福田昭のセミコン業界最前線
ニアラインHDDだけが2024年以降も市場を拡大
2024年3月29日 06:32
ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)関連の業界団体である日本HDD協会(IDEMA JAPAN)は、2024年3月13日にセミナーをオンラインで開催した。セミナーのテーマは「市場動向」である。市場調査会社テクノ・システム・リサーチ(TSR)と市場調査会社TrendFOCUSのアナリストが、HDDを中心にストレージの市場動向を解説した。
中でもTSRによるストレージ市場を展望した講演「Updated Storage(HDD and SSD)Market Outlook」が非常に参考になった。そこで本レポートでは、HDD市場を中心に講演の概要をご報告する。講演者はTSRでアナリストをつとめる楠本一博氏である。
なお、本セミナーの講演内容は報道関係者を含めて録画や配布などが禁止されている。本レポートに掲載した画像(講演スライド)は、講演者である楠本氏と日本HDD協会のご厚意によって掲載の許可を得たものであることをお断りしておく。
2023年のHDD出荷台数は前年比29%減の1億2,226万台に
始めはHDD市場(世界市場)の実績と予測である。2022年と2023年の実績、2024年の予測を項目別に示していた。項目は出荷台数、出荷金額、ドライブ1台当たりの平均価格(ASP)、総出荷記憶容量、ドライブ1台当たりの平均記憶容量となっている。
近年のHDD市場は出荷台数と出荷金額が減少傾向、ASPと総出荷記憶容量、ドライブ1台当たりの平均記憶容量は上昇あるいは増加傾向にある。ただし2022年と2023年はデータセンターに代表されるエンタープライズ向けの需要が急激に落ち込んだ。このため、2022年は総出荷記憶容量が前年比でマイナスとなり、2023年は総出荷記憶容量に加えてASPも前年を割り込んだ。
2023年のHDD市場実績をもう少し詳しくご報告しよう。出荷台数は前年比29.0%減の1億2,226万台、出荷金額は同31.1%減の125億2,700万ドルである。いずれも3割前後の大幅な落ち込みとなった。
ASPは前年比3.0%減の102.5ドル、総出荷記憶容量は同28.1%減の863.3EB、ドライブ1台当たりの平均記憶容量は同1.2%増の6,839.9GBである。過去の2016年~2021年は総出荷記憶容量とドライブ1台当たりの容量を前年に比べて大きく伸ばすことでASPを上昇させてきた。2023年の景気後退がいかに厳しかったかがうかがえる。
2024年のHDD市場をTSRの楠本氏は以下のように予測する。出荷台数は前年比0.6%減の1億2,150万台、出荷金額は同12.5%増の140億9,200万ドルである。ASPは同13.2%増の116ドルに上昇する。総出荷記憶容量は同29.0%増の1079.2EB、ドライブ1台当たりの平均記憶容量は同29.9%増の8,882GBといずれも大きく拡大する。
四半期別の出荷台数は2021年の活況から2023年のどん底に凋落
講演では、製品分野別のHDD出荷台数を2021年~2024年の四半期ごとに示していた。製品分野は「エンタープライズ(Enterprise)」、「ニアライン(NL)」、「3.5インチATA」、「2.5インチモバイル」の4つである。
先細りが続くエンタープライズHDD
「エンタープライズ(Enterprise)」向けは前四半期比の出荷台数が2020年第4四半期から2021年第2四半期まで、3四半期連続で増加した(2020年の四半期別出荷実績は本コラムで既報)。2021年第2四半期の出荷台数は350万台である。エンタープライズ向けがHDD全体に占める割合は5.18%とわずかであるものの、出荷台数が増えたのは異例のことだ。
しかし2021年第3四半期以降は、5四半期連続で前四半期の出荷台数が減少する。5四半期目の2022年第3四半期には出荷台数が159万台と2021年第2四半期の半分以下に落ち込んだ。その後も低空飛行が続き、2023年の四半期別出荷台数は135万台~160万台で推移した。
2024年も厳しい状況が続く。出荷台数がさらに下がると予測している。同年第4四半期の予測は100万台である。
2024年の回復が期待されるニアラインHDD
「ニアライン(NL)」向けHDDは前四半期比の出荷台数が2020年第4四半期から2021年第3四半期まで4四半期連続で増加した。2021年第3四半期の出荷台数は1,973万台である。HDD全体に占める比率は29.7%とかなり高い。しかし同年第4四半期以降は5四半期連続で出荷台数が減少する。底を打った2022年第4四半期の出荷台数は1,060万台である。
いったんは底を打ったかに見えたものの、2023年の四半期別出荷台数はさらに低下し、二番底の様相を呈する。同年第1四半期こそ1,140万台で前四半期を上回ったが、同年第2四半期は915万台、同年第3四半期は895万台、同年第4四半期は990万台と1,000万台を超えられない状態が続いた。
2024年は出荷台数の回復が期待される。予測値は第1四半期が1,130万台、第2四半期が1,220万台、第3四半期が1,300万台、第4四半期が1,350万台である。年末に向けて増加していくトレンドとなっている。
回復の兆しが見えない3.5インチHDD
「3.5インチATA」向けHDDの四半期別出荷台数は2020年第4四半期の2,668万台をピークに、2021年も高い水準が続いた。しかし2022年に入ると、下り坂を転げ落ちるように台数を減らしていく。2021年第3四半期から2023年第1四半期まで、7四半期連続で前の四半期と比べて減少した。2021年第2四半期の出荷台数は2,358万台だったのに対し、2023年第1四半期の出荷台数は1,115万台と半分以下に落ち込んだ。
2023年第4四半期の出荷台数も1,020万台と低い水準が続く。2024年も回復には至らず、1,060万台~1,020万台で推移すると予測していた。
2.5インチHDDの黄昏
「2.5インチモバイル」向けHDDの四半期別出荷台数は、「3.5インチATA」向けと同様に2020年第4四半期をピークに前四半期比で減少を続けた。同四半期の出荷台数は2,728万台だった。2021年第1四半期以降は2022年第3四半期まで7四半期連続で前の四半期を割り込んだ。
下り坂を転げ落ちる勢いは「3.5インチATA」向けよりも強い。2022年第3四半期の出荷台数は712万台と、ピーク時(2020年第4四半期)の26%まで大きく低下した。2年近くの間に出荷台数は4分の1に激減したことになる。2024年も減少傾向は変わらない。四半期別の出荷台数は660万台~610万台で推移すると予測していた。
ニアラインHDDへの一極集中が強まる2024年以降のHDD市場
通年ベースでは製品分野別の出荷台数と出荷金額、ASP、総出荷記憶容量、ドライブ1台当たりの平均記憶容量、記憶容量(GB)当たりのコストをスライドにまとめていた。スライドは2016年~2023年までの実績と、2024年~2028年の予測を含んでいる。
出荷金額で見ていくと、製品分野別で最大を占めるのはニアライン(NL)向けHDDである。2023年のニアライン向けHDDの出荷金額は78億7,900万ドルで、HDD全体の出荷金額125億2,500万米ドルの62.9%を占める。ニアライン向けHDDのASPは199.97ドルと突出して高い。ASPの高さが金額を押し上げている。
なお2023年にエンタープライズ向けのASPは111.28ドル、3.5インチATA向けのASPは56.28ドル、2.5インチモバイル向けのASPは45.88ドルである。
ニアライン向けのASPが高い主な理由は、ドライブ当たりの記憶容量がきわめて大きいことだ。2023年のドライブ当たりの平均記憶容量は15,142.1GB(約15TB)に達する。対するエンタープライズ向けは1,533.5GB、3.5インチATA向けは3,672.4GB、2.5インチモバイル向けは2,034.7GBといずれも4TBに満たない。ニアライン向けの記憶容量は3倍を超える。
2024年以降もHDD市場を数量と金額ともに牽引するのはニアライン向けHDDだ。通年ベースの出荷台数と出荷金額が増加するのは、製品分野別ではニアライン向けだけとなる。エンタープライズ向けと3.5インチATA向け、2.5インチモバイル向けは台数と金額ともに緩やかに減少していく。2025年の予測では、ニアラインHDDの出荷金額は132億4,800万ドルとなり、HDD全体に占める比率は79.4%に上昇する。ニアラインが占める割合は8割に増加し、そのほかは2割に減少する。
ニアラインHDDが市場規模を拡大する、あるいはそのほかが市場規模を縮小する要因の1つにSSD(Solid State Drive)による置き換えがある。次回はSSD市場を中心に講演の概要をご報告する予定だ。ご期待されたい。
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