Windows 11便利テク

Microsoftのファイル復活ツール「winfr」なら、USBメモリやSDカードの削除データを救出できる

Microsoft Storeから入手可能なファイル復旧ツール「Windows File Recovery(winfr)

 大切なファイルをうっかり削除した場合、多くの場合はごみ箱やOneDriveから復元できるが、USBメモリやSDカードの場合はそうはいかない。Microsoft製のツール「Windows File Recovery(winfr)」を利用して、うっかり削除してしまったファイルを復元する方法を紹介する。

Microsoft Storeから入手可能

 「winfr」は、Microsoftが提供しているファイル復旧ツールだ。ストレージから誤って削除してしまったファイルを検索し、ファイルとして復元できる。Microsoft Storeから入手可能で、無料で利用できるため、インストールしておけば、いざというときに便利なツールとなっている。

 対応するファイルシステムは、FAT/exFAT、ReFS、NTFSで、Windowsに搭載されているSSDやHDDはもちろんのこと、USBメモリやSDカードでも、前述したファイル形式であれば利用可能だ。Microsoft Storeから入手可能なため、一見、アプリのように見えるが実際にはコマンドラインから実行するツールとなる。

USBメモリでの復旧にチャレンジ

 今回は、USBメモリで実際に削除したファイルの復旧を試してみた。

 FAT32でフォーマットされたUSBメモリを用意し、Word、Excel、PDFの3つのファイルを作成。削除した直後にwinfrを実行した。

 NTFSの場合はマスターファイルテーブルの情報やファイルレコードセグメントなどの管理情報から高速にファイルの復旧が可能だが、FAT32の場合はこれらのモードが使えないため、シグネチャーモードと呼ばれる方法で復旧する必要がある。

 シグネチャーモードでは、ストレージに残っているデータをスキャンし、そこからあらかじめ想定されたファイル形式の痕跡(ファイル形式の特長)を見つけ出してファイルを復元する。

 このため、すべてのファイルを復元可能なわけではなく、シグネチャとして登録されているファイルのみが復元対象となる。

 対象となるファイルは以下のように「winfr /#」を実行することで表示される。JPEGやPNGなどの画像、DOCXやXLSX、PPTXなどのOfficeファイル、PDF、MP4などん-音楽ファイル、ZIPファイルなどが対象となる。

「winfr /#」で対応するファイルが表示される

 コマンドと言っても実行方法は簡単で、以下のように指定すればいい。

winfr e: d: /signature
USBメモリのドライブと復元先、オプションを指定して実行

 「e:」がUSBメモリのドライブで、「d:」が復元先のストレージとなる。これに「/signature」オプションを付けて実行するだけでいい。

 実行すると、データの痕跡からシグネチャに合うパターンを見つけ出し、それをファイルとして自動的に復元する。このため、実行にはそれなりに時間がかかる。

 完了すると、指定したファイルの一覧が表示され、ファイルを確認するかどうかを尋ねるメッセージが表示される。「y」を選択すると、フォルダが自動的に表示され、復元されたファイルを確認可能だ。

ファイルがずらりと表示され、最後に「y」を選択するとフォルダが自動的に表示される

 ファイルは拡張子のフォルダに種類ごとに格納され、それぞれに連番のファイル名が自動的に表示される。データから復元されるため、ファイル名は復元されず、winfrによって自動的に設定されることになる。

 今回のテストでは、削除直後に実行したため、ファイルを開くことで、問題なく元のファイルが表示されたが、確実に復元されるとは限らない。上書きなどでデータが失われていれば復元できないので注意が必要だ。最後の手段として活用したいが、確実に復元できるとは限らない点は注意が必要だ。

種類ごとに格納される
ファイル名は復元されないが、ファイルは問題なく開くことができた