Hothotレビュー

10万円ちょいの「GeForce RTX 5070」をテスト。4070 SUPERに加え3070とも比べてみた

 NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 5070」が3月5日に発売される。米国のMSRP(推奨小売価格)が549ドル、国内販売価格は10万8,800円からとアナウンスされているハイミドルクラスのGPUだ。

 今回、発売に先立って同GPUの純正ビデオカードである「GeForce RTX 5070 Founders Edition」をテストする機会を得られたので、上位モデルや従来モデルとの比較を通してその実力を確かめてみよう。

Blackwell世代のハイミドル級GPU「GeForce RTX 5070」

 GeForce RTX 5070は、Blackwellアーキテクチャに基づいてTSMC 4Nプロセスで製造されたGPUコア「GB205」を採用するハイミドルクラスのGPU。GeForce RTX 5070のGB205コアでは48基のStreaming Multiprocessor(SM)が有効化されており、6,144基のCUDAコアや192基の第5世代Tensorコア、48基の第4世代RTコアなどが利用できる。

 VRAMには28Gbps動作のGDDR7メモリを12GB搭載しており、GPUと192bitのメモリインターフェイスで接続することで672GB/sのメモリ帯域幅を実現した。電力指標のTotal Graphics Power(TGP)は250Wで、バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16。

【表1】GeForce RTX 5070の主な仕様
GPUGeForce RTX 5070GeForce RTX 5070 TiGeForce RTX 4070 SUPERGeForce RTX 3070
アーキテクチャBlackwell (GB205)Blackwell (GB203)Ada Lovelace (AD104)Ampere (GA104)
製造プロセスTSMC 4NTSMC 4NTSMC 4NSamsung 8N
SM48基70基56基46基
CUDAコア6,144基8,960基7,168基5,888基
RTコア48基 (第4世代)70基 (第4世代)56基 (第3世代)46基 (第3世代)
Tensorコア192基 (第5世代)280基 (第5世代)224基 (第4世代)184基 (第4世代)
テクスチャユニット192基280基224基184基
ROPユニット80基96基80基96基
ブーストクロック2,512MHz2,452MHz2,475MHz1,725MHz
メモリ容量12GB GDDR716GB GDDR712GB GDDR6X8GB GDDR6
メモリスピード28Gbps28Gbps21Gbps14Gbps
メモリインターフェイス192bit256bit192bit256bit
メモリ帯域幅672GB/s896GB/s504GB/s448GB/s
NVENC第9世代NVENC×1基第9世代NVENC×2基第8世代NVENC×1基第7世代NVENC×1基
NVDEC第6世代NVDEC×1基第6世代NVDEC×1基第5世代NVDEC×1基第5世代NVDEC×1基
PCI ExpressPCIe 5.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16
消費電力 (TGP)250W300W220W220W

GeForce RTX 5070 Founders Edition

 今回のテストでは、NVIDIA純正モデルであるGeForce RTX 5070 Founders Editionでパフォーマンスを計測する。

GeForce RTX 5070 Founders Edition

 GeForce RTX 5070 Founders Editionは、同世代のハイエンドGPUであるGeForce RTX 5080やGeForce RTX 5090のFounders Editionを一回り小さくしたような見た目をしており、クーラー部分には2基の冷却ファンを用いている。

 カードの動作に必要な補助電源コネクタは16ピン×1系統で、PCIe 8ピン×2系統を300W対応の16ピンに変換するアダプタが同梱されていた。映像出力端子はDisplayPort 2.1b 3基とHDMI 2.1b 1基。

2基の冷却ファンを搭載したGPUクーラーを搭載
基板裏面部分はバックプレートで覆われており、黒いヒートシンク部分は冷却ファンの風が通過する
GeForce RTX 5070 Founders Editionは2スロットを占有する
補助電源コネクタは16ピン(300W対応)×1系統
PCIe 8ピン×2系統から16ピン(300W対応)に変換するケーブルが同梱されている
ブラケット部の映像出力端子はDisplayPort 2.1b(3基)とHDMI 2.1b(1基)
GeForce RTX 5070 Founders EditionのGPU-Z実行画面

比較用GPUとテスト環境

 今回、GeForce RTX 5070の比較相手として用意したのは、上位モデルであるGeForce RTX 5070 Tiを搭載するPalitのビデオカード「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」と、従来モデルの「GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition」および「GeForce RTX 3070 Founders Edition」。

Palit GeForce RTX 5070 Ti GamingPro
Palit GeForce RTX 5070 Ti GamingProのGPU-Z実行画面
GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition
GeForce RTX 4070 SUPER Founders EditionのGPU-Z実行画面
GeForce RTX 3070 Founders Edition
GeForce RTX 3070 Founders EditionのGPU-Z実行画面
【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPUGeForce RTX 5070GeForce RTX 5070 TiGeForce RTX 4070 SUPERGeForce RTX 3070
ビデオカードベンダーNVIDIAPalit MicrosystemsNVIDIANVIDIA
製品型番Founders EditionGeForce RTX 5070 Ti GamingProFounders EditionFounders Edition
ベースクロック2,325MHz2,295MHz1,980MHz1,500MHz
ブーストクロック2,512MHz2,452MHz2,475MHz1,725MHz
メモリ容量12GB GDDR716GB GDDR712GB GDDR6X8GB GDDR6
メモリスピード28Gbps28Gbps21Gbps14Gbps
メモリインターフェイス192bit256bit192bit256bit
メモリ帯域幅672GB/s896GB/s504GB/s448GB/s
PCI ExpressPCIe 5.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16
Power Limit250W300W220W220W
温度リミット不明不明83℃83℃
Resizable BAR有効有効有効有効
GPUドライバGRD 572.50 (32.0.15.7250)GRD 572.47 (32.0.15.7247)GRD 572.47 (32.0.15.7247)GRD 572.47 (32.0.15.7247)

 GeForce RTX 5070のテストに用いるのは、最高峰のゲーミングCPUである「Ryzen 7 9800X3D」とASUSの「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」を組み合わせたAMD X870環境だ。そのほかの機材や条件については以下の通り。

3D V-Cacheを搭載する8コア/16スレッドCPU「Ryzen 7 9800X3D」
AMD X870チップセット搭載マザーボード「ASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」
【表3】テスト機材
CPURyzen 7 9800X3D (8コア/16スレッド)
CPUリミット設定PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=95℃
CPUアンコア設定MCLK=UCLK=2,800MHz、FCLK=2,000MHz
マザーボードASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI [BIOS=v1104]
メモリDDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-90、1.1V)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
ゲーム用SSDCFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB4 40Gbps)
CPUクーラーASUS TUF GAMING LC 240 ARGB (ファンスピード=100%)
電源玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
ディスプレイ3,840×2,160ドット、60Hz
OSWindows 11 Pro 24H2 (build 26100.3194、VBS有効)
電源プランバランス
計測HWiNFO64 Pro v8.20、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約24℃

ベンチマーク結果

 ここからは、ベンチマークテストの結果を確認していく。今回実施したベンチマークテストは以下の通り。

  • 3DMark
  • ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
  • STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
  • サイバーパンク2077
  • ホグワーツ・レガシー
  • フォートナイト
  • オーバーウォッチ 2
  • ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
  • エルデンリング
  • Forza Horizon 5
  • F1 24
  • Microsoft Flight Simulator 2024
  • モンスターハンターワイルズ ベンチマーク
  • UL Procyon
  • Blender Benchmark
  • Adobe Camera Raw

3DMark「Speed Way」

 3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」において、GeForce RTX 5070は全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約24%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約11%、GeForce RTX 3070を約63%上回った。

3DMark「Speed Way」

3DMark「Steel Nomad」

 3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。

 高負荷テストのSteel Nomadにおいて、GeForce RTX 5070は全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約23%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約8%、GeForce RTX 3070を約55%上回った。

3DMark「Steel Nomad」

 GeForce RTX 5070は、軽量なSteel Nomad Lightでも全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約25%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約5%、GeForce RTX 3070を約56%上回った。

3DMark「Steel Nomad Light」

3DMark「Port Royal」

 3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」において、GeForce RTX 5070は全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約27%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約7%、GeForce RTX 3070を約65%上回った。

3DMark「Port Royal」

3DMark「Solar Bay」

 3DMarkの比較的軽量なレイトレーシングテスト「Solar Bay」において、GeForce RTX 5070は全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約24%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約3%、GeForce RTX 3070を約56%上回った。

3DMark「Solar Bay」

3DMark「Wild Life」

 3DMarkのVulanテスト「Wild Life」では、通常のWild Lifeと、より高負荷なWild Life Extremeを実行した。

 GeForce RTX 5070はGPU負荷の軽いWild Lifeで全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約14%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約2%、GeForce RTX 3070を約58%上回った。

 高負荷版のWild Life ExtremeでもGeForce RTX 5070が全体2番手のスコアを記録しており、GeForce RTX 5070 Tiを約25%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約6%、GeForce RTX 3070を約51%上回った。

3DMark「Wild Life」

3DMark「NVIDIA DLSS feature test」

 DLSS性能を計測する「NVIDIA DLSS feature test」 を実行した結果が以下の通り。なお、テストの画面解像度は4K/2160p(3,840×2,160ドット)で、DLSS超解像の設定は「Performance」。なお、今回実行したテストではフレーム生成が必須であるためGeForce RTX 3070はスコアを取得できていない。

 「DLSSオフ」時のGeForce RTX 5070は30fps強のフレームレートを記録しており、DLSS 3の超解像とフレーム生成を利用すると約3.7倍の110.59fpsに増加している。DLSS 4ではフレーム生成「2X」で約3.9倍の116.95fps、「3X」なら約5.3倍の158.73fps、「4X」では約6.4倍の194.29fpsを記録した。

 DLSS使用時のフレームレートは上位のGeForce RTX 5070 Tiを約24%下回っているが、DLSSの使用によるフレームレートの増加率はGeForce RTX 5070の方が若干高く、DLSSの効果自体は上位モデルとそん色ない。また、フレーム生成「2X」のフレームレートは同条件のGeForce RTX 4070 SUPERを8~13%上回った。

3DMark「NVIDIA DLSS feature test」 (DLSSオフ/DLSSオン)

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、描画設定を「最高品質」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 5070はすべての条件で比較製品中2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを11~21%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約3~10%、GeForce RTX 3070を46~51%上回った。

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク「スコア」
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク「平均フレームレート」

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール

 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、グラフィックスプリセットを最高の「HIGHEST」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 5070はWQHD/1440p以下の条件で上限フレームレートに達するパフォーマンスを発揮。4K/2160pではBATTLE HUBとWORLD TOURでフレームレートの低下が生じているが、GeForce RTX 4070 SUPERを約5%、GeForce RTX 3070を約53%上回った。

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール「フルHD/1080p」
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール「WQHD/1440p」
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール「4K/2160p」

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でDLSSフレーム生成の設定を変更しながらベンチマークモードを実行した。なお、DLSS超解像についてはDLSS 4で導入されたTransformerモデルを使用している。

 GeForce RTX 5070は、同じくDLSS 4のマルチフレーム生成に対応するGeForce RTX 5070 Tiを20~26%下回ったが、上位モデルと同じ様にDLSS 4のマルチフレーム生成でフレームレートが向上している様子を確認できた。

 一方、GeForce RTX 5070は同じ条件でテストを実行したGeForce RTX 4070 SUPERを2~4%という僅差ながら下回っている。なお、同条件のGeForce RTX 3070は70~83%上回った。

サイバーパンク2077「フルHD/1080p」
サイバーパンク2077「WQHD/1440p」
サイバーパンク2077「4K/2160p」

ホグワーツ・レガシー

 ホグワーツ・レガシーでは、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でDLSSフレーム生成の設定を変更しながら平均フレームレートを計測した。なお、フレームレートの計測はCPUボトルネックが生じにくい飼育場で実施している。

 同条件でのフレームレートを比較すると、GeForce RTX 5070はGeForce RTX 5070 Tiを19~23%下回る一方、GeForce RTX 4070 SUPERとはほぼ同等で、GeForce RTX 3070を82~95%上回った。

ホグワーツ・レガシー「フルHD/1080p」
ホグワーツ・レガシー「WQHD/1440p」
ホグワーツ・レガシー「4K/2160p」

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックスプリセット「最高」をベースに、超解像とNaniteおよびLumenを無効化したアンチエイリアス「TAA」設定と、NaniteとLumen(ハードウェアレイトレーシング)を有効化してDLSS超解像を行なう設定でフレームレートを計測した。

 Nanite/Lumen無効時のGeForce RTX 5070は全体2番手の平均フレームレートを記録。GeForce RTX 5070 Tiを16~22%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを5~9%、GeForce RTX 3070を46~48%上回った。

 Naniteを有効にしてLumenを最高品質に設定した条件でもGeForce RTX 5070は全体2番手のパフォーマンスを発揮。GeForce RTX 5070 Tiを13~20%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを7~10%、GeForce RTX 3070を47~65%上回った。

フォートナイト│Nanite/Lumen「無効」
フォートナイト│Nanite/Lumen「有効」

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、グラフィックスプリセットを最高の「エピック」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fpsで、グラフィックスAPIは「DirectX 12」。

 GeForce RTX 5070の平均フレームレートはすべての条件で比較製品中2番手となっており、GeForce RTX 5070 Tiを17~25%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを8~20%、GeForce RTX 3070を53~61%上回った。

オーバーウォッチ 2

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

 ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは120fps。

 WQHD/1440p以下の解像度ではGeForce RTX 3070以外は上限フレームレートを維持しており、4K/2160pではGeForce RTX 5070 Tiのみが上限フレームレートを維持している。4K/2160pにおいてGeForce RTX 5070は全体2番手となる101.5fpsを記録しており、GeForce RTX 5070 Tiを約15%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約14%、GeForce RTX 3070を約55%上回った。

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

エルデンリング

 エルデンリングでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、レイトレーシングを「無効」または「最高」に設定した場合の平均フレームレートを、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。

 レイトレーシングを「最高」で有効にした条件において、GeForce RTX 5070のフレームレートは比較製品中3番手となっており、GeForce RTX 5070 Tiを約1~16%、GeForce RTX 4070 SUPERを1~5%下回り、GeForce RTX 3070を約35~50%上回った。

 レイトレーシング無効時のGeForce RTX 5070はすべての解像度で上限フレームレートに達しており、同様に上限フレームレートに達したGeForce RTX 5070 TiとGeForce RTX 4070 SUPERとの差はついておらず、51.5fpsを記録したGeForce RTX 3070を約16%上回った。

エルデンリング│レイトレーシング「有効」
エルデンリング│レイトレーシング「無効」

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、グラフィックプリセットを最高の「エクストリーム」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 5070はすべての解像度で比較製品中2番手の平均フレームレートを記録。GeForce RTX 5070 Tiを15~20%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを5~11%、GeForce RTX 3070を46~51%上回った。

Forza Horizon 5

F1 24

 F1 24では、グラフィックプリセットを最高の「超高」、DLSS超解像とフレーム生成(DLSS FG)を有効に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。なお、DLSS FG非対応のGeForce RTX 3070はフレーム生成なしでの結果である点に注意してほしい。

 ここでのGeForce RTX 5070はGeForce RTX 5070 Tiを24~27%、GeForce RTX 4070 SUPERを1~8%下回り、同条件でテストを実行した3製品中最下位の結果となっている。

F1 24

Microsoft Flight Simulator 2024

 Microsoft Flight Simulator 2024では、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、アンチエイリアスを「DLSS」、フレーム生成を有効に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。なお、GeForce RTX 3070のみフレーム生成なしでの結果となっている。

 GeForce RTX 5070はGeForce RTX 5070 Tiを16~24%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを11~13%上回った。

Microsoft Flight Simulator 2024

モンスターハンターワイルズ ベンチマーク

 モンスターハンターワイルズ ベンチマークでは、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、レイトレーシングを「高」、超解像を「DLSS(クオリティ)」、フレーム生成を「オン」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でテストを実行した。なお、GeForce RTX 3070のみフレーム生成なしでの結果となっている。

 GeForce RTX 5070が記録したスコアはGeForce RTX 5070 Tiを20~32%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを4~10%上回った。

モンスターハンターワイルズ ベンチマーク「スコア」
モンスターハンターワイルズ ベンチマーク「平均フレームレート」

UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」

 UL Procyonの「AI Computer Vision Benchmark」では、Windows ML(float16)とTensorRT(float16)でテストを実行した。なお、UL Procyonが本テストで利用するTensorRTがGeForce RTX 50シリーズ未対応バージョンであるため、GeForce RTX 50シリーズはWindows MLでのスコアしか計測できていない。

 Windows ML利用時のGeForce RTX 5070のスコアは「2,124」で、同じ条件のGeForce RTX 5070 Tiを約10%下回る一方、GeForce RTX 4070 SUPERを約5%、GeForce RTX 3070を約41%上回った。

UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion 1.5」

 画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、512×512ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion 1.5 (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。なお、テスト側のTensorRTバージョンが古いため、GeForce RTX 50シリーズはTensorRTでテストを実行できなかった。

 ONNX Runtime利用時のGeForce RTX 5070のスコアは同条件で3番手となる「2,061」で、GeForce RTX 5070 Tiを約26%、GeForce RTX 4070 SUPERを約4%下回り、GeForce RTX 3070を約54%上回った。

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion 1.5 (FP16)」│スコア
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion 1.5 (FP16)」│生成時間

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion XL」

 画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、1,024×1,024ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion XL (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。なお、テスト側のTensorRTバージョンが古いため、GeForce RTX 50シリーズはTensorRTでテストを実行できなかった。

 ONNX Runtime利用時のGeForce RTX 5070のスコアは同条件で3番手となる「1,626」で、GeForce RTX 5070 Tiを約32%、GeForce RTX 4070 SUPERを約6%下回った。一方、GeForce RTX 3070を約789%という大差で上回っているが、これはGeForce RTX 3070でVRAM容量不足による致命的な性能低下が生じたためだ。

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion XL (FP16)」│スコア
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion XL (FP16)」│生成時間

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - FLUX.1」

 NVIDIA提供のUL Procyon「AI Image Generation Benchmark - FLUX.1」では、GeForce RTX 50シリーズ対応のTensorRTを利用して画像生成AI「FLUX.1」を実行し、FP8またはFP4での画像生成パフォーマンスを計測した。

 FP8において、まともな速度で画像を生成できたのは16GBのVRAMを備えるGeForce RTX 5070 Tiのみで、GeForce RTX 5070とGeForce RTX 3070はエラーでテストを完了できず、一応テストを完走したGeForce RTX 4070 SUPERも1枚の生成に9分近く掛かっていた。

 一方、使用するメモリ容量を抑えられるFP4ではGeForce RTX 5070が1枚あたり13.167秒を記録。この生成速度はGeForce RTX 5070 Tiを約12%下回るものだが、従来モデルのGeForce RTX 4070 SUPERを202%も上回るものだった。FP4精度の演算にネイティブ対応したBlackwellアーキテクチャの強みを確認できる結果だ。

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark」│FLUX.1

UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」

 UL Procyonの「AI Text Generation Benchmark」は、LLMを用いたテキスト生成のパフォーマンスを計測するテストだ。

 GeForce RTX 5070はすべてのテストで全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを17~38%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを1~11%、GeForce RTX 3070を26~423%上回った。なお、GeForce RTX 3070との大差はLLAMA 2で生じたもので、これはGeForce RTX 3070のVRAM容量不足によるものだ。

UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」

UL Procyon「Photo Editing Benchmark」

 UL Procyonの「Photo Editing Benchmark」は、Adobeの画像編集ソフト「Photoshop」と「Lightroom Classic」でのパフォーマンスを計測するテスト。

 GeForce RTX 5070は総合スコアで全体2番手となる「10,599」を記録。GeForce RTX 5070 Tiを約3%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約2%、GeForce RTX 3070を約5%上回った。

 サブスコアのレタッチではなぜかGeForce RTX 3070をわずかに下回る全体3番手となっているが、バッチ処理では全体2番手を記録している。

UL Procyon「Photo Editing Benchmark」

Blender Benchmark

 3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトであるBlender Benchmarkでは、3つのシーンのレンダリング速度を計測した。テストに使用したBlenderのバージョンはv4.3.0。

 GeForce RTX 5070は上位モデルのGeForce RTX 5070 Tiを15~21%下回る一方、GeForce RTX 4070 SUPERとはシーン毎に優劣が分かれる結果となっている。monsterではGeForce RTX 4070 SUPERを約4%下回り、junkshopでは逆に12%上回り、classroomでは僅かに下回った。なお、GeForce RTX 3070を82~98%と大きく上回っている。

Blender Benchmark

Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」

 Adobe Camera Rawで、2,400万画素のRAWファイル20枚にAIノイズ除去を実行したさいの処理速度を比較した結果が以下のグラフ。

 GeForce RTX 5070の1分あたりの処理枚数は「13.43枚」で全体2番手の速度を記録。GeForce RTX 5070 Tiを約22%下回る一方で、GeForce RTX 4070 SUPERを約12%、GeForce RTX 3070を約57%上回った。

Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」

システム消費電力と電力効率

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 GeForce RTX 5070のアイドル時最小消費電力は88.5Wで、上位のGeForce RTX 5070 Tiより9Wほど低い一方、同じFounders EditionのGeForce RTX 4070 SUPER(86.4W)やGeForce RTX 3070(87.2W)と同程度だった。

 ベンチマークテスト実行中にGeForce RTX 5070が記録した平均消費電力は256.7~354.9Wで、320.1~437.8WだったGeForce RTX 5070 Tiより大幅に低く、GeForce RTX 4070 SUPERやGeForce RTX 3070に近い数値となっている。

システム消費電力 (平均/最大)│[1/2]
システム消費電力 (平均/最大)│[2/2]

 システムの平均消費電力でベンチマークスコアを割ることによって求めたワットパフォーマンスを、GeForce RTX 4070 SUPERを基準に指数化したものが以下のグラフ。

 GeForce RTX 5070のワットパフォーマンスはGeForce RTX 4070 SUPER比で99~106%。製造プロセスが古いGeForce RTX 3070より明らかに高効率ではあるが、同じTSMC 4Nで製造されたGeForce RTX 4070 SUPERと大差はないようだ。

ワットパフォーマンス (GeForce RTX 4070 SUPER比)

負荷テスト実行中のモニタリングデータ

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使用して、3DMarkのSteel Nomad Stress Test実行中のモニタリングデータを取得した結果が以下のグラフ。

 テスト中のGeForce RTX 5070 Tiは、電力リミットの上限に達する平均249.7W(最大253.5W)を消費しながら動作しており、この時のGPU温度は平均73.7℃(最大76℃)、VRAM温度は平均73.4℃(最大76℃)で、GPUクロックは平均2,708MHz(最大2,797MHz)、VRAMクロックは平均2,334MHz(最大2,334MHz)だった。

GPU/VRAM温度 (平均/最大)│3DMark「Steel Nomad Stress Test」
消費電力 (平均/最大)│3DMark「Steel Nomad Stress Test」
動作クロック (平均/最大)│3DMark「Steel Nomad Stress Test」
GeForce RTX 5070 Ti (16GB)のモニタリングデータ│3DMark「Steel Nomad Stress Test」
GeForce RTX 4070 Ti (12GB)のモニタリングデータ│3DMark「Steel Nomad Stress Test」

本格的なゲーミング性能を有するハイミドル級GPU

 599ドルのハイミドル級GPUであるGeForce RTX 5070は、準ハイエンドクラスのGeForce RTX 5070 Tiとの間に2割以上という大きな差があるものの、WQHD/1440p以上の高精細やハイフレームレートで本格的にゲームを楽しめる実力は備えている。

 より多くのCUDAコアを有するGeForce RTX 4070 SUPERにやや及ばないテスト結果も散見されたが、DLSS 4のマルチフレーム生成やFP4精度演算のネイティブサポートなどの新機軸が生かせる場面では優位性を示していた。

 ゲーミングPCを新たに構築する場合や、GeForce RTX 30シリーズ以前の旧世代GPUから乗り換える場合には、新世代のハイミドル級GPUであるGeForce RTX 5070が有力な選択肢の1つとなるだろう。

【ゲーマーが買う価値はあるのか?「GeForce RTX 5070」徹底解説SP】

 3月5日の発売を控えた新GPU「GeForce RTX 5070」を徹底解説。今回も発売日には争奪戦が予想されるので、しっかり情報を仕入れてください!