西川和久の不定期コラム

Gemini Lakeを搭載した手のひらサイズのミニPC「LIVAZ2-8/120-W10(N4100)」

製品写真

 リンクスインターナショナルは10月12日、ECS製のGemini Lake搭載手のひらデスクトップPCを発表した。

 Windows搭載のカスタマイズモデルの中で、Celeron N4100搭載機が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

ファンレス仕様のGemini Lake採用ミニPC!

 コンパクトなPCは、スティックタイプも含め、AtomからCoreプロセッサ搭載のハイパワーなNUCまで、以前からいろいろと存在する。価格も1万円台から10万円超など内容に応じて上下し、予算や用途に応じて好みのPCが選択できる。

 ノートPCや2in1、一般サイズのデスクトップPCとは、一味違うサイズ感、そして使用感で、筆者も含めファンが多いカテゴリの1つだ。

 同社は過去さまざまなミニPCを出しており、今回ご紹介する「LIVAZ2-8/120-W10 (N4100)」もその1つ。ランク的には、性能も価格も中位の位置づけとなるミニPCだ。おもな仕様は以下のとおり。

LIVAZ2-8/120-W10(N4100)の仕様
プロセッサCeleron N4100(4コア4スレッド/1.1GHz~2.4GHz/キャッシュ4MB/TDP 6W/SDP 4.8W)
メモリSO-DIMM DDR4-2400 最大8GB (4GB×2)
ストレージeMMC 32GB+SSD 120GB
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスIntel UHD Graphics 600/HDMI 2.0×1、HDMI 1.4×1
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.1×4(1基Type-C)、USB 2.0×2、音声入出力
サイズ/重量132x118x56.4mm(幅×奥行き×高さ)/約640g
販売価格41,800円(価格.com調べ)

 プロセッサはGemini LakeのCeleron N4100。4コア4スレッドで、クロックは1.1GHzから最大2.4GHz。キャッシュは4MBでTDP/SDPはそれぞれ6W/4.8Wと省エネSKUだ。

 これにともない、本機はファンレス駆動となる。ファンなど物理的に回転する部分がないため、故障率はグッと下がる。

 メモリは2スロットで、4GB SO-DIMM DDR4-2400が2つ、計8GBを実装済。ストレージはeMMC 32GBと、SSD 120GB。OSは64bit版Windows 10 Home。SSD側にインストールされている。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 600。外部出力用にHDMIとHDMI 2.0×2を装備し、後者は4K/60fps映像出力対応。もちろんデュアルディスプレイが可能だ。

 ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANは11ac対応。Bluetooth 4.2も内蔵している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1×3、USB 3.1 Type-C×1、USB 2.0×2、音声入出力。コンパクトな筐体ながら数多くのUSBポートを搭載しており、拡張性は高い。

 サイズは132×118×56.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量約640g。今回のモデルで販売価格は41,800円(価格.com調べ)ほどだ。

 おそらく、自作で同スペックのものを作るよりは若干安いのではないだろうか(プロセッサ搭載マザーボード/メモリ+ストレージ/筐体+電源/OSと、それぞれ1万円前後でも4万円は超える)。

 なおカスタマイズモデルは3タイプあり、今回ご紹介した「LIVAZ2-8/120-W10(N4100)」は中位モデルだ。

 仕様はおおよそ共通で、下位モデル「LIVAZ2-4/120-W10(N4000)」は、プロセッサがCeleron N4000(2コア2スレッド、1.1GHz/2.6GHz)、メモリは4GB(4GB×1)。上位モデル「LIVAZ2-8/240-W10Pro(N5000)」は、プロセッサがPentium Silver N5000(4コア4スレッド、1.1GHz/2.7GHz)、OSが64bit版Windows 10 Proとなる。個人的にはPentium Silver N5000の性能も気になるところ。

 ただし、入稿時点で下位モデルの出荷時期は2018年12月下旬~1月中旬、上位モデルの出荷時期は未定となっている。つまり、現時点で購入可能なのは、今回ご紹介している中位モデルのみとなる。

前面。電源ボタン、USB 3.1×3、USB 3.1 Type-C×1、音声入出力
背面。電源入力、HDMI、HDMI 2.0、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet
上。LIVAのロゴ。重量は実測で689g
下。四隅にゴム足があり、中のネジを外すとパネルを開けることができる
右側面。ロックポート。左側面はスリットのみ
付属のACアダプタ。サイズ約105×45×30mm(同)、重量214g。出力19V/3.42A
内部1。内部上側に2.5インチのマウンターがある。4つのネジで本体に引っ掛けてるだけなので交換も容易
内部2。右側にメモリスロットが2つ(SO-DIMM DDR4-2400)、左側にWi-FiBluetoothモジュール

 筐体は、扉の写真からもわかるように(ギリギリ)手のひらサイズとコンパクト。とはいえ、実測で689gほどあるため、相対的に「ひょい!」と持ち上がる感じでもなく、身が詰まった感じだ。

 前面は電源ボタン、USB 3.1×3、USB 3.1 Type-C×1、音声入出力。背面は電源入力、HDMI、HDMI 2.0、USB 2.0×2、Gigabit Ethernetを配置。右側面にロックポート。上はLIVAのロゴのみとシンプル。下は4つのゴム足があり、中央にあるネジを外すとパネルを開け内部にアクセスすることができる。

 開ける時は、背面パネルがUSBコネクタなどに若干引っかかることがあり、背面パネルを少し持ち上げつつ外すと外しやすい。

 付属のACアダプタは、サイズ約105×45×39mm(同)、重量214g。出力19V/3.42A。本体のサイズを考えると少し大き目か。

 内部は上部に2.5インチのマウンターがあり、4つのネジ(の頭)で本体に引っかかってるだけなので、簡単に外すことができる(ただしマザーボードと繋いでいるフラットケーブルに注意)。

 その下にはメモリスロットが2つ。今回は4GB/SO-DIMM DDR4-2400が2つ実装済となっている。右側に見えるのはWi-Fi/Bluetoothモジュールだ。非常に簡単な構造なのでメンテナンスも容易だ。

 振動やノイズは、ファンレスでSSDと言うこともあり皆無。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、ほんのり暖かくなる程度だった。これなら安心して長時間(長期間)電源ONのまま運用できる。サーバー用途にもよさそうな感じだ。

 一般的なインターフェイスで非搭載なのは、カードリーダとなる。ただ、これは設置場所によってはアクセスしにくかったりするので(たとえば旧タイプのMac miniは背面にカードリーダがあるものの、机の後ろの方に本体を設置すると、その裏になるので抜き差ししにくい)、USB経由の方が、設置の自由度が高く幸せなのかも知れない。

Core iプロセッサには及ばないものの、普通に使える性能

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。とくに追加されたグループやアプリなどはない。デスクトップは、壁紙の変更と、左側に「eBLU」と「eDLU」へのショートカットを配置。

 Gemini LakeのCeleronなので、パワーはそれなりだが、メモリ8GB、ストレージはSSDということもあり、重い作業さえしなければ普通に使える環境だ。加えてHDMI 2.0があるので、4K TVに接続するのも容易。PC経由でいろいろな4Kコンテンツが楽しめる。

 ストレージはCドライブがSSD 120GBの「OSC SSD 120GB」、DドライブがeMMC 32GBの「Kingston TA2832」。これからも分かるようにOSはCドライブ/SSD側に入っている。Cドライブは約110GB割り当てられ空き97.6GB。Dドライブは約29GBが割り当てられフリーだ。

 Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製が使われている。

スタート画面(タブレットモード)。フルHDで1画面。Windows 10標準のまま
起動時のデスクトップ。壁紙の変更と、左側に「eBLU」と「eDLU」へのショートカット
デバイスマネージャ/主要なデバイス。CドライブがSSD 120GBの「OSC SSD 120GB」、DドライブがeMMC 32GBの「Kingston TA2832」。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティション。Cドライブは約110GB割り当てられ空き97.6GB。Dドライブは約29GBが割り当てられフリー

 インストール済みのアプリケーションは、システム系の「eBLU」と「eDLU」の2つ。前者がBIOS Update Utility。後者がDriverやツールのダウンロードページへのブックマークとなっている。お借りしていたタイミングでは、BIOSのアップデートは出ていなかった。

eBLU/BIOS Update Utility
eDLU/Driverやツールのダウンロードページへ

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMarkを実施。結果は以下のとおり。

ベンチマークテスト
PCMark 10 v1.1.739
PCMark 10 Score1,566
Essentials3,952
App Start-up Score3,871
Video Conferencing Score3,882
Web Browsing Score4,109
Productivity2,780
Spreadsheets Score3,101
Writing Score2,493
Digital Content Creation950
Photo Editing Score970
Rendering and Visualization Score639
Video Editting Score1,386
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.01,684
Creative Accelarated 3.02,095
Work Accelarated 2.03,048
Storage4,718
3DMark v2.6.61764
Time Spyn/a
Fire Strike Ultra95
Fire Strike Extreme148
Fire Strike316
Sky Diver1,043
Cloud Gate2,536
Ice Storm Extreme11,543
Ice Storm18,964
CINEBENCH R15
OpenGL12.64 fps
CPU176 cb
CPU(Single Core)56 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード484.24 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト161.841 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード107.118 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト135.329 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード105.972 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト89.468 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード9.028 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト64.674 MB/s

 PCMark 10のスコアを見ると、Digital Content Creation以降が明らかに低くなる。つまり、おもな用途がコンテンツ消費、もしくはワープロ/スプレッドシートあたりであれば、普通に使える環境ということだ。3Dゲーム系はiGPUなので、ライトなものに限る。

 またSSDのシーケンシャルライトがあまり速くないので、もう少し高速なタイプと交換すれば体感速度はあがりそうだ。

 いずれにしても、Core iプロセッサではないため、性能に関しては過度な期待は禁物だが、ライトな用途でかつ省エネ/省スペース目的であれば、十分役に立つ1台となるだろう。


 以上のようにLIVAZ2-8/120-W10(N4100)は、Gemini LakeのCeleron N4100、メモリ8GB、SSD 120GB+eMMC 32GBを搭載し、手のひらサイズのコンパクトなPCだ。

 サイズの割にUSBポートが豊富で、HDMI 2.0にも対応と拡張性は高く、加えてファンレス。静音動作なので、ざわざわしている仕事場よりも自宅の方がマッチしそうだ。

 仕様上、とくに気になる部分もなく、完成度も高い。自作するよりおそらく安価で、性能はそこそこ、コンパクトで省エネ、そして静かなPCを探しているユーザーにおすすめの1台と言えよう。