西川和久の不定期コラム

2018年を振り返る

~比較的安定した1年だったものの最後に驚きのニュースも!

 早いもので2018年も残すところあとわずか。今年も筆者の独断と偏見による振り返るネタとして前半は気になった業界動向編、後半は筆者の近況編でお届けしたい。

今年扱ったもの

 まず今年本連載で扱った機器のカテゴリとその数は以下のとおり。タブレットの内訳は、iOS×1、Android×3、Windows×1。業界全般の動向とたまたま筆者がレビューした機器の比率は無関係であるが、ノートPC、2in1/タブレット、スマートフォン、デスクトップPCの順になっているのは、ある意味、一般的な傾向とあまり差がないのかも知れない。

・デスクトップPC×4
・ノートPC×21
・2in1/タブレット×11
・スマートフォン×9
・その他×2(ディスプレイとARMベースのボードコンピュータ)

 このなかで印象に残っているのは、自前ネタの「iPad」と「HUAWEI P20 Pro」を除くと、「ThinkPad T480s/A285」、「Mac mini Late 2018」だろうか。ただどちらも残念ながら良い意味ではなく悪い意味でだ。

 ThinkPadは、とうとうT4系のバッテリ着脱が非対応となった。「ThinkPadお前もか……」と言ったところ。もともとT4系は“前に内蔵”と“後ろに着脱可能”なバッテリ2つを搭載し、後者はホットスワップ可能に。その分、他社の同クラスと比較して若干重かったものの、バッテリに関してはアドバンテージがあったのに、この特徴はT470sまでとなってしまった。軽さと引き換えとは言え、「ちょっと違うのでは」と思った両モデルだ。

 以前、T440s/X240でTrackPointのボタンをなくし、タッチパッドの上部を代用したのが不評でT450s/X250以降元の2ボタン式に戻っているのだが、今回は重量がからむだけに、不評でも元に戻るのは難しいだろう。

ThinkPad T480s(裏)。バッテリが内蔵式になってしまった
Mac mini Late 2018。生産終了にならずに安心したのも束の間、内容の割に高価で魅力が薄れた

 「Mac mini」は、毎年この振り返るで「まだかまだか」とずっと書いてきたが、いざ出てみると従来より価格が大幅に上がってしまい、欲しい構成は軽く10万円超え。その割にiGPUなのでグラフィックス性能は高くなく、バランスもイマイチ。Thunderbolt 3経由でeGPUを追加できるものの、現時点では安価な外付けGPUボックスもなく、コスト的な問題がある。総合的に後述するメインマシンの方が速く現在のところ購入には至っていない。5年以上待ち続けただけに、ガッカリ感はハンパない。

 惜しい……で印象に残ったのはドンキ「MUGAストイックPC 2」だろうか。メモリが2GBから倍増の4GBになったので、普通に使えるWindowsマシンとなった。ただeMMCは価格的に仕方ないにしても、容量が32GBはさすがに厳しい。ここも倍増で64GBにして欲しかったところか。来年(2019年)に期待したいところ。ついでにあのキーボードも“普通に”なることを願いたい。

ドンキ「MUGAストイックPC 2」。メモリが倍増の4GBになった。eMMCも倍増して欲しかったところか
「ドスパラ DG-Tinker3288」。趣味的要素が多いこの手のデバイスは触ってて楽しい

 使ってて楽しかったのは「ドスパラ DG-Tinker3288」。Raspberry Piを代表とするこの手のワンボード系は実用的な何かをするわけではないのだが、ハードウェアを追加したり、ソフトウェアを書いたり趣味的要素が多く、記事にまとめるには手間暇かかるものの、個人的には好きなカテゴリだ。

気になった業界動向

 以降は筆者の連載に限らず気になったものを月順にあげてみた。おおよそ例年と同じパターンで前半、6月のCOMPUTEX TAIPEI辺りまではプロセッサネタが多く、後半は製品ネタという感じだ。

1月

ビデオカードの品薄がさらに深刻化、ツクモは1グループ1枚までに購入制限

 どうやら今年はCPUがなかなか買えない状況になりそうだが、去年はdGPUがマイニングブームから品切れもしくはあっても高騰していた。当時、Core i5-6600のメインマシンがiGPU(DVI/HDMI)だったので、DisplayPort出力があり手頃な価格の「GT 1030」を買おうとしたところどこも品切れ。「このクラスをマイニングに使っても意味ないのでは」と思うのだがとにかく物がなかった。

 結局、友人がたまたまデットストックを持っていて、それを譲ってもらい一件落着。その後マイニングがどうなったかはご存知の通り。本気でやってる人達は畳1畳、部屋1つ、倉庫1つをdGPUだらけにしているので、数枚程度では到底対抗できない。加えて暴落も加わって(もうピークはとっくに過ぎているが)巷にdGPUの中古が溢れると言う、予想通りの展開となった。

 そして原稿執筆中に「GMOインターネットが仮想通貨マイニング事業に係る特別損失355億円を計上する見込み」のニュースが飛び込んできた。加えて「マイニング特需の終了で変態マザーがお買い得」まで。将来性があるとは言え、まだ時期尚早なのだろう。

2月

【本日発売】GPU内蔵になったRyzenの性能をベンチマーク
Turbo Boost対応になった2in1向け「Core i3-8130U」
HP ENVY x2 - 12-e011nr

 2月は新型プロセッサネタが続いた。1つはRyzenにGPUを統合した「Raven Ridge」。もともとRyzenはハイエンド狙いでGPUは外付け。これはこれでアーキテクチャとしては正しかったのだが、とは言え、気楽にRyzenを試したい層にはハードルが高く、このGPU統合型が登場した。結果は上々でさらにIntelが焦ることになる。

AMD Ryzen 5 2400G with Radeon RX Vega Graphics。今年も同社の頑張りでプロセッサ全体のパフォーマンスがアップした

 そしてそのIntelがRyzenに追い上げられ、従来のルールを破って登場したのが「Core i3-8130U」だ。i5やi7を差別化するのにi3はTurbo Boost未対応だったのにこのSKUでは対応してしまった。ご存知のようi5もコアが4つより多いSKUもあり、もうark.intel.comで調べないと、何がどうなってるのかさっぱりわからない状態だ。

 3つ目はARM版Windows 10 Sを搭載した実機。去年のこの振り返るで触れたネタだが、結局、ARM版Windows 10を搭載したスマートフォンどころかノートPC/2in1すら何種類も出ていないと言う大外れ状態。その中の1つがこの「HP ENVY x2 - 12-e011nr」となる。

 Snapdragon 835、12.3型1,920×1,280ドット、4GB、128GBで999.99ドル。バッテリ駆動時間が日単位なのが最大の特徴となっているARM版だが、昨今の新型PCではBBenchで軽く12時間超えするマシンも多く、互換性(x86アプリは32bit版のみ対応)など総合的に考えるとこの価格ではちょっと難しいのではないだろうか。つい先日Windows 10用のSoC、「Snapdragon 8cx」が発表されたが、その話は12月のところで追記したい。

4月

LTE対応の個人向けSurface Proがいよいよ発売。Nano/eSIMを便利に使い分け可能
SoCが進化し、Apple Pencilに対応した「第6世代iPad」
苦難を乗り越えつつも、3万円で10コアXeon環境をゲットする(前編)

 3月はとくになく、4月は2in1/タブレットネタが2つ。LTE対応の「Surface Pro」と「第6世代iPad」だ。前者はeSIMを搭載しているのがこれまでと一味違うところ。後者は処理速度の向上はもちろん、「Apple Pencil」に対応し用途の幅が広がった。両機種共に2in1/タブレットの代表格的存在で安定した強みを誇っている。

LTE対応Surface Pro。スマートフォンも含めeSIMはこれからが本番か
第6世代iPad。タブレットの定番として完全に定着し安定した強さを誇る

 もう1本は普通ではない(笑)自作ネタ。前編/後編と2回に分かれているが楽しく読ませてもらった。10コア/20スレッドのマシンがこの予算で組めるのでコストパフォーマンスは異様に高い。ただTDPが115Wと言うこともあり、毎日長時間使う(加えてテキスト系の処理が多い)筆者の用途には向かないものの「これで複数のVMを起動したら楽しそう……」と、写真を眺めてるだけでも面白かった。

6月@COMPUTEX TAIPEI

【詳報】AMD、32コア/64スレッドの第2世代Ryzen Treadripperを第3四半期に投入
Intel、次期Core Xとなる28コアCPUをデモ。Whiskey Lake-UとAmber Lake-Yは今秋投入
Apple、macOS/iOSで「OpenGL/CL」の利用を“非推奨”に
Arm、Skylakeの性能の90%に迫るCPUコア「Cortex-A76」

 6月のCOMPUTEX TAIPEIでは、AMD/Intelともにハイエンドを発表。前者は32コア/64スレッド、後者は28コア(Cinebench/CPUのスコアが7,334)。またARMがSkylake(第6世代)の性能の90%に迫るCPUコアも発表している。AMDとIntelのハイエンドプロセッサ合戦と、ARMのx86に追いつき追い越せ合戦は今後も目を離せない状況だ。

 もう1点、このタイミングで後の話が想像できなかったこととして、AppleがmacOS/iOSで「OpenGL/CL」の利用を“非推奨”(つまり独自のMetal推奨)にしたことにより、秋にリリースされたmacOS MojaveのdGPU/eGPUとして、NVIDIAのGPUが使えない状況となってしまった。

 と言うのも、これまでNVIDIAのGPUの多くは、ドライバがOS側になく、別途独自にWeb Driverとして同社が配布していたのだが、現時点でもMojave対応のWeb Driverが出ていない。OpenGL/CL非推奨は同社にとって死活問題であり、へそを曲げてしまったようだ。

7月

10型2in1「Surface Go」、国内は7月12日予約、8月28日発売

 今年最もガッカリしたのがSurface Goの国内価格。性能的にはおそらく筆者が外出用として使っているSurface 3の約1.5倍あると思われるが、USでは下位モデル399ドルに対して、国内はOfficeと抱き合わせ64,800円。価格(だけ)が最大の武器であるこのデバイスに悪い冗談でしかない。百歩譲って“国内においてOfficeバンドルは必要”と言う理屈も分からなくもないが、他社ではこのような場合、直販でOfficeなしを売るケースが多いもののそれもなし。書きたいことはいろいろあるが、ここはグッと堪えることにする(笑)。

8月

・UNBOXING THE PC/初代IBM PC開封の儀

 余談にはなるが、8月12日、タイトルどおり、“未開封の初代IBM PCを開封”、起動しよう! というイベントに参加した。結果は残念ながら電源周りがダメだったのか起動しなかったものの(そう言えばその後、修理して動いたのだろうか)、久々にいろいろな方々とお会いでき、楽しい一時だった。

8月12日「UNBOXING THE PC/初代IBM PC開封の儀」
なんと搭載していた8088プロセッサはAMD製。今のデッドヒートが嘘のよう(笑)。横のソケットは数値演算コプロセッサ8087用

9月

ついに1万円切った10Gigabit Ethernetカード「LR-LINK LREC6860BT」を試す

 10Gigabit Ethernetはまだまだ先と思っていたが、カードが1万円を切ると、その後一気に下がるケースが多い。また新型Mac miniもオプションではあるが10Gigabit Ethernetを選択可能だ。来年はともかく2020年にはハイエンド好きな人々はがそこそこ使っているのではないだろうか。

10月

Apple、待望のRetina化を実現した新しい13.3型MacBook Air
Apple、4年ぶりの刷新で従来より5倍速くなった新「Mac mini」
Windows 10 October Updateにファイル消失問題で提供中断

 10月はRetina化した13.3型「MacBook Air」と、4年ぶりの刷新となった「Mac mini」が発表された。どちらも今風で魅力的だがとにかく価格が一般的な同スペックのPCと比較して高い。同社の場合、すでにMacの売り上げはあってもなくても全体に与える影響が無視できる比率になっていることもあり、高級路線でブランドイメージを守る作戦に出たのだと思われる。

 年2回行なわれるWindows 10の大型Update、今年の秋版は、リリースした直後にファイル消失問題が発生してみそをつけた。どうもMy Documentsのパスをほかにしていたケースで発生したようだが、筆者手持ちのマシンはデフォルトのままなので問題なし。配信停止になる前にほぼアップデートは完了していた。いずれにして一般に大型アップデートは怖い……と言う印象を与えてしまったのは、Microsoftにとって大きい損失だ。

11月

Sandy Bridgeから最新第9世代まで新旧CPU・徹底ベンチレポート
ついに約698gまで軽量化。強度も増した富士通13.3型モバイルノート
普通のPCが普通に買えない

 11月は新製品としてあっと驚いたのは「LIFEBOOK UH-X/C3」だ。筆者の連載では扱っていないものの、量販店で触ってビックリ! の約698g。実機ではなくモックアップを持ちあげたのでは? と言う錯覚に陥る。しかもCore mではなく第8世代Core i7、メモリ8GB、SSD 512GB、13.3型フルHD、バッテリ駆動約11.5時間のフルスペックでこの重量とは恐れ入った。個人的には今年のベストPCだ。

LIFEBOOK UH-X/C3。魅力的なPCにはいろいろな要素があるが軽さもその1つ。今年のベストPCはこれだ

 ほかコラム2点。1つは古いプロセッサから最近のプロセッサまでのベンチマークテスト。後述する趣味編では手持ちのマシン一覧を載せているが、それらの間でどれだけ性能差があるのか(世代は同じでもSKUが異なるため)大雑把に把握できる。

 もう1つは友人でもある山田祥平氏のコラムだ。滅多に量販店へは行かないので実際確認したところ確かに書かれているとおりだった。ただ氏と少し意見が違うのは、コンテンツ消費(+チョイOffice)が主であれば、メモリは4GBあればいいのでは? と言うところか。

 実際、ごく最近まで、Mac miniのParallels Desktop上でWindows 10のVMを動かし、毎日業務に使っていたが、割り振ったメモリ容量は4GB。この上で秀丸など細かいツールはもちろん、ChromeもPhotoshopもOfficeもストレスなく動いている。しかもプロセッサは第2世代のSandy Bridgeだ(笑)。

 確かにChromeで無数にタブを開けば重くなるだろうが、常識的な範囲では問題ない。従って筆者の意見としてはCore iでSSD、メモリ4GBあれば普通のPCだと思っている。となれば該当するマシンは結構量販店に並んでいることになるのだが……。

12月

Core対抗となるArm版Windows向けCPU「Snapdragon 8cx」
Corel、OS仮想化ソフトなど開発のParallelsを買収
Microsoft Edgeブラウザ、独自エンジンを捨て「Chromium」ベースに
東芝クライアントソリューションが「Dynabook株式会社」に社名変更

 2月で触れたARM版のWindows 10用、本命とも言えるSoC「Snapdragon 8cx」が発表された。Snapdragon 835/850と比較してCPU/GPU共に大幅パワーアップしているのはもちろんだが、PCI Expressコントローラを内蔵したのが大きな違いとなる。これによって従来eMMC/UFS3という遅くて容量の少ないストレージしか扱えなかったのが、PCで一般的なSSD/NVMeが使え、大容量はもちろん、体感速度が一気に加速する。

 来年実機が出てくると思われるが、体感速度に注目したいところ。ただやはり最大の障壁は同クラスのPCとの価格差となるだろう。あまり高いとあえてARM搭載機を選ぶ理由が無くなってしまう。

 そして今年もカウントダウンに入った時期に(筆者にとって)大きいニュースが3つ飛び込んできた。1つはMac miniで愛用しているParallels DesktopのParallelsがCorelに買収されたこと。よくわからない組み合わせなのだが、Corelは何が欲しかったのだろうか。今のところ製品は継続となっているものの、(多分変わらないと思うが)価格体系などがどうなるかは不明だ。

 次にあのEdgeのエンジンが「Chromium」ベースになると発表。これは開発系の仕事に直撃する一大事だ。と言うより、それならもっと早くそうして欲しかった(笑)。Web系(もしくはWebの技術を使う)の開発時は、Chrome/Safari/Firefox/Edge/IE、おおよそこの5つで作動確認するのだが、3つまで正常でも残り2つ、つまりEdgeとIEが微妙に動きが違い、それを調整するのに余計なコストがかかっている。しかしエンジンが「Chromium」ベースになれば余計なものが1つ減る。とは言えIEが最悪なので(しかも大きい企業ほどIE好き)、Edgeのエンジンが変わったところで余計なコストがかかるのは大差ないが、それでもこれは大事件だ。

 また、現在筆者は(開発以外)、Chromeから「Chromium」ベースの「Vivaldi」に乗り換え1年以上使っている。もし新生Edgeが魅力的な機能を搭載すれば乗り換えも十分に考えられる。是非同社には頑張って欲しいと思う。

 そして最後の最後にシャープ傘下となっていた東芝クライアントソリューションが、2019年1月1日付けで、「Dynabook株式会社」に社名を変更すると発表。「VAIO株式会社」の時もそうだったが、ブランド名をそのまま会社名にするとやはり「えー!」となる。初代のDynabook、J-3100SSが出た1989年は、頻繁に大阪/東京間を行き来しており、新幹線に乗る度車内でJ-3100SSを使い原稿を買いていたのを思い出す。魅力的なPCが出ることを期待したい。

 以上、ざっくり気になるタイトルを抜粋した。iPhone XS/XRをはじめスマートフォン系がバッサリ抜けているが、書き出すとキリがないのと、個人的にはHUAWEI P20 Proが気に入っているので、ほかに目移りしない=気にならないという理由で省略した(と言うより欲しくなるので気にしないようにしている……が正解かも知れない)。

 またスマートフォンを省いたことで重要なキーワードが1つ抜けている。それは「AI」。カメラのシーン認識はもちろん、写っている被写体を当てたり、シングルレンズで背景ぼかしに対応したり、操作予測で最適化……などいろいろなところで使われ、すでに意識しなくても普通に動いている機能となっている。この流れは来年ますます加速するだろう。

 さて、つらつらタイトルを眺めていると、2017年結構盛り上がった「IoT」と言うキーワードがほぼないことに気が付いた。代わりに増えたのが「スマートスピーカー」、「ファンやメモリが光る光り物系」、「Thunderbolt 3」だ。

 スマートスピーカーはTVのオマケで付いてきた「Google Home Mini」を持っているものの、音が悪く、加えて音声で何かするより周りにあるデバイスからの方が手っ取り早いので全く使っていない。一部IoTのコントローラー的な動きもするので、一般的に手軽なIoTデバイス扱いなのかもしれない。

 光り物系はダークテーマも含め、機能的には無意味だが見栄えで勝負!?的なものだ。それだけ今年はある種安定しているのだろう。Thunderbolt 3は、Macが一歩先を行っていたものの、USB 3.1 Type-Cを経て、そろそろPCでも一般的になりそうだ。

趣味@2018年

 ここからは筆者の趣味ネタ。この数年、趣味でPC関連の購入はほとんどなく、楽器、エフェクタ、オーディオ、そしてスマートフォンが主な強化ポイントだった。(たまたまだが)その反動か、今年はPC関連の増強年間となった。

 まず春先に「第6世代iPad」と43型4K TV「SONY BRAVIA KJ-43X8000E」を購入。もともとiPad 3と地デジに切り替わる少し前の32型TVなので、とっくに賞味期限切れの入れ替えだ(どちらもほとんど使わないのでとくに困りもしなかった)。新しいiPadは記事に書いたとおりさすがに快適。PCの電源を落としてからの余暇用で毎日(主に朝晩)使っている。TVは32型からなので定位置に入るかどうか微妙だったが、ご覧のようにギリギリ収まり映画やMVなど大迫力で満足と言ったところ。HDMIに限るが、PC関連の4K出力検証用としても使っている。

 次は夏場にメインマシンのプロセッサとdGPUを入れ替えた。Core i5-6600/GT 1030から、Core i7-7700/RX560、そしてついでにメモリも8GBから16GBへと全体的なアップグレードだ。理由は仕事柄、VMを複数使うことが多く、4C/8Tと16GBが魅力的だったから(RX560は何となく)。とは言え、そのほとんどの時間はテキスト中心の処理なので、VM使う以外は完全に超オーバースペック。プロセッサの使用率を見ると常時数%。電気代の無駄遣いだ。第8世代以降はマザーボードも交換となるので今回は見送った。せっかく最新まで1世代違いまで追いついたのも束の間、第9世代が出たため、2周遅れとなってしまった。

 加えて、「HUAWEI P20 Pro」を衝動買いしたのは記事のとおり。昨今、同社に関してはいろいろ騒がれているものの、技術的な話と政治的な話、そして一般向けのデバイスと基地局の話がゴッチャになっており、軽く書ける内容でもないのでコメントは差し控えるが、とにかくカメラの写りは今でもトップ。これだけが理由で使い続けている。

 さて、ここまでは予定通りの行動なのだが、10月以降はちょっと想定外の事態となった。と言うのも開発仕事が忙しく、土日も含め毎日15時間以上PCと向き合い、行動範囲は半径近所のコンビニという生活が1カ月以上続いた。書いたコードはPHP/JavaScript/HTML/CSS/SQLなど全部合わせて軽く1万行超え。こんなに書いたのは何十年ぶり? の勢いだった。

 普段ストレスをほとんど感じない筆者も、さすがにストレスが溜まったのか、夜な夜なヤフオクを漁りだした。とは言え、予算が有り余ってるわけでもないので、最大2万円(税別)程度まで。まずThinkPad X250(TN式HD/8GB/SSD 128GBのOSなし)を落札。Windows 10を入れ遊んでいるのをFacebookにあげたところ、友人からあまり使ってないMacBook Pro 13 Mid 2012と交換してほしいとの連絡が。手持ちのMac mini Mid 2011がそろそろ交換時かもと思っていたこともあり渡りに船。即交換。

 次にX250がなくなってしまったので、替わりにX240(TN式HD/4GB/SSD 180GB/キーボードバックライト付き/3G付き)を落札。X250より安価だったこともあり、IPS式フルHDパネルとメモリ8GBを別途購入。ご機嫌に使っていたのだが、とある事情で嫁に出した。

 この段階で残っているのはMacBook Pro 13のみ。やはりThinkPadが欲しく、また「12.5型より14型の方が見やすいかも」と眺めていたところ、E460(IPS式フルHD/メモリなし/ストレージなし/ACアダプタなし)を発見。ないものはすべて手元に予備であるためSkylakeなフルHDがたった1.6万円ほどでゲットできた。筐体やバッテリの状態もほぼ新品同様。これ以上のコストパフォーマンスは望めないのでもう止めようと思っていた矢先、とある業者から大量のT440sが……。

 20台近く出た上、最終日が平日だったこともあり「デフレになり1万円で落ちれば遊び用にいいかも」と駄目元で軽く入札したところ、そのままストンと落札。事前に8GB/ストレージなし/ACアダプタはなしは分かっていたが、物が届いて驚いたのはIPS式フルHDだったこと。手持ちのSSDを入れれば立派なノートPCの出来上がり! これは先のE460よりコストパフォーマンスは高く、(開発仕事のピークが過ぎたこともあり)ここでオークションから離脱。いわゆる勝ち逃げだ(笑)。

 結局、4台落として、1つ交換、1つ落札後別途フルHDパネルやメモリ購入、1つ嫁入りなど差し引き6.5万円ほど使って、手元に残ったのはMacBook Pro 13、ThinkPad T440s、ThinkPad E460の3台。ThinkPadはどちらもフルHDでメモリ8GB、ストレージは240GB以上の構成。結果的にはなかなか買い物上手だったと自己満足している。何よりストレス発散で飲んだり食べたりするより手元に残る。

 ThinkPad狙いなのは、もともと好きだからに加え、メンテナンス用のパーツが結構出回っており入手が容易。さらにモデルによっては、TN式HDパネルからIPS式フルHDパネルへ、バックライト付きキーボードへの交換なども可能。改造して楽しむと言う、趣味的要因もあげられる。

SONY BRAVIA KJ-43X8000E。いろいろギリギリ。YAMAHA NS-10Mやアンプ関係は変わらずそのまま
今年入手した機器(SSDやメモリなど細かいのは除く)。手前からCore i7-7700、ThinkPad E460、HUAWEI P20 Pro、MacBook Pro 13 Mid 2012、Google Home Mini(43型TVのおまけ)、第6世代iPad、AMD Radeon RX560、ThinkPad T440s

 これらも含め現在メンテナンスしている手持ちのPCリストは以下のとおり(メンテナンスせず放置しているのも多々ある)。さすがにThinkPad X201iを現役扱いするかは微妙であるが(まだWindows Updateで最新状態は保っている)、Broadwell以外、初代Core iから第7世代までは全部手元に揃っている珍しい状況になってしまった。だからどうと言うことでもないのだが、少し面白いなと思った次第。それぞれの性能差は先に掲載した「Sandy Bridgeから最新第9世代まで新旧CPU・徹底ベンチレポート」を見て頂ければ一目瞭然。ザックリSandy BridgeからKaby Lakeまでで純粋な性能差は1.5倍はない。

 そして現状もっとも使っているのが第7世代のメインマシンとSandy BridgeなMac miniと言う変な組み合わせも、後者がWebやメール、テキスト編集、Office主体であれば使えるレベルと言うのがお分りいただけると思う。

・Surface 3
Atom x7-Z8700(4C/4T, 1.6/2.4GHz, 2MB), iGPU, 4GB, 128GB, LTE
ThinkPad X201i
Core i3-330M(2C/4T, 2.13GHz, 3MB, Arrandale), iGPU, 8GB, 120GB
Mac mini Mid 2011 (MC816J/A)
Core i5-2520M(2C/4T, 2.5/3.2GHz, 3MB, Sandy Bridge), Radeon HD 6630M, 16GB, 480GB
・Sub Desktop PC
Core i5-2500S(4C/4T, 2.7/3.7GHz, 6MB, Sandy Bridge), GT 720, 8GB, 120GB
・MacBook Pro 13 Mid 2012
Core i7-3520M(2C4T, 2.9GHz/3.6GHz, 4MB, Ivy Bridge), iGPU, 16GB, 500GB
・ThinkPad T440s
Core i5-4300U(2C4T, 1.9GHz/2.9GHz,3MB, Haswell), iGPU, 8GB, 180GB + 120GB(M.2)
・ThinkPad E460
Core i5-6200U(2C/4T, 2.3/2.8GHz, 3MB, Skylake), Radeon R7 M360, 8GB, 240GB
・Main Desktop PC
Core i7-7700(4C/8T, 3.6/4.2GHz, 8MB, Kaby Lake), Radeon RX560, 16GB, 480GB + 120GB(M.2)
※ストレージは全てSSD

 もちろん筆者1人で使うのでこれだけのマシンは必要なく、MacBook Pro 13はMac miniから交換予定、ThinkPad T440sは外出用で使っているSurface 3でパワー不足になる仕事用、ThinkPad E460はメインマシンは省エネにはほど遠いため通常用途向けの入れ替え用。こうすると余りはWindows IPを入れているサブPCのみとなり(屁理屈だが)合理的だ。Sandy BridgeのMac miniで全く問題なく使えているので、それ以降のマシンであっても仕事で使うのに全く不都合はない。

 第7世代以前のIntelコードネームがほぼ一式揃ったところで、以前話題になった「4年前のPCは使えば使うほど損」の話に少し触れたい。この理屈から言えば、筆者のリストでは、メインマシンとThinkPad E460以外はゴミ扱いとなる。しかし現状は最古のMac miniも含め非常に快適に作動しており、全く損などしていない。従って不正解だ。

 ただあるケースにおいては正解となる。それは4年間(以上)まったく整備もせず、使い続けた場合、ストレージにゴミが溜まりソフトウェア的に不安定、ハードウェア的にもストレージがHDDのままだったり、ファンが軽く痛んだり、埃が入ってたりで設計上の放熱ができず、結果、サーマルスロットリングが発生しプロセッサがスローダウンしている可能性もある。そうなった場合は使えば使うほど本来ないはずのロスが発生し損となる。

 筆者が所有しているマシンは、ソフトウェア的には一定期間でOSをクリーンインストールしたり(もちろんUpdateも行ないつねに最新)、蓋を開けて埃を飛ばしたり、適度にSSDを買い換えたり、場合によってはファン交換しているため、設計時の性能がそのまま出ていて今でも快適と言うことだ。逆に企業用途でそこまでしているのはレアケースだろう。従って同社の理屈が成り立つことになる。

 さて、これだけPCがあると来年はよほどの理由でもない限り買い増しはなさそうだ。ほかに目を向けるとそろそろメインディスプレイ(ColorEdge CG245W-BK)とデジイチ(D7000)が骨董品になりつつあるので買い替え時期。が、両方だとそれなりの出費……。稼がねば(笑)。


 以上、2018年を振り返りつつ、気になる記事のまとめと、筆者の近況を書いてみた。毎年、1年前のこの記事を見ると予想したことの多くはハズレ。また趣味編は当時毎日触っていたが1年後は埃を被っているもののばかり(例えば去年のギター関連はもうほぼ使ってない)。とは言え無駄なことほどその時楽しいのも事実。来年はどうなっているのやら……。