ゲーム別GPU性能総比較
「Atomic Heart」をGPU 22種類で性能検証!
2023年4月26日 06:35
本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第24回目は架空の1955年のソビエト連邦を舞台に暴走したロボットたちと過酷な戦いを繰り広げるアクションRPG「Atomic Heart」を取り上げる。
用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは6種類の合計22種類のビデオカードだ。GeForceにはRTX 40シリーズが、RadeonにはRX 7000シリーズが登場したことで、第18回より一部カードを入れ替えた。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。
また、ベンチの様子を動画にもまとめたので、下記の動画も参考にしてほしい。
テストの条件だが、グラフィックのプリセットを「ウルトラ」に設定。アップスケーラーは使用していない。
このゲームはベンチマーク機能を備えていないので、メインストーリー「新鮮な空気」のスタート地点から一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測した。今回はその測定結果から、フルHDと4Kの平均フレームレートを掲載する。
Atomic Heartは、テクノロジが急速に発展し、ロボットが普及した架空世界での1955年のソビエト連邦を舞台にしたアクションRPGだ。Steam版は2023年4月13日のアップデートで日本語吹き替え音声が実装され話題となった。
レイトレーシングには対応していないが、描画されるグラフィックは美しく、描画負荷は高め。プリセットの「ウルトラ」設定では、フルHD解像度でも快適なプレイの目安である平均60fpsを超えるには、GeForce系ではRTX 2060/3050以上、Radeon系ではRX 6600 XT以上が必要だ。
GTX 1660 Tiでも平均60fpsに届かないと旧世代のGPUだとミドルレンジクラスでも快適なプレイは難しいとなかなか厳しい。
高リフレッシュレートのゲーミングモニターと組み合わせて、高フレームレートのヌルヌルとした描画を楽しみたければ、RTX 3080やRX 6900 XT以上のハインエンドGPUが必要だ。
4Kになると描画負荷は一気に高まる。平均60fpsに到達できているのは、GeForce系ではRTX 3070以上、Radeon系ではRX 6800以上とアッパーミドル以上のGPUだ。
その中で、4Kでもアップスケーラーなど描画負荷を軽減する技術を使わずとも平均151.3fpsを叩き出すRTX 4090はまさにモンスターと言える。
その一方でビデオメモリが4GBしかないエントリークラスのGTX 1650/1630、RX 6500 XTはまともにプレイできるフレームレートが出ていない。
なお、RTXシリーズで使えるアップスケーラーの「DLSS」を使うとどうフレームレートが変化するのかも試しておきたい。
ここではRTX 3070でDLSSを「パフォーマンス」に設定し、同様のベンチマークを実行した。フルHDでは平均157.3fpsと約20%、4Kでは平均95.9fpsと約60%のフレームレート向上が見られた。
グレード別にフルHD解像度を見ると、エントリークラスは快適なプレイには遠いフレームレートしか出ていない。特にビデオメモリが4GBのGTX 1650/1630、RX 6500 XTは4Kはもちろん、フルHDでもフレームレートが低い。
ビデオメモリの使用容量を見るとフルHDでも5.3GB前後の使用量となっており、4GBでは完全に不足でフレームレートが出ない状況だ。なお、4Kではビデオメモリ使用量は6.6GB前後までアップする。
使用PCはCore i9-13900搭載のパソコン工房の「LEVEL∞ R-Class」
この連載で使用しているPCはパソコン工房のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」のうち先進機能を持ち込み、カスタマイズ性も高い「R-Class」の「LEVEL-R779-LC139-ULX」だ。
CPUはCore i9-13900(24コア32スレッド)、マザーボードはZ790チップセット、CPUクーラーは12cmクラスの簡易水冷を採用している。電源については、このPCは標準だと850Wだが、推奨電源が850WのRTX 4090を扱うことも考慮して、BTOで選択できる1,200Wタイプに変更した。
なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が65W、Short Duratin Power Limit(PL2)が219WとIntelの仕様通りの設定となっていた。
ゲーム別GPU性能総比較 記事一覧
使用したビデオカード一覧
第18回の「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」より一部カードの入れ替えを行なった。RTX 40シリーズとRadeon RX 7000シリーズの追加にともなって、RX 5000シリーズをカットしている。
また、今回からRTX 4070を加えたほか、機材調達の都合から前回からRTX 3080/3070/3060/3050のカードも変更となった。一部紹介しておこう。
なお、ここで使用しているビデオカードのブーストクロックは定格とOCが混在している。GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデルだ。
ASUSのROG STRIXシリーズやGIGABYTEのAORUSにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンスが高くなるモードに設定している。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。
また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。
GPU | 製品名 | シェーダ数(CUDA・SP) | メモリバス幅 | ビデオメモリ | ブーストクロック(定格) | カード電力(定格) |
---|---|---|---|---|---|---|
GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 4090 Founders Edition | 16,384 | 384bit | GDDR6X 24GB | 2,520MHz (2,520MHz) | 450W (450W) |
GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 4080 Founders Edition | 9,728 | 256bit | GDDR6X 16GB | 2,510MHz (2,510MHz) | 320W (320W) |
GeForce RTX 4070 Ti | ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC | 7,680 | 192bit | GDDR6X 12GB | 2,625MHz (2,610MHz) | 285W (285W) |
GeForce RTX 4070 | GeForce RTX 4070 Founders Edition | 5,888 | 192bit | GDDR6X 12GB | 2,475MHz (2,475MHz) | 200W (200W) |
GeForce RTX 3080 | GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3080 MASTER 10G | 8,704 | 320bit | GDDR6X 10GB | 1,845MHz (1,710MHz) | 350W (320W) |
GeForce RTX 3070 | GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3070 MASTER 8G | 5,888 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,845MHz (1,725MHz) | 270W (220W) |
GeForce RTX 3060 | ASUS DUAL-RTX3060-O12G-WHITE | 3,584 | 192bit | GDDR6 12GB | 1,837MHz (1,777MHz) | 170W (170W) |
GeForce RTX 3050 | MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G OC | 2,560 | 128bit | GDDR6 8GB | 1,822MHz (1,777MHz) | 130W (130W) |
GeForce RTX 2080 | ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING | 2,944 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,860MHz (1,710MHz) | 245W (215W) |
GeForce RTX 2070 | ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI | 2,304 | 256bit | GDDR6 8GB | 1,650MHz (1,620MHz) | 175W (175W) |
GeForce RTX 2060 | ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO | 1,920 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,755MHz (1,725MHz) | 183W (160W) |
GeForce GTX 1660 Ti | ASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING | 1,536 | 192bit | GDDR6 6GB | 1,770MHz (1,770MHz) | 120W (120W) |
GeForce GTX 1650 | ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK | 896 | 128bit | GDDR5 4GB | 1,710MHz (1,665MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1630 | ASUS PH-GTX1630-4G | 512 | 64bit | GDDR6 4GB | 1,785MHz (1,785MHz) | 75W (75W) |
GeForce GTX 1060 | ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition | 1,280 | 192bit | GDDR5 6GB | 1,772MHz (1,708MHz) | 120W (120W) |
Radeon RX 7900 XTX | Radeon RX 7900 XTXリファレンスカード | 6,144 | 384bit | GDDR6X 24GB | 2,500MHz (2,500MHz) | 355W (355W) |
Radeon RX 7900 XT | Radeon RX 7900 XTリファレンスカード | 5,376 | 320bit | GDDR6X 20GB | 2,400MHz (2,400MHz) | 315W (315W) |
Radeon RX 6900 XT | ASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING | 5,120 | 256bit | GDDR6 16GB | 2,335MHz (2,250MHz) | 300W (300W) |
Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800リファレンスカード | 3,840 | 256bit | GDDR6 16GB | 2,105MHz (2,105MHz) | 250W (250W) |
Radeon RX 6700 XT | Radeon RX 6700 XTリファレンスカード | 2,560 | 192bit | GDDR6 12GB | 2,615MHz (2,581MHz) | 230W (230W) |
Radeon RX 6600 XT | ASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING | 2,048 | 128bit | GDDR6 8GB | 2,607MHz (2,359MHz) | 160W (160W) |
Radeon RX 6500 XT | ASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition | 1,024 | 64bit | GDDR6 4GB | 2,820MHz (2,815MHz) | 107W (107W) |
【使用ドライバ】GeForce Game Ready 531.61、Adrenalin 23.4.1