Hothotレビュー
「GeForce RTX 4060 Ti」テスト。旧世代より高性能で電力性能比もジャンプ!
2023年5月23日 22:00
5月24日、NVIDIAの最新鋭ミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060 Ti」の8GB版が発売される。実売予想価格6万9,800円からとされており、従来のGeForce RTX 40シリーズより安価に入手できるGPUだ。
今回は、発売に先立ってGeForce RTX 4060 TiのFounders Editionを借用できたので、Ada Lovelace世代のミドルレンジGPUの実力をベンチマークテストでチェックしてみた。
本日5月23日(火)22時より、GeForce RTX 4060 Tiのライブ解説配信を実施します。人気のRTX 3060 Tiの後継型番だけに期待が集まるこのGPUをKTU・加藤勝明氏が評価。多数のゲームベンチや実動デモを交えてお送りします。MCは改造バカ・高橋敏也氏です。
8GB版の実売予想価格は6万9,800円から
GeForce RTX 4060 Tiは、Ada Lovelaceアーキテクチャを採用したミドルレンジGPUで、VRAM容量の違いにより8GB版と16GB版が用意される。5月24日に発売されるのは8GB版の方で、国内向けの実売予想価格は6万9,800円から。なお、16GB版については7月の発売が予定されており、こちらは499ドルという実売予想価格が明らかにされている。
GeForce RTX 4060 TiのGPUコアでは、34基のSMが有効化されており、4,352基のCUDAコアや34基のRTコア、136基のTensorコアなどが利用できる。なお、8GB版と16GB版の違いについてはVRAM容量のみとされており、GPUコアの仕様などに違いはない。
VRAMには18Gbps動作のGDDR6メモリを搭載しており、GPUコアと128bitのメモリインターフェイスで接続することで288GB/sのメモリ帯域幅を実現しているのだが、32MBの大容量L2キャッシュを搭載したことで実行メモリ帯域幅は554GB/sに相当するとしている。バスインターフェイスはPCIe 4.0対応で、消費電力指標のTGPは160W。
【表1】GeForce RTX 4060 Tiの主な仕様 | ||
---|---|---|
GPU | GeForce RTX 4060 Ti | GeForce RTX 4070 |
アーキテクチャ | Ada Lovelace (AD106) | Ada Lovelace (AD104) |
製造プロセス | TSMC 4N | TSMC 4N |
SM | 34基 | 46基 |
CUDAコア | 4,352基 | 5,888基 |
RTコア | 34基 (第3世代) | 46基 (第3世代) |
Tensorコア | 136基 (第4世代) | 184基 (第4世代) |
テクスチャユニット | 136基 | 184基 |
ROPユニット | 48基 | 60基 |
ベースクロック | 2,310MHz | 1,920MHz |
ブーストクロック | 2,535MHz | 2,475MHz |
L2キャッシュ | 32MB | 36MB |
メモリ容量 | 8GB/16GB (GDDR6) | 12GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 18Gbps | 21Gbps |
メモリインターフェイス | 128bit | 192bit |
メモリ帯域幅 | 288GB/s | 504GB/s |
実効メモリ帯域幅 | 554GB/s | 不明 |
NVENC | 第8世代×1基 | 第8世代×1基 |
PCI Express | PCIe 4.0 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TGP) | 160W | 200W |
実売予想価格 | 8GB=399ドル 16GB=499ドル | 599ドル |
NVIDIA純正仕様の「GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition」
今回のテストで借用したのは、NVIDIA純正ビデオカードの「GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition」。カードのサイズや基本的なデザインは、先に発売されたGeForce RTX 4070 Founders Editionを踏襲しつつ、GPUクーラーのメッキ処理の色などが変更されている。
動作に必要な補助電源コネクタは12VHPWR×1系統で、PCIe 8ピンを12VHPWRに変換するアダプタが同梱されている。ブラケット部の画面出力端子はDisplayPort(3基)、HDMI(1基)で、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x8。
ZOTACのオリジナルモデルを写真で紹介「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4060 Ti 8GB Twin Edge」
今回、ベンチマークテストは先に紹介したGeForce RTX 4060 Ti Founders Editionで行なうのだが、ZOTACから同社オリジナルデザインのGeForce RTX 4060 Ti搭載ビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4060 Ti 8GB Twin Edge(ZT-D40610E-10M)」を借りることができたので、こちらも写真で紹介しよう。
2.2スロットを占有するGPUクーラーを搭載するZOTAC GAMING GeForce RTX 4060 Ti 8GB Twin Edgeは、カード長を225.5mmに抑えた比較的コンパクトな設計のビデオカードで、補助電源コネクタには従来のPCIe 8ピンを1系統搭載している。
画面出力端子はDisplayPort 1.4a(3基)とHDMI 2.1a(1基)で、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x8。
比較用GPUとテスト環境
今回はGeForce RTX 4060 Tiの比較相手として、前世代のミドルレンジGPUであるGeForce RTX 3060 (12GB)とGeForce RTX 3070のほか、上位モデルのGeForce RTX 4070を用意した。
各ビデオカードのテスト時動作仕様は以下の通りで、グラフィックスドライバについてはGeForce RTX 4060 Tiがレビュアー向けの「531.93」、そのほかのGPUにはテスト時点での最新版「531.79」を利用した。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | ||||
---|---|---|---|---|
GPU | GeForce RTX 4060 Ti | GeForce RTX 3060 | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 4070 |
ビデオカードベンダー | NVIDIA | ZOTAC | NVIDIA | NVIDIA |
製品型番 | Founders Edition | ZT-A30600H-10M | Founders Edition | Founders Edition |
ベースクロック | 2,310MHz | 1,320MHz | 1,500MHz | 1,920MHz |
ゲームクロック | ─ | ─ | ─ | ─ |
ブーストクロック | 2,535MHz | 1,807MHz | 1,725MHz | 2,475MHz |
メモリ容量 | 8GB (GDDR6) | 12GB (GDDR6) | 8GB (GDDR6) | 12GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 18Gbps | 15Gbps | 14Gbps | 21Gbps |
メモリインターフェイス | 128bit | 192bit | 256bit | 192bit |
メモリ帯域幅 | 288GB/s | 360GB/s | 448GB/s | 504GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
Power Limit | 160W | 170W | 220W | 200W |
GPU PPT(持続/短時間) | ─ | ─ | ─ | ─ |
温度リミット | 83℃ | 83℃ | 83℃ | 83℃ |
Resizable BAR | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | GRD 531.93 (31.0.15.3193) | GRD 531.79 (31.0.15.3179) | GRD 531.79 (31.0.15.3179) | GRD 531.79 (31.0.15.3179) |
各ビデオカードを搭載するベース機材には、Core i9-13900Kを搭載したIntel Z790環境を用意した。
そのほかの機材や条件については以下の通り。
【表3】テスト機材 | |
---|---|
CPU | Core i9-13900K (8P+16Eコア/32スレッド) |
CPUリミット設定 | PL1=PL2=Unlimited、TccMax=Unlimited、TjMax=100℃ |
CPUクーラー | ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%) |
マザーボード | GIGABYTE Z790 AORUS ELITE AX [UEFI=F6c] |
メモリ | DDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-90、1.1V) |
システム用SSD | Samsung SSD 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) |
アプリケーション用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps) |
電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1200W/80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.1702、VBS有効) |
電源プラン | バランス |
計測 | HWiNFO64 Pro v7.46、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 |
室温 | 約25℃ |
ベンチマーク結果
今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「BLUE PROTOCOL ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「Forza Horizon 5」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「オーバーウォッチ 2」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」。
3DMark「Speed Way」
3DMarkのDirectX 12高負荷テストであるSpeed Wayでは、GeForce RTX 4060 Tiが全体3番手のスコアとなる3,204を記録。GeForce RTX 3070を約7%、GeForce RTX 4070を約28%下回る一方、GeForce RTX 3060を約51%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」では、8,072を記録したGeForce RTX 4060 Tiは全体3番手だった。GeForce RTX 3070を約4%、GeForce RTX 4070を約28%下回る一方、GeForce RTX 3060を約61%上回った。
3DMark「Time Spy」
3DMarkのDirectX 12テストであるTime Spyでは、標準テストのTime Spyと、高負荷版のTime Spy Extremeを実行した。
GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手となっており、GeForce RTX 3070を1~6%、GeForce RTX 4070を21~25%下回り、GeForce RTX 3060を52~53%上回った。
3DMark「Fire Strike」
3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」では、標準テストのFire Strikeのほか、高負荷版のFire Strike ExtremeとFire Strike Ultraを実行した。
GeForce RTX 4060 Tiは、標準のFire StrikeでGeForce RTX 3070を約1%上回って全体2番手のスコアを記録した一方、高負荷版のExtremeとUltraでは逆にGeForce RTX 3070を7~14%下回って全体3番手となっている。
そのほかのGPUとの比較については、GeForce RTX 4070を17~26%下回り、GeForce RTX 3060を47~50%上回った。
3DMark「Wild Life」
3DMarkのVulkanテストである「Wild Life」では、標準テストのWild Lifeと、高負荷版のWild Life Extremeを実行した。
GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手となっており、GeForce RTX 3070を4~9%、GeForce RTX 4070を27~28%下回り、GeForce RTX 3060を54~59%上回った。
3DMark「DirectX Raytracing feature test」
3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」は、DXRによるリアルタイムレイトレーシング性能の計測に特化したテストだ。
37.85fpsを記録したGeForce RTX 4060 Tiは、上位モデルのGeForce RTX 4070を約26%下回ったものの、GeForce RTX 3060を約101%、GeForce RTX 3070を約13%上回って全体2番手となっている。RTコアの性能自体はGeForce RTX 3070よりも優れていることが伺える結果だ。
3DMark「PCI Express feature test」
3DMark「PCI Express feature test」は、バスインターフェイスの帯域幅を計測するテストだ。
今回テストしたGPUのバスインターフェイスは、GeForce RTX 4060 TiのみPCIe 4.0 x8で、残りは全てPCIe 4.0 x16に対応している。このため、比較用GPUが約24GB/sで横並びとなっている一方で、GeForce RTX 4060 Tiのみ12.54GB/sと半分程度の帯域幅となっている。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手となっており、GeForce RTX 3070を2~19%、GeForce RTX 4070を13~31%下回り、GeForce RTX 3060を27~39%上回った。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手で、GeForce RTX 3070を9~16%、GeForce RTX 4070を28~31%下回り、GeForce RTX 3060を32~41%上回った。
BLUE PROTOCOL ベンチマーク
BLUE PROTOCOL ベンチマークでは、画質プリセットを「最高画質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4060 Tiのスコアは全体3番手で、GeForce RTX 3070を5~16%、GeForce RTX 4070を21~26%下回り、GeForce RTX 3060を34~47%上回った。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、パストレーシングに対応したグラフィックプリセットの「レイトレーシング:オーバードライブ」をベースに、DLSS無効時と有効時のパフォーマンスをベンチマークモードで計測した。なお、GeForce RTX 40シリーズについてはDLSS有効時にフレーム生成を有効にしている。
DLSS無効時のGeForce RTX 4060 Tiは、フルHDとWQHDでGeForce RTX 3070を5~33%上回って全体2番手のフレームレートを記録しているが、4Kでは逆にGeForce RTX 3070を11%下回ったばかりか、WQHD以下では64~75%も上回っていたGeForce RTX 3060を逆に41%も下回って最下位に沈んでいる。
4Kの結果に関してはVRAM容量不足によるものだが、そもそもパストレーシングによる負荷は非常に大きく、GeForce RTX 4060 Tiを26~75%上回ったGeForce RTX 4070ですら、フルHDで約31.76fpsしか出せていない。
DLSS 3による超解像とフレーム生成を有効にしたGeForce RTX 4060 Tiは、フレーム生成非対応のGeForce RTX 3060を79~172%、GeForce RTX 3070を28~70%と大きく上回り、GeForce RTX 4070に次ぐ全体2番手のフレームレートを記録した。フレーム生成に対応したGeForce RTX 40シリーズのアドバンテージを示す結果であると言えよう。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、画質プリセットを「ウルトラ」に設定して、DLSS無効時と有効時のパフォーマンスを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」で、GeForce RTX 40シリーズについてはDLSS有効時にフレーム生成を有効にしている。
DLSS無効時のGeForce RTX 4060 Tiは、フルHDではCPUのボトルネックによってGeForce RTX 3070やGeForce RTX 4070と僅差の結果となっているが、WQHD以上ではGeForce RTX 3070を14~17%、GeForce RTX 4070を29~36%下回った。一方で、GeForce RTX 3060を19~35%上回っている。
DLSS 3による超解像とフレーム生成を有効にしたGeForce RTX 4060 Tiは、WQHD以下でフレーム生成非対応のGeForce RTX 3060を33~83%、GeForce RTX 3070を12~72%上回ったが、4Kでは逆に最下位に沈んでいる。この結果は、4KではそもそもVRAM容量が不足していることに加え、メモリ帯域幅の狭さが影響したように思われる。
ただ、ミドルレンジGPUであるGeForce RTX 4060 Tiのターゲット解像度はフルHDであり、4Kで性能を発揮できないことよりも、DLSS 3を有効化したフルHDで平均98.6fpsを記録している点を評価すべきだろう。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、画質プリセットを「エクストリーム」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 4060 Tiのフレームレートは全体3番手で、GeForce RTX 3070を3~18%、GeForce RTX 4070を17~33%下回り、GeForce RTX 3060を32~50%上回った。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、アンチエイリアスを「TSR最高」にした場合や、NaniteとLumen(およびハードウェアレイトレーシング)を有効にした設定でフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」。
アンチエイリアス「TAA」でNanite/Lumen無効時のGeForce RTX 4060 Tiは全体3番手のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 3070を2~10%、GeForce RTX 4070を23~26%下回り、GeForce RTX 3060を45~49%上回った。
Nanite/Lumenを無効にしたまま、アンチエイリアスを超解像の「TSR最高」に設定した場合、GeForce RTX 4060 TiはGeForce RTX 3070とほぼ同等のパフォーマンスを発揮し、GeForce RTX 4070を20~22%下回り、GeForce RTX 3060を55~61%上回った。
アンチエイリアス「TSR最高」でNanite/Lumenを有効にした場合、GeForce RTX 4060 TiはWQHD以下でGeForce RTX 3070を1~3%上回り、4Kでもとほぼ同等のパフォーマンスを発揮した。そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4070を21~23%下回り、GeForce RTX 3060を48~52%上回った。
エーペックスレジェンズ
エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。
GeForce RTX 4060 TiのパフォーマンスはGeForce RTX 3070と同程度で、GeForce RTX 4070を10~22%下回り、GeForce RTX 3060を46~51%上回った。
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。
GeForce RTX 4060 Tiの平均フレームレートは全体3番手で、GeForce RTX 3070を5~19%、GeForce RTX 4070を24~27%下回り、GeForce RTX 3060を26~28%上回った。
モンスターハンターライズ:サンブレイク
モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。
GeForce RTX 4060 Tiの平均フレームレートは全体3番手で、GeForce RTX 3070を13~22%、GeForce RTX 4070を16~29%下回り、GeForce RTX 3060を30~34%上回った。
エルデンリング
エルデンリングでは、画質プリセット「最高」をベースに、レイトレーシング無効時と有効時の平均フレームレートをフルHD~4Kまでの画面解像度で計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。
レイトレーシング無効時のGeForce RTX 4060 Tiは、WQHD以下では上限フレームレートの60fpsに達しており、4Kでは全体3番手となる38.7fpsを記録した。これはGeForce RTX 3070を約17%、GeForce RTX 4070を約28%下回り、GeForce RTX 3060を約28%上回るものだ。
レイトレーシングを最高品質で有効にした場合、GeForce RTX 4060 Tiは全体2番手のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 4070を6~13%下回った一方で、GeForce RTX 3060を60~67%、GeForce RTX 3070を6~21%上回った。
Blender Benchmark
Blender Benchmarkでは、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.5.0」。
GeForce RTX 4060 Tiは、JunkshopでGeForce RTX 3070を約5%下回って3番手となっているが、残るmonsterとclassroomでは逆に18~22%上回って全体2番手のスコアを記録。GeForce RTX 4070を25~30%下回り、GeForce RTX 3060を45~90%上回った。
システムの消費電力とワットパフォーマンス
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
アイドル時の最小消費電力は、GeForce RTX 4060 Tiが記録した52.6Wが比較製品中最小で、比較環境は55W前後のアイドル時消費電力を記録している。
ベンチマーク実行中の平均消費電力に関しても、220.4~269.4Wを記録したGeForce RTX 4060 Ti環境がすべてテストで最小となっている。TSMC 4Nプロセスで製造されたGeForce RTX 40シリーズの電力効率の高さが伺える結果だ。
ベンチマーク実行中のシステム平均消費電力で、ベンチマークスコアや平均フレームレートを割ることによって「ワットパフォーマンス」を算出した。また、GeForce RTX 3060のワットパフォーマンスを基準に指数化したグラフも用意している。
GeForce RTX 4060 Ti搭載システムのワットパフォーマンスは、GeForce RTX 3060搭載システムを47~75%上回っており、全体ではGeForce RTX 4070搭載システムに次ぐ電力効率を実現している。
なお、GPUの消費電力が低くなるほど、システム全体消費電力に占めるCPU消費電力の割合が大きくなるため、このワットパフォーマンスはGPU単体の電力効率とイコールでは無い。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.46を使って取得した、FINAL FANTASY XVベンチマーク(4K/高品質)実行中のモニタリングデータから、GPU温度などをまとめてみた。
GeForce RTX 4060 TiのGPU温度は最大65.4℃(平均60.6℃)で、メモリ温度は計測できなかった。GPU消費電力は152.5W(平均138.1W)で、電力リミットの160Wを下回っていた。
温度と電力のリミットに達していないこともあり、テスト中のGPUクロックは最大2,775MHzの平均2,748MHzという一貫性の高いクロックで動作しており、メモリクロックについても常時2,250MHzで安定していた。
フルHDでのパフォーマンスは上々、DLSS 3やAV1対応NVENCが魅力の新世代ミドルレンジGPU
今回テストした8GB版GeForce RTX 4060 Tiは、前世代のミドルハイGPUであるGeForce RTX 3070に及ばない結果も少なくはないが、ミドルレンジGPUがターゲットとしているフルHD解像度であれば、高画質やハイフレームレートでゲームをプレイできる実力は備えている。
また、サイバーパンク2077やMicrosoft Flight Simulatorでは、DLSS 3によるフレーム生成を活用することでGeForce RTX 3070を圧倒する結果も残している。フルHD解像度での優れたゲーミング性能や電力効率、DLSS 3やAV1対応NVENCなどの新機能にどれだけ魅力を感じられるのかによって、GeForce RTX 4060 Tiへの評価が分かれることになりそうだ。