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新入学にミニPCはいかが?オススメ6選+α。液晶TVなどを活用して利用環境も整えよう!

 大学や高校への進学を目前にしたこの時期、子ども用のPCをどうするかで悩んでいる人は多いだろう。特にイマドキの大学ではさまざまな作業や課題でPCの作業が必須になっており、今までのようにスマホやタブレットだけで過ごすというわけにもいかない。息子さんや娘さんが何と言おうが、これは事実だ。

 学内に持ち込んで作業しなければならないなら、モバイルノートPC一択ではあるが、ここで一考してほしい。そうした縛りがないなら、最近流行のミニPCを検討してはいかがだろうか。ノートPCよりもかなり安く、しかも大型TVや好みのキーボード、マウスなどを組み合わせることで、一般的なノートPCよりもはるかに快適な利用環境を構築できる。

安くてメモリやストレージを拡張しやすいミニPC

 進学に伴い、PCの購入を推奨する大学は多い。常にPCを持ち歩いてさまざまな課題やレポートに取り組んだり、実地検証などをPCで行なう学部や学科も多いからだ。そうした大学や学部、学科ではあらかじめPCに必要な要件などをリストアップしたガイドラインを発表しているので、それに従ったノートPCを購入しよう。PC Watchでも、そうした学校ごとの要件をまとめた記事を用意しているので参照してほしい。

 また、今まで積極的にPCに触れたことがなく、必要なアプリや設定などで困った場合に教授やゼミ生などに相談する場面がありそうなら、可搬性に優れ、相談したい相手に状況を説明しやすいノートPCのほうがよいだろう。必要がないときは閉じて好きな場所に仕舞っておける設置の自由度も、ノートPCの大きなメリットの1つだ。初めて1人暮らしする狭いアパートなら、なおさらこうしたメリットが活きる場面は多い。

 しかし、今まで自宅ではデスクトップPCを普通に使わせていたり、それなりにPCを使いこなしていたなら、学部学科の縛りがない限りはノートPCだけを選択肢とする必要もない。そこでオススメしたいのが「ミニPC」である。ミニPCのメリットはいくつかあるが、一番大きいのは購入コストが安くなることだ。

 と言うのも、今回一番オススメしたいミドルレンジミニPCの実売価格は、5~7万円前後と非常に安い。こうしたミニPCと同じクラスや性能のCPUを搭載するモバイルノートPCの実売価格は、安くて10万円台前半、学内の推奨モデルでは20万円を超えるモデルもめずらしくない。

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 またミニPCではメモリ/ストレージ用スロットにアクセスしやすい構造を採用しており、拡張や換装が容易だ。一方で最近のノートPCでは、メモリやストレージはほぼ決めうちの構造になっており、購入後に拡張したり換装して機能を向上することは非常に難しい。最低でも4年間使い続けることを想定するなら、状況に合わせてアップグレードできるほうがコストが安くすむ可能性は高い。

ミニPCは、メモリスロットやM.2スロットにアクセスしやすい

 さらにミニPCはデスクトップPCの1つではあるが、手のひらに乗るほどコンパクトだ。ミドルタワーケースタイプのように、床や机の上をドンと占領することもない。モニターも液晶TVと兼用で使えばよいし、コンパクトなので液晶TVの近くに置いてもジャマに感じることはない。キーボードやマウスをワイヤレス接続のコンパクトモデルにすれば、PCを使う時にスッキリと片付けてしまうこともできる。

 つまり同じ性能ならノートPCよりもかなり安く購入でき、大型のミドルタワーケースを採用したデスクトップPCほど置き場所に悩まなくてもよい。それがミニPCという選択肢のメリットなのだ。

買い得感の高い5~7万円台のミニPCに注目

 今回の「一般的な高校や大学の課題を過不足なくこなせるスペック」ということで考えると、AMDの「Ryzen 6000/7040」シリーズや、Intelの「12世代Core i5」シリーズを搭載するミドルレンジのミニPCがオススメだ。課題の書類作成や検証作業はもちろん、ちょっとした動画編集や息抜きのゲームなどもこなすだけの性能をサポートしながらも、実売価格は5~7万円前後とかなり安い。

 この価格帯のCPUを搭載するミニPCの基本性能を、総合性能を計測できるPCMark 10 Extendedと、グラフィックス性能を計測できる3DMarkで簡単に比較したのが下のグラフである。性能的な序列で言うと、Ryzen 7040>Ryzen 7 6000>>12世代Core i5といったところだ。とくにRyzen 7040シリーズはCPUコアとGPUコアの世代が新しいため性能も高く、長く使っていける。

製品名搭載CPUCPUコア(コア/スレッド数)GPUコア
Beelink GTR7 7840HSRyzen 7 7840HSZen4(8コア/16スレッド)AMD Radeon 780M
GMKtec NucBox M7Ryzen 7 PRO 6850HZen3+(8コア/16スレッド)AMD Radeon 680M
MINISFORUM NAB6 LiteCore i5-12600HAlder Lake(高性能コア4コア/8スレッド、高効率コア8コア/8スレッド)Intel Iris Xe Graphics eligible
PCMark 10
3DMark

ミドルレンジでは際立つ性能&メモリやSSDを拡張しやすい

GMKtek NucBox K6。最安価格:6万0,999円(Amazon.co.jp)

 8コア16スレッド対応の「Ryzen 7 7840HS」をCPUとして採用するミニPC。CPUコアはZen 4、GPUコアはRDNA 3対応と高性能で、ミドルレンジのミニPCの中では抜群のパフォーマンスを誇る。内部へのアクセスが容易で、メモリやM.2 SSD対応SSDを換装したり増設したりすることで機能を強化できる。

製品名GMKtek NucBox K6
OSWindows 11 Pro
CPU(コア/スレッド数)Ryzen 7 7840HS(8コア16スレッド)
搭載メモリ(空きスロット)DDR5 SO-DIMM PC5-44800 8GB 2基(0)
ストレージ(インターフェイス)1TB(PCI Express 4.0)
拡張ベイPCI Express 4.0対応M.2スロット 1基
通信機能IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth v5.2
主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、DisplayPort 1基、HDMI 1基、USB4 1基、USB 3.2 Gen 2 3基、USB 2.0 1基
本体サイズ128×127×48mm
重量523g

Ryzen 7 PRO 6850Hを搭載して5万円切りはスゴイ。OCuLinkでグラフィックス機能の強化も可能

GMKtek NucBox M7。最安価格:4万9,980円(Amazon.co.jp)

 Ryzen 6000シリーズに属する「Ryzen 7 PRO 6850H」を搭載したミニPCだ。Ryzen 7040シリーズと比べるとCPUコアやGPUコアの世代は1つ古いものの、処理性能自体はかなり近いため、値引きクーポンの状況にもよるが5万円を切る可能性があるというのはかなりスゴイ。前面にOCuLinkを搭載しており、市販のビデオカードを接続してグラフィックス性能を強化できる。

製品名GMKtek NucBox M7
OSWindows 11 Pro
CPU(コア/スレッド数)Ryzen 7 PRO 6850H(8コア16スレッド)
搭載メモリ(空きスロット)DDR5 SO-DIMM PC5-38400 8GB 2基(0)
ストレージ(インターフェイス)512GB(PCI Express 3.0)
拡張ベイPCI Express 4.0対応M.2スロット 1基
通信機能IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth v5.2
主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、DisplayPort 1基、HDMI 1基、USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 2.0 2基、OCuLink
本体サイズ(実測値)123×112×43.2mm
重量(実測値)636g

Intel推しなら見逃せない1台。天板から簡単に内部のスロットにアクセス

MINISFORUM NAB6 Lite。最安価格:5万6,380円(Amazon.co.jp)

 12世代Coreシリーズの「Core i5-12600H」を搭載し、4系統ものディスプレイ出力端子を備えるミニPCだ。性能的にはAMDのRyzenシリーズに劣る部分もあるが、Intelならではの安心感を求めるならオススメの1台となる。

 天板の手前部分にあるロックをギュッと押し込むだけで天板を外し、内部のメモリスロットやM.2 SSDスロットにアクセスできるため、拡張作業が容易に行なえる。

製品名MINISFORUM NAB6 Lite
OSWindows 11
CPU(コア/スレッド数)Core i5-12600H(12コア16スレッド)
搭載メモリ(空きスロット)DDR4 SO-DIMM PC4-25600 8GB 2基(0)
ストレージ(インターフェイス)500GB(PCI Express 4.0)
拡張ベイ2.5インチシャドウ 1基
通信機能IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth v5.2
主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、HDMI 2基、Type-C(DisplayPortのみ) 1基、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DP対応) 1基、USB 3.2 Gen 1 Type-C 1基、USB 3.2 Gen 2 4基
本体サイズ127×127.5×54.7mm
重量(実測値)612g

PCゲームやAIを活用した作業もしたいなら最新CPU搭載のミニPCを

 最新世代のノートPC向けCPUでは特にGPUの性能が大きく向上しており、ミニPCでもそれなりの設定でPCゲームを楽しめるようになった。ミドルレンジのRyzen 6000/7040シリーズ搭載ミニPCもかなり高性能だが、Ryzen AI 9 HX 370を搭載するミニPCならさらに快適にプレイできる。

 たとえば話題のモンスターハンターワイルズも、Ryzen AI 9 HX 370搭載ミニPCならそれなりに動く。またミニPCの中には、外部GPUを搭載してグラフィックス性能を高め、PCゲームへの適性をさらに高めたモデルもある。

AI X1 Proで解像度を1,600×900ドットと1,920×1,080ドット、グラフィックスプリセットを「低/中」に設定したときのフレームレートだ。常にヌルヌルとは言わないが、ちゃんとゲームはプレイできる

 また最新世代のCPUでは、AIに関する演算処理を行なう「NPU」(Neural Processing Unit)を搭載している。自分の環境で話題のAIを試してみたい、あるいはそうした先進技術に関する課題が発生するような状況が想定されるなら、強力なNPUを搭載する最新のミニPCがオススメだ。前述の外部GPUを搭載するミニPCも、AI関連の演算処理には強い。

最新のRyzen AI 9 HX 370を搭載。ミニPC初のCopilot+認定で指紋認証機能も装備

MINISFORUM AI X1 Pro。最安価格:14万9,590円(直販サイト)

 強力なNPUを備える最新のRyzen AI 9 HX 370を搭載し、ミニPCでは初めてMicrosoftの「Copilot+PC」として認定された高性能なPCだ。前面にはWindows 11のCopilot機能を呼び出すためのボタンを装備するほか、天板には指紋認証でサインインなどを行なえる指紋センサーを備える。OCuLinkを備えており、市販のビデオカードを追加してグラフィックス性能やAI性能を強化することも可能。

製品名MINISFORUM AI X1 Pro
OSWindows 11 Pro
CPU(最大動作クロック)Ryzen AI 9 HX 370(12コア24スレッド)
搭載メモリ(空きスロット)DDR5 SO-DIMM PC5-44800 16GB 2基(0)
ストレージ(インターフェイス)1TB(PCI Express 4.0)
拡張ベイPCI Express 4.0対応M.2スロット 2基
通信機能IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax/be、Bluetooth v5.4
主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、DisplayPort 1基、HDMI 1基、USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 2.0 1基、Oculink
本体サイズ(実測値)195×195×42.5mm
重量約1.5kg

16コア32スレッドのRyzenと外部GPUを搭載。精悍なデザインパネルや静かな動作音にも注目

MINISFORUM AtomMan G7 Pt。最安価格:17万9,993円(Amazon.co.jp)

 16コア32スレッドに対応するAMDの強力なノートPC向けCPU「Ryzen 9 7945HX」を搭載。さらにはGPUとして「Radeon RX 7600M XT」を搭載しているため、CPU内蔵GPUを利用する一般的なミニPCと比べると文字通り桁違いのグラフィックス性能を叩き出す。側面にはLEDで光る精悍なデザインパネルを装備するほか、複数のファンや大型のヒートシンクを組み合わせた強力な冷却機構を備えており、負荷が高い状況でも静かに利用できる。

製品名MINISFORUM AtomMan G7 Pt
OSWindows 11
CPU(コア/スレッド数)Ryzen 9 7945HX(16コア/32スレッド)
搭載メモリ(空きスロット)DDR5 SO-DIMM PC5-41600 16GB 2基(0)
GPU(VRAM容量)AMD Radeon RX7600M XT(GDDR6 8GB)
ストレージ(インターフェイス)1TB(PCI Express 4.0)
拡張ベイPCI Express 4.0対応M.2スロット 1基
通信機能IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax/be、Bluetooth v5.4
主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 1基、HDMI 1基、DisplayPort 1基、Type-C USB 3.2 Gen 2(DisplayPort Alt Mode/PD対応) 1基、Type-C USB 3.2 Gen 2 1基、USB 3.2 Gen 2 4基
本体サイズ(実測値)61×153.5×268mm
重量不明

大きめなサイコロのような筐体に高性能CPUとGeForce RTX 4060Mを搭載

ACEMAGIC M1A TANK 03。最安価格:16万5,990円(直販サイト)

 サイコロのような正方形に近いデザインを採用し、CPUにはCore i9-12900H、GPUにはGeForce RTX 4060Mを搭載するというゲーミングミニPCだ。正面には動作モードを変更する大型のダイヤルボタンを装備し、ここに組み込まれたLEDによるイルミネーションも楽しい。

 強力なCPUやGPUを冷却するために、合計7本のヒートパイプや3基のファンを組み合わせた総合冷却システム「氷点冷却システム」を搭載しており、長時間のゲームプレイやAI関連の演算も安心して行なえる。

製品名ACEMAGIC M1A TANK 03
OSWindows 11 Pro
CPU(コア/スレッド数)Core i9-12900H(14コア/20スレッド)
搭載メモリ(空きスロット)DDR5 SO-DIMM PC5-38400 16GB 2基(0)
GPU(VRAM容量)NVIDIA GeForce RTX 4060M(GDDR6 8GB)
ストレージ(インターフェイス)1TB(PCI Express 3.0)
拡張ベイPCI Express 3.0対応M.2スロット 1基
通信機能IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth v5.2
主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、HDMI 2基、DisplayPort 1基、USB4 1基、USB 3.2 Gen 2 3基、USB 3.2 Gen 1 3基
本体サイズ(実測値)166.7×166.9×160.9mm
重量不明

ACEMAGIC M1A TANK 03の直販サイト

狭いアパートやマンションでも快適にミニPCを使う便利アイテム

 最後に、ミニPCを快適に利用できるようになるいくつかのアイテムを紹介しよう。前述した通り、キーボードやマウスはワイヤレスタイプがオススメだ。使わないときには本棚や机の引き出しなどにしまっておけば、机の上を自由に使える。

 ほとんどのミニPCは基本的にWebカメラは装備していないので、必要に応じてWebカメラは追加したほうが良い。Windows Helloの顔認証機能に対応するWebカメラなら、日常的な認証作業を快適に行なえるようになる。インターフェイスが少ないミニPCなら、USBハブを追加すると周辺機器をより自由に使いこなせるようになるだろう。

独自規格とBluetoothの両方に対応したワイヤレス接続のキーボード&マウス

ロジクール Signature MK650 Combo。実売価格:1万円前後

 使いやすいテンキー付きのワイヤレスキーボードと、ワイヤレスマウスのセットモデルだ。レポートを作成する際には数値を入力する機会は多くなりがちなので、個人的にはテンキー付きのフルキーボードをオススメしたい。ロジクール独自の「Logi Bolt」とBluetooth接続の両方に対応しており、スマホやタブレットと接続して利用することも可能だ。

顔認証機能対応でスムーズなサインイン。200万画素をサポートするWebカメラ

エレコム UCAM-CF20FBBK。実売価格:5,000円前後

 オンライン講義や就職活動でもビデオ会議機能を使う機会が増えており、現代のPCにWebカメラ機能は必須とも言える。さすがにWebカメラを搭載するミニPCはほぼ存在しないので、外付けのカメラを追加しよう。UCAM-CF20FBBKではWindows Hello対応のIRカメラ機能も備えており、Windows 11や各部Webブラウザのサインイン、認証作業を簡単に行なえるようになるのでオススメだ。

立体的にトレイを増やしてスペースを拡大。ミニPCや各種周辺機器を効率的に配置

KEBMCHN トレイアームスタンド。実売価格:4,000円前後

 初めて1人暮らしを始める場合、開放感はともかく部屋の狭さに悩まされる人は多いだろう。そこでオススメなのが、こうした「縦に収納スペースを広げる」アイテムだ。クランプ式なのである程度の厚みがある板ならどこにでも取り付けられて、トレイの設置場所も自由に選択できる。ミニPC本体やマウス、USBハブ、充電器などの小物をこうしたトレイにまとめておけば、机の上が乱雑になりにくい。

クランプ式でしっかり固定できる、USBハブ&メモリカードリーダ

ORICO MH5PMM。実売価格:3,000円前後

 ミドルレンジのミニPCはUSB 3.2 Gen 1以上に対応するUSBポートが少なめなので、利用する周辺機器の数によってはUSBハブで補う必要がある。このUSBハブはそうした追加のUSBポートのほか、SD/microSDカードスロットを装備しており、データのやり取りをスムーズに行なえる。またクランプ式で机にしっかり固定できるため、差し込み時にUSBハブ本体が動かないように押さえる必要がないのが便利だ。