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ChromeとWindowsのリモートデスクトップを使うには?遠隔操作でキーボード&マウスも最小限に
2025年2月4日 06:04
ネットワーク経由で別のパソコンを遠隔操作する「リモートデスクトップ」。サブPCからメインPCを遠隔操作して必要なデータをコピーしたり、画像や動画編集などサブPCでは厳しい負荷の高い処理を実行したりと活用方法はいろいろだ。インターネット経由でも利用可能なので、外出先からスマホやタブレットを使って自宅のメインPCの操作を行なえるのも大きな強み。
今回はGoogleの「Chromeリモートデスクトップ」とWindows 11/10に標準搭載されている「リモートデスクトップ」の設定方法と使い方を紹介していく。
「Chromeリモートデスクトップ」のサーバー側(操作される側)の設定
リモートデスクトップは基本的に操作される側が「サーバー」、操作する側が「クライアント」と呼ばれる。たとえば、サブPCでメインPCを操作したいなら、メインPCでサーバーになるための設定、サブPCでクライアントになるための設定が必要になるわけだ。
Googleの「Chromeリモートデスクトップ」は、Chromeブラウザの拡張機能として動作するため、Windows、macOS、Android、iOS、Chromebook、Linuxなど幅広いOSやデバイスに対応しているのが大きな特徴だ。今回はWindows 11環境での設定手順を紹介していく。基本的な流れはどのOSやデバイスでもほとんど変わらない。
まずは、ChromeブラウザをインストールしてGoogleアカウントでログインしておこう。ここからは先は、それが済んでいることが前提として進めていく。
「Chromeリモートデスクトップ」のクライアント側(操作する側)の設定
ここからはクライアント側(操作する側)の設定手順を紹介しよう。今回はWindows 11環境で行なっているが、基本的にはMac、Android、iOS、Chromebookなどでも変わらない。サーバー側と同じく、まずはChromeブラウザをインストールしてGoogleアカウントでログインしておこう。そして、アドレスバーに「remotedesktop.google.com/access」を入力し、サーバー(先の手順ではmain-pc)を選択すればリモートデスクトップが開始され、遠隔操作が可能になる。
「Chromeリモートデスクトップ」で知っておくと便利な機能
Chromeリモートデスクトップのクライアント側は、PCであればマウスとキーボード、タブレットやスマホならタッチでサーバー側のPCを遠隔操作できる。多少の遅延はあるが、アプリの起動や処理は問題なく実行可能だ。
さらに、Chromeリモートデスクトップが優れているのは家庭内のローカルネットワークだけではなく、インターネットを経由して外部からでもサーバーを遠隔操作できること。外出先からサーバー(自宅のメインPC)にあるデータにアクセスしたい、というシチュエーションはあるはず。外出時にはとりあえずサーバーを起動しておく、というのもアリだろう。
そこで覚えておきたいのは、ファイルのアップロードとダウンロードだ。Windowsの「Chromeリモートデスクトップ」アプリであれば、画面の右側にある「>」をクリックするとメニューが表示される。そこにデータ転送として、クライアント側にあるファイルをサーバー側に送る「ファイルのアップロード」、逆にサーバー側のファイルをクライアント側に送る「ファイルのダウンロード」が用意されている。手軽にファイルのやり取りが可能だ。
また、解像度については通常サーバー側で設定されているものが、そのまま適用されるが、「>」クリックのメニューから「ウィンドウに合わせてサイズ変更」にチェックを入れるとクライアント側のウィンドウサイズに合わせてサーバー側の解像度が自動調整される。画面が見づらい場合を使ってみてほしい。
Windows 11における「リモートデスクトップ」のサーバー側(操作される側)の設定
Windows 11/10にも標準でリモートデスクトップ機能が用意されている。Windows同士で接続するのであれば、別途アプリのインストールが不要と手軽だが、サーバー側(操作される側)とクライアント側(操作される側)の両方に対応しているのは、Pro/Enterprise/Educationのエディションのみ。Homeエディションでは、クライアント側としての機能しか備わっていない点には注意したい。
また、Chromeリモートデスクトップはローカルネットワークに加えて、インターネット経由でも遠隔操作しやすいが、Windowsのリモートデスクトップをインターネット経由で使うにはルーターの設定が必要など、手間とセキュリティ面のハードルが高い。家庭内のローカルネットワークで使うことがおすすめだ。
ここではWindows 11 Proで管理者権限を持つアカウントを使って設定を行なう。まず、サーバー側のアカウントにはパスワードの設定が必要だ。そして、クライアントからはサーバーのユーザー名とパスワードが入力が必要になる点も覚えておきたい。
Windows 11における「リモートデスクトップ」のクライアント側(操作する側)の設定
ここからは「リモートデスクトップ」のクライアント側(操作する側)の設定を紹介しよう。サーバー側にアクセスするには、サーバーの「コンピューター名」、「ユーザーアカウント名」、「パスワード」が必要になるのであらかじめ確認しておこう。
クライアント側はWindows 11/10に標準搭載されている「リモートデスクトップ接続」アプリを利用する。
なお、リモートデスクトップのクライアント用アプリはmacOS、iOS、Android、Chromebook向けも用意されているので、スマホやタブレットからもサーバー側となったPCの遠隔操作が可能だ。
Windowsの「リモートデスクトップ」で知っておきたい設定
Windowsのリモートデスクトップを使う上でのポイントを紹介しておこう。まず、サーバー側のPCでローカルアカウントではなくMicrosoftアカウントを使っている場合は、クライアント側ではMicrosoftアカウントのメールアドレスとパスワードを入力するのだが、接続に失敗することがある。
ネットワーク接続に問題がなければ考えられるのが、サーバー側PCで「Microsoftアカウントを使っているが、パスワードでログインしたことがない」という状態だ。
Microsoftアカウントでのログイン時に二段階認証を使っていて、スマホなどで認証するとパスワードを入れなくても済んでしまう。この状態だとクライアント側でMicrosoftアカウントのメールアドレスとパスワードを入力してもサーバー側に接続できないのだ。
これを回避するには、「設定」→「アカウント」→「サインインオプション」と表示して「セキュリティ向上のため、このデバイスではMicrosoftアカウント用にWindows Helloサインインのみを許可する(推奨)」をオフにする。
そして、ログイン画面でサインインオプションをクリックすれば、MicrosoftアカウントのパスワードでWindowsにログインできる。これを一度行なえば、クライアントからサーバーに接続が可能になるはずだ。もし、接続に問題が起きたら試してほしい。
クライアント側となる「リモートデスクトップ接続」アプリで覚えておきたいのは、サーバー側、クライアント側のファイルやり取りは、普通にコピー&ペーストで実行できるということ。
たとえば、サーバー側のファイルをクライアント側に送りたい場合は、サーバー側のファイルをショートカットの「Ctrl」+「C」キーや右クリックメニューからコピーを選び、クライアント側でペーストを実行すればよい。手軽にファイルをやり取りできるのはWindowsのリモートデスクトップの強みと言える。
なお、「Chromeリモートデスクトップ」とWindowsの「リモートデスクトップ」の違いとして、サーバーにクライアントが接続されたときの挙動がある。Chromeリモートデスクトップは、サーバーにクライアントが接続されても同じように操作できるが、Windowsのリモートデスクトップは、クライアントが接続されるとサーバー側はロックされて操作不能になる。
サーバー側の解像度については、クライアント側の「リモートデスクトップ接続」アプリの「画面」タブにある「画面の設定」で指定が可能だ。設定できる解像度はクライアント側モニターの解像度が上限になる。サーバー側PCが4K対応だとしても、クライアント側PCがフルHDなら設定できるのはフルHDまで。ここも「Chromeリモートデスクトップ」とは異なる点だ。