買い物山脈
移行費用ゼロ。v6プラス乗り換えで自宅のネットが数十倍速くなった
~100Mbpsの契約でも1Gbpsでの通信が可能
2017年10月23日 11:00
- 製品名
- @nifty v6プラス+WXR-2533DHP2
- 購入価格
- 19,580円(ルーター代のみ)
- 購入時期
- 2017年10月19日~
- 使用期間
- 4日間
なんか自宅のネットが遅い
筆者は自宅でかれこれ十数年光回線を利用している。プライベートでSNSを利用したり、動画を見たりということもするが、深夜に行なわれる外資系の発表会ストリーミングを観ながら記事を書いたり、週1回のテレワークの日に自宅作業したりと、仕事でも活用する。もはやネット回線は、電気や水道などと同じライフラインの1つになっている。いや、ガスなら1日止まってもなんとかなるが、ネットが1日止まったら、生きていけない可能性すら感じている。
筆者が契約しているプロバイダは@niftyで、回線はNTTのフレッツ光だ。回線速度は100Mbpsで、ベストエフォートなので、大体上り下りとも40~50Mbps程度出ていた。だが、2017年に入ったあたりから回線速度が遅いと感じることが増えた。日や時間帯によるし、毎日計測していたわけではないが、2~3Mbps程度に落ち込むことが目に見えて増えた。
プロバイダに問い合わせたわけではないので断言はできないが、どうやらプロバイダ側の帯域が逼迫しているらしい。ネットを見ると、@nifty以外のプロバイダユーザーからも同様の声が上がっているのが見受けられる。
そこで、5月に回線種別をフレッツ 光ネクスト ファミリー・ギガラインタイプへと変更した。つまり、100Mbpsから1Gbpsへとアップグレードした。数GBクラスのゲームなどをダウンロードするのでなければ1Gbpsという速度は持て余すが、どちらかというと、ユーザー過多で速度が低下しても、元が速ければなんとなかなるかなと考えた次第だ。
しかも、月額料金(フレッツ光利用分)は5,200円から5,400円と200円しか違わない。これは移行しない手はない。というか、もっと早くから知っておきたかった。工事費はたしか2,000円だった。
ギガビット回線になったことで、最大で下りは200Mbps以上、上りは400Mbps以上出るようになった。しかし、ぬか喜びもつかの間、最近になって、日によっては数Mbps程度に落ち込むことがまた出てきた。とくに20時くらいからのゴールデンタイムは顕著だ。プライベートで動画を見てて重くなったり、かくつくのはまだ我慢できるが、仕事で発表会ストリーミングを満足に観られないのは困る。
そこでなにか解消法はないかとネットを検索してみつけた情報が「v6プラス」なるサービスだ。その名が示すとおり、IPv6を使った接続サービスの1つなのだが、これに乗り換えることで速度の落ち込みを回避できるらしい。さっそくその日中に申し込んでみた。
v6プラスとは
v6プラスとは、一言で言うと、NTT東西の次世代ネットワーク(フレッツ光)をベースとした、IPv6 IPoE + IPv4 over IPv6となる。詳しい説明は、サービスの提供元である日本ネットワークイネイブラーのページを参照されたい。ざっくり言うと、通常のIPv4を使いつつ、IPv6も使えるのだが、キモとなるのは、通常のプロバイダ回線/設備を経由せず、ネイティブ接続事業者(ここでは日本ネットワークイネイブラー)を通じてアクセスする点にある。
個人的には、IPv6を使う理由/メリットはとくにない。だが、プロバイダの回線/設備を経由しなくなることで、これまでの混雑を回避できるようになるのはひじょうに魅力的だ。
なお、同等のサービスとしてインターネットマルチフィードが「transix」を、BBIXが「IPv6 IPoE + IPv4ハイブリッド・サービス」を提供している。
回線速度が数百Mbps程度で安定するように
結果を先に言うと、v6プラスに移行したことで、下り200Mbps、上り400Mbps前後を高い確率で維持できるようになった。週末のゴールデンタイムででもだ。
回線速度が上がるだけでも満足度が高いが、v6プラスにはさらなるメリットがある。まずは費用。これはプロバイダによっては、じゃっかん異なる(有料)場合もあるかもしれないが、@niftyについては、移行費用は無料で、月額料金も差額は0円。つまり、追加費用はゼロだ。
しかも、元の契約が100Mbpsだったとしても、v6プラスを利用すると、自動的に下りが最大1Gbpsとなるのだ。この場合も、追加費用はゼロ。100Mbpsプランの契約で、混雑が少ない1Gbpsプランを利用できるのだ。そんなうまい話があるかと思われそうだが、@niftyのページに書かれているとおり、本当にそうなのだ。
【お詫びと訂正】初出時にv6プラスの契約で「上り下りとも最大1Gbpsになる」としておりましたが、正しくは「下りが最大1Gbps」です。お詫びして訂正させていただきます。
ということで、1Gbps回線そのものが数十倍速くなったわけではないが、頻繁に体験していた数Mbpsという状況が、数十倍、へたすると100倍近くにまで改善された。
注意点
こんな夢のようなv6プラスサービスだが、留意点はもちろんある。
まずは、対応プロバイダが限られる点。大前提として回線はフレッツ光となるが、v6プラスの場合、@niftyをはじめとした10社程度のプロバイダしかサービスを提供していない。transixなど含めれば増えるが、フレッツ光を利用しているからと言って使えるわけではない。
次の留意点は、対応ルーターが限られる点。フレッツ光とセットで「ひかり電話ルータ」を利用している場合は、それをそのままv6プラスでも利用できる。しかし、ひかり電話ルータではなく、市販のルーターを利用している場合は、その製品がv6プラス対応である必要がある。今のところ、公式に動作確認が取られているのは、バッファローの9製品と、アイ・オー・データ機器の2製品しかない。
筆者の場合、それまで使っていたバッファローの「WZR-1750DHP2」は非対応だったので、「WXR-2533DHP2」に買い直した。その点においては、追加の出費が発生しているが、ひかり電話ルータや対応ルーターを所有していれば、追加費用はゼロで済む。
それから、v6プラスに移行することで利用できなくなるサービスが存在する。@niftyの場合、下記のものだ。
- @niftyフォン
- 固定IPサービス
- 特定のプロトコル(PPTP、SCTP)を利用するサービス※
- 利用可能なポート番号が制限されているため、特定のポートを使うサービス※
- IPv4グローバルアドレスを共有するネットワークでは利用できないサービス※
※のものは"利用できない場合がある"とされており、具体性がないのだが、P2Pのネットワーク対戦ゲームなどに影響が出る可能性もあるらしい。だが、筆者が試した限り、PlayStation 4のストリートファイターVは問題なく対戦できた。また、自宅に設置してあるSynology製のNASへのインターネット経由アクセスもできており、今のところ問題には遭遇していない。
申し込みと設定
最後に、契約から設定までの流れを説明する。と言っても、大した設定は必要ない。
筆者がv6プラスの申し込みを行なったのは10月15日。翌16日にはプロバイダ側での移行作業は完了していたらしく、その旨のメールが17日に届いた。
v6プラスが利用可能になると、「v6プラスご利用開始通知メール」が届くとメールに書かれていたが、届いたメールの件名は「IPv6接続オプション ご利用開始通知」だった。これは、v6プラスではなく、単にIPv6が利用可能になるものだが、v6プラスの利用に必要なので、v6プラスを申し込むと自動的にIPv6接続オプションも申し込まれるかたちとなる。
そのため、このあとにv6プラスご利用開始通知メールが届くのだと思っていたのだが、数日待っても来なかった。そこで、@niftyのサイトのFAQを読むと、ひかり電話ルータではなく、自前のルーターを利用する場合は、v6プラスご利用開始通知メールは届かないと書かれていた。また、契約状況を確認しても「IPv6接続オプション」と表記されるらしい。
このあたりわかりにくいが、結果としては1日でv6プラスは開通していたのだ。
次にルーターの設定。IPv6が利用可能になると、ルーター(WXR-2533DHP2)設定画面の「詳細設定」→「Internet」→「Internet」にIPv6関連の項目が表示されるらしいのだが、これも最初は表示されていなかった。そこで、ルーターを再起動すると、その項目が現われた。「IPアドレス取得方法」に「v6プラス接続を利用する」があるので。これを選ぶ。
次に、「詳細設定」→「Internet」→「IPv6」の「IPv6接続方法」を選ぶ。デフォルトで「インターネット@スタートを行う」が選ばれているので、「NDプロキシを使用する」を選ぶ。
「パススルーを許可する」でも利用できるが、この状態では、IPv6でインターネットから家庭内LANが筒抜けになる。NDプロキシを使用すると、「セキュリティー」→「ファイアウォール」配下のファイヤーウォール設定が適用される。
これで、v6サービスが利用できる。プロバイダのJANISが提供しているフレッツ光接続判定ページにアクセスし、判定すれば、試験10の「v6プラスのインターネットアクセス(v6プラス用)」にOKが出るはずだ。
ちなみに、筆者が使っている富士通の「LIFEBOOK UH75/B1」では、有線では、IPv4/IPv6の両方でのアクセスができるものの、無線ではIPv4でしかアクセスできなかった。PCを再起動すると無線でもIPv6でアクセスできたこともあったが、その後またIPv4でしか使えなくなった。
この状況でも通常のネットアクセスにはなんら支障はない。IPv6接続判定サイトでNGが出るくらいだ。ただしその後、OSをFall Creators Updateに更新したら、無線も常時IPv4/IPv6の両方が使えるようになった。
掛け値なしにお勧めできるサービス
ということでv6プラスに移行して、本当に良かったと実感している。以前は、光回線があまりに遅くて、PCをスマートフォンのテザリングで接続するという本末転倒なこともやったりしていたが、そういったことから解放される。
今のところ、使い始めて4~5日間程度だが、上り下りとも100Mbpsを切ることはほぼない。これで「今晩、ストリーミングを見ながら仕事なんだけど、回線は大丈夫だろうか?」という心配をする必要もなくなる。
もっとも、v6プラスユーザーが増えると、そこが混雑してまた遅くなる可能性もないとは言い切れない。しかし、現状では安定した速度が得られ、契約移行にともなう費用もゼロということで、利用可能なユーザーは利用しない手はないだろう。