れる可変フレームレート映像を美しく表示する技術規格に家庭用ゲーム機が対応してこなかったためだ。

 「可変フレームレート映像を美しく表示する技術」としては、PC向けにはNVIDIAが開発したG-SYNC、AMDが開発したFreeSyncがあるが、こうした技術に対応してきた家庭用ゲーム機はXbox Oneシリーズくらいだった。そうした流れを経て、HDMIにも、HDMI 2.1になってやっと可変フレームレート対応技術として「Variable Refresh Rate」(VRR)が実装されたのである。

 HDMI 2.1では、このVRR対応により、HDMI接続時に、PCのみならず、PS5やXbox Series X|Sなどの新世代ゲーム機においても、フレームレートが例え30fpsから120fpsの範囲でランダムに増減する可変フレームレート映像になったとしても滑らかに表示できるようになった。もちろん、ASUSの3製品もVRRに対応する。

VG28UQL1A

 ちなみにVRRに対応していないTV/ディスプレイ機器では従来通り30fpsや60fpsといった固定のフレームレートの範囲で、あまり"滑らかでない表示"となる。具体的には、可変フレームレート映像を垂直同期有効で表示させると表示がランダムにカクつく「スタッター現象」が起き、垂直同期無効で表示させると画面上のランダムな位置で表示がずれる「テアリング現象」が起きる。

もし、その時点でTV/モニターが映像を画面に表示していたとして、60fps周期の表示タイミングを待たずに映像が届いた瞬間から上書き表示を行なう(=Vsync無効表示)とすれば、これまで表示していた映像と新しく表示を仕掛けた映像が、画面上のランダムな位置で上下にそれぞれ表示されてしまう。動きの大きい映像では、この際、そのランダムな境界線の上下で映像がずれたような表示となる(テアリング現象)
テアリングの見た目のイメージ
一方、TV/モニターが、新しく伝送されてきた映像を、60fps表示間隔の次の表示タイミングまで待ってから映像表示を仕掛ける(=Vsync垂直同期待ち表示)と、テアリング現象は避けられるものの、映像が伝送されてから表示されるまで、時間方向にランダムな「待ち」(遅延)が発生することになる。これは動画として見た場合に「カク付き」を知覚させてしまう(スタッター現象)

 HDMI 2.1のVRR機能では、そうしたスタッター現象やテアリング現象を回避しつつ、可変フレームレート映像をなめらかに表示することができるのだ。VRRは地味ながらゲーム体験の質の底上げをしてくれる機能なので、筆者としてはわりと重視すべき機能だと考えている。

HDMI 2.1がもたらす効能(3)~入力遅延を自動的に低減するALLMなど

 ゲーミングディスプレイを選ぶ際、映像信号が入力されて表示されるまでの遅延時間、いわゆる「入力遅延」(Input Lag)を気にする人も多いと思う。最近では、昨今のeSportブームの影響もあって、この入力遅延を低減して欲しいというユーザーからの要望が増えたこともあり、多くのTVメーカーは対応するようになってきている。

 ただ、実際のところ、TV製品においては、メーカー、製品によって、この入力遅延に関しては違いがある。今でも、ゲームへの対応に強い関心を示していないメーカーの製品は「ゲームモード」というそれっぽい名前のモードに設定していても数フレーム分の遅延が発生している場合がある。

 TV製品で入力遅延の大きい製品がいまだにあるのは、入力された映像信号を複雑なロジックで映像を高画質化する映像エンジンを通ってしまうためだ。

1: ゲーム機側が映像を出力
2: ゲーム機側では、プレーヤーキャラクターは既に攻撃を食らっている
3: 回避操作をした時点で、プレーヤーキャラクターはダメージを受けている。表示遅延が大きいと最速で反応してプレイしても間に合わない状況が出てくる

 TV製品は、あまり品質の高くない放送映像などを取り扱う関係で、どのメーカーも高機能な映像エンジンを組み込んでいるのだが、そのまま表示しても問題ないはずのゲーム映像に対しても高画質化処理を通してしまうTV製品が少なくない。そう、そうした製品では入力遅延が大きくなるのである。もちろん、ゲーム映像表示のために、そうした高画質化処理をバイパスする機構を実装したTV製品もある。

 さて、ゲーミングディスプレイ製品はというと、もともと放送映像の表示を想定していないので、それほど複雑な映像エンジンを搭載していない場合がほとんど。なので(例外はあるとは思うが)「ゲーミングディスプレイ」という触れ込みで販売されている製品のほとんどは、その入力遅延が最低限に抑えられている。

 ところで、HDMIでは「コンテンツタイプ」という、ざっくりとした「映像の種別」を伝送できる仕組みがある。現在、「ゲーム(GAME)」、「映画(CINEMA)」、「写真(PHOTO)」、「図版(GRAPHICS/TEXT)」などがあり、近年の家庭用ゲーム機はゲームプレイ時に「ゲーム」のコンテンツタイプを出力できるようになっている。

 そこで、HDMI 2.1には、このコンテンツタイプ情報が「ゲーム」の映像を認識すると、自動的に「低遅延モード」に移行できるAuto Low Latency Mode(ALLM)という機能が採用されることとなった。その対応難度が低いこともあり、HDMI 2.1対応TV製品の多くが対応しているようだが、前述したように、その低遅延の度合いは、メーカー、機種ごとに差異がある点には留意したい。

 今回紹介するASUS製品のように、ゲーミングディスプレイ製品は、そもそも常に低遅延モードで動作している製品が多いので、ALLM機能に対応可否はあまり気にしなくてよいかもしれない。

XG43UQ

ASUSのHDMI 2.1対応のゲーミングディスプレイの新製品の実力は!?

 以上を踏まえ、ASUSが今季新発売したHDMI 2.1対応のゲーミングディスプレイの新製品の3機種を見ていくことにしたい。今回、実際に、これらの3機種に対して、筆者のAV WATCHでの連載シリーズ「大画面☆マニア」的なマニアックな視点で評価を行なってみたので以下に記すことにする。

 入力遅延測定にはLeo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」を、カラースペクトラム測定には楢の木技研の「ezSpectra 815V」を利用している。入力遅延は機器が対応する測定対象解像度の都合で4K/60Hz、1080p/120Hzのみの組み合わせとなっている。

 また、映像と音の同期ずれ検証、階調性能評価、色再現性能評価に関しては映像機器評価用ソフト「The Spears & Munsil UHD HDRベンチマーク」を、一般的な映像作品の表示性能チェックについては4K Ultra HD Blu-ray(UHD BD)の映画ソフト「マリアンヌ」を用いた。

PG32UQ~量子ドット技術採用。優れた色再現性はゲーミングディスプレイの常識を越える?

 ASUSのゲーミング関連製品ブランドのRepublic of Gamers(ROG)シリーズの製品としてラインナップされる32型の4Kゲーミングディスプレイ製品がこの「PG32UQ」になる。実勢価格は131,220円前後。

 液晶パネルは3,840×2,160ピクセル解像度のIPS型を採用。応答速度はMPRT(Moving Picture Response Time)で1msを誇る。表面処理は、室内情景などの映り込みが少ないノングレア仕様だ。

PG32UQの画素の光学300倍顕微鏡写真

 バックライトはエッジ型だがエリア駆動(ローカルディミング)に対応する。輝度性能は標準450nit、最大600nitとなっており、当然、HDR表示に対応する。HDR表示品質はDisplayHDR 600に対応。筆者の性能計測でも600nitまでの階調表現はバッチリだった。

 特筆すべきなのは色再現性。DCI-P3色空間カバー率98%、sRGB色空間カバー率はなんと160%となっている。この広色域性能の理由は、本気の液晶パネルが量子ドット技術を採用しているためだ。量子ドット技術とは、簡単に言えば光源の青色LEDが発する青色光から超高効率に赤色や緑色を取り出せる新素材のこと。

 ゲーミング性能も優秀で、VRR/FreeSync/G-SYNC Compatible、さらにALLMに対応する。最大リフレッシュレートはDisplayPort 1.4接続時のみならず、HDMI 2.1接続時も4K/144Hzまでの表示に対応する。HDMI接続時での4K/144Hz表示に関しては映像送出機器側が本文で触れたDSC技術に対応している必要がある。対応していない場合は4K/120Hz表示までとなる点には留意したい(新世代家用ゲーム機では4K/120Hz表示まで)。

PS5とHDMI 2.1で接続し、4K/120Hz表示を確認

 スタンドは上下-5°~+20°、左右±25°、高さは0~10cmの範囲で調整に対応する。標準スタンドによる90°回転による縦画面未対応だが、100×100mmのVESAマウントへの組み付けには対応している。ステレオスピーカー(5W+5W)を内蔵しており、本体のみでサウンドを鳴らすことができる。

 筆者の性能計測では、カラーボリュームの設計も良好で、かなり暗いシーンでも、若干の黒浮きを伴いながらも暗色の色再現性は優秀であった。ゲームプレイだけでなく、グラフィックデザイン用途にも適応できると考える。

入力遅延結果は、4K/60Hz時が4.9ms、1080p/120Hz時が1.8ms。共に1フレーム未満となるため、ゲーミングディスプレイ製品としては標準的な低遅延性能といえる
PG32UQのカラースペクトラム。工場出荷状態のデフォルト設定状態で計測。青緑赤のスペトルピークの鋭さ、分離感は申し分なし。ゲーミングディスプレイ製品にしておくのはもったいないほど
PG32UQの映像と音の同期ずれ検証。特に遅れは見られず
本体背面
端子部はカバーを着脱できる
側面
本体を一番下げたところ
一番上げて上向きにしたところ
一番下向きにしたところ
OSD操作部
台座部
インターフェイスはHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4、ヘッドフォン、USB×2

VG28UQL1A~HDMI 2.1対応4Kゲーミングディスプレイ製品のスタンダード機

 ASUSのもう1つのゲーミングブランド、TUF GAMINGからも4K解像度の液晶ゲーミングディスプレイ製品「VG28UQL1A」が発売された。実勢価格は92,520円前後。

 液晶パネルは3,840×2,106ピクセル解像度の28型サイズのIPS型を採用する。応答速度はGTG(Gray to Gray)で1msと高速。表面処理は映り込みの少ないノングレア仕様だ。

VG28UQL1Aの画素の光学300倍顕微鏡写真

 輝度性能は標準300nit、最大で450nitでHDRに対応。HDR表示品質はDisplayHDR 400に対応する。筆者の性能計測でも400nitまでの階調表現がしっかりと行なえていたことを確認した。

 前出の上位機PG32UQとは異なり、量子ドット技術の活用はないものの、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)を主成分とした赤色蛍光体のKSF蛍光体を用いた広色域バックライトを採用していることから、DCI-P3色空間カバー率90%、sRGB色空間カバー率125%を達成している。ゲーミングディスプレイとしてはかなり広色域なモデルだといえる。

 ゲーミング性能はPG32UQと同等。VRR/FreeSync/G-SYNC Compatible、ALLMに対応し、最大リフレッシュレートはDisplayPort 1.4、HDMI 2.1の両接続時に4K/144Hzまでの表示に対応する。もちろん、HDMI 2.1接続時の4K/144Hz表示は映像送出機器側がDSC技術に対応している場合に限られる。

PS5とHDMI 2.1で接続し、4K/120Hz表示を確認

 スタンドは上下-5°~+20°、左右±15°、高さは0~12cmの範囲で調整に対応する。左右どちら方向にも90°回転させての縦画面表示に対応できるのはPG32UQにはない機能である。ステレオスピーカー(2W+2W)を内蔵しており、本体のみでサウンド再生にも対応する。

 PG32UQよりもエッジ型バックライトの分割数は少ないもののエリア駆動にも対応しており、映像の明暗分布に適切に対応したコントラスト表現が行なえていた。DisplayHDR 400クラスとしては随分とHDR表現を頑張っている印象をもった。暗色の表現も上質でカラーボリューム設計は丁寧である。普段、使いのPCディスプレイとしても相対的にはかなり優秀な製品だと思う。

入力遅延結果は、4K/60Hz時が8.9ms、1080p/120Hz時が0.9ms。1080p/120Hz時の遅延は今回評価した中ではダントツで優秀
VG28UQL1Aのカラースペクトラム。工場出荷状態のデフォルト設定状態で計測。赤緑青のスペクトルピークの分離感は良好。赤のピークが高く、液晶ディスプレイとしては相応に優秀である
VG28UQL1Aの映像と音の同期ずれ検証。特に遅れは見られず
本体背面
側面
本体を一番下げたところ
一番上げて上向きにしたところ
一番下向きにしたところ
画面は縦回転できる
OSD操作部
台座部
インターフェイスはHDMI 2.1×2、HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4、ヘッドフォン、USB×2

XG43UQ~HDMI 2.1対応の43型大画面4K/144Hzに没入せよ!

 ROGブランドからはもう1つ、43型の大画面サイズの4Kゲーミングディスプレイ製品が登場している。それが「XG43UQ」だ。実勢価格は178,200円。

 液晶パネルは前出2機種とは異なるVA型。解像度は3,840×2,160ピクセル。応答速度はMPRTで1msだ。パネル表面は映り込みの少ないノングレア仕様だ。VA型は視野角こそIPS型に及ばないが、コントラスト性能はIPS型を上回る。画面中央付近で一人で使用する機会が多いゲーミングディスプレイの使い方であれば視野角に関する負い目はあまりないかもしれない。気になる場合は、視距離を1m以上取ると、画面外周への視線角度も緩くなるので、視線角度依存の色変移は最小限になるはずだ。

XG43UQの画素の光学300倍顕微鏡写真

 エッジ型バックライトで16エリアのローカルディミングに対応してる。輝度性能は標準で750nit、最大で1,000nitに達する。これはハイエンドTV製品並の輝度性能だ。実際、XG43UQのHDR性能は、DisplayHDR 1000に対応。今回取り上げた製品の中で最高位に君臨する。筆者の性能計測ではなんと1,200nit付近までの階調表現が行なえていることを確認できた。

【お詫びと訂正】初出時に、直下型バックライト搭載としておりましたが、正しくは、16エリアのローカルディミングに対応したエッジ型バックライト搭載となります。お詫びして訂正させていただきます。

 バックライトの種類はVG28UQL1Aと同系のKSF蛍光体を活用した広色域タイプで、DCI-P3色空間カバー率90%、sRGB色空間カバー率125%というスペックもVG28UQL1Aと同一だ。実際、計測した白色光のスペクトラム特性もVG28UQL1Aとほとんど同じである。

 ゲーミング性能は他2機種と同等。VRR/FreeSync/G-SYNC Compatible、ALLMに対応し、最大リフレッシュレートはDisplayPort 1.4、HDMI 2.1の両接続時に4K/144Hzまでの表示に対応する。

PS5とHDMI 2.1で接続し、4K/120Hz表示を確認

 画面サイズが大きいこともあり、さすがに左右首振り、縦画面表示、高さ調整には対応していないが、ありがたいことに上下-5°~+10°のチルト調整には対応する。ここまでの大型画面サイズだと、一般的なTV製品ではチルト調整非対応のものが多いので、本機は希少である。また、大画面モデルながら100×100mmのVESAマウントへの組み付けには対応しているのも嬉しい。

 ステレオスピーカーは今回紹介した中では最大出力の10W+10W仕様。実際、サウンドを聴いてみたが、今回取り上げている3製品の中では最も音質がよく、そのレベルは一般的なTV製品と同等。ゲームのみならず映像/音楽コンテンツ視聴にも使えそうだ。

 筆者が実際に評価用映像を見てみた感じでは、持ち前のバックライト性能を活かし、輝度方向でコントラストを稼ぐ画作りであるような印象を持った。暗部表現はやや持ち上げ傾向を感じるが、これは暗がりに潜む敵などを発見しやすくするためのチューニングと言うことなのかもしれない。

入力遅延結果は、4K/60Hz時が4.6ms、1080p/120Hz時が1.8ms。共に1フレーム未満で、ゲーミングディスプレイ製品としては標準的な低遅延性能と言える
XG43UQのカラースペクトラム。工場出荷状態のデフォルト設定状態で計測。VG28UQL1Aと"うり二つ"のカラースペクトラムとなった。スペクトルピークの分離感が良好で、優れた色再現性を期待させる
XG43UQの映像と音の同期ずれ検証。特に遅れは見られず
本体背面
裏面端子部のカバーは着脱できる
側面。本体を上向きにしたところ
一番下向きにしたところ
OSD操作部
裏面にあるインターフェイスは、HDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4
側面にあるインターフェイスは、HDMI 2.0×2、USB×2、ヘッドフォン
裏面に小型プロジェクターを装着すると
このように本体下にROGロゴを投影できる
OSDなどを操作するリモコンが付属する

3機種のASUS製HDMI 2.1対応の4Kゲーミングディスプレイ製品、一体どう選ぶ?

 一部のHDMI 2.1対応TV/ディスプレイ製品で、4K/120Hz表示時に縦解像度が粗くなる機種があるらしいが、今回、取り上げた3つの製品は、全て正常な表示を行なえていた。気にしているユーザーも多いと思うのであえて記しておく。

 さて、今回取り上げた3製品、それぞれ、どんなユーザーに向いているのだろう。最後に、そのあたりに触れておく。

 まず、画質性能を重要視するならば量子ドット技術対応のPG32UQがいいだろう。ゲームプレイ時のみならず、普段使いのメイン高画質PCディスプレイとしても使い甲斐がある製品となるだろう。PG32UQの32型という画面サイズは、画面全体の一望性と適度な大画面感を両立できるのも魅力だ。

 対して、競技性の高い対戦型のゲームプレイをすることが多いのであれば、一望性に優れた28型のVG28UQL1Aがよいだろう。3機種の中で、最も取り回しが効きやすく、調整自由度も高いのも魅力だ。なお、今回発売されたASUS製のHDMI 2.1対応のゲーミングディスプレイ製品としては最安価なモデルなので"4K/120Hz(以上)ゲーミング入門機"としてもプッシュしておく。

 映画やアニメなどの映像コンテンツを楽しんだり、オープンワールド系の広大なゲーム世界に浸りたいというゲームファンには、大画面サイズのXG43UQがいいだろう。内蔵スピーカーの音質が良好なので、サウンド面でもゲーム世界の臨場感も楽しめる。また、本機のみVA型液晶機なので視距離はある程度確保して使ったほうがよいだろう。