イベントレポート
Xiaomi、順当に進化したプロ向けカメラスマホ「Xiaomi X15 Ultra」。望遠や駆動時間など強化
2025年3月3日 19:00
Xiaomiは3月3日に開幕するワイヤレス通信関連で世界最大の展示会「MWC 25」に先駆け、開幕前日となる3月2日に、スペイン・バルセロナ市の会場において記者会見を開催。同社の最新フラグシップスマートフォンとなる「Xiaomi 15 Ultra」、「Xiaomi 15」の2製品を発表した。
中でもXiaomi 15 Ultraは、同社が写真家など向けのカメラと位置付けている「Xiaomi 14 Ultra」の後継製品で、Xiaomi 14 Ultraと同じようにフォトグラフィキットと呼ばれる本体に装着するグリップオプションが用意されており、あわせて活用することでミラーレスカメラの代替として利用することが想定されている。
今回発表されたXiaomi 15 Ultraでは、クロップ処理により焦点距離が最大で200mmまで伸ばされていることが最大の特徴。加えて、本体やフォトグラフィキットに内蔵されているバッテリ容量が増え、駆動時間が延びているのも強化点となっており、Xiaomi 14 Ultraでユーザーが感じていた不満を確実に解消して進化させた製品になる。
Xiaomi 15シリーズはUltraと無印がグローバルモデル。Ultraには日本向けの技適マークも
今回Xiaomiは、2024年モデルとなるXiaomi 14シリーズでもそうだったように、Xiaomi 15シリーズのうちXiaomi 15 UltraとXiaomi 15をグローバルモデルとして発表した。それぞれのスペックをまとめると以下のようになる。
Xiaomi 15 Ultra | Xiaomi 15 | |
---|---|---|
SoC | Snapdragon 8 Elite | Snapdragon 8 Elite |
メモリ | 16GB | 12GB |
ストレージ | 512GB/1TB | 256GB/512GB |
ディスプレイ | 6.73型3,200×1,440ドットOLED (120Hz、3200cd/平方m) | 6.36型2,760×1,200ドットOLED (120Hz、3200cd/平方m) |
カメラ(背面・超広角) | 5,000万画素/14mm相当/F2.2 | 5,000万画素/14mm相当/F2.2 |
カメラ(背面・広角) | 5,000万画素/23mm相当/F1.63 | 5,000万画素/23mm/F1.62 |
カメラ(背面・望遠) | 5,000万画素/70mm相当/F1.8 | 5,000万画素/60mm相当/F2 |
カメラ(背面・超望遠) | 2億画素/100mm相当/F2.6 | - |
カメラ(前面・超広角) | 3,200万画素/21mm相当 | 3,200万画素/21mm相当 |
生体認証 | 指紋認証・顔認証 | 指紋認証・顔認証 |
無線機能 | Wi-Fi 7、Bluetooth 6 | Wi-Fi 7、Bluetooth 6 |
セルラー | 5G、4G、3G、2G(Nano SIM/eSIM対応) | 5G、4G、3G、2G(Nano SIM/eSIM対応) |
バッテリ容量 | 5,410mAh | 5,420mAh |
OS | HyperOS 2(Android 15ベース) | HyperOS 2(Android 15ベース) |
サイズ | 161.3×75.3×9.35mm | 152.3×71.2×8.08mm(標準色) 152.3×71.2×8.48mm(リキッドシルバー) |
重量(最小構成) | 226g(ブラック/ホワイト) 229g(シルバー) | 191g(標準色) 192g(リキッドシルバー) |
フォトグラフィキット | 別売オプション | - |
どちらの製品もSoCにSnapdragon 8 Eliteを採用するが、メモリやストレージの構成はUltraが16GB+512GB/1TB、無印が12GB+256GB/512GBの構成になっている。また、ディスプレイはどちらもOLEDパネルを採用しており、Ultraが6.73型で解像度が3,200×1,440ドット/120Hzであるのに対して、無印は6.36型で解像度2,760×1,200ドット/120Hzとなっていることが大きな違いだ(いずれもピーク時の輝度は3,200cd/平方m)。
両製品の最大の違いは、カメラ機能にある。Ultraではフォトグラフィキットと呼ばれるオプションが用意されており、取り外しが可能なカメラグリップが装着できるのに加え、背面カメラが4眼(超広角、広角、望遠、超望遠)になっているのに対して、無印ではキットがなく、背面カメラも3眼(超広角、広角、望遠)になっている。
それぞれのレンズの標準の焦点距離(35mm換算)で見ると、Ultraは14mm相当、23mm相当、70mm相当、100mm相当となっているのに対して、無印は14mm相当、23mm相当、60mm相当となっている。倍率に置き換えると、Ultraは0.5倍、1倍、3倍、4.3倍になっており、無印は0.5倍、1倍、2.6倍となり、より望遠が強いのがUltraの特徴と言える。
なお、実機で確認したところ、Xiaomi 15 Ultraに関しては日本向けの技適マークがデジタル表示されていたが、Xiaomi 15に関しては表示がなかった。それを見る限り、Xiaomi 15 Ultraは日本での販売を前提に設計と認証取得が行なわれているが、Xiaomi 15に関してはそうではないと考えられる。現時点でXiaomiからは何のアナウンスもないが、Xiaomi 14 Ultraに続きXiaomi 15 Ultraも日本で入手できるようになる可能性が高いと言えるだろう。
欧州での価格はXiaomi 15 Ultraの512GBモデルが1,499ユーロ(日本円で約23万4,700円)、Xiaomi 15は256GBモデル999ユーロ(約15万6,400円)という価格設定になっている。
焦点距離が200mmまで伸び、望遠での撮影がより高画質に
Xiaomi 15 Ultraをプロ用のカメラとして見ていった場合、Xiaomi 14 Ultraでユーザーが感じていた超望遠側の弱さとカメラとして撮影していると数時間でバッテリーがなくなってくるという弱点を潰してきた製品になる。
従来モデルXiaomi 14 Ultraでは14mm、23mm、75mm、120mmと4つの焦点距離のレンズが用意されており、光学の観点での焦点距離は望遠側では120mmとなっていた。それに対して、今回のXiaomi 15 Ultraでは前述の通り14mm相当、23mm相当、70mm相当、100mm相当となっており、光学の焦点距離としてはXiaomi 14 Ultraよりもむしろ短くなっている。
しかし、超望遠側ではCMOSの必要な部分だけを切り出して撮影するという手法で、100mm相当のレンズを利用して、200mm相当の画像を撮影することを可能にしている。それにより、光学としては200mm相当で切り出すことができる。実際、Xiaomiは望遠側を200mmまで光学相当と説明しており、400mmの方は具体的な説明はされていないが、デジタルズームの可能性が高い(実際撮影した画像で確認したが、200mmで撮影した場合にはデジタルズームっぽさはなかったが、400mmで撮影するとデジタルズームっぽさが残る画像になった)。
カメラアプリでは、4.3倍の100mm相当を選択した状態でもう一度4.3倍のボタンを押すと8.7倍の200mm相当、そしてもう1回押すと17.2倍の400mm相当に切り替わるようになっている。スペック上は200mm相当までとなっている(このあたりはXiaomi 14 Ultraで広角=1倍のボタンを押すと28mmと35mmに切り替えられる仕組みと同じ)。
ミラーレスカメラなどのズームレンズには24/28mm~200mmという望遠レンズが用意されており、それを広範囲に対応できる万能レンズとして常時持ち歩いているユーザーも少なくないだろう。そうしたユーザーにとっては、Xiaomi 15 Ultraを選択肢として考えた時の不都合が1つ消えたことになる。
また、もう1つの不満点だった撮影時のバッテリ駆動時間に関しても、Xiaomi 15 Ultraでは改善が図られている。Xiaomi 14 Ultraではバッテリ容量が5,000mAhだったが、Xiaomi 15 Ultraでは約8.2%増の5,410mAhとなった。バッテリの駆動時間は結局のところは容量に比例するので、この点は嬉しい強化点と言える。
また、Xiaomi 15 Ultraにも、Xiaomi 14 Ultraと同じようにフォトグラフィキットが用意されている。ただし名称は「Photography Kit Legend Edition」と変わり、色が従来モデルのブラック/シルバーベースからレッドとプロ用としてはやや自己主張が強めな色に変更されている。
機能は基本的には従来モデルと同じで、カメラ用の67mm系レンズフィルタを装着可能にする「フィルターアダプターリング」、バッテリ内蔵グリップなどが同梱されており、本体に装着するとよりカメラっぽく利用することができる。グリップのバッテリ容量も増えており、Xiaomi 14 Ultra用では1,500mAhであったのに対して、Xiaomi 15 Ultra用では2,000mAhになっている。
このように、Xiaomi 15 Ultra(とフォトグラフィキットの組み合わせ)は、Xiaomi 14 Ultraをプロが使う時に不満に感じていた望遠側の焦点距離と、撮影時のバッテリ駆動時間が比較的短いという不満点を確実に解消してきた印象で、順当なアップグレードを果たしたと言える。
スマートフォンを一眼カメラ化(?)する試作機を公開
Xiaomiは記者会見の中で、レンズをスマートフォンにマグネットなどで接続できる試作機「Xiaomi Modular」を公開した。かつてソニーが発売していたレンズスタイルカメラのような形状のレンズをスマートフォンの背面に装着して利用する。スマートフォン側には何らかの端子が見えるが、その部分でやりとりをするのか、それともWi-Fiのような無線でやりとりをするのか、現時点では明らかになっていない。
スマートフォンを一眼カメラのように利用する製品は、ソニーのレンズスタイルカメラがそうだったように、コンセプトこそ昔からあるが、今のところ成功した(あるいは継続して製品が投入されている)製品はないため、その成否にも注目が集まるところだ。
現時点では具体的なことは何も明らかにされていないが、公開された試作機を見る限りはスマートフォンを一眼レフのように活用できそうなほか、仮にそれがライカレンズであるなら光学性能にも期待できるだけに、製品化が望まれる製品だ。