ニュース
AMD、Zen 5採用で16%性能向上の「Ryzen 9000」
2024年6月3日 12:00
COMPUTEX TAIPEI 2024の開幕前日となる6月3日、AMD CEO リサ・スー氏がオープニング基調講演に登壇し、同社の新製品などに関して説明を行なっている。この中でAMDは、新しいCPUコアデザインとなる「Zen 5」を採用した新しいデスクトップPCプロセッサ「AMD Ryzen 9000シリーズ」(開発コードネーム:Granite Ridge)を発表した。
Ryzen 9000シリーズは、2022年に発表されたAMD Ryzen 7000シリーズの後継となる製品で、ゲーミングやクリエイターデスクトップPC向けとされる製品。従来と同じSocket AM5のプラットフォームを活用するため、旧製品のユーザーが資産を生かしながら移行できる。
また、同時に新しいチップセットとして「X870E」、「X870」も発表した。USB4機能が標準搭載となるなど、X670/670Eからの機能向上を実現している。
Zen 5になったRyzen 9000、最大16コアのRyzen 9 9950Xなどが登場
AMDが今回発表したRyzen 9000シリーズは、同社が2023年8月に発表し、9月に販売を開始したRyzen 7000シリーズの直接の後継となる。最大の特徴は、新しいCPUコアとしてZen 5が採用されていることだ。
Ryzen 7000シリーズは、Zen 4アーキテクチャのCPUを初めて採用した製品だ。それ以前から採用してきたチップレット構造により、2つのCPUダイ(COD)と1つのI/Oダイ(IOD)という3つのチップから構成される。1つのCODに8基のCPUコアを搭載しているため、最大で16コア/32スレッド構成が可能になっていた。この構造は今回発表されたRyzen 9000シリーズも基本的に同じで、最大コア/スレッド数も変わらない。
最大の違いは、CPUコアのアーキテクチャが新しいZen 5になっていることだ。AMDは、2017年に初代Zenを発表して以来、Zen+、Zen 2、Zen 3、Zen 4とアーキテクチャを進化させてきており、今回次世代のZen 5が発表されたかたちになる。
ただし、AMDはZen 5の詳細を詳しくは説明しておらず、分岐予測の精度とレイテンシの改善、より深いパイプラインと浮動小数点エンジンの強化によるスループットの改善、ウィンドウサイズの深化によるより高い並列実行化などを改良点として挙げている。
そうした改良により性能に関しては、フロントエンド命令の帯域幅、L2からL1およびL1から浮動小数点エンジンへのデータ帯域幅、AIとAVX-512命令のスループットがそれぞれ最大2倍になっていると説明している。AMDによれば、Zen 4と比較して平均して最大16%のIPC向上が期待できるという。
製造プロセスは4nmだが、現時点ではどこのファンダリを使って製造しているかは明らかにされていない。
競合他社製品との比較では、最上位SKUのRyzen 9 9950XがIntelのCore i9-14900Kと比較して、コンテンツクリエーションで7~56%、ゲーミングで4~23%上回ると説明している。
ラインナップは以下の通りで、発売は7月が予定されている。
AM5は少なくとも2027年まで提供。AM4にも新製品を投入
加えてAMDは、今後AM5プラットフォームを長期間提供していく方針を明らかにした。少なくとも2027年まではAM5を活用し、AM4に関しても引き続き新製品を投入するとしている。
また、Ryzen 9000シリーズの登場にあわせ、AM5向けの新しいチップセットとなるX870EとX870が発表された。USB4コントローラが標準搭載され、AMDのオーバークロックメモリ「AMD EXPO Memory」向けに、より高クロックの設定が用意されるなど、機能拡張が図られている。
そのほか、AM4の新製品として、Zen 3世代のAMD Ryzen 5000シリーズから「Ryzen 9 5900XT」と「Ryzen 7 5800XT」の2製品が登場する。発売はRyzen 9000シリーズと同じく7月を予定している。