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Intel、Meteor Lakeで3Dチップレット技術を採用。計画通り2023年登場

Intelが2023年に投入を計画しているMeteor Lakeのダイフットプリント。CPUタイルのイラストからは6つのPコアと8つのEコア(4コア×2)があることが見てとれる(出典:2022 Intel at Hot Chips 34、Intel)

 Intelは、8月22日(現地時間)から行なわれる半導体設計に関する学会「HotChips」にて、同社が2023年に導入を計画しているクライアント向けSoC「Meteor Lake」(メテオレイク)の概要を明らかにする。

 同社副社長 兼 デザインエンジニアリング事業部 事業部長、クライアントエンジニアリング担当 ボイド・フェルプス氏は「Meteor Lakeはオンスケジュールだ」と述べ、一部で遅れがあると伝えられたものの、問題なく進行していることを強調した。

22nmのベースタイルに4つのタイルを実装

Meteor Lakeにはベースタイルの上に4つのタイルがFoverosを利用して3D実装されている(写真:Intel Visionで筆者撮影)

 Intelが2023年に導入を計画しているMeteor Lakeは、Raptor Lake(ラプターレイク)の後継にあたり、Raptor LakeはデスクトップPC向けに2022年秋の発売が計画されている。ノートPC向けとしては今年の1月に発表された第12世代Core H/P/Uシリーズ、そして今年の5月に発表された第12世代Core HXの後継となる製品だ。

 既報の通りMeteor Lakeは、複数のタイル(同社の用語でのダイのこと)が1つのパッケージ上で混載され、1つのSoCとして機能する形になっている。

 今回明らかにされたのは、このダイ混載の構造。同社がベースタイルと呼ぶ、複数のタイルを3Dに実装するダイは、P1222(Intelの22nmプロセスルール)で製造され、CPUのコンピュートタイルがIntel 4(従来Intelが7nmと呼んでいたEUVを利用した製造技術)、GPUのGPUタイルがTSMCの5nm、メモリや共有キャッシュなどのSOCタイルおよびPCI ExpressなどのIOタイルはTSMCの6nmで製造される。

 フェルプス氏によれば、この複数のタイルをベースタイル上に混載するにあたり、3Dチップレット技術の「Foveros」が利用されており、「EMIBは使われていない」とのこと。このため、22nmで製造されるパッシブのベースタイルに、3D方向にCPU、GPU、SOC、IOの4つのタイルが実装されることになる。

 また、「Foverosを利用することで巨大なモノリシックなダイで製造するよりも、圧倒的に低コストで製造することができ、かつ開発期間も短縮することができる」という。3Dのチップレットを採用することが、競合とのコストや性能、タイムツーマーケットで新製品を投入できるといったメリットになると強調した。

UCIeの採用をArrow Lakeよりも後を計画。20年代後半には本格的な普及段階に

IntelはUCIeのクライアントPC向け製品への採用意向を表明(出典:2022 Intel at Hot Chips 34、Intel)

 なお、Intelは将来のクライアント向けSoCにおいて、UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)の採用を明らかにした。UCIeは同社らが参加して仕様策定を進めているチップレットの仕様で、オープンな仕様として半導体メーカーが利用できる業界標準だ。

 フェルプス氏は「Arrow Lakeより後の製品でUCIeを採用する計画だ」と述べ、Meteor Lakeの後継として計画されている「Arrow Lake」(アローレイク、CPUタイルがIntel 20A、GPUタイルがTSMCの3nmになる製品)よりも後の製品で採用が計画されていると説明した。

 Arrow Lakeよりも後の製品として計画されているのは「Lunar Lake」(ルナーレイク)となるが、こちらの製品は超低消費電力向けに特化した製品(Uシリーズなど)となり、メインストリーム向けの製品ではない可能性が高い。そのため、Arrow Lakeの後継として計画されているメインストリーム向けの製品でUCIeが採用される可能性が高いと言えるだろう。

 Arrow Lakeが登場するのは2024年だとされており、その後継製品となると2025年以降ということになる。注目されているUCIeの本格的な普及は2020年代の後半ということになってきそうだ。

Meteor Lakeはオンスケジュール。GPUタイルは5Nで製造、3Nの状況は影響せず

 フェルプス氏は一部で噂として流れていたMeteor Lakeのスケジュールが大幅に遅れているのではないかという件に関して「Meteor Lakeはオンスケジュールだ」と述べ、同社が当初から説明してきた、Meteor Lakeを2023年に投入するというスケジュールに何ら変更はないと説明した。

 これは、台湾の調査会社であるTrendForceが「IntelがTSMCの3N(3nmプロセスルール)へのオーダーを延期した」と報じて起こったちょっとした騒動で、TrendForceはIntelが2023年分の3Nのオーダーをキャンセルし、2024年以降に延期したと伝えていた。

 ただし、これはIntelが2月に説明していたロードマップの中でMeteor Lake、Arrow LakeのGPUにTSMCの3Nを使用するというスライドを見せていたため、皆がMeteor LakeのGPUタイルは3Nだと誤解したことから起こってしまった。

 しかし、すでに前段で説明している通り、Meteor LakeのGPUタイルは5N(5nm)であり、3N(3nm)ではないため、仮にIntelが3Nのオーダーを延期したのが事実だったとしても、Meteor Lakeのスケジュールには何も関係ないことになる。とは言え、IntelもTSMCも、公式なコメントを出していないので、現時点ではあくまで推測に過ぎないが……。

 ただ、当然Arrow Lakeは3Nを利用することになるので、Arrow Lakeのスケジュールには何か影響は出るかもしれない。だが、IntelやTSMCから公式な発表がない現時点では、その真相は闇の中だということになるだろう。