Windows 11便利テク
「ボスが来た」的にも使えるWindows 11の仮想デスクトップ
2021年11月15日 06:55
Windows 11では、仮想デスクトップの機能が強化され、デスクトップごとに壁紙を設定できるようになった。いまひとつ活用事例の少ない機能ではあるが、複数の仕事を平行して処理する場合にデスクトップを使い分けたり、いわゆる「ボスが来た」的にすばやくデスクトップを遊びモードから仕事モードへと切り替えたりすることもできる。
(1) まじめな使い方:同時進行のタスクを仮想デスクトップで整理する
(2) 不真面目な使い方:ボスが来た
(3) 覚えておくと便利な操作
まじめな使い方:同時進行のタスクを仮想デスクトップで整理する
仮想デスクトップは、Windows 10の時代でも利用可能だった機能だ。複数のデスクトップを利用する方法としては、ディスプレイを複数台用意するマルチディスプレイの方が一般的だが、仮想デスクトップでは、文字通り、こうした複数のデスクトップの使い分けを1台のディスプレイで仮想的に実現できる。
具体的に仕事のシーンでの活用例を考えてみよう。
テレワークの普及もあって、自宅のPCで複数のタスクを平行して処理しなければならない人も少なくないだろう。例えば、1日のタスクとして、「プレゼン資料作成」「経費精算」「Web会議(複数)」があったとしよう。
この場合、朝、PCを起動したら、まず通常のデスクトップにPDFの資料やExcelを広げた「プレゼン資料作成用」のデスクトップを用意する。
続いて、タスクバーの「タスクビュー」アイコンから「新しいデスクトップ」をクリックして新しいデスクトップを作成し、デスクトップ2でExcel、およびブラウザを起動してクラウドの経費精算アプリに接続する。
最後に、同じ方法でさらに新しいデスクトップを作成し、Zoomなり、Teamsなりを起動しておく。
これで、以下のようにデスクトップごとにタスクを整理できるようになる。
- デスクトップ1(プレゼン資料作成用):PowerPoint、PDF
- デスクトップ2(経費精算用):Excel、Webブラウザ
- デスクトップ3(Web会議用):Teams
こうした準備をしておけば、デスクトップ1で資料を作りつつ、会議の時間になったらデスクトップ3に切り替え、時間が空いたらデスクトップ2で経費精算をするといったように、作業を平行して実行できる。
さらに、Windows 11では、それぞれの仮想デスクトップの壁紙を変更できるようになったので、デスクトップごとに壁紙を変えたり、名前を付けたりしておくことで、作業環境の切り分けがより明確になる。
仕事が終わったら、開いていたアプリを閉じ、仮想デスクトップを削除すればいい。タスクを消し込むように、仮想デスクトップを削除することで、やらなければならない仕事を片付けていくことができる。
タスクビュー画面で仮想デスクトップをドラッグすることで位置を変更することもできるので、優先順位で仮想デスクトップを並べて、仕事を順番に片付けていくという使い方もできる。
つまり、仮想デスクトップを利用することで次の3つのメリットがあることになる。
- 作業環境を分けられる
- 作業を平行して処理しやすくなる
- タスク管理的に活用できる
不真面目な使い方:ボスが来た
もう一つの使い方は、第三者からデスクトップをのぞき見されることを防ぐ使い方だ。
仮想デスクトップでは、「Ctrl」+「Win」+「←/→」で素早く仮想デスクトップを切り替えることができる。
これを活用することで、リビングなどで仕事をしている時に、周りに誰もいない時と家族が近くにいるときで、すばやくデスクトップを切り替えることができる。
テレワーク中、息抜きに少しだけゲームプレイしたり、Webサイトを見たりしたいと思っても、家族の出入りが頻繁にあると、こうした息抜きもしにくい。
しかし、仮想デスクトップを使えば、周囲の目を気にせず、しかも、アプリの終了やウィンドウの最小化をすることなく、サッとデスクトップを切り替えることができる。
覚えておくと便利な操作
仮想デスクトップでは、前述したように壁紙の設定やショートカットキー操作が便利だが、これ以外にもこれ以外にも覚えておくといい操作がある。これらの操作も活用して、仮想デスクトップを普段の仕事などに取り入れていくと、作業効率もアップすることだろう。
仮想デスクトップの新規作成
仮想デスクトップの新規作成は、タスクビューからのマウス操作のほか、「Ctrl」+「Win」+「d」キーでもできる。複数の仮想デスクトップを素早く作成したい時に便利。
ウィンドウの移動
アプリのウィンドウを任意の仮想デスクトップへと移動させる操作。タスクビューからウィンドウを右クリックし、[移動先]からデスクトップを選択する。WordやExcel、PowerPointなどは、すでに起動しているアプリがあると、それとは別の仮想デスクトップ上で新しいウィンドウを作成しようとしても、既存のアプリが存在する仮想デスクトップ上にウィンドウが表示されてしまう。このため、複数ウィンドウを使い分ける時は必須の操作となる。
※010
ウィンドウを任意のデスクトップに移動可能。Officeアプリは1つ目のウィンドウが起動しているデスクトップに新規ウィンドウが表示されてしまうため、移動が必須
すべてのデスクトップへの表示
タスクビューでアプリを右クリックすると、「このウィンドウをすべてのデスクトップに表示する」と「このアプリのウィンドウをすべてのデスクトップに表示する」という2つのメニューが表示される。
前者は、現在のウィンドウをすべてのデスクトップに表示し、どこかのデスクトップでアプリを操作すると、ほかのデスクトップでも同じ表示に切り替わる。
後者も、基本的な動作は同じだが、現在のウィンドウだけでなく、アプリが新しく作成したウィンドウ(例えばブラウザで別のウィンドウで開く操作など)もすべてのデスクトップに表示される。
Web会議での画面共有時の動作
仮想デスクトップの操作ではないが、覚えておくと便利なのが、TeamsやZoomなどのWeb会議ツールでのウィンドウの選択肢だ。
仮想デスクトップでTeamsなどを起動した場合、画面共有時に選択可能なウィンドウの候補は、同じ仮想デスクトップで開いているウィンドウのみに限定できる。
これにより、別の仕事の資料などを開いている場合でも、それが別のデスクトップであれば、画面共有時に候補として表示されることはなく、うっかり選んで全員に共有されてしまうようなミスを避けられる。仕事内容をしっかり分けておくことで、こうしたミスも防げるのがメリットだ。