山田祥平のRe:config.sys

バーは短し、外せよピン留め

 大きなデスクトップ、小さなデスクトップ、複数のデスクトップ、単一のデスクトップ、仮想のデスクトップ。モニターの数やサイズなど、人それぞれ環境は異なるが、PCのデスクトップが貴重な不動産であるのは誰にとっても同じだ。1ドットたりとも無駄にしないで生産性を高めたい。

タスクバーボタンに頼りすぎないアプリ管理

 Windowsのタスクバーにはアプリを開くためのボタンが並んでいる。そのアプリがすでに起動しているのか、起動していないのかは関係ない。よく使うアプリをピン留めしてズラリと並べておき、起動すればボタンの下部にポッチがついて起動していることが分かるようになっている。要するにタスクバーボタンが押されているかいないかというラジオボタン的なGUIだ。押された状態のボタンにマウスポインタをホバーさせれば開いているウィンドウのサムネールも表示される。また、他の方法で開いたアプリもボタンとして追加表示され、アプリを終了させればピン留めされていないボタンは消える。つまり、タスクバーに並ぶアプリのボタンは、

  • 未起動のピン留めアプリ
  • 起動済みのピン留めアプリ
  • 起動済みのピン留めされていないアプリ

の3種類が混在している。

 タスクバーの長さはデスクトップ下部の長さに依存する。たくさんのボタンを並べるとかえって使いにくくなる。プログラムをたくさん開いてボタンの数がバーの長さを超えてしまった場合、Windows 11以降、アクセスできなくなってしまっている。だから、タスクバー上のピン留めボタンには注意が必要だ。

 よく使うアプリはピン留めが基本かもしれないが、タスクバーは短い。どうしても必要というもの以外のピン留めは外し、素直にスタートメニューにピン留めすることを考えた方がいいかもしれない。

 起動済み、未起動のアプリが混在してタスクバー上のボタン表示されるようになったことで、Windowsのタスクの考え方が妙な方向性を持たせられた。これは、いわゆる閉じることが必ずしも終了を意味しないかつてのストアアプリの挙動によるものだろう。

 また、アプリには、

  • ファイルを開くアプリ
  • ファイルを開かないアプリ

がある。かつてのようにファイルを開くことが、そのファイルの独占を意味していた時代ではない。だから、アプリの起動済み、未起動ということを考えるのは、あまり意味がないともいえる。未起動なら起動する。それだけのことだ。

 いずれにしても、たくさんのアプリを同時に開いて作業しているデスクトップでは、タスクバーだけを頼って開いているアプリを把握するのはかなり難しい。タスクバーならではの機能もたくさんあるので、そこはうまく活用しつつ、進行中のタスクをうまく管理することを考える。

タスクをうまく切り替えるにはデスクトップごと切り替える

 Windowsのデスクトップで、開いているアプリを確認するにはいくつかの方法がある。代表的なものとして次の3種類がある。

1. Alt+Tabで表示されるタスクスイッチサムネール
2. Windows+Tab、または、タスクバーのシステムボタンのクリックで表示されるタスクビュー
3. Ctrl+Shift+Escで開くタスクマネージャのタスクリスト

 1と2についてはWindowsも、その扱いについて思案中のようで、この先、どうなるのか不透明な面もある。また、3については詳細表示と簡易表示の切り替えがやっかいだ。とりあえず現時点では、Windows+Tabの展開に慣れておくのが無難なようだ。仮想デスクトップの管理もここでできるので、より統合的に進行中のタスクが把握できる。

 アプリが開くウィンドウは、アプリごとにどう見えていてほしいかが異なる。具体的には随時内容が更新されるので視界のどこかに入って表示されたままでいてほしいものと、そうでないものがある。デスクトップの広さは有限だから、いつも表示していたいウィンドウと、そのときだけ使いたいウィンドウとでデスクトップを取り合うことになる。

 仮想デスクトップは、限られたデスクトップ不動産を、見かけだけでも広げようというチャレンジだ。常時、見えているわけではないが、キーやポインティングデバイスの操作で瞬時に呼び出せる。たとえば、Ctrl+Windows+左右方向キーは、別のデスクトップに切り替えるショートカットだ。このショートカットを使えば、傍らに置かれたもう一台のモニターに視線を移すようなイメージでデスクトップを確認できる。

 実際には、Windows+Tabで表示される画面からの管理が分かりやすいし、デスクトップの切り替えもここでできる。マウス操作ならWindowsボタンの右に表示されているタスクビューボタンのクリックでもいい。使い方としては、アプリのウィンドウを使いやすいように並べておき、デスクトップを切り替えることで、まるで複数台のPCをとっかえひっかえするようなイメージになる。

 個人的には、いつも見ていたい常用アプリは、追加したすべてのデスクトップの、そう、まるで壁紙のような環境として固定してしまうのがいいと思う。

 まず、1つめのデスクトップにいつも表示したいアプリのウィンドウを見やすく並べる。たとえば、メールアプリとTweetDeckの2つをスナップレイアウトで横方向に並べる。

 この状態で3つめのウィンドウとしてブラウザを開いたとする。おそらく、常時表示していたいメールアプリとTweetDeckのウィンドウは、ブラウザのウィンドウの後方に追いやられる。ブラウザのウィンドウを最大化すればまったく見えなくなる。

 このとき、タスクビューからメールアプリを呼び出すと、デスクトップでは何が起こるだろう。メールアプリのウィンドウが中途半端にブラウザのウィンドウの上に被さり、TweetDeckのウィンドウはブラウザの背後に隠れたままかもしれない。とにかく煩雑だ。

 そこで、タスクビュー画面で、メールアプリとTweetDeckアプリを右クリックし、ショートカットメニューから「このアプリのウィンドウをすべてのデスクトップに表示する(このウィンドウをすべてのデスクトップに表示する)」を実行すると、すべての仮想デスクトップに常用アプリがいつものように並ぶ。新規に仮想デスクトップを追加すれば、アプリが開いてウィンドウ表示された状態のいつものデスクトップが追加される。

 こうしておけば、散らかったデスクトップを別のデスクトップに切り替えれば、そこはいつものデスクトップという環境を作ることができる。いわば常用デスクトップのひな形、アプリでできた壁紙といったところか。広大なデスクトップを自在に使える場合はあまり気にすることはないかもしれないが、ノートPCの内蔵ディスプレイ1枚を駆使するためには、いろんな方法にチャレンジしたい。

 若干の投資によるモニターハードウェアの追加ができれば、これらのスキルは頑張って会得しなくてもいいはずだが、IT投資に費やせるコストは必要最低限という職場も少なくないと聞く。本当にそれでいいのかとも思うが、現実は現実として受け入れるしかない。