イベントレポート
NVIDIA、GeForce RTX 40 SUPERシリーズ計35製品を一挙展示
2024年1月15日 12:35
NVIDIAは、1月9日~1月12日(現地時間、日本時間1月10日~1月13日)に米国ラスベガスで開催されたCES 2024にて、市内のホテルにプライベーススイートを開設し、同社がCESに合わせて発表したGeForce RTX 40 SUPER シリーズの実機や、各種デモなどの展示を行なった。
この中でNVIDIAは、SUPERシリーズの製品として発表された「GeForce RTX 4080 SUPER」、「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」、「GeForce RTX 4070 SUPER」の実機を展示した。NVIDIAブランドの製品となる「Founders Edition」が存在するGeForce RTX 4080 SUPER、GeForce RTX 4070 SUPERではAIB(Add-In Board)パートナーの製品と同時にFounders Editionも並べられ、GeForce RTX 4070 SUPERに関してはAIBパートナーのモデルが展示された。
いわゆるリフレッシュ版のGeForce RTX 40 SUPER シリーズ3製品が発表
NVIDIAのSUPERシリーズは、現行モデルのライフサイクルの後期にリフレッシュ版として投入される製品であることを意味している。基本的なアーキテクチャなどは従来製品と同じだが、ダイのリビジョンなどが新しくなる(あるいはより上位のダイに切り替えられる)といった理由で、GPUのクロック周波数や内部演算器の数の引き上げなどスペック変更が加えられて、SUPERが付かない従来の製品に比べて性能が向上していることが大きな特徴となる。
今回発表されたGeForce RTX 40 SUPERシリーズには、GeForce RTX 4080 SUPER、GeForce RTX 4070 Ti SUPER、GeForce RTX 4070 SUPERの3つの製品が用意される。このうち、GeForce RTX 4080 SUPER、GeForce RTX 4070 SUPERには、NVIDIAの独自ブランド製品であるFounders Editionが存在しており、GeForce RTX 4070 Ti SUPERはAIBパートナー経由でのみ提供されるかたちとなる。
GeForce RTX 4080 SUPERは1月31日、GeForce RTX 4070 Ti SUPERは1月24日、GeForce RTX 4070 SUPERは1月17日に発売予定だ。
GeForce RTX 4080 SUPER | GeForce RTX 4080(参考) | GeForce RTX 4070 Ti SUPER | GeForce RTX 4070 Ti(参考) | GeForce RTX 4070 SUPER | GeForce RTX 4070(参考) | |
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CUDAコア | 10,240 | 9,728 | 8,448 | 7,680 | 7,168 | 5,688 |
ブースト時クロック | 2.55GHz | 2.51GHz | 2.61GHz | 2.61GHz | 2.48GHz | 2.48GHz |
ベースクロック | 2.21GHz | 2.21GHz | 2.34GHz | 2.31GHz | 1.98GHz | 1.92GHz |
メモリ | 16GB(GDDR6X) | 16GB(GDDR6X) | 16GB(GDDR6X) | 12GB(GDDR6X) | 12GB(GDDR6X) | 12GB(GDDR6X) |
メモリバス幅 | 256bit | 256bit | 256bit | 192bit | 192bit | 192bit |
スロット数 | 3スロット | 3スロット | デザイン次第 | デザイン次第 | 2スロット | 2スロット |
TGP | 320W | 320W | 285W | 285W | 220W | 200W |
市場想定価格(従来製品は発表時) | 999ドル | 1,199ドル | 799ドル | 799ドル | 599ドル | 599ドル |
スペック表からも分かるように、いずれのモデルでもCUDAコアが増えており、ブーストクロックないしはベースクロックが向上している。また、GeForce RTX 4070 Ti SUPERに関してはメモリが12GBから16GBに、メモリバス幅が192bitから256bitにそれぞれ引き上げられており、メモリの容量と帯域が増えているのが大きな違いになる。
SUPERなしの従来のモデルと比べ、1,199ドルから999ドルに値下げされていながらスペックが引き上げられているGeForce RTX 4080 SUPER、価格はそのままにメモリ容量が増えているGeForce RTX 4070 Ti SUPERはお買い得感が高い価格設定と言える。
今回展示されたGeForce RTX 4080 SUPER、GeForce RTX 4070 SUPERのFounders Editionは、いずれも従来のSUPERなしのFounders Editionとほぼ同じ外見で、「SUPER」の文字がなければその差を探すのは難しいだろう。従来モデルと同じようにGeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionは3スロット、GeForce RTX 4070 SUPER Founders Editionは2スロットを占有するかたちになっている。
10パートナーの33製品が発表。CESで一挙展示
NVIDIAのOEMメーカーになるAIBパートナー(いわゆるビデオカードメーカー)からは、今回発表されたGeForce RTX 40 SUPER シリーズを搭載したビデオカードが展示されていた。以下写真でそれを紹介していく。
新たなG-SYNC Pulsarの展示も。GeForce Nowは東京で自社サービスが今春開始予定
NVIDIAはこのほかにも、さまざまな展示を行なっていた。今回CESで発表された新しいG-SYNCの技術として「G-SYNC Pulsar」を発表している。G-SYNC Pulsarは、従来のG-SYNCでは対応していなかった、さまざまなサンプリングレートにあわせて、バックライトを発光する際に生じるちらつきを減らす技術になる。その発光のタイミングを可変リフレッシュレートと同期させることで、ちらつきをおさえて明瞭な画面表示を可能にする。
今回NVIDIAはG-SYNC Pulsarに対応した「ASUS ROG Swift PG27シリーズ G-SYNCゲーミングモニター」との組み合わせでデモを行なった。本製品は2024年後半に提供予定だ。
また、同社が展開するクラウドゲームサービス「GeForce Now」に関する展示を行なっている。今回のCESで新しく発表されたクラウドG-SYNCと呼ばれる、GeForce Nowを経由してプレイできるゲームタイトルでフレーム同期を利用できる機能だ。クラウド側ではGeForce RTX 4080を利用すると活用可能で、クライアントとなるデバイスが出力に対応していると利用できるという。
現状ではAppleのMシリーズ、GPUがAMDないしはNVIDIAのWindows PCで利用できるとのことで、現時点ではIntel側の制約でIntel GPUでは利用できないということだった。クライアントPC側ではG-SYNCモニターないしはVESA Adaptive Syncのモニターがつながれている必要がある。また、クライアントにAndroidを使った場合の解像度の上限が1080pから1440pに引き上げられ、Samsung Galaxy S23 Ultraとの組み合わせでゲームを行なう様子がデモされた。
さらに、NVIDIAはGeForce Nowの新しいリージョンとして東京リージョンでの自社サービスを提供することを明らかにした。これまでNVIDIAはKDDIとの協業でGeForce Now Powered by auとして提供を行なうなど、サービスプロバイダ経由でのGeForce Nowの提供を行なってきた。今回発表された東京リージョンのサービスは言ってみれば、NVIDIA自社サービスのGeForce Nowで、この春からサービス開始予定であることが明らかにされている。
NVIDIA自社サービスでは、サービスプロバイダ経由に比べて新しいハードウェアがより早く導入されることが多く、日本でもサービス開始が期待されていた。現時点ではどのようなサービスになるのかは明らかにされておらず、今後のNVIDIA日本法人の発表を待つ必要がある。