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「ゲーミングモニターのキホン」240Hzや144Hz、HDRにPS5対応って? 普通のモニターとはどこが違う?

~BenQのラインナップを例に、機能や製品選びのポイントを解説

 近年、“ゲーミングモニター(ゲーミング液晶、ゲーミングディスプレイ)”が売れている。この1年で人気は一層高まった感がある。「⼀般的な液晶ディスプレイよりも、ワンランク以上上のゲームプレイ体験が楽しめる」、「ネットワーク対戦での勝率が上がる!」などなどの話題から、気になっているゲーマー諸氏も多いことだろう。一方で、ゲーミングモニターと言っても⼀体どこが普通の液晶ディスプレイと違うの? という疑問を持っている方も少なくないはず。

 また、“高リフレッシュレート”、“HDR”、“FreeSync/G-SYNC”など聞き慣れない用語が多くて実際の製品選びの段階になって何を重視にしたらよいのか迷っている方も多いのではなかろうか。本稿では改めて、“ゲーミングモニターとは”、“どこに注目して製品を選ぶのか”といった疑問を、具体的な製品を例に挙げつつ解説ていきたい。ゲーミングモニターは進化の著しいジャンル。PCに詳しい方も知識を再確認する意味で参考にしていただきたい。

ディスプレイ選びの基礎+ゲーミングモニター選びの最初の一歩

 ゲーミングモニターは、PC用の液晶ディスプレイの一種。ゲーム向けの特別な機能を持っていたり、特定の性能が高められていたりするのだが、まずは、一般的な液晶ディスプレイを選ぶ際の3つのポイントを押さえておこう。ゲーミングモニターにおいても、この3つは基本中の基本となる。

画面の対角線の長さで決まるのが“サイズ”だ。現在は24~27型が人気

 最初は「サイズ」について。PC用の液晶ディスプレイとしては21~32型が多く、中でも24~27型が人気の中心だ。大きいほうが迫力は増すが、画面の端と端を見るときの視点移動が大きい、PCデスクに置けるかどうかが悩ましくなる、といったポイントも。設置場所と使いやすいサイズ感のバランスで決めるのがよいだろう。

正しい色で映像が見える範囲を“視野角”と呼ぶ。視野角は液晶パネルの種別によっておおよその傾向が決まる

 2つ目は「パネル種別」だ。液晶パネルには主に、鮮やかな発色と広視野角を実現する“IPS”、コントラストが強く黒の表現力に優れる“VA”、視野角は狭いが応答速度に優れる“TN”の3種類がある。価格は、TN→VA→IPSの順に高くなる傾向にある。また、IPSパネルは応答速度を高めにくい構造と言われてきたが、最近では技術の進歩で高速応答のタイプも登場。TNパネルの視野角も昔に比べて改善されている製品もあり、あくまでパネルの種類は、“こういう傾向がある”というだけで、スペックを決定付けるものではない点は覚えておきたい。

パネルの表示ドット数を示す“解像度”。製品数で言えばフルHDが一番多いが、映像コンテンツの高解像度化もあってWQHDや4Kの人気も高まっている

 3つ目は「解像度」。現在は一部のウルトラワイド液晶を除くと、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840x2,160ドット)の3種類が主流だ。解像度が高くなるほどデスクトップ領域を広く使える、写真や文字などを高精細に表示できる、高解像度の動画コンテンツをより楽しめる、といったメリットがある。その一方で、高解像度ほど基本的に価格は高くなる。

 ゲーミングモニターの場合は、サイズ、応答速度や発色の調整、サウンド面などゲームプレイに影響のある機能をチェックしていくことが重要となる。

 しかし、一口に“ゲーム”と言っても、人によってVALORANTやApex Legendsなどシビアな戦いが繰り広げられる人気FPS/TPSで勝利したい、サイバーパンク2077やアサシン クリード ヴァルハラなど映像美に優れる大作ゲームの世界にどっぷりと漬かりたい、PCゲームだけではなく最新のコンシューマゲーム機でも遊びたい、などプレイスタイルやプレイ環境は大きく異なるもの。

FPS/TPS好きなら、とにかく描画スピードが欲しいハズ(画面は「VALORANT」)
世界観にこだわったアクションやRPGが好きなら解像度や発色が気になるだろう(画面は「アサシン クリード ヴァルハラ」)
PS5など最新のゲーム機の表示用として使いたいなら、そのゲーム機の性能や機能が活かせるがポイントになる

 そのため、最新のゲーミングモニターでは、プレイスタイルやゲームジャンルなどに合わせてさまざまなタイプが存在している。とくにその姿勢がはっきりと打ち出されている好例が、BenQの“ZOWIE”と“MOBIUZ”という2つのゲーミングモニターシリーズだ。

プロも認めるストイックなゲーミングスペック“ZOWIE”

 “ZOWIE”シリーズは、いわゆるFPSやTPSといったジャンルの中心とした、ネットワーク対戦やeスポーツのような競技性の高いゲームプレイでガチンコで戦うことに“特化”した製品だ。プレイヤーの激しい動きや射撃の妨げにならない超高速な反応速度、ゲームの中にわずかな動きも見逃さない映像表現など、プロゲーマーの高い要求にこたえるハイレベルな仕様の製品がラインナップされている。

ゲームを中心とするエンターテインメント全般に強み“MOBIUZ”

 もう一方の“MOBIUZ”シリーズは、家庭用ゲーム機からゲーミングPCまで、多くのゲーミング環境に対して、没入感の高いビジュアルとハイクオリティなサウンドを提供。映像美も魅力の最新AAAタイトルのようなリッチなゲームからネットワーク対戦モノのゲームまで、幅広いジャンルに対応しつつ、抜群の映像表現とサウンドの機能で動画再生などにも強みを発揮できる、エンターテインメント用途に広く強い製品だ。

具体的な“ゲーミングモニター”の機能

 それでは、ゲーミングモニターの性能、得意とするゲーム/プレイスタイルを決定付ける、ゲームプレイを快適にするための機能の数々を紹介しよう。

高速リフレッシュレート&高応答速度

 ゲーミングモニターで最重要とされるスペックの1つが「高リフレッシュレート」だ。リフレッシュレートとは、ディスプレイが1秒間に映像を書き換え可能な回数。一般的な液晶ディスプレイは60Hzで、1秒間に60回の書き換えができるが、144Hzや165Hz、240Hzなどの高リフレッシュレートがゲーミングモニターの必須条件と言える。

60Hzでは1秒間に最大60コマ、240Hzなら最大240コマと4倍もなめらかな描画が可能になる

 たとえば240Hzなら、1秒間に240コマもの画面を書き換え・表示できるので、60コマ表示だと見落としてしまうような敵のわずかな動きもとらえやすくなる。わずかな隙間をとおり抜ける敵や遠くで少しだけ動く敵なども見えやすくなるので、とくにFPSやTPSで効果的で、プロゲーマーが高リフレッシュレート液晶を重要視しているのはこのためだ。ただし、240Hzのリフレッシュレートを活かしきるには、240fpsものフレームレートが出る高性能なPCが必要になる点も忘れてはならない。

 高リフレッシュレートの液晶モニターでは、「応答速度」も重要だ。応答速度はディスプレイの色が別の色に変わるまでにかかる時間のこと。画面の描画スピードに対して、色の切り換えが遅くなると、それが残像として出てしまう(モーションブラーと呼ばれる現象)。

 高リフレッシュレートほど、1フレームあたりの描画時間は短くなる。画面が高速に書き換えられるわけだから当然なのだが、リフレッシュレートが240Hzなら1フレームあたりわずか4.17msしか猶予はない。ゲーミングモニターの応答速度が1ms以下になっているものが多いのはこのためだ。数値上は1ms以下なら十分だろうと思われがちだが、スペックに表記されているのはほとんどが“最速の数値”。映像によっては(表示するドットごとの色などの条件しだい)、もっと時間がかかるケースももちろん生じる。そのため、リフレッシュレートが高い液晶ほど、応答速度の短いものを選ぶほうがベターだ。

アンチモーションブラー(残像感低減)

 応答速度の問題から発生する残像感を軽減する方法として最近搭載が増えているのが「アンチモーションブラー」などと呼ばれる機能だ。激しい動きの中でも正確な射撃を求められるTPS/FPSでは、残像感(モーションブラー)が精度に大きく影響する。ゲームによってはモーションブラーも映像表現の一種として用いられる場合もあるが、ハイレベルな対人戦での射撃においては命取り。そこで活躍するのがこの機能というわけだ。BenQ製品では「DyAc」や「DyAc+」と呼ばれる機能がこれに該当する。

BenQのDyAc+を有効にしたゲーム画面を480fpsのスーパースローモーションで撮影したところ。スーパースロー映像であればフレームごとにバックライトが消えているのが分かるが、一瞬の出来事なので人間の目で感じることはない

 具体的には、フレームとフレームに間でバックライトをON/OFFすることで、前のフレームの映像(光)が残るのを防ぎ、これによって残像感を大幅に軽減するというもの。一瞬のことなのでバックライトがOFFになった瞬間を視認することはできないが(スーパースロー映像を見てみると黒い画面が差し込まれていることが分かる)、その効果は絶大だ。ただし、バックライトをOFFにするという仕組の都合上、画面は若干暗くなることがある。そのため、DyAc/DyAc+を有効化すると自動的に輝度が高められる。

 ゲームの描画をなめらかにするためリフレッシュレートを高める→そうすると応答速度も高めないと残像感が出る→1ms以下まで応答速度を高める→それでも残像感が出ることがあるのでアンチモーションブラー機能で軽減する、というゲーミングモニターの進化の歩みが見える部分だ。

映像のズレ、チラつきの低減(可変リフレッシュレート)

 もう1つ代表的な機能が「可変リフレッシュレート」(VRR)だ。ディスプレイは60Hzや240Hzなど1秒間の描き換え回数は一定だが、PC側(主にビデオカード)は性能やゲームの状況によってフレームレート(1秒間の描画回数)は大きく変化する。そのため、ディスプレイとPC側の描画タイミングが合わないと画面がズレる「ティアリング」が発生してしまう。これを回避するためにティスプレイとPC側の描画タイミングを合わせる垂直同期(V-SYNC)という技術が存在するが、そうするとディスプレイ側のリフレッシュレートにPC側が間に合わない場合、たとえば60Hzのリフレッシュレートに対して、PC側が60fpsに届かないと今度は画面がチラつく「スタッタリング」が発生してしまう。

画面にズレが起きる「ティアリング(テアリングとも)」。リフレッシュレートに対して、PC側のフレームレートが高過ぎても低過ぎても起こる

 その解決策がディスプレイのリフレッシュレートとPCのフレームレートを同期させる「可変リフレッシュレート」(VRR)というわけだ。NVIDIAでは「G-SYNC」、AMDでは「FreeSync」という名称で展開している。画面のズレやチラ付きをなくす画期的な技術だが、VRRを利用するにはディスプレイ側とPC側の両方が対応している必要がある点には気を付けたい。

VRRは、ディスプレイとPCの両方が対応し、それぞれ設定を行なうことで有効になる

 MOBIUZとZOWIEの各製品はFreeSync、およびその上位機能のFreeSync Premiumに対応。最新のEX2710RとEX3210Rについては、HDRの制御も組み込まれた最上位の規格、FreeSync Premium Proに対応している。G-SYNC対応機種でなくても、多くのFreeSync対応製品がG-SYNC ComatibleとしてG-SYNCを有効化できるようになっている。今回テストしたBenQ製品でも有効化とリフレッシュレートの同期が確認できている。

 DyAc/DyAc+とFreeSyncは同時使用できないものの、240Hzの高速リフレッシュレートとこれに対応できる高いフレームレートをたたき出せるスペックのゲーミングPCを使用した場合、ティアリングやスタッタリングは起きにくいため、実用上は問題ないだろう。

メリハリの利いた映像表現に有効な“HDR”

 ここまでは主にFPSやTPSなどシビアな勝負を少しでも有利にするための機能と言える。美麗な映像を楽しみたいのなら、「HDR」に注目したい。HDRは、High Dynamic Rangeの略で階調表現の幅を広げる技術。より明るい場所は明るく、暗い場所は暗く表現できるようになるため、よりリアルでメリハリのある映像を堪能できる。

 ただし、ディスプレイ側の対応に加えて、PC側もDisplayPort1.4以降またはHDMI 2.0以降をサポートしたビデオカードが必要。さらにゲーム側の対応も必須と、ほかの機能に比べて楽しむためのハードルは少々高い。ただし、Windows 11ではDirextX 11以降のゲームならHDR非対応であっても、自動的にメリハリの効いた描画にする「Auto HDR」機能が搭載される。映像美が好きなら、HDR対応のディスプレイを選んで損はない。

Far Cry 5でHDRを試した。有効時(左)は地面が明るく、建物周辺が暗いなど無効時(右)に比べて、よりメリハリのある映像になっているのが分かる

 “MOBIUZ”シリーズはHDR規格のスタンダード「VESA display HDR 400」に対応。さらに、BenQ独自の色温度/輝度の自動制御技術“ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)”とHDRを融合した独自の映像表示技術「HDRi」を搭載。ゲーム(Game HDRi)と映画(Cinema HDRi)において、鮮明でリアル、ディテール表現に優れた映像表示を実現している。幅広いエンターテインメントに対応するMOBIUZならではの機能だ。

ゲームの色作り、明るさ表現をコントロール

 このほか、ゲーミングモニターでは定番機能となっている「暗所補正」がある。BenQでは「Black eQualizer」と呼ばれているもので、単純に暗い場所を明るく見えるように補正する機能だ。FPS/TPSにおいては、暗い場所にいる敵を見付けやすくなるなど、勝利に結び付くほどの効果がある。その一方で、ホラーゲームなど暗さがゲーム性に直結している場合はゲームの雰囲気作りに影響してしまうことも。ゲームのジャンルや特性によって使い分けるべき機能だろう。

 また、BenQのゲーミングモニターでは、日の光の強いギラギラした明るさを抑える、あるいは明るさを強調したドラマチックな絵作りにするといった、明るい場所の調整も「Light Tuner」で調整可能だ。両方をうまく組み合わせることで、映像表現の強化、プレイアビリティの向上に役立つだろう。

左が標準、右が暗所補正を有効にした画面イメージ。暗い場所が見えやすくなり、地形の把握や索敵に役立つ

 ゲーミングモニターではさらに、細かなカラー設定が行なえる製品も多い。ゲームの世界観、映像美をより盛り上げるためのカラー調整という使い方もあるが、色味によってゲーム内での対戦相手の動きの視認性にも影響してくることもある。さらにタイトルによって視認性に優れる色みが異なったりもする。BenQでは「Color Vibrance」という色の鮮やかさを調整できる機能が用意されている。ゲームごとに、あるいはプレイスタイルごとにカラー設定を微調整する、というチューンナップできる。

ゲームをより盛り上げるサウンドの充実

 ゲームにおけるサウンドは、世界の表現や対戦相手との駆け引きなどに非常に大きな影響を与えてくるため、映像と同様に気を配りたいところだ。一般的に、液晶ディスプレイの内蔵スピーカーは、本体が薄型・コンパクトであるため、クオリティが犠牲になりやすい。しかしMOBIUZシリーズでは、スリムな筐体に最適化されたサウンドシステム「treVolo True Sound」を搭載。高音域から重低音まで、迫力のあるハイクオリティなサウンドが楽しめる。EX2710QやEX2710Rなどの最新モデルでは、サブウーファー搭載による2.1chサウンドに進化。ゲームのみならず、映像や音楽などのコンテンツにも威力を発揮する。

“MOBIUZ”シリーズは高品質スピーカを内蔵

機能・仕様の組み合わせで製品の性質が決まる

 以上のように、ゲーミングモニターには、プレイの質を高めてくれる多種多様な機能が用意されている。最終的な製品のグレードや価格は、これら機能の搭載数や性能で決まってくる。具体的な製品を例に見てみよう。

BenQの「ZOWIE XL2546K」。FPS/TPS向けフラグシップモデル

 FPSやTPSで頂点を目指すべく、描画スピードを重視するならオススメは「ZOWIE XL2546K」だ。サイズは24.5型で解像度はフルHD。TNパネルを採用している。FPSのプロゲーマー視点に立った技術と機能を網羅したフラグシップモデルと言うだけあり、240Hzの高リフレッシュレート、0.5ms(GtoG)の高速応答、ブレを抑える「DyAc+」にVRR(FreeSync Premium)にも対応。さらに、暗所補正の「Black eQualizer」や鮮やかさ調整の「Color Vibrance」も搭載とFPSやTPSで勝利を目指すガチンコプレイヤー向けの機能が満載だ。

 一般的な液晶モニターでは、現在は27型前後の画面サイズが主流になりつつある。一方ゲーミングモニタ―では、競技志向が強いほど24型前後が好まれる傾向にあり、ZOWIEでもラインナップの主軸は24型だ。大きな理由の1つは視点移動の少なさ。画面の端と端を見る際の視点移動の距離は画面が大きいほど長くなるため、一瞬の判断、一瞬の動きを重視するプレイの場合には、当然視点移動の距離は短いほうが有利だ。ただ、サイズ以外の液晶パネルの性能には24型と27型の間に大差はなく、24型だとドットが小さいため小さな標的が見にくい場合でも27型なら視認しやすい、なによりも画面が大きくて迫力が高まる、などのメリットも27型にはある。座り方・姿勢によっても視点移動の負担は変わってくるため、サイズ感はぜひ一度体験してみていただきたい。

BenQの「MOBIUZ EX2710Q」。ゲームに加えて映像も楽しみたい人に向いている

 映像美や高音質、ゲーム機との接続を考えているならBenQの「MOBIUZ EX2710Q」をチェックしたい。サイズは27型で解像度はWQHD(2K)、パネルは表現力に優れるIPSパネルを採用。165Hzの高リフレッシュレート、1msの高速応答、VRR(FreeSync Premium)対応とゲーミングモニターとしての基本性能をしっかりと押さえ、HDRとBenQ独自のHDRiをサポート、2.1ch仕様の「treVolo True Sound」サウンドシステムを搭載する。IPSパネルということもあり、上下左右とも視野角は178度と広く、色域はsRGB99%カバーと色の表現力にも優れる。レイトレーシングに対応するなど美しい映像の世界を存分に味わいたい人にピッタリ。PS5の120Hz描画に対応できるなど、ゲーム機との相性もバッチリだ。

湾曲パネル搭載の「EX2710R」。視点移動時の違和感の少なさと没入感の高さが魅力

 映像の迫力という面では、27型や32型の大型のモニターが優れているが、ゲーム(あるいは映像作品)の世界と一体になったかのような没入感をより高めたい、画面までの距離を一定に保って自然な映像を楽しみたい、ということであれば、液晶パネルがゆるやかなカーブを描く“湾曲パネル”を採用した製品もオススメ。大型パネルや湾曲パネルを採用した製品はMOBIUZシリーズにラインナップされている。

 従来のMOBIUZシリーズと同様、基本となるゲーミング向け機能はフル装備。FreeSyncについては、高リフレッシュレートと低フレームレートの両方に強く、HDRも組み込まれた最上位規格のFreeSync Premium Proに対応。2.1ch仕様のtreVolo True Soundも搭載する。

パネルを上方から見ると、なだらか湾曲していることが分かる。遠目には一瞬違和感を感じるかもしれないが、画面の前に座ってみると、違和感よりも画面端々までの距離感や没入感の高さに驚く

一挙紹介!最新BenQゲーミングモニターラインナップ

“対戦に勝つ”ためのスペックをフル装備するプロゲーマー向け最強仕様
▼サイズ/解像度:24.5型/フルHD▼パネル:TN▼リフレッシュレート:240Hz▼応答速度:0.5ms(GtoG)▼機能:DyAc+、FreeSync、S.Switch、XL Setting to Share
小さなオブジェクトも見逃さない!? 27型大画面のプロスペックモデル
▼サイズ/解像度:27型/フルHD▼パネル:TN▼リフレッシュレート:240Hz▼応答速度:0.5ms(GtoG)▼機能:DyAc+、FreeSync、S.Switch、XL Setting to Share
高速でブレない・見やすい映像が魅力のFPSゲーマー向けスタンダード
▼サイズ/解像度:24型/フルHD(XL2411K)、27型/フルHD(XL2731K)▼パネル:TN▼リフレッシュレート:144Hz(XL2411K)、165Hz(XL2731K)▼応答速度:1ms(GtoG)▼機能:DyAc、FreeSync、XL Setting to Share
大画面と高解像度でビジュアル重視のゲームがより大迫力に
▼サイズ/解像度:27型/WQHD▼パネル:IPS▼リフレッシュレート:165Hz▼応答速度:1ms(MPRT)▼機能:HDRi、HDR 400、FreeSync Premium、treVolo 2.1ch
高画質・高音質で家庭用ゲーム機にもPCにもベストマッチ
▼サイズ/解像度:24.5型/フルHD(EX2510S)、27型/WQHD(EX2710S)▼パネル:IPS▼リフレッシュレート:165Hz▼応答速度:1ms(MPRT)▼機能:HDRi、HDR 400、FreeSync Premium、treVolo
ゲームプレイの迫力と没入感を高める大画面&湾曲パネルを採用
▼サイズ/解像度:27型/WQHD(EX2710R)、31.5型/WQHD(EX3210R)▼パネル:VA、湾曲率1000R▼リフレッシュレート:165Hz▼応答速度:1ms(MPRT)▼機能:HDRi、HDR 400、FreeSync Premium Pro、treVolo 2.1ch
34型&超ワイド画面でシリーズ最高の映像/音響と没入感を実現
▼サイズ/解像度:34型/3,440×1,440ドット▼パネル:IPS、湾曲率1900R▼リフレッシュレート:144Hz▼応答速度:1ms(MPRT)▼機能:HDRi、HDR 400、FreeSync Premium、treVolo 2.1ch、PIP/PBP機能(画面を16:9または5:9で2分割表示可能)

ゲーミングモニターを使ってみよう!

 それではここからは実際にゲーミングモニターの設定方法や使用感を紹介する。PCにも家庭用ゲーム機にもさまざまなジャンルのゲームがリリースされているが、本稿では、PCでは競技性の高いeスポーツ系のアクションシューティングを、家庭用ゲーム機では映像美・音声美も楽しみたいAAAタイトルを、それぞれプレイしてみた。

PC+ZOWIEで“世界で競う”セッティング

 1台目は、BenQのFPS/TPS向けフラグシップモデル「ZOWIE XL2546K」とPCの組み合わせ。基本スペックは前述したとおり。240Hzの高リフレッシュレートで駆動させるには、PCの設定が必要だ。ここではWindows 10を使用しているが、「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「ディスプレイの詳細設定」にあるリフレッシュレートのプルダウンメニューを開き「239.760Hz」を選択する。

ディスプレイの詳細設定でリフレッシュレートを設定できる

 ちなみに、PCのと接続はDisplayPort、HDMIどちらでも240Hzの設定が可能だ。ZOWIE XL2546KはDisplayPortケーブルが付属しているので、これを使うえばOK。HDMIで接続したい場合は、別途HDMIケーブルを用意しよう。

 240Hzの威力はゲームをプレイすれば明らかだ。VALORANTとApex Legendsをプレイしたが、60Hzに比べると動いたときの画面スクロールのなめらかさをハッキリと感じ取れる。敵の動きが見やすくなるだけではなく、自分が激しく動いているときでも周りの状況を把握しやすいのが大きな強みだ。高リフレッシュレートならば、ティアリングも起きにくくなり、ストレスなくプレイできる。なお、240Hzを活かすには、ゲーム側でフレームレート制限を解除したり、垂直同期(V-SYNC)をオフにすることを忘れないようにしよう。

VALORANTにはフレームレートを制限できる機能があり、これを無効化しておかないと240Hzのリフレッシュレートが活きない
VALORANTには現在のフレームレートを表示する機能が用意されている。240fps以上出ているか確認したいときに便利だ

 ZOWIE XL2546Kにはブレ軽減機能として「DyAc+」が用意されているが、この機能はFreeSyncと排他関係にある。OSDメニューでDyAc+を無効にすることで、FreeSync Premiumの設定メニューが表示される仕組。FreeSync Premiumを有効化し、PC側でGeForce系ならG-SYNC、Radeon系ならFreeSyncを有効にすれば、リフレッシュレートとゲームのフレームレートが同期するようになる。

VRRを使うにはOSDメニューでFreeSync Premiumをオンにし、PC側でもVRRを有効化する必要がある

 DyAc+とFreeSyncのどちらを活かすかは一考必要なところだが、VALORANTのような軽いゲームの場合、パワーのあるゲーミングPCを使えばZOWIE XL2546Kのリフレッシュレートをはるかに上回る非常に高いフレームレートが得られる。この場合はDyAc+を使ったほうが操作感や視認性はよいと感じた。いずれにしても、ZOWIE XL2546Kの長所をフルに活かすなら、圧倒的なフレームレートを叩き出せるゲーミングPC(もしくはゲームの画質設定)を準備することが重要だ。

 このほか、暗所補正の「Black eQualizer」はOSDメニューで20段階で調整ができる。ゲームや好みに合わせて微調整できるのは便利。“暗がりからの奇襲”というような作戦が成り立つゲームをプレイする場合は、暗所の視認性アップは戦闘で優位に立ったり不利な状況を立て直したりする際に役立つだろう。

Black eQualizerはOSDから調整可能

 ゲームプレイには直接影響しないが、プレイ環境を整えるうえで便利なのが「XL Setting to Share」だ。これはディスプレイの設定をPCで読み込んだり、書き出したりできるというもの。BenQのWebサイトには、VALORANT、Apex Legends、PUBG、レインボーシックス シージ、Call of Duty Warzoneに最適化されたディスプレイ設定が公開されており、そのファイルをダウンロードして、XL Setting to Shareに読み込ませることで、簡単に適用できる。また、自分が調整した輝度や色みなどをファイルとして書き出すことも可能。同じディスプレイを使っている仲間と統一した設定にできるのがメリットだ。これは、どちらかと言えば、プロゲーマー向けの機能と言えるだろう。

ディスプレイの設定を読み込み/書き出しできる「XL Setting to Share」。特定のゲームに特化した設定を保存・適用できるのが便利
BenQのWebサイトでは5種類のゲームに最適化された設定が公開されている
自分で作ったディスプレイ設定を書き出すことも可能だ

 有線コントローラの「S.Switch」を付属しているのもポイント。これはOSDメニューを手元で操作できるもので、手軽にディスプレイの設定を変えられるのに加え、1、2、3それぞれのボタンに設定を保存しておける。ゲームごとの設定を作っておいて、さっと手元で切り換えられるのが非常に便利だ。普段使いとゲームで色みを変えたいなんて場合にも役立つ。

手元でOSDメニューを操作し、設定を保存しておける有線コントローラの「S.Switch」を付属。なお、OSDメニューは本体背面のスティックでも操作可能だ

 ゲームプレイのしやすさ、という点ではスタンドにも注目しておきたい。高さ調整、角度調整、向き調整に対応と高機能ながらコンパクトなので、キーボードとマウスパッドを好きな位置に配置しやすい。

高さは155mmも調整幅がある
角度の調整も可能だ
両側面には画面に集中しやすくするアイシールドを用意(着脱可能)。背面にはヘッドセットをかけておけるフックもある。スピーカーは内蔵せず、ヘッドセット/イヤホンでのプレイを想定。“ゲームに全集中”がプロ仕様!!

 高リフレッシュレートと高速応答を最大限重視し、プレイヤーの見やすい角度に調整できるように高機能なスタンドを採用、ブレ軽減、VRR、暗所補正も用意し、ゲームに集中しやすくする要素を揃えている。まさにFPS/TPSで勝つために作られた1台だ。

PS5+MOBIUZで“世界を堪能する”セッティング

 次は最新の家庭用ゲーム機、PS5を使ってみよう。テストに使用したのは「MOBIUZ EX2510S」。ZOWIEがeスポーツ・競技用向けのシリーズだとすれば、MOBIUZはゲーミング機能も駆使した高品質な映像と高音質なサウンドでゲームへの没入感を重視するシリーズ。eスポーツ系のタイトルに対応できるだけでなく、じっくり腰を据えてゲームの世界を楽しむのにも最適だ。

 MOBIUZ EX2510Sのリフレッシュレートは最大165Hzで、PS5の120Hz出力にも対応。PS5の「設定」→「スクリーンとビデオ」→「映像出力」にある「120Hz出力を有効にする」を「自動」に設定。さらに、「設定」→「セーブデータとゲーム/アプリ設定」→「ゲームプリセット」にある「パフォーマンス優先と画質優先」を「パフォーマンス優先」に設定することで、120Hz出力が有効になる。ちなみに、120Hz出力にはゲーム側の対応も必要だ。

120Hz表示でのプレイのためにはPS5の設定が必要。「映像出力」にある「120Hz出力を有効にする」を「自動」にセットしておく
「ゲームプリセット」にある「パフォーマンス優先と画質優先」を「パフォーマンス優先」にすることでゲームの120Hz動作が可能になる

 ここでは120Hz動作に対応するゲームとして「フォートナイト」をプレイした。上記設定をすませておけば、フォートナイトの映像設定に「120FPSモード」のメニューが表示され、「ON」にすることで120Hz出力が行なわれる。メニューが表示されない場合は、PS5の設定を見直そう。

フォートナイトは120Hz出力に対応。「120FPSモード」を「オン」にすることで有効化する
実際に120fpsで駆動しているかは、FPS表示をオンにすることで確認しやすい
ディスプレイ側がリフレッシュレートはOSDメニューで確認できる。PS5が120Hz出力していれば「120Hz」と表示される

 MOBIUZ EX2510SはHDR/HDRiにも対応しているので、PS5のHDR表示も使用可能だ。ディスプレイ側のOSDメニューでHDRを有効化することで、PS5の「設定」→「スクリーンとビデオ」→「映像出力」にある「HDR」を「常にオン」または「対応時のみオン」を選択できるようになる。これによって、HDR対応ゲームをプレイすると自動的にHDRが適用される。今回はPS5版の「Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT」をプレイしたが、自動的にHDRが有効になり画面設定の「UIの明るさ(HDR)」の調整も行なえた。

OSDメニューでディスプレイ側のHDRを有効にできる。3種類あるが、ここではゲーム向けに最適化された「ゲームHDRi」を選択
ディスプレイ側のHDRが有効ならPS5側のHDR設定も行なえるようになる
Ghost of Tsushima DIRECTOR'S CUTのHDR関連設定も問題なく行なえた

 また、PS5は2021年内にVRR対応を予定している。MOBIUZ EX2510SはVRR(FreeSync Premium)をサポートしているので、対応後は使えるようになるはず。これはアップデートを楽しみに待ちたいところ。もちろん、ゲーミングPCを接続すればすぐに利用可能だ。

 このほか、暗所を明るくする「Black eQualizer」、画面の明暗を調整できる「Light Tuner」を備え、最大165Hzのリフレッシュレートに応答速度も1ms(MPRT)とゲーミングモニターのツボはしっかりと押さえており、PCゲームでも活躍できる。treVoloサウンドシステムは、前面に2.5W×2のステレオとディスプレイ内蔵のスピーカーとしてはゴージャスな仕様。ヘッドセットで常にゲームをプレイするのはちょっと避けたい、という人にはピッタリだろう。周囲の明るさと色温度を検知して、ディスプレイの設定を自動調整する目に優しい「B.I.+」も備える

OSDメニューにはカラーモードとしてHDR関連のほか、FPSやRPGなどゲームジャンル別の設定も用意されている
オーディオモードにもジャンル別設定を用意

 入力はDisplayPort 1.2×1、HDMI 2.0×2とPCとゲーム機の両方を余裕で接続しておける。スタンドも高さ、角度、向き調整が可能と十分高機能。PCゲームもコンシューマゲームも1台のディスプレイで堪能し尽くしたいなら注目だ。