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フェイク映像を見破る「AIによるウソ発見器」、岡山大学らが開発

 岡山大学は5月27日、音声と映像データの真偽を判定する「AIによるウソ発見器」技術を開発したと発表した。AI技術を用いたフェイクコンテンツによる情報操作やプロパガンダの拡散を防ぐための試み。

 改ざん/捏造されたコンテンツと正常なコンテンツを判定する技術。映像の中にコンテンツとしての「原本性」を保証するための情報を組み込んでおき、後からその情報を検証することで、加工や編集の有無を確認する方法を考案している。AI技術によるフェイクコンテンツを人の視聴覚だけで見破ることが困難になってきたことを受けて開発された。日本、スペイン、ポーランド間の国際共同研究プロジェクトで、日本側の研究代表者は岡山大学 学術研究院 自然科学学域(工) 准教授の栗林稔氏。

 人物の唇の動きを特徴成分として抽出し、対応する音声信号に組み込んだ情報を検証することで、コンテンツ中に不自然な動きが含まれているかどうかを調べている。コンテンツに組み込む情報には2種類の電子透かし技術を組み合わせて「頑強な信号」と「脆い信号」の両方を適用して二段階の検証を行なえるようにしており、「映像に対する加工編集の有無」を判定し、同時に「音声との関係性の確認」を行なっている。

 今後の展望としては、コンテンツの音声信号と映像信号が同期しているかどうかの確認も行なえるよう手法の拡張を進める。また、事前に改ざん対策を施していないコンテンツに対しても適用できる形で、不自然な信号成分を解析するマルチメディアセキュリティ技術にも注目して研究を進めていくとしている。

顔検出と特徴点領域の解析による真偽判定(出典:岡山大学)