ゲーム別GPU性能総比較
新作スパイダーマン「Marvel's Spider-Man Remastered」をGPU 22種類で性能検証!
2022年9月2日 06:30
本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第8回目は世界的にヒットしたPS4版をPC向けにリマスターしたスパイダーマン・アクション「Marvel's Spider-Man Remastered」だ。
用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは7種類の合計22種類のビデオカードだ。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。
テストの条件だが、グラフィックのプリセットは最上位の「非常に高い」に設定。レイトレーシングは「オフ」とした。アップスケール関連の設定もすべて「オフ」。アンチエイリアスは「TAA」にしている。
このゲームはベンチマーク機能を備えていないので、マップの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測した。今回はその測定結果から、フルHDと4Kの平均フレームレートを掲載する。
美麗なグラフィックでスパイダーマンの世界を再現しているだけに、描画負荷は高そうだが、レイトレーシング非対応のGPUがあるため、レイトレーシング関連の設定はオフにしていることもあって、フルHDならばGeForce系はGTX 1650/1630/1060、RadeonではRX 5500 XT以外は平均60fpsをクリアしている。
ただ、フレームレートを測定するにあたり、描画負荷をなるべく一定にするためマップ内を歩くだけというシンプルな動きしかしていない。クモの糸でスイングするなど、描画負荷が高まるとフレームレートは20fpsほど下がることがある、という点は覚えておいてほしい。
4Kになると描画負荷は一気に高くなる。GeForce系ではRTX 3060 Ti以上、Radeon系ではRX 6700XT以上でやっと平均60fpsに到達。負荷が高いシーンでは、もっとフレームレートが下がる可能性があるため、高フレームレートを維持してプレイしたければ、RTX 3080以上またはRX 6800以上はほしいところだ。
グレードごとに見ていくと、フルHDに関してはGeForce系はRTX 3070 Ti以上はほぼ誤差レベル。Radeon系もRX 6800以上は同様だ。フレームレートが急激に落ちる箇所に注目すると、RTX 3060とRTX 3050の間、GTX 1660 TiとGTX 1650の間、RX 5600 XTとRX 5500 XTの間で顕著だ。
これは前回のStrayと同じく、いずれもメモリバス幅が192bitから128bitに狭まっているのが要因。とくにGTX 1650はGTX 1660 Tiに対してCUDAコア数も半分近く減っており、重量級ゲームを高画質でプレイするには厳しくなってくる。同じGTXシリーズでも、GTX 1660 Tiは性能がかなり上だというのが、改めて分かる結果だ。
ちなみに、レイトレーシングを有効にして、フレームレートがどのように変化するのかRTX 3070で試してみた。描画負荷を軽減するアップスケーラーのDLSSも有効にし、「バランス」に設定してフレームレートを同じ方法で測定。フルHDは平均102.3fps、4Kは平均26.1fpsと大きく下がった。レイトレーシングを有効にすると4割以上フレームレートが下がると見ておいたほうがよさそうだ。
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使用PCはCore i9-12900K搭載のマウスコンピューター「G-Tune XP-Z」
この連載で使用しているPCはマウスコンピューターのハイエンドゲーミングPC「G-Tune XP-Z(プレミアムモデル)」だ。
CPUはCore i9-12900K(16コア24スレッド)、マザーボードはZ690チップセット、CPUクーラーは36cmクラスの簡易水冷を採用しており、ビデオカードの性能測定をする上でCPUが可能な限り、ボトルネックにならないようにしている。電源も1,200Wとこちらもどのビデオカードと組み合わせも不安のないものだ。
なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が125W、Short Duratin Power Limit(PL2)が241Wに設定されていた。
使用したビデオカード一覧
ここで使用している多くのビデオカードは定格クロックで動作しているが、一部OCモデルも含まれている(GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデル)。
ASUSのROG STRIXシリーズにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンス用の「Pモード」に設定。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。
また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。
GPU | 製品名 | シェーダー数(CUDA・SP) | メモリバス幅 | ビデオメモリ | ブーストクロック (定格) | カード電力 (定格) |
---|---|---|---|---|---|---|
GeForce RTX 3090 | MSI GeForce RTX 3090 VENTUS 3X 24G | 10,496 | 384bit | GDDR6X 24GB | 1,695MHz (1,695MHz) | 350W (350W) |
GeForce RTX 3080 Ti | MSI GeForce RTX 3080 Ti VENTUS 3X 12G | 10,240 | 384bit | GDDR6X 12GB | 1,665MHz (1,665MHz) | 350W (350W) |
GeForce RTX 3080 | MSI GeForce RTX 3080 VENTUS 3X 10G | 8,704 | 320bit | GDDR6X 10GB | 1,710MHz (1,710MHz) | 320W (320W) |
GeForce RTX 3070 Ti | MSI GeForce RTX 3070 Ti VENTUS 3X 8G | 6,144 | 256bit | GDDR6X 8GB | 1,770MHz (1,770MHz) | 290W (290W) |
GeForce RTX 3070 | MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC | 5,888 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,755MHz (1,730MHz) | 220W (220W) |
GeForce RTX 3060 Ti | ZOTAC GeForce RTX 3060 Ti 8G GDDR6 HDMI/DP*3 | 4,864 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,665MHz (1,665MHz) | 200W (200W) |
GeForce RTX 3060 | ZOTAC GeForce RTX 3060 12G GDDR6 HDMI/DP*3 | 3,584 | 192bit | GDDR6 12GB | 1,777MHz (1,777MHz) | 170W (170W) |
GeForce RTX 3050 | メーカー不明 GeForce RTX 3050 | 2,560 | 128bit | GDDR6 8GB | 1,777MHz (1,777MHz) | 130W (130W) |
GeForce RTX 2080 | ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING | 2,944 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,860MHz (1,710MHz) | 245W (215W) |
GeForce RTX 2070 | ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI | 2,304 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,650MHz (1,620MHz) | 175W (175W) |
GeForce RTX 2060 | ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO | 1,920 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,755MHz (1,725MHz) | 183W (160W) |
GeForce GTX 1660 Ti | ASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING | 1,536 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,770MHz (1,770MHz) | 120W (120W) |
GeForce GTX 1650 | ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK | 896 | 128bit | GDDR5 4GB | 1,710MHz (1,665MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1630 | ASUS PH-GTX1630-4G | 512 | 64bit | GDDR6 4GB | 1,785MHz (1,785MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1060 | ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition | 1,280 | 192bit | GDDR5 6GB | 1,772MHz (1,708MHz) | 120W (120W) |
Radeon RX 6900 XT | ASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING | 5,120 | 256bit | GDDR6 16GB | 2,335MHz (2,250MHz) | 300W (300W) |
Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800リファレンスカード | 3,840 | 256bit | GDDR6 16GB | 2,105MHz (2,105MHz) | 250W (250W) |
Radeon RX 6700 XT | Radeon RX 6700 XTリファレンスカード | 2,560 | 192bit | GDDR6 12GB | 2,615MHz (2,581MHz) | 230W (230W) |
Radeon RX 6600 XT | ASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING | 2,048 | 128bit | GDDR6 8GB | 2,607MHz (2,359MHz) | 160W (160W) |
Radeon RX 5700 XT | ASUS TUF 3-RX5700XT-O8G-GAMING | 2,560 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,905MHz (1,905MHz) | 225W (225W) |
Radeon RX 5600 XT | ASUS ROG-STRIX-RX5600XT-O6G-GAMING | 2,304 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,750MHz (1,560MHz) | 150W (150W) |
Radeon RX 5500 XT | ASUS DUAL-RX5500XT-O4G-EVO | 1,408 | 128bit | GDDR6 4GB | 1,845MHz (1,845MHz) | 130W (130W) |