買い物山脈
話題のスマートスピーカー「Echo Dot」と過ごした2週間
~予定の登録、買い物からルンバやHueとの連携までいろいろ試してみた結論は?
2017年12月2日 11:37
販売開始翌日に「Echo Dot」を入手
最近、IT関連機器で話題の製品と言えば、まず挙げられるのがスマートスピーカーであろう。日本でも、LINEの「Clova WAVE」、Googleの「Google Home」、Amazonの「Amazon Echo」が出揃い、注目を集めている。筆者は、スマートフォンでの音声アシスト機能はほとんど使っていないのだが、ものぐさなので、自宅にスマートスピーカーがあるなら、音声でどこまでできるのか試してみたいと思っていた。天気予報や今日のスケジュールなど、声で読み上げてくれれば、便利そうだ。
どの製品を選ぶかだが、筆者はAmazonのヘビーユーザーであり、「Kindle」や「Fire」、「Fire Stick TV」などを愛用しているほか、Amazonプライムの契約も長年続けているので、買うならやはり「Amazon Echo」かなと思っており、2017年11月8日に日本での発売が発表されると、すぐに招待メールをリクエストした。発売開始は2017年11月15日とのことだったが、招待メールも同じ11月15日に届き、即注文。翌日に「Echo Dot」が到着した。
Echoシリーズは現在、「Echo Dot」、「Echo」、「Echo Plus」の3製品があるが、筆者が購入することにしたのは、そのなかでももっとも安くてコンパクトな「Echo Dot」である。Amazonの音声アシスタント「Alexa」の利用については、どのモデルでも基本的に同じだ。
Echo Dotのスピーカーを強化したものがEcho、Echoにさらにスマートホームハブ機能を追加したものがEcho Plusと考えればよいだろう。Echo Dotは価格が5,980円と安く、さらにAmazonプライム会員なら、2,000円引きの3,980円で購入できる(11月17日までの期間限定)。また、コンパクトなほうがどこにでも設置しても邪魔にならないだろうと考え、Echo Dotを選択したのだ。
Echo Dotのカラーは、ホワイトとブラックの2色があるが、筆者が購入したのはブラックだ。専用オプションとして、ファブリックケースやレザーケースも用意されているが、持ち歩くわけでもないし、それらは不要だと考えた。なお、別途「Echo」をお借りすることができたので、Echoとの音質面での比較も行なってみた。
製品を見たときの第一印象は、かなり小さいなというものだった。筆者は発表会には出席してなかったので、実物を見るのは初めてだったのだ。Echo Dotは、直径84mm、高さ32mmの円筒形であり、手のひらにのる大きさだ。パッケージ内容はシンプルで、本体とACアダプタ、充電用のMicro USBケーブル、簡易ガイドのみだ。
Echoとの比較だが、サイズが違うのは当然として、ACアダプタの出力もEcho Dotは9W仕様なのに対し、Echoは21W仕様であり、電源供給コネクタも前者がMicro USBなのに対し、後者は丸形コネクタとなっていた。
EchoもEcho Dotも上面に7つのマイクを備え、話者方向を特定し、そちらへの感度を上げるビームフォーミング機能を備えているが、上面のデザインが異なり、Echo Dotは中央のマイクの穴は目立つが、周囲の6個のマイクの穴がスリット状のデザインに隠されてわかりにくいのに対し、Echoでは7個のマイクの穴がはっきりわかる。
初期設定は簡単、スキルを選んで自分好みのEchoにするのが楽しい
Echo Dotの初期設定は簡単だった。スマートフォンでAmazon Alexaアプリをダウンロードし、Amazonアカウントをアプリに登録。あとは、画面の指示にしたがってWi-Fi情報を入力すれば、初期設定が完了する。デフォルトのウェイクワード(Echo Dotへの呼びかけの言葉)は、「Alexa」だが、「Amazon 」や「Echo」、「Computer」を選ぶこともできる。ただし、やはり標準のAlexaが一番しっくりくるようだ。
Echoシリーズの魅力の1つが、当初から250種類を超える豊富なスキルが揃っていることだ。スキルとはAlexaの音声アシスタントで利用できる機能のことであり、スマートフォンのアプリのようなものだ。何もスキルを有効にしなくても、天気やニュースをきくことはできるが、自分の使い方や興味に応じてスキルを有効にし、自分好みのEchoにしていく作業は結構楽しい。ただし、スキルが250種類以上あるといっても、波の音を再生するだけとか、あるあるネタを言うとか、そうした小ネタも多い。
音声認識精度は及第点、日本語読み上げ精度もまずまず
前述したように、Echo Dotは、話者方向を特定してそちらに耳を傾けるビームフォーミング機能を備えているため、Alexaと呼びかけると、ライトリングが青く点灯し、認識した話者の方向が水色に点灯する。
ただし、部屋のなかでの配置にもよるだろうが、話者方向の認識は間違えることも多かった。しかし、ウェイクワードの「Alexa」に続いて、「今日の天気は?」などと声をかけると、かなりの精度で命令を認識してくれた。多少表記が揺れても、認識してくれる。
家族4人で繰り返し、Echo Dotに話しかけてみたが、子供の声だと多少認識精度は落ちるようだ。それでも、1週間ほど試用していたXperia Hello!に比べると、格段に音声認識精度は高く(Xperia Hello! は、筆者の声をうまく聞き取ってくれないことが多かった)、ストレスなく利用できた。
音声認識の精度に比べると、読み上げの精度はやや落ちる。ニュースなどを読ませていると、ときどき「あれ?」という読み方になることがある。イントネーションが多少不自然なのは許せるとしても、人物を指す「●●の方」を「●●のほう」と発音したり、人名や地名を読み違えることもある。そうした、固有名詞のイントネーションは多少厳しいところもあるが、おおむね満足できるレベルだった。駅しりとりをプレイしている様子の動画を撮ったので、参考にしてほしい。
Echo Dotに反応してほしくないときは、マイクオフボタンを押すことで、マイクオフ状態になる。マイクオフ状態では、ライトリングが赤く点灯する。
Googleカレンダー連携もバッチリ
Alexaは、GoogleカレンダーやMicrosoftカレンダー、iCloudカレンダーに対応しており、設定を行なえば、音声で今日の予定や特定の日付の予定を知らせてくれる。筆者は普段利用しているGoogleカレンダーと連携させてみたが、自分のアカウントの予定だけでなく、共有しているアカウントの予定も一緒に読み上げてくれるので(共有アカウントの予定を読み上げるかどうかは、Alexaアプリで設定できる)、なかなか便利だった。
さらに、スケジュールを確認するだけでなく、音声で新しいスケジュールを追加することもできる。もちろん、追加したスケジュールはGoogleカレンダーに反映される。ただし、「子供空手」と言ったつもりが、Googleカレンダー上では「子供からって」になるなど、多少の変換ミスが見られた。
音質や音圧の差は大きいが、本格的に音楽を楽しむならEchoでも不満か
次に、音楽を再生させてみた。聴きたい曲の名前やアーティスト名を伝えることで、その楽曲が再生される。たとえば、「Alexa、きゃりーぱみゅぱみゅの曲を聴きたい」といった感じだ。流れている曲名が知りたければ、「Alexa、この曲は何?」といえば、アーティスト名やアルバム名、楽曲名を教えてくれる。
4,000万曲以上の楽曲が聴き放題だという、Amazon Music Unlimitedには入会済みだが、それでも聴きたい曲がすべてあるわけではない。洋楽はあまり聴かないのでよくわからないのだが、邦楽よりも洋楽のほうが充実しているようだ。音楽や音声の再生中でも、それを遮るように「Alexa」といえば、音声入力が可能になるのだが、ボリュームを最大近辺にしていると、こちらもある程度大きな声で「Alexa」と叫ぶ必要があった。
Echo DotとEchoの最大の違いが、搭載するスピーカーの性能である。Echo Dotでは0.6インチスピーカーが1基搭載されているだけだが、Echoには2.5インチのウーファーと0.6インチのツイーターが1基ずつ搭載されている。Echo DotとEchoで同じ曲を再生させ、音量を最大にして聴き比べてみたが、音質や音圧の差はかなり大きく、Echoでは低音もかなり強調されるのに対し、Echo Dotはポータブルラジオで聴く音楽のような感じだ。
しかし、Echoでもステレオ再生には対応しておらず、音量を上げると筐体がびびる感じもあり、本当に音楽を楽しみたいという人には力不足であろう。Echo Dot、Echoともに、3.5mmステレオオーディオ出力が用意されているので、高音質で音楽を楽しみたいのなら、外部オーディオシステムに接続することをおすすめする。
Amazonでの買い物も、以前買ったものなら簡単
Alexaは、Amazonでの買い物にも対応している。買い物に関する設定は、「音声ショッピング」で行なう。筆者の環境ではデフォルトで「音声による商品の注文」が有効になっていたが、子供が勝手に注文しないように、4桁の確認コードを設定することもできる。
買い物をする場合は、まず、「Alexa、Amazonで買い物をしたい」と話しかけると、何を買いたいかきかれるので、商品名やジャンル名を答えると、まず過去の買い物履歴から候補を挙げてくれる。それでよければ「はい」と答え、ほかの物がよければ「いいえ」と答えればよい。
買い物にかぎらず、Alexaとのやりとりは、スマートフォンでのAlexaアプリにリアルタイムで表示される。商品写真などもAlexaアプリで確認できるので、買い物をする場合は、スマートフォンを片手に行なうことをおすすめする。まったく新しい物を買うにはあまり向かないが、定期的に買っているものを追加注文するには、現行のAlexaでも十分利用できる。
ルンバやHueとの連携もできる
Echo Dotには、赤外線リモコン機能は搭載されていないが、Wi-Fiに対応したルンバやZigbeeに対応したPhilipsの「Hue」などの機器を音声コントロールすることは可能だ。ルンバの場合は、Wi-Fiに対応したルンバ980/960/890/690の4機種が対象となる。こうした外部機器をコントロールするには、必要なスキルを有効にするだけでなく、Alexaアプリにそれぞれの機器のアカウントを紐付ける必要がある。
ルンバの場合は、ルンバをコントロールするための「iRobot Home」アプリで登録したiRobotアカウントを、Alexaアプリで入力する必要がある。一度設定さえ終われば使うのは簡単で、「Alexa、ルンバを使って掃除して」のように、ルンバでの掃除開始や終了、ホームベースへの帰還などの音声による指示が可能だ。
Echo DotやEchoで、Philipsのスマート照明「Hue」をコントロールするには、ハブの役目をはたす「Hueブリッジ」が必要になる。こちらも、Hueのアカウントを紐付ける必要があるのは、ルンバの場合と同じだ。
なお、Echoシリーズの最上位モデルであるEcho Plusには、Hueブリッジと同じ役割をするスマートホームハブ機能が内蔵されているため、Hueブリッジが不要で、直接HueやIKEAのスマート照明「TRADFRI」をコントロールできる。今回は、丸形のHue Goをコントロールしてみたが、ライトのオン/オフや明るさの調整はもちろん、発光色の変更も音声でできるので、なかなか楽しい(動画を参照)。
子供達も朝起きたら、Echo Dotに話しかけるように
筆者がEcho Dotを使いはじめて2週間が経ったが、結構便利に使っている。娘は、ガンダムの主題歌やアニメの曲などを再生させて聴いているし、息子も朝起きると、「Alexa、今日の天気を教えて」などと声をかけている。シンプルな機能だが、アラーム機能も愛用している。布団に転がって電気を消した状態でも、声で翌日のアラームをセットできるのは便利だ。
もちろん、現在のスマートスピーカーは、まだまだ発展途上の製品であり、何を尋ねても答えてくれる相棒のようなものではない。しかし、屋外では人の目もあり、なかなか試しにくかった音声による機械への命令が、自宅だと抵抗感なくできるということを改めて実感した。Alexaを試したいのなら、気軽に購入できるEcho Dotはおすすめだ。音質に不満があるなら、別途スピーカーやアンプをつなげばよい。
さらに、Alexa対応の赤外線スマートリモコンと組み合わせることで、AlexaでTVやエアコンなどの家電機器のコントロールができるようになる。筆者が今狙っているのは、ラトックシステムのスマート家電コントローラ「RS-WFIREX3」である。こちらを入手したら、またいろいろ試してみたいと思っている。