福田昭のセミコン業界最前線
「東芝メモリ」から「キオクシア」へ
2019年10月16日 06:00
今年(2019年)10月1日にフラッシュメモリ大手の「東芝メモリ株式会社」は、社名(商号)を「キオクシア株式会社(Kioxia Corp.)」に変更した。「東芝」のブランドに頼らない、フラッシュメモリと応用製品の専門ベンダーとしての活動がはじまった。
当初の計画から1年以上遅れた東芝メモリの売却
「東芝メモリ」は2年半ほど前の2017年4月1日に、フラッシュメモリ事業を分社することで東芝の100%子会社として出発した。フラッシュメモリ事業を売却することで、東芝本体の財務状態を健全化することを意図した分社だった(「東芝メモリ」の行方参照)。当初の見込みでは、2017会計年度末(翌年の2018年3月31日)までには遅くとも、売却を完了させるつもりでいた。しかし良く知られているように、この見込みはかなり遅れることとなる。
東芝メモリの発足に伴い、フラッシュメモリ事業の合弁相手であるWestern Digital(以降はWDと表記)と東芝のフラッシュ合弁企業は、東芝メモリに譲渡された。ところがWDは、この事業譲渡が東芝とWDの合意内容に違反しているとして、東芝メモリが発足してわずか1カ月半後の2017年5月15日に国際商業会議所の国際仲裁裁判所に申し立てを起こした。東芝メモリの売却に反対するWDと、東芝メモリの売却を進めようとする東芝の係争は訴訟合戦となり、6月~7月にかけては泥沼の様相を呈した。両社が全面的に和解するのは約半年後の、2017年12月である(東芝とWDが全面和解。仲裁と訴訟を取り下げ3Dメモリへの協業体制を再構築参照)。
2017年9月20日に東芝メモリの売却先は、投資会社ベインキャピタルが主導するコンソーシアムの株式会社Pangea(株式譲渡の受け皿となる会社)に正式に決定した。この時点では、東芝とWDの係争が続いていた。東芝メモリの売却スケジュールはかなり遅れ、東芝本体は債務超過による上場廃止の危機を迎える。上場廃止にはならなかったものの、東芝本体は東京証券取引所の上場銘柄としては一部(東証一部)から二部(東証二部)へと2017年8月1日に格下げになっており、2019年10月1日現在もそのままだ。
東芝とWDが2017年12月に和解したことにより、東芝メモリの売却計画は大きく前進した。2018年6月1日には株式会社Pangeaが約2兆円で東芝メモリを買収し、東芝による売却が完了する。この売却によって東芝メモリは東芝の連結対象会社(グループ企業)ではなくなり、持分法適用会社となった。同年8月1日には親会社のPangeaが子会社の東芝メモリを吸収合併し、合併会社の社名を東芝メモリ株式会社に変更する。同日に執行役員制度を導入し、経営と執行の役割を分けた。
数多くの企業が関係した東芝メモリの売却
東芝メモリをPangeaに譲渡する構図は、かなり複雑だ。少しだけ説明しよう。Pangeaには、ベインキャピタルが2,120億円、HOYA株式会社が270億円、東芝本体が3,505億円(再出資)、AppleとSeagate Technology、Kingston Technology、Dell Technologies Capitalが総額で4,150億円を出資した。そしてSK Hynixが3,950億円をPangeaに融資した。これらの金額を合計すると、1兆3,995億円に達する。さらにPangeaが金融機関から6,000億円を借り入れることで、買収金額である約2兆円を用意した。
なおフラッシュメモリ事業で東芝メモリと競合するSK Hynixに対しては、いくつかの制限条項が設定されている。最短でも10年間は東芝メモリの機密情報に対するアクセスを禁止、10年間は議決権付き株式の所有を15%以下に制限、などである。
持ち株会社を設立して経営と執行を分離
今年に入ると、東芝メモリにおける経営と執行の役割分担はより明確になる。同年3月1日には、単独株式移転によって持ち株会社である「東芝メモリホールディングス株式会社」を設立し、同社の100%子会社が「東芝メモリ」というかたちに資本関係が変わる。東芝メモリホールディングスは経営戦略の策定や管理などを担う。東芝メモリは研究開発や生産、営業、マーケティングなどの執行を担う。東芝本体の持分法適用会社は東芝メモリホールディングスとなり、東芝本体と東芝メモリには直接的な資本関係がなくなった。
そして2019年7月18日には、社名(商号)を「東芝メモリ」から「キオクシア」に変更すると公式に発表した(東芝メモリ、10月1日より「キオクシア」へ社名変更参照)。同時に持ち株会社「東芝メモリホールディングス」は「キオクシアホールディングス」となる。東芝メモリのグループ企業も、同様に名称が変更されることが発表された。
研究開発、営業、事業、生産の各部門を社長直轄で配置
ここからは、10月1日にスタートしたキオクシアの内部組織を見ていこう。会社組織は社長の下、営業部門、研究開発部門、事業部門、生産部門などで構成される。かなり簡素な組織構成である。
具体的には、営業部門が「営業本部」、研究開発部門が「メモリ技術研究所」と「先端メモリ開発センター」、「デジタルプロセスイノベーションセンター」、事業部門が「メモリ事業部」と「SSD事業部」、生産部門が「四日市工場」となっている。このほか、子会社であるキオクシア岩手株式会社が、今後の新しい生産拠点である「北上工場」(2019年10月10日竣工)を有する。
赤字転落で株式の上場が遠のく
すでに述べたように、キオクシア(東芝メモリ)が東芝からほぼ独立したのは、2018年6月1日のことだ。そこで2018年5月31日以前の東芝メモリ(東芝の完全子会社)を「旧東芝メモリ」、2018年6月1日以降の東芝メモリ(東芝の持分法適用会社)を「新東芝メモリ」として区別する。
新東芝メモリ(およびキオクシア)が抱える現在の最大の課題は、業績の悪化だろう。会計年度ベースで見ていくと、旧東芝メモリは2017会計年度(2018年3月期)に過去最高の売上高と営業利益を更新した。売上高は前年比34%増の1兆2,049億円、営業利益は同157%増の4,791億円である。売上高営業利益率は前年から19ポイント上昇し、39.8%に達した。
しかし新東芝メモリの期間を多く含む2018会計年度(2019年3月期)は、営業利益が1,163億円へと大きく落ち込んだ。売上高営業利益率は9.2%へと急降下した。
四半期業績はさらに厳しい。2018会計年度第1四半期(2018年4月~6月期)から前の四半期に比べて営業利益が下がりはじめ、同第4四半期(2019年1月~3月期)には営業損益が赤字に転落する。続く2019会計年度第1四半期(2019年4月~6月期)には989億円もの営業赤字を計上してしまう。
キオクシアホールディングスは、2019年内を目処に株式を上場して新規公開株を売出す(IPO)ことを目論んでいるとされていた。IPO(Initial Public Offering)によって設備投資や研究開発投資、借入金返済などの資金を調達することがおもな目的である。しかし急激な業績の悪化によって、株式上場の環境は整っているとは言えない状況になりつつある。
NANDフラッシュメモリ大手のなかで、収益の柱がNANDフラッシュ(とSSD)事業だけなのは、キオクシアだけだ。ほかの大手ベンダー、すなわちSamsung ElectronicsとSK Hynix、Micron TechnologyはDRAM事業、Intelはマイクロプロセッサ事業、Western DigitalはHDD事業という「もう1つの柱」がある。主力事業がNANDフラッシュだけというのは、やや心もとない。
NANDフラッシュメモリは基本的に、記憶容量当たりの価格を下げ続ける、言い換えると記憶容量当たりの製造コストを下げ続けることが義務付けられた商品だ。この果てしなきコスト低減競争の中、キオクシアが生き延びていくことを期待したい。
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