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第11世代Core「Tiger Lake」の新要素まとめ

 インテル株式会社は3日、第11世代Coreプロセッサ「Tiger Lake」に関するオンラインプレスセミナーを開催した。

 その詳細やSKUの種類などに関して既報の以下の記事を参照されたい。ここではセミナーで説明された第11世代Coreの新要素についてかいつまんで紹介する。

第11世代Core(Tiger Lake)のおもな新しい部分

インテル株式会社 執行役員常務 技術本部本部長の土岐英秋氏
Intelが標榜する技術革新の6つの柱

 第11世代Coreプロセッサに関する説明で登壇したインテル株式会社 執行役員常務 技術本部本部長の土岐英秋氏は、おもに第11世代Coreでの変更点を紹介。

 CPUコアが前世代のSunny Coveアーキテクチャをベースに改良された「Willow Cove」になったほか、ローエンドのディスクリートGPU並みの性能を有する「Iris Xeグラフィックス」、次世代インターフェイス「Thunderbolt 4」の内蔵、Intelでは初のPCI Express 4.0のCPUへの統合など、さまざまな面で進化が進んでいることをアピールした。

第11世代Coreの新要素
PCH(チップセット)側

 第11世代Coreプロセッサのプロセスルールは第10世代(Ice Lake)と同じ10nmだが、「SuperFin」という新技術を投入。SuperFinでは高性能トランジスタを使うことで、性能を上げているのが特徴で、具体的にはゲートピッチの拡張による電流供給量の増加、スイッチング速度の向上、抵抗値の低減による大電流の安定供給などが挙げられる。

高性能トランジスタを使ったSuperFin技術
SuperFinのスタック技術。高層部分ではキャパシタの容量が4倍に。低層では抵抗値が30%低減

 これにより、Sunny Coveが3.9GHzで動作するところを、同じ電圧で約1GHzほど上回る4.8GHzで駆動可能となっている。

Willow CoveではSunny Coveよりも低電圧で高いクロックが出せる
Willow Coveの進化点

 内蔵GPUのXeグラフィックスについても、SuperFin技術によって電力あたりの性能が向上しており、EU(実行ユニット)はIce Lakeの最大64基から96基に、帯域幅も増している。土岐氏はエントリークラスのディスクリートGPUと同程度の性能を、薄型のノートパソコンで実現可能になったと説明した。

ローエンドのディスクリートGPUと同じくらいの性能を持つXeグラフィックス

 さらに、メモリの帯域幅の増大や、DDR4-3200/LPDDR4x-4267、LPDDR5-5400までのサポート、IPU(Image Processing Unit)の動画4K/90fps、静止画4,200万画素サポート、Thunderbolt 4やPCI Express 4.0といったI/Oインターフェイスまわりの改良が行なわれている。

 また、AI処理のためのアクセラレータはIce Lakeから「GNA 2.0」(Gaussian & Neural Accelerator 2.0)へと進むとともに、Xeグラフィックスでは8bitのINT(整数)演算処理を行なうユニットが実装されたことで、マシンラーニングの演算速度が向上。競合のRyzen 7 4800UとCore i7-1185G7でGPUによる推論処理の性能を比較した場合に4倍の性能を発揮。INT 8命令のVNNIによってCPUによる推論処理でも1.7倍高速としている。

GNA 2.0アクセラレータはCPUとは独立して動作する
推論処理をAMDより高速に処理可能

 このほか、Profect Athenaで定義していたモダンパソコンを「インテル Evo プラットフォーム」と新たに命名。消費者が高性能ノートパソコンを安心して手にできるようにするという意図の元、市場に積極的にアピールしていくとした。