イベントレポート
Intel、Ice Lakeのデモで10nmプロセスの前進をアピール
~ノートPCのモダン化に向けた「Project Athena」も発動
2019年1月8日 15:32
米Intelは、1月8日(米国時間)より米ネバダ州ラスベガス市で開幕するCESに先立ち、10nmプロセスの次世代プロセッサ「Ice Lake」のデモを行なったほか、よりモダンなノートPCを普及させる取り組み「Project Athena(プロジェクトアテナ)」を業界各社と協力して行なう計画を明らかにした。
10nmで製造されるIce LakeとLakefieldをデモ
Intel 上席副社長 兼 クライアント・コンピューティング事業本部長 グレゴリー・ブライアント氏は、公の場で初めて10nm世代の「Ice Lake」のデモを行なった(Ice Lakeについては別記事『Intel、数カ月内に10nm製造の新CPU「Ice Lake」を量産出荷開始』を参照)。
Ice Lakeは昨年(2018年)12月のIntel Architecture Dayで公開された、次世代CPUマイクロアーキテクチャ「Sunny Cove」ベースのCPU。同社がGen11と呼んでいる1TFLOPSの演算性能を持つiGPUを内蔵するほか、Thunderbolt 3のコントローラも統合されており、Thunderbolt 3をSoC単体で実現できる。
今回ブライアント氏は、Ice Lakeのデモでは現行の第8世代Coreプロセッサと比較して現状で1.5倍程度の性能を実現しており、製品版ではアプリケーションの最適化によって2倍の性能が実現可能だと述べた。さらに、Gen11のiGPUを利用したゲームのデモを行ない、従来はディスクリートGPUが必要だったようなゲームでも、Gen11であれば十分対応可能だと説明した。
また、Intelは10nmで製造されるSunny CoveコアのハイパフォーマンスCPU/GPUと、22nmプロセスルールで製造されるAtomプロセッサ(CPU、GPU、I/Oなどが1チップになっているSoC)、さらにはメモリなどを3次元に混載した「Lakefield」に関しても説明した(Intel、次世代10nm CPUと22nm Atomを積層した混載CPU「Lakefield」参照)。
Lakefieldでは最上層にメモリを、中間層に10nmで製造されるSunny CoveコアのCPU/GPUを、最下層にAtom SoCを搭載する仕組みになっている。22nmで製造されるAtomはリーケージと呼ばれる待機時の漏れ電流が少ないため、OSがスリープなどになっているときにはCPUをこちらに切り替えて動作させる。一方で、高性能が必要なときは10nmのCPUやGPUに切り替えて動作するため、メインストリームのPCクラスの性能を実現できる仕組みになっている。
Intelによれば、パッケージサイズは12×12×1mm(幅×奥行き×高さ)と非常にコンパクトでありながら、PCを構成するのに必要な要素はほぼ入っており、あとはストレージなどを追加すればすぐにPCとして動作させることができるという。このため、タブレットやLenovoのYoga C630のようなタッチキーボードを画面で実現しているようなデバイス向けとして相性が良さそうだ。
これまでIntelの10nmプロセス製品は量産化にこぎ着けることができず、それが理由でロードマップも延期を繰り返して来た。今回Ice Lakeの出荷について明確な時期を明言できたことは、問題が解決され大量出荷に向けた準備が整ったことを示唆している。
常時接続、最新のポート、AI対応などノートPCのモダン化を実現する「Project Athena」
ブライアント氏は「Project Athena」という新しい取り組みについても説明した。Project Athenaは、ノートPCの薄型化を促した「Ultrabook」と同じような取り組みで、Intelが業界各社と協力して、ノートPCのモダン化を進めるというものだ。
たとえば、レガシーポートをUSB Type-Cにしたり、4/5Gなモデムを内蔵して常時インターネットに接続する、あるいはAIの機能を利用できるようにするといったモダンなPCデザインをOEMメーカーに採用してもらうことを目的としている。Intelとしては、必要なスペックを策定というようなことを進めていくことになる。
対象になるのはWindowsとChrome OSを搭載しているデバイスで、GoogleやMicrosoftなどのプラットフォーマー、Acer、ASUS、Dell、HP、LenovoなどのグローバルなPCメーカーがメンバーとなっている。Athenaに準じた最初の製品は今年(2019年)の後半に登場する見通しだ。