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今年のデルはブランド刷新だけじゃない。周辺機器やAIコンサルサービスにも意欲

 デル・テクノロジーズは3月31日に都内で記者会見を開催し、「Dell Pro」、「Dell Pro Plus」および「Dell Pro Max」シリーズの新製品を発表した。

 今回の新製品投入を持って、日本国内におけるDell Proフルラインナップの展開が完了となったほか、Dell Pro Maxについては海外でも未発表のPlusとPremiumを除いて投入が完了した。

AI PCを推進するDell Proシリーズ

 デルは法人向けにNPUを搭載した「AI PC」の推進に積極的な姿勢を示している。たとえば2024年5月にはSnapdragon搭載PCをいち早く投入したほか、2024年7月~9月期に市場出荷されたCore Ultra搭載製品のうち52%がデルだった。

 2025年にはWindows 10のEOSが控えており、特需が見込まれる中、「単なる安いPCを売るのではなく、ローカルでAIが実行できるNPUを搭載したPCのセキュリティ上のメリットなどをしっかり提案/訴求していきたい」(クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティング 部長 佐々木邦彦氏)という。

 Dellブランドへの統一も、そのAI時代を見据えた戦略に基づいて製品ポートフォリオをシンプル化する一環で実施された。エンターテインメントや学生、ビジネス向けの「Dell」からスタートし、管理されたIT環境で使用するプロ向けの「Dell Pro」、そして極限のパフォーマンスが必要なユーザー向けの「Dell Pro Max」という3つのセグメントの中で、それぞれ基本を押さえた「Base(無印)」、幅広いオプションを用意して拡張性も高い「Plus」、モバイルや先進的なデザインが特徴の「Premium」の3層に分けた。

デルの売上状況
ブランドの刷新
Dell Proのラインナップ
Dell Pro Maxのラインナップ

 さて、Dell Proシリーズの特徴の1つは、同社が「シリコンダイバシティ」と名付ける豊富なCPUオプション。つまり、Intelのみならず、AMDやQualcommも選択可能になっている点で、用途や予算に合わせて柔軟な選択肢を提供している。そのいずれもAI対応(NPUのみならず、NVIDIA GPUによるより高性能なAI性能を実現するモデルもあるが)が謳われている。

 ノートPC製品では、修理性や保守性の改善も行なわれている。ネジ止め式のUSB Type-Cコネクタを採用することで、堅牢性の向上とともにポート破損時の迅速な交換対応が可能になっている。またI/Oポートもマザーボードと別パーツ化して設置することで交換を容易とし、ファンにはダストメッシュを設け、システム内へのホコリの侵入を防ぐ工夫などを施している。

Dell Proシリーズの特徴など
Dell Pro 13 Plus
Dell Pro 16 Plus
Dell Pro 14 マグネタイト
Dell Pro 14 プラチナムシルバー
Dell Pro 16 マグネタイト
Dell Pro 16 プラチナムシルバー

 Dell Proデスクトップ製品では、筐体やファンの新設計により、タワー型の「Tower」では最大71%、スリム型の「Slim」では最大57%の静音性改善を実現。超小型の「Micro」では表面温度が最大9%低減したという。また、Dell Pro/Pro Max共通で、新設計の70ピンのコネクタをボード上に備え、Thunderbolt 4やHDMI、DisplayPort、5Gigabit Ethernet、USB 3.2 Gen 2、ミニD-Sub15ピン、シリアルポートなどを必要に応じて増設できるようにした。

 さらに、複数台のPCを1つの箱にまとめる「マルチパック・ソリューション」も導入。Microは8台、Slimは4台、Towerは3台を1つの外箱にまとめることで、ユーザーの開梱の手間や工数を削減しつつ、サステナビリティを向上させることを実現した。

 新ラインナップの導入ととも「Dell Client製品診断サイト」も公開した。これを利用すれば、数問のアンケートに答えるだけで最適な製品をおすすめするという。

Dell Proデスクトップの特徴など
Dell Client製品診断サイトが、ユーザーのニーズにあったPCを提案する

ひっそり人気となっているモニターや、デル周辺機器をまとめて管理するソフトも

 新発売となったDell ProブランドPCの説明は以上となるのだが、説明会ではDell Proブランドとなったモニターや周辺機器についても触れられた。

 デルと言えばPCだけでなくモニターも人気だ。実際、同社のモニターは全世界において12年連続でシェアNo.1を取得している。Dell Proシリーズではエントリーモデルでも多機能スタンドを装備しているモデルを多数用意していることや、Dell Pro Plusシリーズでは給電も映像入力もケーブル1本で行なえるUSB Type-Cを備えていることなどを挙げ、こうした特徴がデルの強みになっているという。

Dellブランドモニターのラインナップ

 直近で発売された中で特に注目なモデルが、「P3425WE」という3,440×1,440ドット表示対応の34型湾曲モニターだ。その最大の特徴は何と言っても「ほぼフラット」な湾曲で、曲率が3,800Rと非常に緩やかだ。これにより、曲面でありながら「CADや製図など表示物の形状を正しく見たい」ユーザーに好評だという。

ほぼフラットな曲面が特徴のP3425WE
P3425WEの実機

 また、翌営業日先交換サービス保守や、プレミアムパネル保証といったサービス、発泡スチロールを使わないコンパクトな緩衝材なども、デル製モニターが高評価な理由だとしている。

緩衝材には発泡スチロールを使わない

 デルモニターのもう1つの特徴として挙げられたのが「Dell Display and Perpheral Manager」(DDPM)と呼ばれるユーティリティだ。これは画面の分割/復元を行なってソフトの画面配置を自動化したり、モニターの輝度やコントラストの操作をマウスで行なったりできる総合ユーティリティだが、デル製のキーボード/マウス/ヘッドセットなどの設定もこのユーティリティで一元的に管理できる。

 同社の調査によれば、ユーザーの多くは周辺機器ブランドに特にこだわりを持っていないのだという。もちろん、同社のPCにおいて他社のキーボードやマウスを使用するもできるが、デルのデバイスであれば、管理者は1つのユーティリティで管理できるメリットが得られることは、訴求ポイントの1つになるだろう。

モニターやマウス、キーボードを一元管理/設定できるDell Display and Perpheral Manager

Microsoft 365 Copilotアドバイザリーサービスも展開

 Dell ProシリーズのほとんどがAI対応であり、そういう意味でデルはAI PCを積極的に推進しているといえるのだが、これは現代の企業にとって生成AIは生産性向上の手段となっているからだ。しかし企業が生成AI導入に際して導入による効果が評価できず、躊躇している可能性もある。そこでデルは、生成AIの1つであるMicrosoft 365 Copilotの導入を評価するサービスを展開する。

 1つ目は「Microsoft 365 Copilotアドバイザリーサービス」で、ユーザーの業務においてMicrosoft 365 Copilotの導入によるメリット、各部署や業務形態に最適なCopilot活用案をベストプラクティスや成功事例をもとに提案する。企業の規模や業務内容にもよるが、約1カ月の期間/150万円から提供する。

 もう1つは「ワークフォースペルソナ アセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot」で、ワークショップや現場のヒアリングを元に、ユーザーの環境を深く理解し、その生産性の最大化のためのライセンスやI PCを含めたPCデバイスの活用を提案するというもの。こちらは約2カ月の期間/500万円から提供を行なう。

 このようにデルでは、デバイスとソリューションの両方の提供を通じて、企業におけるAI PCの普及に力を注いでいくとした。

Microsoft 365 CopilotアドバイザリーサービスとMicrosoft 365 Copilotアドバイザリーサービス