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Windows 11だとゲームやアプリが不調は本当?Windows 10との比較で噂を検証

 2021年10月5日にリリースされた「Windows 11」。スタートメニューが中央に移動するなどインターフェイスの刷新、大幅に強化されたセキュリティ機能などが話題となる一方で、一部のCPUではパフォーマンスが出ない、Windows 10からのアップグレード後にアプリが正しく動作しないといった問題も聞かれた。

 では、2022年4月時点ではどうだろうか。ここでは、コンピューターショップのドスパラを展開するサードウェーブのノートPC「GALLERIA XL7C-R36」を用意。「最初からWindows 10」、「Windows 10からWindows 11にアップグレード」、「最初からWindows 11」と3つの環境でゲームやクリエイティブアプリを実際に動かして問題がないか、ベンチマークなどでパフォーマンスに違いがないかをチェックしていく。Windows 11の導入を迷っている人の参考になれば幸いだ。

ゲームでWindows 11と10を比較

 まずは、ゲームをテストしていこう。ここでは以下のタイトルを使用した。いずれも人気のFPS/TPSだ。

  • Apex Legends
  • VALORANT
  • Fortnite
  • Rainbow Six Siege

 「Apex Legends」は、Windows 10からWindows 11にアップデートした場合、または最初からWindows 11の環境において、後方の音が聞こえにくくなる現象が一部の環境で起きていたようだ。

 一度別のオーディオ機器を選択して戻す、サウンドのプロパティから「オーディオ機能拡張を有効にする」のチェックを外す、といった対処法が知られている。

 しかし、Apex Legendsの2022年3月15日アップデートのバージョンで筆者が試す限り、Windows 10からWindows 11にアップデートした環境、最初からWindows 11の環境のどちらでも後方の音が聞こえにくい現象は確認できなかった。

 ちなみに音声はGALLERIA XL7C-R36のヘッドフォン出力を使用して確認を行なっている。Windows 11は2022年3月27日時点で導入できるアップデートはすべて適用した状態だ。

Apex Legends
スピーディーなゲーム展開と役割が異なる数々のレジェンド(キャラクター)の存在が特徴的なオンラインFPS「Apex Legend」
以前はオーディオ設定が不具合と見られていたが……
Apex Legendsのサウンド問題は、Windows 11のサウンドデバイスのプロパティから、「詳細」タブにある「オーディオ機能拡張を有効にする」のチェックを外すことで解決すると言われていたが、アップデートのおかげか不具合は確認できなかった。ちなみに環境によっては、この設定項目がない場合もある

 また、パフォーマンスもチェックしてみた。「+fps_max unlimited」コマンドでfps上限を解除した上で、トレーニングモードで一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。

Apex Legendsのフレームレート

 どの環境でも誤差と言える差しかない。Apex LegendsはWindows 11でプレイしてもパフォーマンスに問題はないと言ってよいだろう。

 「VALORANT」も、Windows 10からWindows 11にアップデートした環境、最初からWindows 11の環境のどちらでも問題なく動作した。

 ただし、Windows 11を導入している環境では当てはまる人は少ないと思うが、UEFI(BIOS)設定でSecure BootをDisabled(無効)にしているとエラーが表示されてVALORANTがプレイできなくなる。もし、Windows 11でVALORANT起動時にエラーが出たら、Secure Bootの設定を確認しておこう。

VALORANT
比較的スペックの低いPCでも遊べる動作の軽さから幅広い層で人気のタクティカルFPS「VALORANT」
Secure Bootが無効だとゲームが動かない
Secure Bootが無効になっていると「VAN9001」のエラーが表示される
UEFI(BIOS)設定でSecure Bootを「Enabled」(有効)にすれば解決できる

 同じくパフォーマンスも確認しよう。射撃場の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。

VALORANTのフレームレート

 若干Windows 10の環境の方がフレームレートが高いが、それでも差は約3%ほど。Windows 11でも十分高いフレームレートが出ており、問題はないと言える。

 「Fortnite」もWindows 10からWindows 11にアップデートした環境と、最初からWindows 11の環境のどちらでも問題なく動作した。Windows 11の発売当初はパフォーマンスが下がる現象が起こると言われていたが、どうだろうか。ソロモードのリプレイデータを再生した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。

Fortnite
根強い人気のバトルロイヤルTPS「Fortnite」
Fortniteのフレームレート

 今回筆者が検証する限り、問題は確認できなかった。Windows 10でもWindows 11でもほぼ変わらないパフォーマンス結果だ。

 「Rainbow Six Siege」はどうだろうか。プレイはどの環境でも問題なく行なえた。パフォーマンスに関しては、ゲーム内のベンチマーク機能を使用して測定する。

Rainbow Six Siege
2015年発売だが未だに人気の高いリアル系FPS「Rainbow Six Siege」
Rainbow Six Siegeのフレームレート

 この結果はブレの少ない平均フレームレートに注目してほしい。どの環境でもほとんど変わらないフレームレートになっている。Windows 10からWindows 11にアップグレードした環境が一番高いが、誤差の範囲と言えるだろう。

配信/動画編集アプリでWindows 11と10を比較

 ここまで4本のゲームを試してきたが、特に問題は起きなかった。次は、配信アプリや動画編集アプリを試して見たい。ここでは、定番の配信アプリ「OBS Studio」と動画編集アプリ「Adobe Premiere Pro 2020」を用意した。

 OBS Studioはバージョン27.2.3を使用。Apex LegendsをYouTubeにNVIDIAのハードウェアエンコーダ「NVENC」を使って8Mbps(CBR)でフルHD/60fpsで配信した場合、動作やパフォーマンスに影響が出るのかそれぞれの環境で試してみた。フレームレートの測定条件は上記と同じだ。

配信アプリOBSで検証
配信アプリのド定番「OBS Studio」。様々な配信サイトと連係が可能だ
Apex Legends+OBSでのフレームレート

 どの環境でもほとんど差は出なかった。問題なくプレイしながらの配信が可能だ。OBS Studioの統計機能を見ても、どの環境でもエンコードミスは起きていなかった。

 「Adobe Premiere Pro 2020」については、AdobeがWindows 11で特定の問題が起きていないことをWebサイトで公表しており、心配は不要と言える。パフォーマンスに関しては、ブレなく測定できるようにPremiere Proを実際に使って編集やエンコードを実行するベンチマーク「UL Procyon Video Editing Benchmark」を使用した。

Adobe Premiere Pro動作時のスコア
Adobe Premiere Proでのエンコード時間

 スコアを見ると、どの環境でも誤差の範囲だ。エンコード時間を見ると環境によってブレは確認できるが、どれかの環境が突出して優秀ということはない。勝ったり負けたりだ。パフォーマンスに大きな差はないと言える。


 PCを購入するにあたり、発売されてまだ半年程度のWindows 11を選ぶのには抵抗がある人もいるかもしれない。しかし、今回の検証ではWindows 10とWindows 11で動作やパフォーマンスに差はほぼなかった。

 Windows 10の方が、当然サポートが早く終わるということを考えると、今後はWindows 11搭載モデルを選ぶのが賢い。スタートメニューが中央に変わったインターフェイスも使えばすぐに慣れてしまう。安心してWindows 11搭載PCを使ってほしい。

検証に使用した「GALLERIA XL7C-R36」を紹介

検証で使用したサードウェーブが販売する15.6型ノートPC「GALLERIA XL7C-R36」。直販価格は15万9,980円から

 今回の検証に使用したのはサードウェーブの「GALLERIA XL7C-R36」。標準OSはWindows 11 HomeでProに変更が可能だ。今回は検証のためにWindows 10も導入し、Windows 11へのアップデートも試している。

 CPUには第11世代のCore i7-11800H(8コア16スレッド)とハイエンドなものを採用、16GBのDDR4メモリ、512GBのNVMe SSDに加えて、GPUにはミドルレンジのNVIDIA「GeForce RTX 3060」を搭載。これで15万9,980円という高いコストパフォーマンスを実現している。

CPUはCore i7-11800Hを搭載。8コア16スレッドとメニーコア仕様。Turbo Boost時で最大4.60GHzと動作クロックも高い
GPUはGeForce RTX 3060 Laptop GPUを採用。カード電力は130W設定と高く、ブーストクロックは1,702MHzと性能をほとんどフルに引き出せる仕様だ

 ディスプレイは15.6型のフルHD(1,920×1,080ドット)解像度で144Hzの高リフレッシュレート仕様とまさにゲーミングにピッタリ。これまでの検証を見れば分かる通り、本製品はFPS/TPSゲームで最高画質設定でも、144Hz対応のディスプレイを活かせるフレームレートを余裕で出せるだけのパワーがある。これからPCゲームの世界に入りたいという人にはイチオシのゲーミングノートだ。

ディスプレイは15.6型のフルHD(1,920×1,080ドット)解像度
リフレッシュレートは144Hzと高い
右側面はSDカードスロット、USB 3.2 Gen 1(旧表記USB 3.0)×2
左側面はヘッドフォン出力、マイク入力、USB 3.2 Gen 2(旧表記USB 3.1)×1
背面は2.5G LAN、HDMI出力、Thunderbolt 4(DisplayPort 1.4対応、USB PD非対応)

 有線LANは2.5Gigabit Ethernet、無線LANはWi-Fi 6といずれも高速なデータ通信に対応、Thunderbolt 4も搭載とコスパに優れているだけではなく、ネットワーク周りやインターフェイスも充実している。

キーボードはテンキー付き。タッチパッドも十分広い
電源設定として「エンターテイメント」、「ゲームモード」、「ターボモード」が用意されている。今回はすべて「ゲームモード」設定でテストを行なった
【表】GALLERIA XL7C-R36の仕様
CPUCore i7-11800H(2.3GHz~4.6GHz)
メモリDDR4-3200 16GB(8GB×2)
ストレージ512GB NVMe SSD
GPUGeForce RTX 3060 Laptop GPU
ディスプレイ1,920×1,080ドット表示対応15.6型液晶
OSWindows 11 Home
インターフェイスThunderbolt 4×1(DisplayPort 1.4対応、USB PD非対応)、USB 3.2 Gen 2(旧表記USB 3.1)×1、USB 3.2 Gen 1(旧表記USB 3.0)×2、HDMI、SDカードリーダ、Webカメラ、ステレオスピーカー、音声入出力端子
無線Wi-Fi 6、Bluetooth
本体サイズ360×244×23mm(幅×奥行き×高さ)
重量約2.1kg

 なお、GALLERIA XL7C-R36は人気モデルのため、本記事の掲載時点では売り切れてしまっているようだ。同様のモデルが欲しい方は「GALLERIA UL7C-R36」がおすすめだ。こちらはより高速なリフレッシュレート240Hzの15.6型液晶ディスプレイを搭載するといった違いがある。価格は17万3,980円だ。

※価格とスペックは2022年4月18日時点のものです。