ゲーム別GPU性能総比較

スクエニの新RPG「FORSPOKEN」をGPU 22種類で性能検証!

FORSPOKENの検証では、ゲーム内のベンチマーク機能を使用してフレームレートを測定している

 本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第20回目はスクウェア・エニックスの美しくも残酷な異世界「アーシア」を舞台した魔法アクションRPG「FORSPOKEN」を取り上げる。

 用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは7種類の合計22種類のビデオカードだ。Radeonの下位モデルの性能を知りたいという声があったことから、今回からRX 6500 XTを追加した。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。

 テストの条件だが、グラフィック品質を最上位の「最高」をベースに、レイトレーシング関連はオフしている。一部レイトレーシングに対応しないGPUがあるためだ。

FORSPOKENのグラフィックス設定
詳細プリセットは最上位の最高をベースにした。自動的にアップスケーラーのFSRがクオリティ設定になったので、今回はそのまま採用している
対応していないGPUがあるため、「レイトレースシャドウ」と「レイトレース・アンビエントオクルージョン」はオフにした

 FORSPOKENは、異世界に飛ばされたフレイという女性の旅を描くアクションRPGだ。ゲームの舞台となる異世界「アーシア」は美しき魔法の世界で描画負荷はかなり重め。

 快適なプレイの目安を平均60fpsとして見た場合、フルHDではGeForce系ではRTX 2070/3060以上でようやく到達できる。GTX系は1660 Tiでも平均39fpsというなかなか厳しい結果だ。

 Radeon系ではRX 6600 XT以上で到達できる。RX 6500 XTはエントリークラスということもあってわずか9fpsしか出なかった。フルHDであってもビデオメモリが4GBしかないカードはとくにフレームレートが出ない傾向にある。

 4Kになるとさらに厳しい。GeForce系ではRTX 3080以上、Radeon系ではRX 6800以上でようやく到達とハイエンドクラスが必須だ。10GB以上のビデオメモリはほしいところ。アッパーミドルからミドルレンジのGPUでプレイしたいと考えるなら、画質をそれなりに落とす必要があるだろう。

 ちなみに、本ゲームはベンチマークモードだと高フレームレートも測定できるが、実際のゲーム中は120fpsが最大だ。フルHDで考えた場合は、RTX 40シリーズやRadeon 7000シリーズなど最新世代のハイエンドGPUはやや過剰な性能と言える。4Kで見た場合は、120fps以上に到達できているのはRTX 4090だけと、重いゲームであることは確かだ。

 また、レイトレーシングを有効にするとどれほど負荷が大きくなるのか、そしてアップスケーラーのDLSSを有効にするとフレームレートはどれほど伸びるのか、RTX 3060 Tiで試して見た。

 フルHDでは、レイトレーシング系の「レイトレースシャドウ」と「レイトレース・アンビエントオクルージョン」を有効にすると平均75fpsと14fpsほど下がった。そこにDLSSをパフォーマンス設定にすると平均86fpsまで向上できる。レイトレーシングを体験したければDLSSを併用するのがよいだろう。ただし、DLSSはRTX系のGPUだけ使える機能。それ以外のGPUでは、同じくアップスケーラーのFSR 2を利用しよう。

 このゲームはGPUのグレードごとに20~30fpsずつキレイに下がっていく印象だ。ただ、先述したとおり、GTX 1650/1630、RX 6500 XTのビデオメモリが4GBしかないGPUは、基本スペックが低いことのも相まって、一気にフレームレートが下がる。エントリークラスのGPUでこのゲームの美しい画面を体験するのは難しいと言える。

使用PCはCore i9-13900KF搭載のパソコン工房の「LEVEL∞ R-Class」

 この連載で使用しているPCはパソコン工房のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」のうち先進機能を持ち込み、カスタマイズ性も高いR-Classの「LEVEL-R779-LC139KF-RBX」だ。

パソコン工房の「LEVEL-R779-LC139KF-RBX」。メモリはDDR5-4800が32GB、ストレージには1TBのNVMe SSDを搭載。標準のビデオカードはGeForce RTX 3060だ。価格は30万9,800円から(価格は掲載時のもの)

 CPUはCore i9-13900KF(24コア32スレッド)、マザーボードはZ790チップセット、CPUクーラーは36cmクラスの簡易水冷を採用しており、冷却力に不安はない。ビデオカードの性能測定をする上でCPUが可能な限り、ボトルネックにならないようにしている。電源については、このPCは標準だと700Wだが、推奨電源が850WのRTX 4090を扱うことも考慮し、BTOで選択できる最上位の1,200Wタイプに変更した。

 なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が125W、Short Duratin Power Limit(PL2)が253WとIntelの仕様通りの設定となっていた。

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使用したビデオカード一覧

 第18回の「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」より一部カードの入れ替えを行なった。RTX 40シリーズとRadeon RX 7000シリーズの追加にともなって、RX 5000シリーズをカットしたほか、RTX 3080/3070/3060 Ti/3050のカードも変更となった。一部紹介しておこう。

GeForce RTX 3050は、今回からASUSの「TUF-RTX3050-O8G-GAMING」を使用している。カード長272mmとエントリーとしては大きいが、その分、冷却は強力で高OC動作を可能にしている
今回からRTX 30シリーズのアッパーミドル、ハイエンドはGIGABYTEに協力をいただいている。写真は「GeForce RTX 3060 GAMING OC 12G」で、独自の冷却システム「WINDFORCE 3X」によって高OC動作を実現している

 なお、ここで使用しているビデオカードは定格クロックでの動作が中心だが、一部OCモデルも含まれている(GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデル)。

 ASUSのROG STRIXシリーズにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンス用の「Pモード」に設定。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。

 また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。

【表】使用GPU一覧
GPU製品名シェーダー数(CUDA・SP)メモリバス幅ビデオメモリブーストクロック(定格)カード電力(定格)
GeForce RTX 4090NVIDIA GeForce RTX 4090 Founders Edition16,384384bitGDDR6X 24GB2520MHz
(2520MHz)
450W
(450W)
GeForce RTX 4080NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition9,728256bitGDDR6X 16GB2510MHz
(2510MHz)
320W
(320W)
GeForce RTX 4070 TiZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC7,680192bitGDDR6X 12GB2625MHz
(2610MHz)
285W
(285W)
GeForce RTX 3080GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3080 MASTER 10G8,704320bitGDDR6X 10GB1845MHz
(1710MHz)
350W
(320W)
GeForce RTX 3070GIGABYTE GeForce RTX 3070 VISION OC 8G5,888256bitGDDR6 8GB1815MHz
(1730MHz)
220W
(220W)
GeForce RTX 3060 TiNVIDIA GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition4,864256bitGDDR6 8GB1665MHz
(1665MHz)
200W
(200W)
GeForce RTX 3060GIGABYTE GeForce RTX 3060 GAMING OC 12G3,584192bitGDDR6 12GB1837MHz
(1777MHz)
170W
(170W)
GeForce RTX 3050ASUS TUF-RTX3050-O8G-GAMING2,560128bitGDDR6 8GB1845MHz
(1777MHz)
150W
(130W)
GeForce RTX 2080ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING2,944256bitGDDR6 8GB1860MHz
(1710MHz)
245W
(215W)
GeForce RTX 2070ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI2,304256bitGDDR6 8GB1650MHz
(1620MHz)
175W
(175W)
GeForce RTX 2060ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO1,920192bitGDDR6 6GB1755MHz
(1725MHz)
183W
(160W)
GeForce GTX 1660 TiASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING1,536192bitGDDR6 6GB1770MHz
(1770MHz)
120W
(120W)
GeForce GTX 1650ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK896128bitGDDR5 4GB1710MHz
(1665MHz)
75W
(75W)
GeForce GTX 1630ASUS PH-GTX1630-4G51264bitGDDR6 4GB1785MHz
(1785MHz)
75W
(75W)
GeForce GTX 1060ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition1,280192bitGDDR5 6GB1772MHz
(1708MHz)
120W
(120W)
Radeon RX 7900 XTXRadeon RX 7900 XTXリファレンスカード6,144384bitGDDR6X 24GB2500MHz
(2500MHz)
355W
(355W)
Radeon RX 7900 XTRadeon RX 7900 XTリファレンスカード5,376320bitGDDR6X 20GB2400MHz
(2400MHz)
315W
(315W)
Radeon RX 6900 XTASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING5,120256bitGDDR6 16GB2335MHz
(2250MHz)
300W
(300W)
Radeon RX 6800Radeon RX 6800リファレンスカード3,840256bitGDDR6 16GB2105MHz
(2105MHz)
250W
(250W)
Radeon RX 6700 XTRadeon RX 6700 XTリファレンスカード2,560192bitGDDR6 12GB2615MHz
(2581MHz)
230W
(230W)
Radeon RX 6600 XTASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING2,048128bitGDDR6 8GB2607MHz
(2359MHz)
160W
(160W)
Radeon RX 6500 XTASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition1,02464bitGDDR6 4GB2820MHz
(2815MHz)
107W(107W)

【使用ドライバ】GeForce Game Ready 528.24、Adrenalin 22.11.2