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今ゲーミングノートを買うならコレ!KTU太鼓判のCore i7&RTX 3070搭載2kg切りノートを見よ

~サードウェーブ「GALLERIA UL7C-R37」を最新&定番ゲームで徹底検証

サードウェーブとインテルの共同開発で生まれたフルHDゲーミングノート「GALLERIA UL7C-R37」。同社の直販サイトで21万9,980円で販売中(12月13日時点)。RTX 3060を搭載したモデル(UL7C-R36)もある

 PCショップのドスパラを展開するサードウェーブは、以前からインテルとゲーミングノートを共同開発しているが、11月に最新モデル「GALLERIA(ガレリア) UL7C-R37」(以下、UL7C-R37と略)を発表した。本機はTiger Lake-H世代のCore i7-11800Hと、Ampere世代のGeForce RTX 3070を組み合わせた15.6型フルHDノートだ。

 普通この手の高性能なゲーミングノートであれば、2kgを超えるのが当たり前だが、UL7C-R37は重量約1.96kgで、最薄部も21.6mmと、薄型軽量ボディであることが大きな特徴だ。

 さらにリフレッシュレート240Hzの高速液晶や1TBのSSDなど、ゲーミングノートとしては外せないスペックを取り入れ、21万9,980円という価格を実現している(12月13日時点)。

 サードウェーブとインテルの共同開発は、以下の関連記事にあるように、2019年「GALLERIA GCR2070RGF-QC」に遡るが、今回のUL7C-R37はこれをさらに進化させたものとなっている。

化粧箱にはGALLERIAブランドのキャッチフレーズ「BREAK THE NORMAL」が印刷されている

 今回はUL7C-R37のパフォーマンスを検証できる機会に恵まれた。インテルとの共同開発で生まれた最新薄型軽量ゲーミングノートはキャッチフレーズに掲げる「BREAK THE NORMAL」の通り“常識を打ち破る”パフォーマンスを見せてくれるのだろうか? 前述の2019年に登場した旧世代モデルと比較しつつ、詳細に検証していきたい。

 もし先にゲーム性能を見たい方は、以下の目次から該当するセクションに飛んでほしい。

※レビュー機は発売前のものを使用したため、製品版と若干仕様等が異なる場合があります

執筆ライター「KTU」
本稿は僚誌DOS/V POWER REPORTやYouTubeチャンネルのPADなどでも活躍する、ゲーム大好きな実力派ライター「KTU」こと、加藤勝明氏がレビューしている

高性能を凝縮した薄型筐体。インターフェイスも豊富

 UL7C-R37は、GALLERIAブランドのゲーミングノートとして、最上位の「Uシリーズ」に属しており、その下にあるZ/X/Rシリーズよりもプレミアムな仕様だ。

 例えば、CPUとクーラーの間に塗布されるグリスが、通常のものよりも約5~6倍の熱伝導率を誇る液体金属素材になっており、長時間高負荷がかかるゲーム中においても高いパフォーマンスを維持できる。また、ボディにシリーズ唯一のマグネシウム合金を使い、軽量さと剛性を両立させるといった違いもある。なお、液体金属の効果については後半のCPUクロックと温度計測のセクションで実証しているので、そちらをご覧いただきたい。

液体金属やマグネシウム合金を採用

 UL7C-R37の本体サイズは、356×234×21.6〜25mm(幅×奥行き×高さ)と、ディスクリートGPUを搭載したノートとしては薄型の部類に入る。本体のデザインは前世代から大きく変わった点はないが、ACアダプタは大きさも重量も2割程度減った150×74×26mm、重量498gとなっている。

ゲーミングノートながらシンプルなデザイン
天板にはGALLERIAのロゴが印刷されている
液晶部部分は180度近くまで開く
小さくまとまったACアダプタ。重さは約498gと、230W出力にしては小型軽量のものが採用されている
底面にはハッチの類は一切存在しない。底面の無数にあるスリットから吸気して、側面および背面から排気するスタンダードな設計となる

 搭載インターフェイスはUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)やHDMI出力、2.5Gigabit Ethernet搭載。有線LANやHDMIといったあまり抜き挿し頻度の高くないインターフェイスは本体後部に集中しているので使い勝手は良い。

 さらに本体後部にはUSB Type-Cも配置されているが、これはThunderbolt 4準拠であり、USB4としても機能する。薄型ノートは拡張性がUSBポート数頼みになりやすいが、Thunderbolt 3または4を利用することで高速ストレージや4Kビデオキャプチャデバイス、あるいはUSB Type-C接続の外部ディスプレイなども利用できる。拡張性もある程度ほしい人には嬉しい装備と言える。

側面/背面と充実したインターフェイス
右側面はUHS-I対応SDカードリーダにUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)が2ポート。安めのノートPCだと5Gbps仕様(USB 3.2 Gen 1)な事が多いため、10Gbps対応ポートが2つ並んでいるのは嬉しい
左側面にはUSB 3.2 Gen 2が1ポートと、ヘッドセット用端子(CTIAの4極プラグ対応)が配置されている
背面には2.5Gigabit EthernetにHDMI出力、さらにUSB4仕様のType-Cとしても機能するThunderbolt 4ポートが1基配置されている
高速かつ大容量のストレージが必要になった場合は、背面のUSB Type-Cを利用しよう。Thunderbolt 3/4対応のストレージなら最高だが、ゲームのインストール先にするならUSB 3.2 Gen 2仕様のSSDでも良い

 キーボードはJIS配列で、ピッチは実測で19.05mm。打鍵時の音も比較的静かなものが使われている。パンタグラフ機構はよくある樹脂製ではなく金属製であり、さらにキーごとにスタビライザーが仕込まれているので、端の方を押してもキートップがあまり傾かずそのまま沈んでいく打鍵感が得られる。

 外資系PCメーカーの製品にありがちな不自然な合体キーもない点を考えると、国内展開するノートPCとしては“非常によく練られた”キーボードと言える。Enterキーの右にPageUp/Downキーがあるのが気になる人もいるだろうが、ホームポジションを意識して使うようにすればすぐ慣れる。

クセがなく扱いやすいキーボード。RGB LEDも採用
JIS配列で合体キーのないスタンダードなテンキーレス&65%サイズのキーボードを装備。最上段のファンクションキー(F1~F12)が小さくないので、ゲームでもFキーを使う人にはとても嬉しいはず
ゲーミングノートだからというわけではないが、UL7C-R37のキーボードはRGB LEDでライトアップ可能。LEDはキーごとに光量や色を設定可能なので、重要なキーだけ光らせるような使い方も可能だ。
ボディ前面のスリットは「ライトバー」と呼ばれ、ここもRGB LEDで発光する。発光パターンはACアダプタ装着時とバッテリ駆動時で変化する(カスタマイズも可能)
電源ボタンの左にあるボタンはパフォーマンスモード切替ボタンで、押すごとに省電力→バランス→パフォーマンスと変化する。ゲームで遊ぶ場合はパフォーマンスモード一択だ
キーの設計にもこだわりがある
ノートPCのキーボードは樹脂製パンタグラフが定番だが、UL7C-R37は金属製パンタグラフにキーごとにスタビライザーを仕込んだ凝った設計のものが採用されている。スイッチのメーカーは不明だが光学式スイッチのようだ

 キーボードの発光制御や省電力設定といったハードに関わる様々な設定を行なうツールは、これまでサードウェーブ製のものがプリインストールされていたが、UL7C-R37では「Intel NUC Software Studio」をベースにカスタマイズされたものとなった。

 以前の同社製ノートPC用のツールと比較すると画面の情報量が増え、より使いやすくなっている。液晶ディスプレイの発色もゲームや読書・動画鑑賞などのシーン別に用意されているので、上手く活用するとより快適に使えるだろう。

カスタマイズ性の高いユーティリティを搭載
現行のデスクトップ版NUCでもお馴染みのIntel NUC Software Studioをベースにした「GALLERIA Gaming Center」。何ができるのかはこの画面を見れば説明不要だろう。ゲーマー泣かせのWinキーの無効化もここで設定する
キーボードのバックライトLEDはキー毎に独立制御できる。虹色に光らせるのも良いが、ビデオ編集アプリのショートカットキーを色分け表示するように設定すれば、実用性も高くなる。ただしマクロは設定できない
システムの省電力設定とファンの回転プロファイルはAC電源接続時とバッテリ接続時でそれぞれ3段階が用意されている。「ベンチマーク・モード」を有効にするとファンが全力で常時回転するが、今回の検証では使用していない
液晶パネルの明るさや色味・色温度は使用が想定されるシーンごとに用意されている
タスクトレイのアイコンを右クリックし、省電力設定を自在に切り替えることができる。ゲーム起動と連動して切り替え、終了と同時に戻すような機能があればさらに良かったのだが、今後の発展に期待だ
サウンドのミドルウェアは「NUC AUDIO STUDIO」を採用。イコライザー系の設定ができる

 ディスプレイ周辺の枠が狭い“狭額ベゼル”仕様の液晶は解像度フルHD、リフレッシュレート240Hzのゲーマー向けのものが使われており、PCゲームだけなら十分過ぎる仕様だ。

 クリエイティブ用途に使うとなるとフルHDでは画面領域が不足する場合もあるが、そのような場合はUSB Type-CやHDMI出力経由で外部ディスプレイを接続することをオススメしたい。

狭額縁で視認性良好のディスプレイ。240Hzの高速表示が可能
狭額ベゼル仕様のパネルを採用。リフレッシュレートは240Hzと高いのでeスポーツ性の高いゲームには最適だ
液晶上部のWebカメラはIRカメラも併設したWindows Hello対応のもの。サインイン時に顔認証でスッとログインできる

Tiger Lake-HとAmpere世代の強力な定番タッグ

 続いては中身に注目しよう。CPUは第11世代(Tiger Lake-H)のCore i7-11800H、GPUはAmpere世代のGeForce RTX 3070と、CPU内蔵GPUとしてUHD Graphicsを搭載している。

 ノート用のRTX 3070なので発熱や消費電力を抑えるためにTGP(Total Graphics Power)は定格80Wに抑えられているが、フルHDでeスポーツ性の高いゲームを高フレームレートで遊ぶ、あるいは最新ゲームを高画質設定で遊ぶには相応しい選択と言えるだろう。

 さらにストレージはNVMe SSDの1TBを標準搭載。ゲームのインストールサイズがどんどん大きくなっていくことを考えたら、1TBは安心して使うための最低ラインと言って良い。

CPUは「Core i7-11800H」
「CPU-Z」で搭載されたCPUの情報をチェックした。Tiger Lake世代のCore i7-11800Hが搭載されている
GPUは「GeForce RTX 3070」
「GPU-Z」による搭載GPUの情報。Ampere世代のGeForce RTX 3070で、VRAMはGDDR6で8GBが搭載されている
GeForce RTX 3070のTGP(Total Graphics Power)は消費電力や発熱を抑えるために定格で80W、最大で145Wとかなり控えめに設定されている
240Hz表示可能なディスプレイ
液晶パネルの解像度は1,920×1,080ドットだが、リフレッシュレートは240Hzと高い。画面の精細さよりも動きのあるシーンでの滑らかさを重視したゲーマー向けの選択と言える
【表】GALLERIA UL7C-R37のスペック
CPUCore i7-11800H(8コア16スレッド、2.3~4.6GHz)
GPUGeForce RTX 3070(8GB)
メモリDDR4-3200 16GB
ストレージNVMe SSD 1TB
ディスプレイ15.6型フルHD液晶
解像度1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Home
バッテリ駆動時間約8.8時間
汎用ポートUSB4 Type-C(Thunderbolt 4、DisplayPort 1.4)、USB 3.2 Gen 2×3
映像出力DisplayPort 1.4(USB4 Type-Cポートを利用)、HDMI 2.0b
無線機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
WebカメラHD画質
セキュリティ顔認証センサー(Windows Hello対応)
その他ステレオスピーカー、ステレオマイク、音声入出力端子
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)約356×234×21.6~25mm
重量約1.96kg
直販価格21万9,980円(12月13日時点)

ベンチマークで旧モデルとの性能差を計る

旧モデルからどれくらいパワーアップしたのか?

 今回UL7C-R37の性能をチェックするにあたり、サードウェーブ×インテルの第1段ノートであるGCR2070RGF-QC(以降、比較機と表記)を準備した。比較機のスペックはCPUがCore i7-9750H、GPUがGeForce RTX 2070 Max-Q、16GBメモリといった構成だ。

 CPUはCoffee Lake世代、コア数も6コア12スレッドなのでUL7C-R37のCore i7-11800HよりもCPUのアーキテクチャが古く、コア数も少ない。GPUについても1世代古く、さらにMax-Qでパワーが絞られている。両者のパフォーマンスにどの程度の違いが出るか見ていこう。

 まずは基本的なパフォーマンスを見るために「Cinebench R23」を利用する。UL7C-R37および比較機はともに電力モードを「パフォーマンス(Windowsでは高パフォーマンス)」モードとしている。

「Cinebench R23」のスコア

 UL7C-R37のCPUは、比較機に対してコア数が6コア12スレッドから8コア16スレッドに増えただけでなく、アーキテクチャもSkylakeからWillow Coveに変化している。マルチスレッドで2倍以上の差が出たのは驚きだ。シングルスレッドも比較機の1.5倍弱出ており、Tiger Lake-H世代のノートの強さを物語っている。

 続いては総合性能をみる「PCMark10」だ。ゲーミング以外のテストを実施する“Standard”テストで比較しよう。

「PCMark10」Standard Testのスコア。総合スコアの算出の根拠となったテストグループ別スコアも比較する

 総合スコアもテストグループ別スコアも順当に最新のUL7C-R37の方が高い。総合スコア(グラフでは“Standard”)では、UL7C-R37は比較機の1.5倍弱のポイントを稼いでいるが、これはCinebench R23のシングルスレッドのスコア比とほぼ同じだ。どんな作業をさせても快適な処理が期待できると言える。

 ゲームグラフィックの性能比較として「3DMark」も試してみよう。Fire Strike〜Port Royalまでの全テストを実施する。

「3DMark」のスコア

 今回用意した比較機のGPUはRTX 2070 Max-Q、これに対しUL7C-R37のGPUはGeForce RTX 3070なのでスコアが高くなるのは当然のこと。Fire Strikeでは比較機の1.4倍、Port Royalでは1.54倍高いスコアを出しているので十分性能は上がったと言える。Cinebenchと比べてややスコアの差が大人しいように見えるのは、モバイル向けのGeForceではTGP(Total Graphics Power)が定格80Wに絞られているためだ。

ゲームはどれくらい動く? 快適度を検証

(C)2019 Electronic Arts Inc.

 では肝心の実ゲームにおけるパフォーマンスを検証しよう。ここではゲームの解像度は搭載液晶に合わせてフルHD(1,920×1,080ドット)のみ、画質はプリセットで一番重い設定と、その2段下の設定で検証する。

 リフレッシュレート240Hzの液晶パネルのメリットが活かせそうなeスポーツ性の高いFPSタイトルから始めよう。まずは「Rainbow Six Siege」だ。APIはVulkanとし、画質は“最高”と“高”を選択、NVIDIA DLSS(Deep Learning Super Sampling)は無効、レンダースケールは100%に設定した。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

「Rainbow Six Siege」Vulkan API、1,920×1,080ドット時のフレームレート

 “最高”と“高”設定でほとんどフレームレートが変わってないのは、CPUがボトルネックになっている可能性が考えられる。とは言えUL7C-R37だと最低189fps、平均216fpsは出ているので搭載している液晶パネルの性能を存分に活かした滑らかなゲームが堪能できることだろう。

 続いては「Apex Legends」で検証しよう。起動オプションで144fps制限を解除(+fps_max unlimited)している。このゲームでは様々な設定を一斉に変更するようなプリセットがないので、全項目を最高設定にした状態と、中程度の設定(中央がない設定は全て高い側に寄せる)の比較とした。射撃訓練場における一定の行動をとった時のフレームレートを「CapFrameX」で計測している。

「Apex Legends」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 Rainbow Six SiegeではUL7C-R37と比較機のフレームレートはせいぜい1.1倍程度だったが、Apex Legendsでは1.4倍程度に差が開いている。最高設定でも十分快適に動作するが、より安定したフレームレートを望むなら画質を中程度に下げた方が良いだろう。

 最近発売された「Forza Horizon 5」でも試してみた。画質は“エクストリーム”と“高”設定の2通りだが、この2つの設定ではレイトレーシング(DXR)も有効になっているので相当に重い。内蔵ベンチマーク機能を利用し、リザルト画面で出てくるGPUフレームレートを比較した。

「Forza Horizon 5」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 ここでもUL7C-R37は、比較機に対し1.4倍強程度のフレームレートを出している。さすがにエクストリームは重いものの、それでも60fps以上は常時キープできている。比較機に搭載されたRTX 2070 Max-Qもそれなりに強力なGPUだったが、レイトレーシングの利用を前提に設計されている最新ゲームでは平均60fpsにすら届かない。液晶のリフレッシュレートを活かすのであれば、画質を高(あるいはそれ以下)に落とすことをオススメしたい。

 もう1つレーシング系として「F1 2021」も試してみた。画質は“超高”および“ミディアム”とし、異方性フィルタリングは16x、アンチエイリアスはTAAとした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用するが、コースはMonaco、天候はWet設定でフレームレートを計測した。

「F1 2021」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 同じレーシング系と言えどエンジンが違うとフレームレートの出方も異なる。Forza Horizon 5と違いF1 2021ではUL7C-R37は比較機の10〜15%上のフレームレートにとどまった。より重い超高設定の方が差が広がっているのは、超高設定ではデフォルトでレイトレーシングが有効になるためだ。より描画負荷の重い状況では、最新のハードを搭載するUL7C-R37の方に分があると言える。

 もう一度FPS系に戻って、描画負荷が重めの「Far Cry 6」でも試してみよう。画質は“最高”と“中”設定にしているが、無料DLCである高解像度テクスチャはフルHDだと意味がないのでオフ、さらにレイトレーシングやFSR(FidelityFX Super Resolution)もオフとした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

「Far Cry 6」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 Far Cry 6ではUL7C-R37と比較機の平均fpsはほとんど変化していないが、最低fpsに大きな差が付いている点に注目(恐らくどちらもCPUがボトルネックになっていると思われる)。より安定したフレームレートを出せるUL7C-R37の方が優秀と言えるが、最高設定でFar Cry 6を遊ぶのであれば、FSR設定をオンにする(Qualityあたりで十分だろう)といった工夫が必要になる。

 最近再評価の流れが出てきた「Cyberpunk 2077」でも試してみたい。レイトレーシングを利用した“レイトレーシング:ウルトラ”設定と、その2段下の“ウルトラ”設定の2種類で比較する。群衆密度は最大に設定した。マップ内の一定のコースを移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Cyberpunk 2077」1,920×1,080ドット時のフレームレート

 こちらはFar Cry 6と違い新旧機種の差が非常に分かりやすく出ている。レイトレーシング:ウルトラ設定は自動的にDLSSも有効になるが、DLSSのパワーを使っても平均60fpsに到達できなかった。ただレイトレーシングを使わないウルトラ設定では最低fpsが45fps程度まで落ち込むものの、平均68fpsまで出ているので、DLSSを適宜使うことでもっと快適なプレイが堪能できるはずだ。

 ゲーム検証の最後はちょっと目線を変え、ゲームの起動時間も比較してみたい。ここではApex Legendsを起動→タイトルでボタン押下→ロビー画面が出るまでの時間を比較する。UL7C-R37と比較機のほかに、PlayStation 4とも比較してみた。

「Apex Legends」の起動〜ロビー画面表示までの時間

 ゲームの起動時間においてもUL7C-R37は1世代前の比較機より約9秒高速で、家庭用ゲーム機よりもずっと速い。

クリエイティブ用途でも活躍できる

Core iとGeForce RTXでクリエイティブ系も強い

 UL7C-R37はゲーミングノートなのでここで検証終了でも良いが、Core i7-11800HにRTX 3070の組み合わせならば写真や動画編集に使っても十分速いはず。

 そこでまずはベンチマークツール「UL Procyon」の“Photo Editing Benchmark”で試してみた。これは実際にPhotoshopとLightroom Classicを動かし、一連のワークフローを実行させたときの処理性能をスコア化するベンチマークである。当然スコアが高いほど高性能であることを示している。

「UL Procyon」Photo Editing Benchmarkのスコア

 ここでもUL7C-R37は比較機の1.4倍強のスコアを出している。PhotoshopもLightroom Classicも一応GPUは使うものの、このベンチではCPUパフォーマンスの方が重要である。Tiger Lake-H世代のCore i7-11800Hを搭載したメリットは写真編集でも活かすことができるだろう。

 続いて動画編集はPremiere Pro 2022で用意した再生時間約3分の4K動画を「Media Encoder 2022」でMP4形式にエンコードする時間を比較する。ビットレートは50Mbps、VBR、1パスエンコードとし、コーデックはH.264とH.265でそれぞれ比較した。

「Media Encoder 2022」でのエンコード時間

 H.264ではUL7C-R37は比較機より少し速い程度だが、計算量の多いH.265では圧倒的にUL7C-R37の方が速い。デコード時にGPUを使うのでGPUの性能向上も影響しているが、Tiger Lake-H世代の8コア16スレッドなCPUの性能が効いていることは間違いない。

薄型のわりに冷却バッチリ

ハイエンド構成ながら薄型でスマートな筐体

 ここまでの検証で、UL7C-R37は薄型軽量設計のわりに最新ゲームも高画質設定で動かせるパワーがあることが分かったが、ここで気になるのは動作時の発熱だ。性能と発熱はトレードオフの関係にあるので、薄型軽量で性能を確保するのは非常に難しい。

 ここでの検証はFar Cry 6を起動し、ゲーム状態で20分程度放置した時のCPUやGPUの温度・クロックを追跡するというものだ。室温は28℃前後の環境で測定している。

ゲーム中のCPUのクロックおよびCPUパッケージ温度の推移
ゲーム中のGPUのクロックおよびGPU温度の推移

 まずCPUのパッケージ温度はゲーム中84〜86℃で安定するが、時々90℃近くまで上昇する。サーマルスロットリングが発動することもあったが、今回の計測データ1,127個のうち121個(サンプリングは約1,000ms間隔)、計測時間の1割程度でサーマルスロットリングに入っているが、そのほとんどは負荷の重い1コアにのみ集中している。つまり、残りの7コアはほとんどサーマルスロットリングに入らないのだ。

 温度限界を超えるか超えないかのところでギリギリ制御しようという意思が感じられる熱設計で、冒頭で紹介した液体金属による高い熱伝導効果が出ていると思われる。なお、UL7C-R37ではCPUよりもGPU温度の方が低くなっていることも興味深く、今回の観測範囲では80℃を超えることはなかった。

ゲーム中のCPU Package PowerおよびGPU Powerの推移

 上のグラフはゲーム中のCPU Package PowerとGPU Powerを追跡したものだが、CPUはゲームが始まってからはCore i7-11800HのTDPにかなり近い48〜50W前後を、GPUは90〜96W前後で安定しているのが分かる。

しっかりと熱を排気してくれる冷却構造

ゲーム目的ならば快適プレイが可能な万能タイプ

 Cyberpunk 2077のようなCPUにもGPUにも高負荷をかける重量系ゲームにはデスクトップタイプのゲーミングPCが向いているが、Apex LegendsやRainbow Six Siegeといった描画の軽いゲームであれば、薄型軽量設計のUL7C-R37のような機動性のあるPCの方がプレイしやすい。自室であろうとリビングであろうと、好きな場所でプレイできるからだ。

 あれこれ配線をする手間の要らないゲーミングノートは、PCゲームも家庭用ゲーム機もこなすゲーマーには非常に良い塩梅のPCである。

 ゲームのみならずクリエイティブ用途にも利用できる性能を備え、さらにThunderbolt 4も活用すればノートPCの弱点である拡張性の少なさをある程度カバーすることもできる。キーボードの設計など細部の設計にも魂が入っており、ゲーミングPC購入を考えているなら間違いなく第1候補の製品と言えるだろう。