西川和久の不定期コラム
Snapdragon X Elite搭載で1kgを切るモバイルノートPC「ASUS Zenbook SORA(UX3407RA)」を購入した!
2025年3月27日 06:16
筆者が日頃外出時持ち運ぶPCは「MacBook 12(2017)」かM1搭載の「iPad Pro」。どちらもさすがに古くなったので、新調することにした。そして結果選んだのはASUSの「Zenbook SORA(UX3407RA)」。ハードウェア編、ソフトウェア(主にAI関連)編、2回に分けてご紹介したい。
持ち運び用のノートPCを新規購入!選ぶ基準は!?
持ち運び用の軽いノートPCは持っているが、第8世代のChromebookやMacBook 12などかなり古いのが多く(とは言えMacBook 12/2017は名機)、最近だと面倒なのでM1世代のiPad Pro 12.9を持って出たりしている。前より外でのミーティングが激減しているため、それでもいいかと思っていたが、さすがに欲しくなったこともあり、条件を考えてみた。
- 最新鋭のAI(NPU)搭載プロセッサで上位SKU
- パネルは13〜14型。出来れば非光沢、OLED
- 重量はできれば1kg以下
- メモリ32GB、ストレージ1TB
- 予算は20万円切って欲しいが、この円安なのである程度超えるのは仕方なし
ざっとこんな感じだ。OSはWindowsでもmacOSでもどちらでもいい。1のプロセッサは、Apple M4、Intel Core Ultraシリーズ2、AMD Ryzen AI 300シリーズ、Qualcomm Snapdragon X Eliteとなるだろうか。
2のパネルは、日頃使っているディスプレイがOLEDだったりMacBook Pro 14やiPad Pro 12.9など、かなり綺麗なものが多いのと、次のノートPCはOLEDが欲しいと思っていたこともあり、OLEDが条件に上がっている。ただし、できれば映り込みが気にならない非光沢がいい。
3の重量は持ち運ぶなら可能な限り軽い方が良い。4はAI関連の場合、モデルのロードにRAMを使うため多いのに越したことはない。
予算は20万円+α。円安なので以前17~18万円程度で買えていたのが25万円以下と言った感じに値上がっている。これらを踏まえ候補になったのは
- MacBook Air 13/24GB/512GB
- ASUS Zenbook SORA(UX3407RA)
この2機種。Intel Core Ultraシリーズ2搭載ノートPCは、お!っと思うのがなく、AMD Ryzen AI 300シリーズ搭載ノートPCは、最近ミニPCで触っているため目新しさがないためだ。
このうち重量が1.24kgと少し重いが無難なのはMacBook Air 13だろう。パワーはもちろん、バッテリ駆動時間、パネル、キーボード、サウンド、カメラ……全方位的に高性能だ。価格は24GB/512GBで22万4,800円。カスタマイズで32GB/1TBにすると28万4,800円。うーん(笑)。価格で妥協するなら前者となる。
とりあえず実機を見にAppleストアへ行き、少しの時間触っていたのだが、家でMacBook Pro 14を使っていると、MacBook Air 13はいろいろな部分で廉価版に見えてしまう。また、Ryzen AI 300シリーズ同様、筆者にとっては目新しさが全くないのも気になった。
そこで思いっきり目新しい(笑)Snapdragon X Elite X1E-78-100搭載のASUS Zenbook SORA(UX3407RA)とした。
下位モデル/UX3407QAでSnapdragon X X1-26-100/16GB/512GB/IPS(非光沢)/899gもあるのだが、プロセッサは下位SKU、メモリ/ストレージが少ないということで上位モデルにした。こちらは980gと少し重くなるもののOLEDディスプレイを採用。唯一残念なのはこのディスプレイが光沢である点。価格は22万4,800円(Amazon)と、予算の範囲内だ。
Arm版Windowsは大丈夫!?との意見もあるだろうが、筆者のケースではゲームは皆無。VSCodeやDocker、WSL2など開発系とWebブラウザさえ動けば事足りるので、特に問題はなからだい。ATOKは大昔(Windowsになってから?)から使っておらずOS標準IMEを使用。Arm版Windowsは、Surface 2以来の久々となる。
ASUS Zenbook SORA(UX3407RA)
新宿のヨドバシカメラに実機を見に行ったところ、下位モデルはOfficeなしモデルがあるが、上位モデルの店頭版はOfficeありのみ。仕方なくルックスや打鍵感、映り込みなどをチェックして帰ってきた。注文はAmazon。中1日で手元に到着!主な仕様は以下の通り。
ASUS Zenbook SORA(UX3407RA)の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Snapdragon X Elite X1E-78-100(12コア、最大3.4GHz、キャッシュ 42MB、NPU 45TOPS) |
メモリ | 32GB/LPDDR5X-8448 |
ストレージ | 1TB M.2 SSD/NVMe/PCI Express 4.0 x4 |
OS | Windows 11 Home(24H2/Arm版)、Copilot+ PC対応 |
ディスプレイ 14型OLED 1,920×1,200ドット、光沢、60Hz | |
グラフィックス Qualcomm Adreno(HDMI/Type-C) | |
ネットワーク Wi-Fi 7対応、Bluetooth 5.4 | |
インターフェイス USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 1基、207万画素赤外線(IR)カメラ、3.5mmジャック | |
キーボード 84キー日本語キーボード(バックライトあり)/JIS配列 | |
バッテリ/駆動時間 リチウムポリマーバッテリ(3セル/70Wh)/最大約29時間 | |
カラーバリエーション ザブリスキーベージュ、アイスランドグレー | |
サイズ/重量 310.7×213.9×13.4〜15.9mm、重量980g | |
価格 22万4,800円(Amazon) |
プロセッサはSnapdragon X Elite X1E-78-100。12コアでクロックは最大3.4GHz。キャッシュ 42MB、NPUは45TOPS。Snapdragon X Eliteには、X1E-00-1DE、X1E-84-100、X1E-80-100、X1E-78-100と、4つのSKUがありその中では最下位になる(と言うより、上の3つは筆者の知る限り現在搭載機はない)。違いはクロック数、Dual Core Boostの有無、GPU/TFLOPs。NPUのTOPSは同じだ。
メモリは32GB/LPDDR5X-8448。GMKtec「EVO-X1」がLPDDR5X 7500MHzで少しパフォーマンスが高く、同様に期待できる。ストレージは1TB M.2 SSD/NVMe/PCI Express 4.0 x4。OSはWindows 11 Home(24H2/Arm版)、Copilot+ PC対応となる。
グラフィックスはQualcomm Adreno。外部出力用にHDMIとType-Cを装備。ディスプレイは14型OLED 1,920×1,200ドット、光沢、60Hz。同社Core Ultraシリーズ2搭載のZenbook S 14は、同じOLEDでも2,880×1,800ドット(120Hz)と性能が上でここは残念なところ。採用しなかったのはパネル重量の関係だろうか?
ネットワークはWi-Fi 7対応、Bluetooth 5.4。有線LANはない。そのほかのインターフェイスは、USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 1基、207万画素赤外線(IR)カメラ、3.5mmジャック。
3セル/70Whのリチウムポリマーバッテリを内蔵し、最大約29時間駆動。サイズ310.7×213.9×13.4〜15.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量980g。カラーバリエーションは、ザブリスキーベージュ、アイスランドグレー。今回購入したのは前者となる。
価格は22万4,800円(Amazon)。冒頭で候補に挙げたApple M4、Intel Core Ultraシリーズ2、AMD Ryzen AI 300シリーズ、どれも搭載機はおおよそ同クラスの価格帯となっている。
ただこの点、個人的にはマーケティング(価格設定?)が下手だと思う。同じ価格帯でも、2倍速いとか2倍バッテリが持つなど強力な特徴があるならまだしも、そうした特徴も特になく、それならアプリ互換性で不安のあるArm版Windows搭載機より、普通Intel/AMDやApple M4搭載のノートPC選ぶよね!となる。
技術的にはArmがこれらと変わらない性能になったこと自体凄いのだが、一般にはそんなことは無関係だろう。とは言え、プロセッサ以外は構成するパーツが同じ、ここでの原価および消費電力は変わらない。何とも難しい部分だろう。
本機のカラーバリエーションはザブリスキーベージュ、アイスランドグレーと2種類あるのだが選んだのは前者。理由は、仕事部屋はメタリックなブラックばかりなので紅一点(?)としたいから。重量は実測で990g。仕様では980gなので10gはどこから……はさておき、やはり1kgを切ると俄然軽く感じる印象だった。
左側面にHDMI、USB4 2基、3.5mmジャック。右側面にUSB 3.2 Gen 2を配置。有線LANやSDカードスロットはない。裏は前後に1本バーのゴム足。手前左右にスピーカー。付属ACアダプタはサイズ約75x75x30mm、重量219g、90W。もちろん90W以上あれば市販のものも使用可能だ。
14型OLEDは写真からも分かるように鮮やかで且つ黒の締まりが良く、IPSとは次元が違う。もちろん明るさ、視野角なども十分。光沢なのが残念だが、ほかの点は文句なしだ。
さて、いつもならここでi1 Display Proを使いパネルの特性を測るのだが、さっそくArm版Windowsの壁にぶち当たり動かなかった。事前から分かっていたことではあるが、x86ドライバをインストールするようなアプリは動かないというわけだ(Arm版ドライバがあれば動く)。
キーボードは84キー日本語キーボード(JIS配列)。タッチパッド上の文字などは半透明シール。剥がせばフラットになる。打鍵感は硬すぎず柔らかすぎずストロークは気持ち深め……と筆者好み。オフ+3段階のバックライトも使いやすい。キーピッチは主要キーは全部揃っており約19mm。ただ[DEL]キーの左に[電源]キーがあるのは、気になる人は気になるだろう。
タッチパッドは十分広く、また滑りも良い。クリックが少し硬めかつ深めだが、これはこれで嫌いではない。
Webカメラはまだ実践では使ってないものの軽くチェックしたところ結構行ける。Web会議程度なら十分以上だろう。
発熱やノイズは試用した範囲だと特に何もなかった。サウンドはスピーカーが本体裏にあるため高域などが篭るのは仕方ないところ。ただパワーはそこそこあり、最大近くにすると筐体ごと振動しだす。
以上のようにArmとは無関係に、モバイルノートPCと見ても完成度は十分。魅力的な1台に仕上がっている。
パフォーマンスはいかに!?
OSはWindows 11 Home。24H2だったが、初期起動し、Windows Updateしたところ山のようにアップデートがあり、ここだけでも結構な時間かかった。買って電源オンでいきなりこれは、正直ちょっと勘弁してほしかった。
プリインストールでアプリがいくつか入ってるが、この辺りは後編で。参考までに起動直後のメモリは32GB中25.5GB使用可能だった。動作自体は最近触っているハイエンド系のミニPCと変わらず、ストレスなく快適に操作できる。
SSD 1TBはMicron「MTFDKBA1T0QGN-1BN1AABGA」が使われている。ここによるとシーケンシャルリード:6,249MB/s、シーケンシャルライト:4,790MB/s。CrystalDiskMark(Arm版)のスコアはこれ以上のスコアが出ている。パーティションはC:ドライブのみで約951GB割り当てられ空き888GBなのだが(BitLockerで暗号化)、ものすごい数の管理用パーティションがある。これはx86版では見られないもので、Arm版固有だろうか。
GPUはQualcomm Adreno、Wi-FiはQualcomm FastConnect 7800 Wi-Fi7、BluetoothもQualcomm製だ。
ここからはパフォーマンスチェック。M4 Max搭載のMacBook Pro 14(128GB)、Intel/AMD搭載Windows PCとの比較もあるため、今回はどちらでも動くGeekbench 6でSingle Core、Multi Core、そしてGPUはOpenCL、次にArmでも動作するCrystalDiskMarkのスコアを掲載した。参考までにGoogle Octane 2.0は85,485だった(M4 Max 128GBは126,181)。
ざっくりシングルコア、マルチコアはApple M1 Proの少し上と言った感じで、M4 Maxは別格として、ほかと比較しても大差ない。しかしGPUはかなり遅く(やらないだろうが)ゲームなどには向かない感じか。CrystalDiskMarkはリード/ライトともに結構速い(今時のハイエンド)。
これからも分かるように、ビジネス用途ではまったく問題ない性能となる。本機ユーザーの想定通りな性能と言えるだろう。
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 7002.069 MB/s [ 6677.7 IOPS] < 1195.13 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 3223.563 MB/s [ 3074.2 IOPS] < 325.17 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 359.196 MB/s [ 87694.3 IOPS] < 353.57 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 68.412 MB/s [ 16702.1 IOPS] < 59.75 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 6081.911 MB/s [ 5800.2 IOPS] < 1374.14 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 3263.422 MB/s [ 3112.2 IOPS] < 321.01 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 489.658 MB/s [ 119545.4 IOPS] < 259.19 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 229.421 MB/s [ 56011.0 IOPS] < 17.76 us>
なおバッテリベンチマークテストは仕様上、最大約29時間と時間がかかりそうなので(笑)、次回に結果を掲載したい。
以上のようにASUS Zenbook SORA(UX3407RA)は、Snapdragon X Elite X1E-78-100、32GB/LPDDR5X-8448、SSD 1TB、そしてディスプレイにOLEDを採用し、重量実測で990gと、軽量型のモバイルノートPCだ。ベンチマークテストの結果からも分かる様にビジネス用途であればまずストレスを感じることはない。価格も22万円ほどと、競合と同レベルだ。
次回は、プリインストールアプリやCopilot+ PC、開発ツール、AI関連など、Arm版Windowsはどうなの?的な部分に触れてみたい。