笠原一輝のユビキタス情報局
“赤ぽっちキーボード”史上最高の出来となった「ThinkPad TrackPoint Keyboard II」
2020年1月11日 11:00
LenovoのThinkPadシリーズは、言わずと知れたビジネス向けのノートブックPCのブランドで、開発が日本で行なわれていることもあり、多くの国内ユーザーに支持されているビジネスツールだ。オーナーがIBMからLenovoに変わった後でも、ユーザーの生産性を上げるためのツールとしてのThinkPadのフィロソフィー(哲学)は変わらず健在で、それを代表しているのが「赤ポッチ」とユーザーが親しんで呼んでいる「TrackPoint」であることは論を俟たないだろう。
そうしたThinkPadシリーズ向けの純正周辺機器で、ThinkPadユーザーならずとも人気を集めていた製品がある。それが「赤ぽっち」つきの外付けキーボード「ThinkPad TrackPoint Keyboard」だ。2013年のCESで発表(Lenovoがテーブル型PCやフルHD 11.6型着脱式ThinkPadを公開参照)されたThinkPad TrackPoint Keyboardは、有線と無線(Bluetooth版)が存在しており、2012年型ThinkPadで採用された新しい6列キーボードを採用していた。
それから7年が経過して、今回のCESではその後継製品がようやく投入された。実際に現地で触ってみないとわからないことなどを含めてフォトレポートをお届けする。
IBM Space Saver Keyboard IIからThinkPad TrackPoint Keyboardまで脈々と受け継がれてきたTrackPointキーボード
TrackPoint付きの外付けキーボードの歴史はじつはとても古い。筆者の記憶しているかぎり最初の製品は「IBM Space Saver Keyboard II」だ。日本では1999年に発売された製品で、「II」という名称からもわかるように、元々は「IBM Space Saver Keyboard」というキーボードが存在しており、その2番目の製品として投入された製品となる。
いまからはあまり想像できないかもしれないが、当時の外付けキーボードというと、テンキー付きの大柄なモノがほとんどで、テンキーレスのキーボードはあまり多くなかった。IBM Space Saver Keyboardは、サーバーのラックに入れて使ったりというあまり余裕がないで場所使うキーボードとしてリリースされ、その改良版としてリリースされたのがIBM Space Saver Keyboard IIだ。
特徴は、TrackPointがついていることで、別途マウスを利用しなくてもOSの操作が行なえる点にある。日本のオフィスや家庭のデスクではスペースにはかぎりがあることが多い。そのため、同キーボードはデスクトップPCの省スペースなキーボードとしても人気を集めた。
IBM Space Saver Keyboard II自体は元々サーバー用などと考えられて設計されていたため、テンキーを取っ払ってTrackPointを取り付けたみたいなかたちになっていた。それに対して、その後リリースされた「ThinkPlus USBキーボード ウルトラナビ付」や、Lenovo時代になって出た「ThinkPad USB トラックポイントキーボード」は、ThinkPadのノートPCのキーボードを取り外し、そのまま外付けキーボードにしたような製品だった。
それから2013年にリリースされたのが、現在も販売されている「ThinkPad TrackPoint Keyboard」だ。ThinkPad TrackPoint Keyboardの特徴は、前述のとおりTrackPointによってマウスを別途用意しなくても済む点だ。有線版と無線版が存在しており、有線版に関してはUSBケーブルで、無線版に関してはBluetoothでPCと接続して利用可能になっていた。
なお、このThinkPad TrackPoint Keyboardに関してはこの連載でもで取り上げているので、ご興味がある方はそちらをご覧いただきたい(ThinkPad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード 日本語版を試す)。
CS19のThinkPadシリーズのキーボードを採用しているThinkPad TrackPoint Keyboard II
Lenovoがラスベガス市内のレストランを貸し切って行なっていた製品展示会(Product Showcase)に、今回の「ThinkPad TrackPoint Keyboard II」の実機が展示されていた。
サイズは306×164×14mm(幅×奥行き×高さ)、重量460gとなっており、従来製品の305.5×164×13.5mm/460gと誤差の範囲内でのサイズ差となっている。一見すると従来製品との違いはほぼないが、唯一の違いとして、新モデルでESCキーの上「Lenovo」のロゴが設けられている。
だが、じつのところ採用されているキーボードは大きく異なっている。旧モデルに採用されていたキーボードは、2012年型のThinkPadシリーズで採用された6列配列キーボードだ。この2012年型ThinkPadに採用されていた6列配列キーボードは、ThinkPadシリーズとしてはじめて6列配列に変更されたときのキーボードとなる。6列配列のキーボードが導入された経緯などに関して別記事(変わるThinkPad、変わらないThinkPad)を参照してほしい。
この2012年の6列配列キーボードは、現在も採用されているThinkPadの6列配列キーボードの最初の世代。よく見るとわかるのだが、ファンクションキーのうちF4とF5、F8とF9の間にスペースが用意されていない。このことは翌年の2013年型ThinkPadで改善されており、現在までの各ThinkPadシリーズに採用されているキーボードはいずれもその2013年型キーボードの後継となっている。ところが、ThinkPad TrackPoint Keyboardはその後も更新されることがなかったので、F4とF5、F8とF9の間にスペースがないままになってきた。
今回ThinkPad TrackPoint Keyboard IIでは、その点が改善され、キーボードは最新のキーボードと同じものに更新された。実機で比べてみたのだが、CS19(CSとはLenovo用語でクリーンシートの略で、新設計のシャシーのこと)のThinkPad X1 Carbon Gen7/8、ThinkPad X1 Yoga Gen4/5で採用されているキーボードと同じ配列になっている。
実際に、同時に展示されていたThinkPad X1 Carbon Gen8/ThinkPad X1 Yoga Gen5(CESで発表された2020年モデル)と比較してみたが、配列やキーボードのサイズなどはまったく同じだった。このため、従来型の製品では課題だったF4とF5の間、F8とF9の間にはスペースが確保されており、たとえばATOK、やATOK配列のMS-IMEなどで日本語変換を行なう場合多用するF8、F9などのタイプ時にタイプミスを減らすことができる。
Fnロックはより簡単に。インジケータも用意。キータッチはCS19と同等
使い勝手の点でも大きく配慮されている。現代のキーボードはMicrosoftの奨励により、ファンクションキー(F1~F12)にボリュームやミュート、輝度調整などを割り当てるのが一般的になっている。従来のファンクションキーとして利用する場合には、「Fn」キーを同時に押すことでファンクションキーとして利用できるようになっている。
ファンクションキーを文字入力に利用しないシングルバイト圏(欧米など)ではそれで良いのだが、日本語のようなダブルバイト圏では文字変換でファンクションキーを多用するユーザーが多い。このため、キーボードの機能として常時「Fn」を押している状態にする「Fnロック」という機能が用意されており、それを有効にしておくと、まどろっこしいことはせずに済むように配慮されている。
初代のThinkPad TrackPoint Keyboardでも、Fnロックが利用できるようになっていたが、割とユニークな仕様で、キーボードの機能を設定するソフトウェアを入れると、Fnロックができるようになっている。一度Fnロックすると、そのソフトウェアをアンインストールしようが、OSをアンインストールしようがキーボード側がFnロックを覚えていてくれるので実害はないのだが、キーボードだけでできないのはやや面倒だった。
しかし、新モデルではそれが改善され、CS19のThinkPadと同じように、FnロックはFn+ESCでオン/オフができるようになった。なおかつFnロック時にはESCにあるイーンジケータが光るようになっており、いまFnロックが有効かどうかは一目でわかる。
キータッチについては、筆者が試したかぎりCS19のThinkPadとまったく同じだった。筆者は個人的にCS19の「ThinkPad X1 Yoga Gen4」をメインマシンと使っているが、それと同じ感覚で入力できる。
同じキーボードだからあたり前だろという声が聞こえてきそうだが、その場合でもキーボードの裏側でどんな補強を入れるかなどで結構変わってくる場合が多い。ThinkPad TrackPoint Keyboardの時には裏面にアルミで補強されていたが、入力してかぎりでは同じような補強が入っているのだろうと感じた。背面に用意されている足を出して斜めにしても、ふにゃふにゃになる感じはしなかった。
このため、普段ThinkPadシリーズのキーボードに慣れているユーザーであればまったく同じようなイメージで入力できるだろう。
USB Type-Cは充電のみ、Bluetoothと独自2.4GHzをスイッチで切り替えて利用できる
従来のモデルでは有線版と無線版が用意されていたが、今回のモデルでは無線版のみに変更されている。従来モデルでは有線版にも無線版にもMicro USBのUSB端子が用意されており、有線版ではUSB経由での給電とデータの送信が行なわれ、無線版ではUSBは内蔵バッテリへの給電用で、データはBluetoothで送受信される仕組みになっていた。
今回のモデルでは無線版のみになっており、有線版は用意されていない。ただ、無線はBluetoothと独自方式の2.4GHzの切り替え方式になっている。独自方式の2.4GHzで通信するときには付属しているUSBドングルを利用する仕組みになっている。USB Type-A端子に接続するドングルは、必要のないときには本体に内蔵しておくことができる。
なお、Bluetoothと独自2.4GHzの切り替えはスイッチで行なうようになっており、そのスイッチはBluetoothペアリングのトリガーとしても利用できる。たとえば、BluetoothはノートPCにペアリングさせておき、USBドングルはデスクトップPCに挿しておけば、そのスイッチでノートPCとデスクトップPCを切り替えて使うなどの使い方も可能だ。
USB端子はMicro USBからType-Cへと変更されている。このUSB Type-Cの端子は純粋に充電だけに使われており、USB Type-CでPCに接続してキーボードとして利用することはできない。公式なスペックによれば、バッテリ駆動時間は約2カ月となっている。
電源スイッチは従来の製品と同じく右側面にある。このため、鞄に入れておくと、何かの拍子に電源が入ってしまうことが避けられない。しかし、従来の無線モデルではBluetoothのみで、Bluetoothの場合は一度ペアリングが済んでいる状態でキーボードの電源が入ってしまうと、PCがモダンスタンバイから復帰してしまい、PCのバッテリが無駄に消費されるという悲劇が起きたりした。
今回のモデルでは持ち運び時には独自の2.4GHz接続にしておき、PCからはUSBドングルを外しておけばそうした悲劇を避けることができる。現実の使い勝手としてとても重要だと言えるだろう。
外付けキーボードを選ぶときの新しいリファレンスになる
このように、ThinkPad TrackPoint Keyboard IIは従来製品の弱点だったF8とF9の間にスペースがないとか、Fnロックの方法がやや面倒などが改善されており、無線もBluetoothとUSBドングルを利用した独自方式を採用することで、つなぐだけで使えるという有線の利便性と、ケーブルがないというワイヤレスの良いとこ取りになっている。
筆者はこれまで「赤ぽっち」付きのキーボードを複数世代にわたって使ってきたが、これまで使ってきたなかで最高の出来だと言っていいだろう。現時点では日本での発売は発表されていないが、Lenovoの製品カタログには日本語版のパーツナンバーも記載されているので、時間の問題で発売されるだろう。なお、米国での価格は99ドル(税別、日本円では約11,000円)。
現在の外付けキーボードは大きく言うと2つの市場がある。1つはトラディショナルなキーストロークが深いタイプのデスクトップキーボードで、たとえばPFUの「Happy Hacking Keyboard」などがその代表例と言える。こうした製品は、従来のデスクトップPCで使われてきたタイプライターを先祖とするキーボードで、とくに昔からPCを使っているユーザーには人気だ。
それに対して、最近増えているのが、薄型ノートPCのキーボードをベースにした製品だ。というのも、現代のキーボードは、ThinkPadでさえ薄型キーボードが一般的で、逆に薄型キーボードのほうが使いやすいと感じるユーザーも増えている。それは良い悪いの問題ではなく、結局のところユーザーにとって「使いやすいキーボードというのは使い慣れたキーボード」ということの裏返しでしかない。それは往年のPCがストロークが深いキーボードを使いやすいと思うのと同じように、だ。
その意味で、このThinkPad TrackPoint Keyboard IIはそうした薄型ノートPCになれたユーザーにとってはすばらしい選択肢になるのではないだろうか。
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