ゲーム別GPU性能総比較
「A Plague Tale: Requiem」をGPU 22種類で性能検証!
2023年3月24日 06:30
本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第23回目は過酷な世界で必死に生きる姉弟を描くアクションアドベンチャー「A Plague Tale: Requiem」を取り上げる。
用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは6種類の合計22種類のビデオカードだ。
GeForceにはRTX 40シリーズが、RadeonにはRX 7000シリーズが登場したことで、第18回より一部カードを入れ替えた。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。
また、ベンチの様子を動画にもまとめたので、下記の動画も参考にしてほしい。
テストの条件だが、グラフィックのプリセットを最上位の「Ultra」に設定。アップスケーラーは使わずに、Resolution optimizerは「Ultra quality」に設定している。
このゲームはベンチマーク機能を備えていないので、Chapter 2の街中を60秒移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測した。今回はその測定結果から、フルHDと4Kの平均フレームレートを掲載する。
A Plague Tale: Requiemは、若い姉弟を操作し、敵に見つからないように移動するのが主体のステルスアクションアドベンチャーだ。2019年11月に発売されたA Plague Tale: Innocenceの続編となる。
14世紀のフランスを再現したグラフィックは非常に緻密で鮮やか。現在発売されているゲームの中でも屈指の美しさと言ってよいだろう。
それだけに描画負荷もトップクラスの重さだ。画質プリセットで最上位の「Ultra」設定では、フルHDであっても快適なプレイの目安を60fpsとすると、GeForce系ではRTX 3060 Ti以上、Radeon系ではRX 6600 XT以上とミドルレンジ以上が求められる。RX 6600 XTはギリギリの到達だ。エントリークラスではフルHDでもなんとか動いているというレベルだ。
それだけに4K解像度の負荷はすさまじい。平均60fpsを超えられたのはGeForce系ではRTX 4080以上、Radeon系ではRX 7900 XTXのみ。
最高画質設定で快適にプレイしたいと思った場合は、超ハイエンドクラスのGPUが必要だ。GTX 1650/1630は4K解像度でゲームを実行するとすぐに強制終了してしまう。性能&ビデオメモリ不足が原因とみられる。
なお、レイトレーシングを有効にしたり、RTXシリーズで使えるアップスケーラーの「DLSS」を使うとどうなるのか。
試しにRTX 3070を利用し、同じ画質&4K解像度でDLSSを「パフォーマンス」に設定してベンチマークを実行した。
結果は平均62.7fpsとDLSS無効時と比べて、約1.98倍もフレームレートが向上。平均60fpsを超え、快適にプレイできるパフォーマンスを見せた。
そして、DLSSパフォーマンス設定にした状態でレイトレーシングのRaytraced shadowsを有効にしてテストを実行すると、平均30.7fpsまで低下。DLSSを使ってもレイトレーシングを有効にすると、快適なプレイは一気に難しくなる。
グレード別にフルHD解像度を見ると、ミドルレンジGPU以下は平均60fpsに届かないという厳しい状況で、GeForce系ではGTX 1660 Ti/1650/1630、Radeon系ではRX 6500 XTはとくにフレームレートが出ていない。
GTX 1660 Tiは、ビデオメモリが6GBあり、ブーストクロックも高く、フルHDならばまだまだ多くのゲームで快適にプレイできる性能を持っているが、最重量級クラスのゲームの前では歯が立たなくなってきている。
ちなみに、RTX 40シリーズとRX 7000シリーズのフルHD解像度で平均フレームレートがあまり変わらないのは、Core i9-13900KFであってもCPUがボトルネックになっているためと考えられる。本ゲームはCPU負荷もかなり高いためだ。
使用PCはCore i9-13900KF搭載のパソコン工房の「LEVEL∞ R-Class」
この連載で使用しているPCはパソコン工房のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」のうち先進機能を持ち込み、カスタマイズ性も高いR-Classの「LEVEL-R779-LC139KF-RBX」だ。
CPUはCore i9-13900KF(24コア32スレッド)、マザーボードはZ790チップセット、CPUクーラーは36cmクラスの簡易水冷を採用しており、冷却力に不安はない。ビデオカードの性能測定をする上でCPUが可能な限り、ボトルネックにならないようにしている。電源については、このPCは標準だと700Wだが、推奨電源が850WのRTX 4090を扱うことも考慮し、BTOで選択できる最上位の1,200Wタイプに変更した。
なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が125W、Short Duratin Power Limit(PL2)が253WとIntelの仕様通りの設定となっていた。
ゲーム別GPU性能総比較 記事一覧
使用したビデオカード一覧
第18回の「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」より一部カードの入れ替えを行なった。RTX 40シリーズとRadeon RX 7000シリーズの追加にともなって、RX 5000シリーズをカットしたほか、RTX 3080/3070/3060 Ti/3050のカードも変更となった。一部紹介しておこう。
なお、ここで使用しているビデオカードは定格クロックでの動作が中心だが、一部OCモデルも含まれている(GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデル)。
ASUSのROG STRIXシリーズにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンス用の「Pモード」に設定。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。
また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。
GPU | 製品名 | シェーダ数(CUDA・SP) | メモリバス幅 | ビデオメモリ | ブーストクロック(定格) | カード電力(定格) |
---|---|---|---|---|---|---|
GeForce RTX 4090 | NVIDIA GeForce RTX 4090 Founders Edition | 16,384 | 384bit | GDDR6X 24GB | 2520MHz (2520MHz) | 450W (450W) |
GeForce RTX 4080 | NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition | 9,728 | 256bit | GDDR6X 16GB | 2510MHz (2510MHz) | 320W (320W) |
GeForce RTX 4070 Ti | ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC | 7,680 | 192bit | GDDR6X 12GB | 2625MHz (2610MHz) | 285W (285W) |
GeForce RTX 3080 | GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3080 MASTER 10G | 8,704 | 320bit | GDDR6X 10GB | 1845MHz (1710MHz) | 350W (320W) |
GeForce RTX 3070 | GIGABYTE GeForce RTX 3070 VISION OC 8G | 5,888 | 256bit | GDDR6 8GB | 1815MHz (1730MHz) | 220W (220W) |
GeForce RTX 3060 Ti | NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition | 4,864 | 256bit | GDDR6 8GB | 1665MHz (1665MHz) | 200W (200W) |
GeForce RTX 3060 | GIGABYTE GeForce RTX 3060 GAMING OC 12G | 3,584 | 192bit | GDDR6 12GB | 1837MHz (1777MHz) | 170W (170W) |
GeForce RTX 3050 | ASUS TUF-RTX3050-O8G-GAMING | 2,560 | 128bit | GDDR6 8GB | 1845MHz (1777MHz) | 150W (130W) |
GeForce RTX 2080 | ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING | 2,944 | 256bit | GDDR6 8GB | 1860MHz (1710MHz) | 245W (215W) |
GeForce RTX 2070 | ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI | 2,304 | 256bit | GDDR6 8GB | 1650MHz (1620MHz) | 175W (175W) |
GeForce RTX 2060 | ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO | 1,920 | 192bit | GDDR6 6GB | 1755MHz (1725MHz) | 183W (160W) |
GeForce GTX 1660 Ti | ASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING | 1,536 | 192bit | GDDR6 6GB | 1770MHz (1770MHz) | 120W (120W) |
GeForce GTX 1650 | ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK | 896 | 128bit | GDDR5 4GB | 1710MHz (1665MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1630 | ASUS PH-GTX1630-4G | 512 | 64bit | GDDR6 4GB | 1785MHz (1785MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1060 | ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition | 1,280 | 192bit | GDDR5 6GB | 1772MHz (1708MHz) | 120W (120W) |
Radeon RX 7900 XTX | Radeon RX 7900 XTXリファレンスカード | 6,144 | 384bit | GDDR6X 24GB | 2500MHz (2500MHz) | 355W (355W) |
Radeon RX 7900 XT | Radeon RX 7900 XTリファレンスカード | 5,376 | 320bit | GDDR6X 20GB | 2400MHz (2400MHz) | 315W (315W) |
Radeon RX 6900 XT | ASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING | 5,120 | 256bit | GDDR6 16GB | 2335MHz (2250MHz) | 300W (300W) |
Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800リファレンスカード | 3,840 | 256bit | GDDR6 16GB | 2105MHz (2105MHz) | 250W (250W) |
Radeon RX 6700 XT | Radeon RX 6700 XTリファレンスカード | 2,560 | 192bit | GDDR6 12GB | 2615MHz (2581MHz) | 230W (230W) |
Radeon RX 6600 XT | ASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING | 2,048 | 128bit | GDDR6 8GB | 2607MHz (2359MHz) | 160W (160W) |
Radeon RX 6500 XT | ASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition | 1,024 | 64bit | GDDR6 4GB | 2820MHz (2815MHz) | 107W(107W) |
【使用ドライバ】GeForce Game Ready 528.24、Adrenalin 22.11.2