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新GPU「Radeon RX 9070 XT」が3月7日発売。一足早くRDNA 4のお手並み拝見
2025年3月5日 23:00
RDNA 4アーキテクチャを採用するAMDの新世代GPU「Radeon RX 9070 XT」と「Radeon RX 9070」が3月7日より発売される。それぞれ市場販売想定価格が599ドルと549ドルに設定されている準ハイエンドクラスのGPUだ。
今回、発売に先立って両GPUを搭載するビデオカードをテストする機会を得られたので、ライバルと目されるGeForce RTX 5070シリーズなどとの比較を通してその性能を確かめてみた。
RDNA 4世代の準ハイエンドGPU「Radeon RX 9070」シリーズ
準ハイエンドGPUであるRadeon RX 9070 XTと、その下位モデルとなるRadeon RX 9070は、AMDの新世代GPUアーキテクチャであるRDNA 4を採用する「Radeon RX 9000」シリーズ最初の製品で、いずれもTSMC N4Pプロセスで製造されたGPUコアを採用している。
Radeon RX 9070 XTのGPUコアでは64基のコンピュートユニットが有効化されており、4,096基のストリームプロセッサや64基のRay Accelerator、128基のAI Acceleratorなどが利用できる。Infinity Cacheは64MBで、VRAMとして20Gbps動作のGDDR6メモリを16GB搭載。バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16で、電力指標のTBP(Total Board Power)は304W。市場販売想定価格(SEP)は599ドル。
下位モデルであるRadeon RX 9070のGPUコアでは56基のコンピュートユニットが有効化されており、3,584基のストリームプロセッサや56基のRay Accelerator、112基のAI Acceleratorなどが利用できる。Infinity Cacheは64MBで、VRAMとして20Gbps動作のGDDR6メモリを16GB搭載。バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16で、TBPは220W。市場販売想定価格(SEP)は549ドル。
【表1】Radeon RX 9070 シリーズの主な仕様 | |||
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GPU | Radeon RX 9070 XT | Radeon RX 9070 | Radeon RX 7900 GRE |
アーキテクチャ | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 3 |
製造プロセス | TSMC N4P | TSMC N4P | 5nm GCD + 6nm MCD |
コンピュートユニット | 64基 | 56基 | 80基 |
ストリームプロセッサ | 4,096基 | 3,584基 | 5,120基 |
Ray Accelerators | 64基 | 56基 | 80基 |
AI Accelerators | 128基 | 112基 | 160基 |
ROPユニット | 128基 | 128基 | 160基 |
ゲームクロック | 2,400MHz | 2,070MHz | 1,880MHz |
ブーストクロック | 2,970MHz | 2,520MHz | 2,245MHz |
Infinity Cache | 64MB | 64MB | 64MB |
メモリ容量 | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 |
メモリスピード | 20Gbps | 20Gbps | 18Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 640GB/s | 640GB/s | 576GB/s |
PCI Express | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TBP) | 304W | 220W | 260W |
希望小売価格 | 599ドル | 549ドル | 549ドル |
ASRock製のRadeon RX 9070シリーズ搭載ビデオカードをテスト
今回テストするのは、Radeon RX 9070シリーズを搭載するASRock製ビデオカードだ。テスト結果を紹介する前にそれぞれの特徴を簡単に紹介しよう。
ASRock Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC
上位モデルのRadeon RX 9070 XTを搭載するビデオカードがASRockの「Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC」だ。3基の冷却ファンを備える大型GPUクーラーを搭載したハイエンド仕様で、GPUのブーストクロックは2,970MHzから3,100MHzに引き上げられている。
動作に必要な補助電源コネクタは16ピン×1系統で、PCIe 8ピン×3系統を450W対応の16ピンに変換するアダプタが同梱されていた。映像出力端子はDisplayPort 2.1b 3基とHDMI 2.1b 1基。
ASRock Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC
下位モデルのRadeon RX 9070を搭載するのは、ASRockの「Radeon RX 9070 XT Steel Legend 16GB」。堅牢性を特徴とするSteel Legendブランドのビデオカードで、3スロットを占有するトリプルファンGPUクーラーを搭載。GPUのブーストクロックは2,520MHzから2,700MHzに引き上げられている。
動作に必要な補助電源コネクタはPCIe 8ピン×2系統で、映像出力端子はDisplayPort 2.1a(3基)とHDMI 2.1b(1基)。
比較用GPUとテスト環境
Radeon RX 9070シリーズの比較相手として用意したGPUは、従来の準ハイエンドGPU「Radeon RX 7900 GRE」と、ライバルと目されるNVIDIAの「GeForce RTX 5070 Ti」および「GeForce RTX 5070」。
各GPUを搭載するビデオカードは、Radeon RX 7900 GREはSapphireの「NITRO+ AMD Radeon RX 7900 GRE」で、GeForce RTX 5070 TiはPalitの「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」、GeForce RTX 5070はNVIDIA純正の「Founders Edition」。各ビデオカードのテスト時動作仕様は以下の通り。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | |||||
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GPU | Radeon RX 9070 XT | Radeon RX 9070 | Radeon RX 7900 GRE | GeForce RTX 5070 Ti | GeForce RTX 5070 |
ビデオカードベンダー | ASRock | ASRock | Sapphire | Palit Microsystems | NVIDIA |
製品型番 | Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC | Radeon RX 9070 XT Steel Legend 16GB | NITRO+ AMD Radeon RX 7900 GRE | GeForce RTX 5070 Ti GamingPro | Founders Edition |
ベースクロック | 1,870MHz | 1,440MHz | 1,681MHz | 2,295MHz | 2,325MHz |
ゲームクロック | 2,570MHz | 2,210MHz | 2,052MHz | ─ | ─ |
ブーストクロック | 3,100MHz | 2,700MHz | 2,391MHz | 2,452MHz | 2,512MHz |
メモリ容量 | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR7 | 12GB GDDR7 |
メモリスピード | 20Gbps | 20Gbps | 18Gbps | 28Gbps | 28Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit | 192bit |
メモリ帯域幅 | 640GB/s | 640GB/s | 576GB/s | 896GB/s | 672GB/s |
PCI Express | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 |
Power Limit | 340W | 245W | 持続=244W、短期=292W | 300W | 250W |
温度リミット | 110℃ (Hotspot) | 110℃ (Hotspot) | 110℃ (Hotspot) | 不明 | 不明 |
Resizable BAR | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | Adrenaline 24.30.31.03 (32.0.13031.3005) | Adrenaline 24.30.31.03 (32.0.13031.3005) | Adrenaline 25.2.1 (32.0.12033.5029) | GRD 572.47 (32.0.15.7247) | GRD 572.50 (32.0.15.7250) |
Radeon RX 9070シリーズのテストに用いるのは、最高峰のゲーミングCPUである「Ryzen 7 9800X3D」とASUSの「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」を組み合わせたAMD X870環境だ。そのほかの機材や条件については以下の通り。
【表3】テスト機材 | |
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CPU | Ryzen 7 9800X3D (8コア/16スレッド) |
CPUリミット設定 | PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=95℃ |
CPUアンコア設定 | MCLK=UCLK=2,800MHz、FCLK=2,000MHz |
マザーボード | ASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI [BIOS=v1104] |
メモリ | DDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-90、1.1V) |
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) |
ゲーム用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB4 40Gbps) |
CPUクーラー | ASUS TUF GAMING LC 240 ARGB (ファンスピード=100%) |
電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum) |
ディスプレイ | 3,840×2,160ドット、60Hz |
OS | Windows 11 Pro 24H2 (build 26100.3194、VBS有効) |
電源プラン | バランス |
計測 | HWiNFO64 Pro v8.20、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 |
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果
ここからは、ベンチマークテストの結果を確認していく。今回実施したベンチマークテストは以下の通り。
- 3DMark
- ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
- STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
- モンスターハンターワイルズ ベンチマーク
- サイバーパンク2077
- フォートナイト
- オーバーウォッチ 2
- ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
- エルデンリング
- Forza Horizon 5
- F1 24
- Microsoft Flight Simulator 2024
- UL Procyon
- Blender
- Adobe Camera Raw
3DMark「Speed Way」
3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」において、Radeon RX 9070 XTは全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約15%下回る一方で、Radeon RX 9070を約9%、Radeon RX 7900 GREを約45%、GeForce RTX 5070を約10%上回った。
3DMark「Steel Nomad」
3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。
高負荷テストのSteel Nomadにおいて、Radeon RX 9070 XTのスコアは全体ベストを記録しており、Radeon RX 9070を約19%、Radeon RX 7900 GREを約50%、GeForce RTX 5070 Tiを約12%、GeForce RTX 5070を約45%上回った。
軽量なSteel Nomad LightでのRadeon RX 9070 XTはGeForce RTX 5070 Tiに逆転され全体2番手に後退。GeForce RTX 5070 Tiを約15%下回る一方で、Radeon RX 9070を約17%、Radeon RX 7900 GREを約22%、GeForce RTX 5070を約17%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」において、Radeon RX 9070 XTは全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約2%下回る一方で、Radeon RX 9070を約17%、Radeon RX 7900 GREを約52%、GeForce RTX 5070を約34%上回った。
3DMark「Solar Bay」
3DMarkの比較的軽量なレイトレーシングテスト「Solar Bay」において、Radeon RX 9070 XTは全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを約11%下回る一方で、Radeon RX 9070を約13%、Radeon RX 7900 GREを約29%、GeForce RTX 5070を約18%上回った。
3DMark「Wild Life」
3DMarkのVulanテスト「Wild Life」では、通常版のWild Lifeと高負荷版のWild Life Extremeを実行した。
Radeon RX 9070 XTはGPU負荷の軽いWild Lifeで全体3番手のスコアを記録。Radeon RX 7900 GREを約2%、GeForce RTX 5070 Tiを約14%下回る一方で、Radeon RX 9070を約2%上回り、GeForce RTX 5070とほぼ同等だった。
高負荷版のWild Life ExtremeでのRadeon RX 9070 XTは全体2番手のスコアを記録しており、GeForce RTX 5070 Tiを約6%下回る一方で、Radeon RX 9070を約12%、Radeon RX 7900 GREを約24%、GeForce RTX 5070を約10%上回った。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、描画設定を「最高品質」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。
Radeon RX 9070 XTはすべての解像度で比較製品中2番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを9~21%下回る一方で、Radeon RX 9070を6~9%、Radeon RX 7900 GREを7~21%、GeForce RTX 5070を1~4%上回った。
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、グラフィックプリセットを最高の「HIGHEST」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。
Radeon RX 9070 XTはすべての解像度で上限フレームレートを維持しており、Radeon RX 9070も4K/2160pのBATTLE HUBとWORLD TOURで僅かなフレームレート低下しか起こしていない。
4K/2160pのBATTLE HUBとWORLD TOURではRadeon RX 7900 GREとGeForce RTX 5070が120fpsを下回っており、Radeon RX 9070シリーズがこれらに対する優位性を示した格好だ。
モンスターハンターワイルズ ベンチマーク
モンスターハンターワイルズ ベンチマークでは、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、レイトレーシングを「高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で超解像やフレーム生成の設定を変更しながらスコアと平均フレームレートを取得した。
なお、モンスターハンターワイルズはML(機械学習)ベースの超解像を行う「FSR 4」が利用可能なタイトルなので、同技術が利用可能なRadeon RX 9070シリーズではFSR 4でのテストを実行した。また、参考までにGeForce RTX 5070シリーズはDLSS利用時のデータも取得している。
フルHD/1080pにおいて、Radeon RX 9070 XTは同条件(FXAA+TAA、FSR 3)でテストを実行したGPUの中で最高のスコアを記録しており、Radeon RX 9070を5~7%、Radeon RX 7900 GREを32~35%、GeForce RTX 5070 Tiを17~19%、GeForce RTX 5070を35~43%上回った。
なお、FSR 4利用時のスコアはFSR 3利用時に比べ1%ほど低下している。MLベースのFSR 4はRDNA 4アーキテクチャのAI Acceleratorを活用して画質を大幅に強化するとしている一方、FSR 3.1比でのパフォーマンス向上を強調しているわけではない。少なくともテスト時点のモンスターハンターワイルズにおいては、FSR 3.1と同等のパフォーマンスを維持しながら画質を向上させる技術として機能しているようだ。
WQHD/1440pでもRadeon RX 9070 XTは同条件で最高のスコアを記録しており、Radeon RX 9070を8~10%、Radeon RX 7900 GREを約38%、GeForce RTX 5070 Tiを16~19%、GeForce RTX 5070を46~47%上回った。
WQHD/1440pにおけるFSR 4利用時のスコアは、Radeon RX 9070 XTで約1%、Radeon RX 9070では約2%、それぞれFSR 3利用時を下回っている。
4K/2160pでもRadeon RX 9070 XTは同条件で最高のスコアを記録しており、Radeon RX 9070を11~12%、Radeon RX 7900 GREを約45%、GeForce RTX 5070 Tiを8~14%、GeForce RTX 5070を43~53%上回った。
4K/2160pにおけるFSR 4利用時のスコアは、Radeon RX 9070 XTで約4%、Radeon RX 9070では約3%、それぞれFSR 3利用時を下回っている。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、グラフィックプリセットを最高の「レイトレーシング:オーバードライブ」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で超解像やフレーム生成の設定を変更しながらベンチマークモードを実行した。
超解像「FSR 3」でフレーム生成を「オフ」にした条件において、Radeon RX 9070 XTはすべての解像度で全体3番手の平均フレームレートを記録。GeForce RTX 5070 Tiを22~26%、GeForce RTX 5070を2~4%下回る一方で、Radeon RX 9070を14~16%、Radeon RX 7900 GREを64~66%上回った。
一方、FSR 3による超解像とフレーム生成を有効にした条件では、Radeon RX 9070 XTがすべての解像度で全体2番手の平均フレームレートを記録。GeForce RTX 5070 Tiを16~21%下回る一方で、Radeon RX 9070を14~17%、Radeon RX 7900 GREを63~66%、GeForce RTX 5070を6~13%上回った。
FSR 3ベースのフレーム生成でGeForceを上回る向上率を示したRadeon RX 9070シリーズだが、GeForce RTX 50シリーズはDLSS 4によるマルチフレーム生成をサポートしており、参考として取得した「DLSS FG 4X」では傑出したフレームレートを記録している。マルチフレーム生成技術の有用性については議論の余地があるものの、AMDにも対抗技術が欲しいところではある。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、超解像とNaniteおよびLumenを無効化したアンチエイリアス「TAA」設定と、NaniteとLumen(ハードウェアレイトレーシング)を有効化して「TSR最高」で超解像を行なう設定でフレームレートを計測した。
Nanite/Lumen無効時のRadeon RX 9070 XTはすべての解像度で比較製品中2番手の平均フレームレートを記録。GeForce RTX 5070 Tiを7~15%下回る一方で、Radeon RX 9070を6~14%、Radeon RX 7900 GREを27~47%、GeForce RTX 5070を1~19%上回った。
Naniteを有効にしてLumenを最高品質に設定した条件では、Radeon RX 9070 XTが全体ベストのパフォーマンスを発揮。Radeon RX 9070を10~16%、Radeon RX 7900 GREを35~37%、GeForce RTX 5070 Tiを8~10%、GeForce RTX 5070を27~33%上回った。
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fpsで、グラフィックスAPIは「DirectX 12」。
Radeon RX 9070 XTは、フルHD/1080pでGeForce RTX 5070を約6%下回って全体3番手となっているが、WQHD/1440p以上ではGeForce RTX 5070を3~5%上回って全体2番手になっている。その他のGPUとの比較ではGeForce RTX 5070 Tiを20~22%下回る一方で、Radeon RX 9070を9~14%、Radeon RX 7900 GREを19~22%上回った。
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは120fps。
WQHD/1440p以下の解像度において、Radeon RX 9070シリーズは上限の120fpsをほぼ維持しており、GeForce RTX 50シリーズと同等のパフォーマンスを発揮した。
一方、4K/2160pにおけるRadeon RX 9070 XTの平均フレームレートは全体3番手となっており、GeForce RTX 5070 Tiを約22%、GeForce RTX 5070を約7%下回る一方で、Radeon RX 9070を約5%、Radeon RX 7900 GREを約23%上回った。
エルデンリング
エルデンリングでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、レイトレーシングを「無効」または「最高」に設定した場合の平均フレームレートを、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。
レイトレーシングを「最高」で有効にした条件において、Radeon RX 9070 XTの平均フレームレートは全体3番手となっており、GeForce RTX 5070 Tiを22~42%、GeForce RTX 5070を21~31%下回る一方で、Radeon RX 9070を3~12%、Radeon RX 7900 GREを3~62%上回った。
レイトレーシング無効時のRadeon RX 9070 XTはすべての解像度で上限フレームレートの60fpsを維持している。一方、Radeon RX 9070は4K/2160pで上限をわずかに下回る58.8fpsを記録しており、同解像度でも60fpsを維持している比較製品にやや後れを取った格好だ。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、グラフィックプリセットを最高の「エクストリーム」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 9070 XTは、フルHD/1080pでGeForce RTX 5070 Tiを約1%下回って全体2番手となっているが、WQHD/1440p以上ではGeForce RTX 5070 Tiを1~4%上回って全体ベストを記録した。そのほかのGPUとの比較ではRadeon RX 9070を5~11%、Radeon RX 7900 GREを26~31%、GeForce RTX 5070を17~30%上回った。
F1 24
F1 24では、グラフィックプリセットを最高の「超高」、超解像とフレーム生成を「FSR」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。なお、GeForce RTX 5070シリーズは参考データとして超解像とフレーム生成にDLSSを利用した際の結果も取得した。
Radeon RX 9070 XTはすべての解像度で全体ベストのフレームレートを記録しており、Radeon RX 9070を8~17%、Radeon RX 7900 GREを26~54%、GeForce RTX 5070 Tiを21~30%、GeForce RTX 5070を36~78%上回った。
Microsoft Flight Simulator 2024
Microsoft Flight Simulator 2024では、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、アンチエイリアスを「FSR 2」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。なお、GeForce RTX 5070シリーズは参考データとして超解像とフレーム生成にDLSSを利用した際の結果も取得した。
今回の測定条件において、Radeon RX 9070シリーズは80fps弱程度でCPUボトルネックによってフレームレートが頭打ちになるようで、Radeon RX 9070 XTはフルHDから4Kまで平均フレームレートがほぼ変化しておらず、Radeon RX 9070も4K/2160pで76.6fpsに低下したことを除けば80fps弱を記録している。
結果として、Radeon RX 9070 XTはWQHD/1440p以下では5~7%下回ったGeForce RTX 5070 Tiを、4K/2160pでは逆に約2%上回って全体ベストを記録。4K/2160pではRadeon RX 9070を約4%、Radeon RX 7900 GREを約27%、GeForce RTX 5070を約28%上回った。
UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」
UL Procyonの「AI Computer Vision Benchmark」では、Windows ML(float16)でテストを実行した。
Radeon RX 9070 XTのスコアは「1,766」で、GeForce RTX 5070 Tiを約25%、GeForce RTX 5070を約17%下回る一方で、Radeon RX 9070を約6%、Radeon RX 7900 GREを約40%上回った。
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion 1.5」
画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、512×512ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion 1.5 (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9070 XTのスコアは「2,756」で全体2番手を記録。GeForce RTX 5070 Tiを約2%下回る一方で、Radeon RX 9070を約18%、Radeon RX 7900 GREを約75%、GeForce RTX 5070を約34%上回った。
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark - Stable Diffusion XL」
画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、1,024×1,024ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion XL (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9070 XTのスコアは「2,170」で全体2番手を記録。GeForce RTX 5070 Tiを約9%下回る一方で、Radeon RX 9070を約19%、Radeon RX 7900 GREを約89%、GeForce RTX 5070を約33%上回った。
UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」
UL Procyonの「AI Text Generation Benchmark」は、LLMを用いたテキスト生成のパフォーマンスを計測するテストだ。
Radeon RX 9070 XTはすべてのテストで全体3番手のスコアを記録。GeForce RTX 5070 Tiを51~53%、GeForce RTX 5070を23~43%下回る一方で、Radeon RX 9070を3~6%、Radeon RX 7900 GREを16~25%上回った。
UL Procyon「Photo Editing Benchmark」
UL Procyonの「Photo Editing Benchmark」は、Adobeの画像編集ソフト「Photoshop」と「Lightroom Classic」でのパフォーマンスを計測するテスト。
Radeon RX 9070 XTの総合スコアは「10,417」で、「10,435」を記録したRadeon RX 7900 GREを僅かに下回り全体4番手となっている。その他のGPUとの比較では、GeForce RTX 5070 Tiを約5%、GeForce RTX 5070を約2%下回る一方で、Radeon RX 9070を約0.4%だけ上回った。
Blender ベンチマークテスト
Radeon RX 9070シリーズがBlender Benchmarkを実行できないため、今回は3DCGソフトである「Blender」を使用して、Blender Benchmarkに近い条件でテストを実行し、レンダリング速度(1分当たりのサンプル数)を計測した。テストに使用したBlenderのバージョンはv4.4.0。
Radeon RX 9070 XTはすべてのシーンで全体3番手の速度を記録。GeForce RTX 5070 Tiを44~48%、GeForce RTX 5070を29~35%下回る一方で、Radeon RX 9070を10~17%、Radeon RX 7900 GREを17~20%上回った。
システム消費電力と電力効率
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
Radeon RX 9070 XTのアイドル時最小消費電力は89.1Wで、Radeon RX 9070は89.4W。これらは最小を記録したGeForce RTX 5070とそん色ない数値だ。
ベンチマークテスト実行中の平均消費電力は、Radeon RX 9070 XTが379.5~485.3W、Radeon RX 9070は318.6~370.0W。Radeon RX 9070 XTが計測したすべての条件で最大の電力を消費した一方、Radeon RX 9070はGeForce RTX 5070に次ぐ2番目に低い電力となっている。
システムの平均消費電力でベンチマークスコアを割ることによって求めたワットパフォーマンスを、Radeon RX 7900 GREを基準に指数化したものが以下のグラフ。
Radeon RX 9070 XTのワットパフォーマンスはRadeon RX 7900 GRE比で96~126%で、Radeon RX 9070は107~146%。電力効率的にはRadeon RX 9070がRadeon RX 9070 XTを明確に上回っており、3DMarkではGeForce RTX 5070シリーズに匹敵する効率を発揮した場面も見られる。ただ、全体的にはRadeon RX 9070シリーズよりGeForce RTX 5070シリーズの方が優れたワットパフォーマンスを発揮している。
負荷テスト実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使用して、3DMarkのSteel Nomad Stress Test実行中のモニタリングデータを取得した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9070 XTは、電力リミットの上限に達する平均339.6W(最大342.3W)を消費しながら動作しており、この時のGPU温度は平均51.3℃(最大52℃)、VRAM温度は平均89.4℃(最大92℃)で、GPUクロックは平均2,794MHz(最大2,905MHz)、VRAMクロックは平均2,505MHz(最大2,505MHz)だった。VRAM温度がかなり高めだが、VRAMの温度リミットは108℃に設定されているため動作には影響していない。
Radeon RX 9070 XTも電力リミットの上限に達する平均244.7W(最大245.5W)を消費しながら動作しており、この時のGPU温度は平均53.3℃(最大54℃)、VRAM温度は平均79.8℃(最大82℃)で、GPUクロックは平均2,516MHz(最大2,579MHz)、VRAMクロックは平均2,505MHz(最大2,505MHz)だった。
優れたゲーミング性能が魅力のRadeon RX 9070シリーズ
RDNA 4世代の準ハイエンドGPUであるRadeon RX 9070シリーズは、ゲームにおいてGeForce RTX 5070シリーズのライバルに相応しいパフォーマンスを発揮しており、上位モデルのRadeon RX 9070 XTは同条件のGeForce RTX 5070を多くのタイトルで上回っていた。NVIDIAがDLSS 4で導入したマルチフレーム生成は利用できないものの、十分に魅力的なゲーミング性能を備えている。
一方、画像生成AIでは従来モデルからの大幅な性能向上を確認できたものの、テキスト生成やBlender、Adobe Camera RawなどではGeForce RTX 5070シリーズに大差をつけられている。ゲーム以外の用途でのパフォーマンスには課題を感じる結果だ。
GPUに何を期待するのかはユーザーによって異なるところではあるが、高画質でゲームをプレイしたいゲーマーにとって、600ドル以下の市場販売想定価格が設定されたRadeon RX 9070シリーズは魅力的な存在だ。3月7日の発売日以降、その性能を必要とするゲーマーが期待通りの価格で手に出来ることを期待したい。
AMDの新GPU、Radeon RX 9070 XT/9070を詳しく解説します。
新アーキテクチャRDNA4の採用により、生まれ変わった新しいRadeonの真実に迫ります。PCゲーマーの注目を一身に集めるGeForce RTX 50シリーズのライバルたり得るのか。詳しくは配信にて。
・出演
“KTU”加藤勝明
“改造バカ”高橋敏也