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「GeForce RTX 4060 Ti」テスト。旧世代より高性能で電力性能比もジャンプ!

 5月24日、NVIDIAの最新鋭ミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060 Ti」の8GB版が発売される。実売予想価格6万9,800円からとされており、従来のGeForce RTX 40シリーズより安価に入手できるGPUだ。

 今回は、発売に先立ってGeForce RTX 4060 TiのFounders Editionを借用できたので、Ada Lovelace世代のミドルレンジGPUの実力をベンチマークテストでチェックしてみた。

NVIDIA最新アーキテクチャがぐっと身近に!RTX 4060 Tiをライブ解説<本日5月23日(火)22時より>

 本日5月23日(火)22時より、GeForce RTX 4060 Tiのライブ解説配信を実施します。人気のRTX 3060 Tiの後継型番だけに期待が集まるこのGPUをKTU・加藤勝明氏が評価。多数のゲームベンチや実動デモを交えてお送りします。MCは改造バカ・高橋敏也氏です。

8GB版の実売予想価格は6万9,800円から

 GeForce RTX 4060 Tiは、Ada Lovelaceアーキテクチャを採用したミドルレンジGPUで、VRAM容量の違いにより8GB版と16GB版が用意される。5月24日に発売されるのは8GB版の方で、国内向けの実売予想価格は6万9,800円から。なお、16GB版については7月の発売が予定されており、こちらは499ドルという実売予想価格が明らかにされている。

 GeForce RTX 4060 TiのGPUコアでは、34基のSMが有効化されており、4,352基のCUDAコアや34基のRTコア、136基のTensorコアなどが利用できる。なお、8GB版と16GB版の違いについてはVRAM容量のみとされており、GPUコアの仕様などに違いはない。

 VRAMには18Gbps動作のGDDR6メモリを搭載しており、GPUコアと128bitのメモリインターフェイスで接続することで288GB/sのメモリ帯域幅を実現しているのだが、32MBの大容量L2キャッシュを搭載したことで実行メモリ帯域幅は554GB/sに相当するとしている。バスインターフェイスはPCIe 4.0対応で、消費電力指標のTGPは160W。

【表1】GeForce RTX 4060 Tiの主な仕様
GPUGeForce RTX 4060 TiGeForce RTX 4070
アーキテクチャAda Lovelace (AD106)Ada Lovelace (AD104)
製造プロセスTSMC 4NTSMC 4N
SM34基46基
CUDAコア4,352基5,888基
RTコア34基 (第3世代)46基 (第3世代)
Tensorコア136基 (第4世代)184基 (第4世代)
テクスチャユニット136基184基
ROPユニット48基60基
ベースクロック2,310MHz1,920MHz
ブーストクロック2,535MHz2,475MHz
L2キャッシュ32MB36MB
メモリ容量8GB/16GB (GDDR6)12GB (GDDR6X)
メモリスピード18Gbps21Gbps
メモリインターフェイス128bit192bit
メモリ帯域幅288GB/s504GB/s
実効メモリ帯域幅554GB/s不明
NVENC第8世代×1基第8世代×1基
PCI ExpressPCIe 4.0PCIe 4.0 x16
消費電力 (TGP)160W200W
実売予想価格8GB=399ドル
16GB=499ドル
599ドル

NVIDIA純正仕様の「GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition」

 今回のテストで借用したのは、NVIDIA純正ビデオカードの「GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition」。カードのサイズや基本的なデザインは、先に発売されたGeForce RTX 4070 Founders Editionを踏襲しつつ、GPUクーラーのメッキ処理の色などが変更されている。

 動作に必要な補助電源コネクタは12VHPWR×1系統で、PCIe 8ピンを12VHPWRに変換するアダプタが同梱されている。ブラケット部の画面出力端子はDisplayPort(3基)、HDMI(1基)で、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x8。

GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition
基板裏面はバックプレートで覆われており、カード後部に冷却ファンを搭載している
GPUクーラーの占有スロットは2スロット
ブラケット部。画面出力端子はHDMI(1基)、DisplayPort(3基)
補助電源コネクタは12VHPWR×1系統
PCIe 8ピンを12VHPWRに変換するアダプタが同梱されている
GeForce RTX 4070 Founders Edition(右)と並べたところ。GeForce RTX 4060 TiのGPUクーラーはフレームが明るい銀色で仕上げられている
GeForce RTX 4060 Ti Founders EditionのGPU-Z実行画面

ZOTACのオリジナルモデルを写真で紹介「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4060 Ti 8GB Twin Edge」

 今回、ベンチマークテストは先に紹介したGeForce RTX 4060 Ti Founders Editionで行なうのだが、ZOTACから同社オリジナルデザインのGeForce RTX 4060 Ti搭載ビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4060 Ti 8GB Twin Edge(ZT-D40610E-10M)」を借りることができたので、こちらも写真で紹介しよう。

 2.2スロットを占有するGPUクーラーを搭載するZOTAC GAMING GeForce RTX 4060 Ti 8GB Twin Edgeは、カード長を225.5mmに抑えた比較的コンパクトな設計のビデオカードで、補助電源コネクタには従来のPCIe 8ピンを1系統搭載している。

 画面出力端子はDisplayPort 1.4a(3基)とHDMI 2.1a(1基)で、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x8。

ZOTAC GAMING GeForce RTX 4060 Ti 8GB Twin Edge(ZT-D40610E-10M)
カード裏面はバックプレートで覆われている。カード長は225.5mm
GPUクーラーの占有スロット数は2.2スロット
補助電源コネクタはPCIe 8ピン×1系統
画面出力端子はHDMI 2.1a(1基)、DisplayPort 1.4a(3基)
Founders Edition(上)と並べたところ。ZOTAC製の方がカード長が短いことが分かる

比較用GPUとテスト環境

 今回はGeForce RTX 4060 Tiの比較相手として、前世代のミドルレンジGPUであるGeForce RTX 3060 (12GB)とGeForce RTX 3070のほか、上位モデルのGeForce RTX 4070を用意した。

 各ビデオカードのテスト時動作仕様は以下の通りで、グラフィックスドライバについてはGeForce RTX 4060 Tiがレビュアー向けの「531.93」、そのほかのGPUにはテスト時点での最新版「531.79」を利用した。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPUGeForce RTX 4060 TiGeForce RTX 3060GeForce RTX 3070GeForce RTX 4070
ビデオカードベンダーNVIDIAZOTACNVIDIANVIDIA
製品型番Founders EditionZT-A30600H-10MFounders EditionFounders Edition
ベースクロック2,310MHz1,320MHz1,500MHz1,920MHz
ゲームクロック
ブーストクロック2,535MHz1,807MHz1,725MHz2,475MHz
メモリ容量8GB (GDDR6)12GB (GDDR6)8GB (GDDR6)12GB (GDDR6X)
メモリスピード18Gbps15Gbps14Gbps21Gbps
メモリインターフェイス128bit192bit256bit192bit
メモリ帯域幅288GB/s360GB/s448GB/s504GB/s
PCI ExpressPCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16
Power Limit160W170W220W200W
GPU PPT(持続/短時間)
温度リミット83℃83℃83℃83℃
Resizable BAR有効有効有効有効
GPUドライバGRD 531.93 (31.0.15.3193)GRD 531.79 (31.0.15.3179)GRD 531.79 (31.0.15.3179)GRD 531.79 (31.0.15.3179)
GeForce RTX 3060 12GB搭載ビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCのGPU-Z実行画面
GeForce RTX 3070 Founders Edition
GeForce RTX 3070 Founders EditionのGPU-Z実行画面
GeForce RTX 4070 Founders Edition
GeForce RTX 4070 Founders EditionのGPU-Z実行画面

 各ビデオカードを搭載するベース機材には、Core i9-13900Kを搭載したIntel Z790環境を用意した。

 そのほかの機材や条件については以下の通り。

【表3】テスト機材
CPUCore i9-13900K (8P+16Eコア/32スレッド)
CPUリミット設定PL1=PL2=Unlimited、TccMax=Unlimited、TjMax=100℃
CPUクーラーADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
マザーボードGIGABYTE Z790 AORUS ELITE AX [UEFI=F6c]
メモリDDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-90、1.1V)
システム用SSDSamsung SSD 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSDCFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
電源玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1200W/80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro 22H2 (build 22621.1702、VBS有効)
電源プランバランス
計測HWiNFO64 Pro v7.46、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約25℃

ベンチマーク結果

 今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「BLUE PROTOCOL ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「Forza Horizon 5」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「オーバーウォッチ 2」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」。

3DMark「Speed Way」

 3DMarkのDirectX 12高負荷テストであるSpeed Wayでは、GeForce RTX 4060 Tiが全体3番手のスコアとなる3,204を記録。GeForce RTX 3070を約7%、GeForce RTX 4070を約28%下回る一方、GeForce RTX 3060を約51%上回った。

【グラフ01】3DMark v2.26.8098「Speed Way」

3DMark「Port Royal」

 3DMarkのDirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」では、8,072を記録したGeForce RTX 4060 Tiは全体3番手だった。GeForce RTX 3070を約4%、GeForce RTX 4070を約28%下回る一方、GeForce RTX 3060を約61%上回った。

【グラフ02】3DMark v2.26.8098「Port Royal」

3DMark「Time Spy」

 3DMarkのDirectX 12テストであるTime Spyでは、標準テストのTime Spyと、高負荷版のTime Spy Extremeを実行した。

 GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手となっており、GeForce RTX 3070を1~6%、GeForce RTX 4070を21~25%下回り、GeForce RTX 3060を52~53%上回った。

【グラフ03】3DMark v2.26.8098「Time Spy」
【グラフ04】3DMark v2.26.8098「Time Spy Extreme」

3DMark「Fire Strike」

 3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」では、標準テストのFire Strikeのほか、高負荷版のFire Strike ExtremeとFire Strike Ultraを実行した。

 GeForce RTX 4060 Tiは、標準のFire StrikeでGeForce RTX 3070を約1%上回って全体2番手のスコアを記録した一方、高負荷版のExtremeとUltraでは逆にGeForce RTX 3070を7~14%下回って全体3番手となっている。

 そのほかのGPUとの比較については、GeForce RTX 4070を17~26%下回り、GeForce RTX 3060を47~50%上回った。

【グラフ05】3DMark v2.26.8098「Fire Strike」
【グラフ06】3DMark v2.26.8098「Fire Strike Extreme」
【グラフ07】3DMark v2.26.8098「Fire Strike Ultra」

3DMark「Wild Life」

 3DMarkのVulkanテストである「Wild Life」では、標準テストのWild Lifeと、高負荷版のWild Life Extremeを実行した。

 GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手となっており、GeForce RTX 3070を4~9%、GeForce RTX 4070を27~28%下回り、GeForce RTX 3060を54~59%上回った。

【グラフ08】3DMark v2.26.8098「Wild Life/Wild Life Extreme」

3DMark「DirectX Raytracing feature test」

 3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」は、DXRによるリアルタイムレイトレーシング性能の計測に特化したテストだ。

 37.85fpsを記録したGeForce RTX 4060 Tiは、上位モデルのGeForce RTX 4070を約26%下回ったものの、GeForce RTX 3060を約101%、GeForce RTX 3070を約13%上回って全体2番手となっている。RTコアの性能自体はGeForce RTX 3070よりも優れていることが伺える結果だ。

【グラフ09】3DMark v2.26.8098「DirectX Raytracing feature test」

3DMark「PCI Express feature test」

 3DMark「PCI Express feature test」は、バスインターフェイスの帯域幅を計測するテストだ。

 今回テストしたGPUのバスインターフェイスは、GeForce RTX 4060 TiのみPCIe 4.0 x8で、残りは全てPCIe 4.0 x16に対応している。このため、比較用GPUが約24GB/sで横並びとなっている一方で、GeForce RTX 4060 Tiのみ12.54GB/sと半分程度の帯域幅となっている。

【グラフ10】3DMark v2.26.8098「PCI Express feature test」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手となっており、GeForce RTX 3070を2~19%、GeForce RTX 4070を13~31%下回り、GeForce RTX 3060を27~39%上回った。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」
【グラフ12】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手で、GeForce RTX 3070を9~16%、GeForce RTX 4070を28~31%下回り、GeForce RTX 3060を32~41%上回った。

【グラフ13】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

BLUE PROTOCOL ベンチマーク

 BLUE PROTOCOL ベンチマークでは、画質プリセットを「最高画質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手で、GeForce RTX 3070を5~16%、GeForce RTX 4070を21~26%下回り、GeForce RTX 3060を34~47%上回った。

【グラフ14】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「スコア」
【グラフ15】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「平均フレームレート」

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、パストレーシングに対応したグラフィックプリセットの「レイトレーシング:オーバードライブ」をベースに、DLSS無効時と有効時のパフォーマンスをベンチマークモードで計測した。なお、GeForce RTX 40シリーズについてはDLSS有効時にフレーム生成を有効にしている。

 DLSS無効時のGeForce RTX 4060 Tiは、フルHDとWQHDでGeForce RTX 3070を5~33%上回って全体2番手のフレームレートを記録しているが、4Kでは逆にGeForce RTX 3070を11%下回ったばかりか、WQHD以下では64~75%も上回っていたGeForce RTX 3060を逆に41%も下回って最下位に沈んでいる。

 4Kの結果に関してはVRAM容量不足によるものだが、そもそもパストレーシングによる負荷は非常に大きく、GeForce RTX 4060 Tiを26~75%上回ったGeForce RTX 4070ですら、フルHDで約31.76fpsしか出せていない。

 DLSS 3による超解像とフレーム生成を有効にしたGeForce RTX 4060 Tiは、フレーム生成非対応のGeForce RTX 3060を79~172%、GeForce RTX 3070を28~70%と大きく上回り、GeForce RTX 4070に次ぐ全体2番手のフレームレートを記録した。フレーム生成に対応したGeForce RTX 40シリーズのアドバンテージを示す結果であると言えよう。

【グラフ16】サイバーパンク2077 (v1.62)「フルHD (1,920×1,080ドット)」
【グラフ17】サイバーパンク2077 (v1.62)「WQHD (2,560×1,440ドット)」
【グラフ18】サイバーパンク2077 (v1.62)「4K (3,840×2,160ドット)」

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、画質プリセットを「ウルトラ」に設定して、DLSS無効時と有効時のパフォーマンスを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」で、GeForce RTX 40シリーズについてはDLSS有効時にフレーム生成を有効にしている。

 DLSS無効時のGeForce RTX 4060 Tiは、フルHDではCPUのボトルネックによってGeForce RTX 3070やGeForce RTX 4070と僅差の結果となっているが、WQHD以上ではGeForce RTX 3070を14~17%、GeForce RTX 4070を29~36%下回った。一方で、GeForce RTX 3060を19~35%上回っている。

 DLSS 3による超解像とフレーム生成を有効にしたGeForce RTX 4060 Tiは、WQHD以下でフレーム生成非対応のGeForce RTX 3060を33~83%、GeForce RTX 3070を12~72%上回ったが、4Kでは逆に最下位に沈んでいる。この結果は、4KではそもそもVRAM容量が不足していることに加え、メモリ帯域幅の狭さが影響したように思われる。

 ただ、ミドルレンジGPUであるGeForce RTX 4060 Tiのターゲット解像度はフルHDであり、4Kで性能を発揮できないことよりも、DLSS 3を有効化したフルHDで平均98.6fpsを記録している点を評価すべきだろう。

【グラフ19】Microsoft Flight Simulator (v1.32.7.0)「フルHD (1,920×1,080ドット)」
【グラフ20】Microsoft Flight Simulator (v1.32.7.0)「WQHD (2,560×1,440ドット)」
【グラフ21】Microsoft Flight Simulator (v1.32.7.0)「4K (3,840×2,160ドット)」

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、画質プリセットを「エクストリーム」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 4060 Tiのフレームレートは全体3番手で、GeForce RTX 3070を3~18%、GeForce RTX 4070を17~33%下回り、GeForce RTX 3060を32~50%上回った。

【グラフ22】Forza Horizon 5 (v1.583.19.0.HV)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、アンチエイリアスを「TSR最高」にした場合や、NaniteとLumen(およびハードウェアレイトレーシング)を有効にした設定でフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」。

 アンチエイリアス「TAA」でNanite/Lumen無効時のGeForce RTX 4060 Tiは全体3番手のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 3070を2~10%、GeForce RTX 4070を23~26%下回り、GeForce RTX 3060を45~49%上回った。

 Nanite/Lumenを無効にしたまま、アンチエイリアスを超解像の「TSR最高」に設定した場合、GeForce RTX 4060 TiはGeForce RTX 3070とほぼ同等のパフォーマンスを発揮し、GeForce RTX 4070を20~22%下回り、GeForce RTX 3060を55~61%上回った。

 アンチエイリアス「TSR最高」でNanite/Lumenを有効にした場合、GeForce RTX 4060 TiはWQHD以下でGeForce RTX 3070を1~3%上回り、4Kでもとほぼ同等のパフォーマンスを発揮した。そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4070を21~23%下回り、GeForce RTX 3060を48~52%上回った。

【グラフ23】フォートナイト (v24.40)「フルHD (1,920×1,080ドット)」
【グラフ24】フォートナイト (v24.40)「WQHD (2,560×1,440ドット)」
【グラフ25】フォートナイト (v24.40)「4K (3,840×2,160ドット)」

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 GeForce RTX 4060 TiのパフォーマンスはGeForce RTX 3070と同程度で、GeForce RTX 4070を10~22%下回り、GeForce RTX 3060を46~51%上回った。

【グラフ26】エーペックスレジェンズ (v3.0.32.18)

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。

 GeForce RTX 4060 Tiの平均フレームレートは全体3番手で、GeForce RTX 3070を5~19%、GeForce RTX 4070を24~27%下回り、GeForce RTX 3060を26~28%上回った。

【グラフ27】オーバーウォッチ 2 (v2.4.1.1.113004)

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。

 GeForce RTX 4060 Tiの平均フレームレートは全体3番手で、GeForce RTX 3070を13~22%、GeForce RTX 4070を16~29%下回り、GeForce RTX 3060を30~34%上回った。

【グラフ28】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v15.0.1.0)

エルデンリング

 エルデンリングでは、画質プリセット「最高」をベースに、レイトレーシング無効時と有効時の平均フレームレートをフルHD~4Kまでの画面解像度で計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。

 レイトレーシング無効時のGeForce RTX 4060 Tiは、WQHD以下では上限フレームレートの60fpsに達しており、4Kでは全体3番手となる38.7fpsを記録した。これはGeForce RTX 3070を約17%、GeForce RTX 4070を約28%下回り、GeForce RTX 3060を約28%上回るものだ。

 レイトレーシングを最高品質で有効にした場合、GeForce RTX 4060 Tiは全体2番手のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 4070を6~13%下回った一方で、GeForce RTX 3060を60~67%、GeForce RTX 3070を6~21%上回った。

【グラフ29】エルデンリング (v1.09.1)「レイトレーシング無効」
【グラフ30】エルデンリング (v1.09.1)「レイトレーシング有効」

Blender Benchmark

 Blender Benchmarkでは、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.5.0」。

 GeForce RTX 4060 Tiは、JunkshopでGeForce RTX 3070を約5%下回って3番手となっているが、残るmonsterとclassroomでは逆に18~22%上回って全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 4070を25~30%下回り、GeForce RTX 3060を45~90%上回った。

【グラフ31】Blender Benchmark 3.1.0 (Blender v3.5.0)

システムの消費電力とワットパフォーマンス

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 アイドル時の最小消費電力は、GeForce RTX 4060 Tiが記録した52.6Wが比較製品中最小で、比較環境は55W前後のアイドル時消費電力を記録している。

 ベンチマーク実行中の平均消費電力に関しても、220.4~269.4Wを記録したGeForce RTX 4060 Ti環境がすべてテストで最小となっている。TSMC 4Nプロセスで製造されたGeForce RTX 40シリーズの電力効率の高さが伺える結果だ。

【グラフ32】3DMark実行中とアイドル時のシステムの消費電力 (平均/最大)
【グラフ33】ゲームテスト実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

 ベンチマーク実行中のシステム平均消費電力で、ベンチマークスコアや平均フレームレートを割ることによって「ワットパフォーマンス」を算出した。また、GeForce RTX 3060のワットパフォーマンスを基準に指数化したグラフも用意している。

 GeForce RTX 4060 Ti搭載システムのワットパフォーマンスは、GeForce RTX 3060搭載システムを47~75%上回っており、全体ではGeForce RTX 4070搭載システムに次ぐ電力効率を実現している。

 なお、GPUの消費電力が低くなるほど、システム全体消費電力に占めるCPU消費電力の割合が大きくなるため、このワットパフォーマンスはGPU単体の電力効率とイコールでは無い。

【グラフ34】各GPU搭載システムのワットパフォーマンス(スコア/平均消費電力)
【グラフ35】GeForce RTX 3060 搭載システムのワットパフォーマンスを100%とした場合

ベンチマーク実行中のモニタリングデータ

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.46を使って取得した、FINAL FANTASY XVベンチマーク(4K/高品質)実行中のモニタリングデータから、GPU温度などをまとめてみた。

 GeForce RTX 4060 TiのGPU温度は最大65.4℃(平均60.6℃)で、メモリ温度は計測できなかった。GPU消費電力は152.5W(平均138.1W)で、電力リミットの160Wを下回っていた。

 温度と電力のリミットに達していないこともあり、テスト中のGPUクロックは最大2,775MHzの平均2,748MHzという一貫性の高いクロックで動作しており、メモリクロックについても常時2,250MHzで安定していた。

【グラフ36】FINAL FANTASY XVベンチマーク「4K/高品質」実行中のGPU温度 (平均/最大)
【グラフ37】FINAL FANTASY XVベンチマーク「4K/高品質」実行中の消費電力 (平均/最大)
【グラフ38】FINAL FANTASY XVベンチマーク「4K/高品質」実行中の動作クロック (平均/最大)
【グラフ39】FINAL FANTASY XVベンチマーク「4K/高品質」実行中のGPU使用率 (平均/最大)
【グラフ40】GeForce RTX 4060 Ti のモニタリングデータ
【グラフ41】GeForce RTX 3060 のモニタリングデータ
【グラフ42】GeForce RTX 3070 のモニタリングデータ
【グラフ43】GeForce RTX 4070 のモニタリングデータ

フルHDでのパフォーマンスは上々、DLSS 3やAV1対応NVENCが魅力の新世代ミドルレンジGPU

 今回テストした8GB版GeForce RTX 4060 Tiは、前世代のミドルハイGPUであるGeForce RTX 3070に及ばない結果も少なくはないが、ミドルレンジGPUがターゲットとしているフルHD解像度であれば、高画質やハイフレームレートでゲームをプレイできる実力は備えている。

 また、サイバーパンク2077やMicrosoft Flight Simulatorでは、DLSS 3によるフレーム生成を活用することでGeForce RTX 3070を圧倒する結果も残している。フルHD解像度での優れたゲーミング性能や電力効率、DLSS 3やAV1対応NVENCなどの新機能にどれだけ魅力を感じられるのかによって、GeForce RTX 4060 Tiへの評価が分かれることになりそうだ。