ゲーム別GPU性能総比較

「Atomic Heart」をGPU 22種類で性能検証!

Atomic Heartの検証では、メインストーリー「新鮮な空気」のスタート地点から一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測した

 本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第24回目は架空の1955年のソビエト連邦を舞台に暴走したロボットたちと過酷な戦いを繰り広げるアクションRPG「Atomic Heart」を取り上げる。

 用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは6種類の合計22種類のビデオカードだ。GeForceにはRTX 40シリーズが、RadeonにはRX 7000シリーズが登場したことで、第18回より一部カードを入れ替えた。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。

 また、ベンチの様子を動画にもまとめたので、下記の動画も参考にしてほしい。

1~4万円台のGPUで比較
6~8万円台のGPUで比較
10~30万円台のGPUで比較

 テストの条件だが、グラフィックのプリセットを「ウルトラ」に設定。アップスケーラーは使用していない。

Atomic Heartのグラフィックス設定
画質関連をまとめて設定するカスタマイズは「ウルトラ」にし、アップスケーラーやNVIDIA Reflexは使用しない「電源オフ」とした
垂直同期は無効の「電源オフ」、最大FPSは一番上の「500」に設定した

 このゲームはベンチマーク機能を備えていないので、メインストーリー「新鮮な空気」のスタート地点から一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測した。今回はその測定結果から、フルHDと4Kの平均フレームレートを掲載する。

 Atomic Heartは、テクノロジが急速に発展し、ロボットが普及した架空世界での1955年のソビエト連邦を舞台にしたアクションRPGだ。Steam版は2023年4月13日のアップデートで日本語吹き替え音声が実装され話題となった。

 レイトレーシングには対応していないが、描画されるグラフィックは美しく、描画負荷は高め。プリセットの「ウルトラ」設定では、フルHD解像度でも快適なプレイの目安である平均60fpsを超えるには、GeForce系ではRTX 2060/3050以上、Radeon系ではRX 6600 XT以上が必要だ。

 GTX 1660 Tiでも平均60fpsに届かないと旧世代のGPUだとミドルレンジクラスでも快適なプレイは難しいとなかなか厳しい。

 高リフレッシュレートのゲーミングモニターと組み合わせて、高フレームレートのヌルヌルとした描画を楽しみたければ、RTX 3080やRX 6900 XT以上のハインエンドGPUが必要だ。

 4Kになると描画負荷は一気に高まる。平均60fpsに到達できているのは、GeForce系ではRTX 3070以上、Radeon系ではRX 6800以上とアッパーミドル以上のGPUだ。

 その中で、4Kでもアップスケーラーなど描画負荷を軽減する技術を使わずとも平均151.3fpsを叩き出すRTX 4090はまさにモンスターと言える。

 その一方でビデオメモリが4GBしかないエントリークラスのGTX 1650/1630、RX 6500 XTはまともにプレイできるフレームレートが出ていない。

 なお、RTXシリーズで使えるアップスケーラーの「DLSS」を使うとどうフレームレートが変化するのかも試しておきたい。

 ここではRTX 3070でDLSSを「パフォーマンス」に設定し、同様のベンチマークを実行した。フルHDでは平均157.3fpsと約20%、4Kでは平均95.9fpsと約60%のフレームレート向上が見られた。

 グレード別にフルHD解像度を見ると、エントリークラスは快適なプレイには遠いフレームレートしか出ていない。特にビデオメモリが4GBのGTX 1650/1630、RX 6500 XTは4Kはもちろん、フルHDでもフレームレートが低い。

 ビデオメモリの使用容量を見るとフルHDでも5.3GB前後の使用量となっており、4GBでは完全に不足でフレームレートが出ない状況だ。なお、4Kではビデオメモリ使用量は6.6GB前後までアップする。

使用PCはCore i9-13900搭載のパソコン工房の「LEVEL∞ R-Class」

 この連載で使用しているPCはパソコン工房のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」のうち先進機能を持ち込み、カスタマイズ性も高い「R-Class」の「LEVEL-R779-LC139-ULX」だ。

パソコン工房の「「LEVEL-R779-LC139-ULX」」。メモリはDDR5-4800が32GB、ストレージには1TBのNVMe SSDを搭載。標準のビデオカードはGeForce RTX 4070 Tiだ。価格は36万6,800円から(価格は掲載時のもの)

 CPUはCore i9-13900(24コア32スレッド)、マザーボードはZ790チップセット、CPUクーラーは12cmクラスの簡易水冷を採用している。電源については、このPCは標準だと850Wだが、推奨電源が850WのRTX 4090を扱うことも考慮して、BTOで選択できる1,200Wタイプに変更した。

 なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が65W、Short Duratin Power Limit(PL2)が219WとIntelの仕様通りの設定となっていた。

ゲーム別GPU性能総比較 記事一覧

使用したビデオカード一覧

 第18回の「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」より一部カードの入れ替えを行なった。RTX 40シリーズとRadeon RX 7000シリーズの追加にともなって、RX 5000シリーズをカットしている。

 また、今回からRTX 4070を加えたほか、機材調達の都合から前回からRTX 3080/3070/3060/3050のカードも変更となった。一部紹介しておこう。

RTX 30シリーズの上位GPUはGIGABYTEに協力をいただいている。写真は「AORUS GeForce RTX 3070 MASTER 8G」。3連ファンの高OC仕様で天面にはGPU情報や好きな画像、GIFなども表示できるLCDモニターを備えるリッチな作り
GeForce RTX 3060は、ASUSのDUAL-RTX3060-O12G-WHITEを使用している。2連ファンのOCモデルでホワイトカラーが一番の特徴。白で統一したPCを組みたい場合にはありがたい存在だ

 なお、ここで使用しているビデオカードのブーストクロックは定格とOCが混在している。GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデルだ。

 ASUSのROG STRIXシリーズやGIGABYTEのAORUSにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンスが高くなるモードに設定している。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。

 また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。

【表】使用GPU一覧
GPU製品名シェーダ数(CUDA・SP)メモリバス幅ビデオメモリブーストクロック(定格)カード電力(定格)
GeForce RTX 4090GeForce RTX 4090 Founders Edition16,384384bitGDDR6X 24GB2,520MHz
(2,520MHz)
450W
(450W)
GeForce RTX 4080GeForce RTX 4080 Founders Edition9,728256bitGDDR6X 16GB2,510MHz
(2,510MHz)
320W
(320W)
GeForce RTX 4070 TiZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC7,680192bitGDDR6X 12GB2,625MHz
(2,610MHz)
285W
(285W)
GeForce RTX 4070GeForce RTX 4070 Founders Edition5,888192bitGDDR6X 12GB2,475MHz
(2,475MHz)
200W
(200W)
GeForce RTX 3080GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3080 MASTER 10G8,704320bitGDDR6X 10GB1,845MHz
(1,710MHz)
350W
(320W)
GeForce RTX 3070GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3070 MASTER 8G5,888256bitGDDR6 8GB1,845MHz
(1,725MHz)
270W
(220W)
GeForce RTX 3060ASUS DUAL-RTX3060-O12G-WHITE3,584192bitGDDR6 12GB1,837MHz
(1,777MHz)
170W
(170W)
GeForce RTX 3050MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G OC2,560128bitGDDR6 8GB1,822MHz
(1,777MHz)
130W
(130W)
GeForce RTX 2080ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING2,944256bitGDDR6 8GB1,860MHz
(1,710MHz)
245W
(215W)
GeForce RTX 2070ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI2,304256bitGDDR6 8GB1,650MHz
(1,620MHz)
175W
(175W)
GeForce RTX 2060ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO1,920192bitGDDR6 6GB1,755MHz
(1,725MHz)
183W
(160W)
GeForce GTX 1660 TiASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING1,536192bitGDDR6 6GB1,770MHz
(1,770MHz)
120W
(120W)
GeForce GTX 1650ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK896128bitGDDR5 4GB1,710MHz
(1,665MHz)
75W
(75W)
GeForce GTX 1630ASUS PH-GTX1630-4G51264bitGDDR6 4GB1,785MHz
(1,785MHz)
75W
(75W)
GeForce GTX 1060ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition1,280192bitGDDR5 6GB1,772MHz
(1,708MHz)
120W
(120W)
Radeon RX 7900 XTXRadeon RX 7900 XTXリファレンスカード6,144384bitGDDR6X 24GB2,500MHz
(2,500MHz)
355W
(355W)
Radeon RX 7900 XTRadeon RX 7900 XTリファレンスカード5,376320bitGDDR6X 20GB2,400MHz
(2,400MHz)
315W
(315W)
Radeon RX 6900 XTASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING5,120256bitGDDR6 16GB2,335MHz
(2,250MHz)
300W
(300W)
Radeon RX 6800Radeon RX 6800リファレンスカード3,840256bitGDDR6 16GB2,105MHz
(2,105MHz)
250W
(250W)
Radeon RX 6700 XTRadeon RX 6700 XTリファレンスカード2,560192bitGDDR6 12GB2,615MHz
(2,581MHz)
230W
(230W)
Radeon RX 6600 XTASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING2,048128bitGDDR6 8GB2,607MHz
(2,359MHz)
160W
(160W)
Radeon RX 6500 XTASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition1,02464bitGDDR6 4GB2,820MHz
(2,815MHz)
107W
(107W)

【使用ドライバ】GeForce Game Ready 531.61、Adrenalin 23.4.1