Creators Meet ASUS
序章:「創造力を解き放つ」。ASUSがZenBook Pro 15に込めた想い
~誰もがクリエイターになる時代
2018年10月31日 11:00
ASUSが2018年6月に発表し、8月に国内でも発売されたクリエイター向けノートPC「ASUS ZenBook Pro 15」(以下、ZenBook Pro)の新モデルは、非常に特徴的な液晶つきタッチパッド「ScreenPad」の搭載にだけ目が行きがちだが、6コアCPUや、4Kパネル、Adobe RGB比100%の色域、ペン対応など、クリエイターの「創造力を解き放つ」ための仕様、工夫が盛り込まれた意欲的な製品だ。
本連載では、そんなZenBook ProをはじめとしたASUS製PCを、フォト、マンガ、動画、3D CG、CGアニメーションなどの現場で活躍するプロのクリエイターに利用してもらい、生の声を聞いていく。
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ASUSは1989年創業のPCメーカー。創業当初は自作向けのPCパーツメーカーとして成長し、その後、完成品PC事業にも参入。格安PCの代名詞的存在になった「Eee PC」などで一躍注目を集め、いまではPC以外にもZenFoneなどスマートフォンでも知られる世界的な総合ITメーカーになっている。
そんなASUSが今回投入したのが、クリエイティブな作業を快適にできるようにと開発されたZenBook Proだ。本稿ではまず、この連載の初回として、ASUS JAPAN株式会社システムマーケティング部のシンシア・テン氏と熊谷歩美氏に、ZenBook Pro投入に込める想いなどを伺ってきた。
そこから見えてきたのは、ZenBook Proは、必ずしも"プロクリエイター"のためだけの製品ではない。写真や動画など、指数的に肥大化するユーザーコンテンツを編集するであろうすべての人の作業効率を向上させるために開発されたという点だ。
あらゆる人が持つ創造力を解き放ちたい
ASUSは、一般コンシューマ向け、ゲーマー向け、Chromebookを含む法人向けなど幅広いPCを展開しているが、とくにクリエイターに焦点を当てた製品はZenBook Proが初となる。
だが、シンシア氏は「ZenBook Proは、プロのクリエイターの方のためだけに開発した製品ではないんです」と語る。製品の仕様や特色からは、本製品がクリエイターをターゲットとして企画されたものであることが窺い知れるが、「写真や動画など、肥大化するデジタルコンテンツを、なにかしらのかたちで編集するとき、われわれは一般の人にも快適に動作するPCが必要だと考えたんです」という。
ハイエンド一眼レフカメラの画素数は1億に達し、地上波TVも8K放送の開始が目前に迫っている。そこまではいかなくても、一般ユーザーが扱うスマートフォンやカメラで普段撮影する写真や動画も、やはり数年前と比べると遙かに巨大になっており、その傾向は今後も続く。
そうやって日常的に撮影した素材に、たとえばInstagramのフィルターなど、なにかしらの編集を加えてSNSに投稿する人/機会もかなり一般的になっている。若い世代では、写真だけでなく、SnowやTikTokなどのアプリで短い動画を撮影し、簡単な加工を加えて友達とシェアする文化も広まってきている。手軽な加工ならスマートフォンでもいいが、少し凝ったことをやりたくなった途端、一定以上の性能を持ったPCが必要となってくる。
そういったときに、誰もがストレスなく作業でき、あらゆる人が持つそれぞれの創造力をとことんまで解放させるPCを提供していきたい。そういう想いで開発されたのがZenBook Proなのだという。
スマホ感覚で、Windowsと同じUI/UXのScreenPad
とは言え、「もちろんZenBook Proはプロのクリエイターにこそ使ってもらいたい」とシンシア氏。
同製品の開発にあたっては、さまざまなプロクリエイターの作業環境を調査した。その結果わかったのが、多くの人がブラウザや他のアプリを使って音楽を聴いたり動画を観たりしながら作業を行なうことが多いこと、そして、その結果、本来の業務で使うアプリに、画面全体の65%程度の面積しか使えなくなるということだった。
そういったながら視聴であれば、必ずしも画面サイズは大きくなくてもいい。ZenBook Proの開発時は、ScreenPadの代わりにスマートフォンをコンパニオンデバイスとして採用することも検討した。
だが、WindowsとスマートフォンとではUIが異なるため、両者でシームレスな操作感を実現できないと判断。結果として、スマートフォンとほぼ同じサイズのタッチパッドにタッチパネルを埋め込みWindowsのアプリをそのまま動かせるようにした。
ScreenPadには、いくつかのモードがあり、F6キーを押すごとに機能を切り替えられる。まずは通常のタッチパッドとしてのモード。液晶を内蔵しているが、普通にボタンのクリックもできる。
もう1つは「ScreenPadモード」。このモードにすると、まずタッチパッド上の液晶に壁紙が表示される。タッチパッドに画面が表示されているだけで、期待感を煽ってくるが、このモードでは、画面の上から下にスワイプすると、専用のアプリの一覧が表示。アイコンをタップすると各アプリが起動する。
現在用意されているのは、カレンダー、音楽プレイヤー、電卓などのほか、Microsoft Officeの一部機能を使ったり、Adobe ReaderでPDFにScreenPadで手書きの署名をつけたりできる。現時点ではほぼASUS製アプリのみだが、Spotify製アプリが用意されているほか、SDKも公開予定で、今後対応アプリの増加が期待される。
ASUS JAPANでも、発表会でのプレスからのフィードバックを受け、本社にScreenPadスワイプキーボードの提案を行なっているという。
残りの「拡張ディスプレイモード」では、ScreenPadがセカンダリディスプレイになる。ScreenPadは5.5型のフルHD(1,920×1,080ドット)なので、通常の外付けディスプレイのように利用するのは無理があるが、動画を視聴したり、スケーリングを上げてTwitterなどのタイムラインを時々閲覧するといった用途に便利だ。
拡張ディスプレイモードでは、さらにScreenPadをタッチパッドとして使う(マウスカーソルを動かす)モードとタッチパネル(そのままタッチで操作)の切り替えや、アクティブウインドウをメイン画面-ScreenPad間で行き来させることをワンタッチでできるようになっているなど、作り込みも見られる。タッチパネルモードでの操作はスマートフォンそのものだ。
薄型でありながら6コアのCPUとGeForceを搭載
ZenBook Proは、ScreenPadで奇をてらっただけでなく、上位モデルでは、6コアのCore i9、GeForce GTX 1050 Ti、PCIe接続の高速1TB SSDを搭載と、プロのニーズを満たすしっかりとしたスペックを兼ね備えている。
「たとえば非常に高度な3Dモデリングや、4K60pの動画編集までいくとじゃっかん荷が重いですが、写真編集、フルHD程度の動画編集などであれば、一般ユーザーはもちろんプロの方に使っていただいても余裕を持った性能を発揮できます」と熊谷氏。
この点については、今後の連載で、じっさいにプロに使ってみていただいて、さまざまな用途で十分な性能を持つかを検証していく。
最近は、動画編集など高負荷な用途で、高性能なゲーミングPCを購入するユーザーも増えていると聞く。ASUSでも、クリエイター向けにも同社のゲーミングPCである「ROG」シリーズを訴求してみてはどうなのだろうか?
「確かに、クリエイターの方がROGを購入するケースも増えています。ただ、1つ懸念点としてあがるのが、ゲーミングPCにはデザインが派手すぎるものが多いという点です。状況に合わせて、フルカラーに輝くLEDは、ゲームプレイ時は雰囲気を盛り上げてくれますが、オフィスで使うにははばかられますよね。また、ゲーミングノートPCは、必ずしも携帯性を重視していないため、厚く、重いものも多いです。
そういったなか、ZenBook Proは、日本古来の枯山水をモチーフに、パワフルでありながら、薄さや美しさも両立させました。時間や場所を問わず活動するクリエイターの方には、やはりZenBook Proがお勧めとなります」(熊谷氏)。
挑戦を辞めないASUS
ちなみにこれはじゃっかん用途が異なるが、Windows Vistaの時代には、「SideShow」と呼ばれるサブディスプレイがMicrosoftによって規格化され、ASUSはそのときも、世界に先駆けて搭載機を発表した(ASUSTeK、世界初のSideShowノートを国内販売参照)。
その後もASUSは、天板の裏表両面に液晶を備えた「Taichi」など、独創的な製品を開発してきた。こういった変わり種の製品は、話題性こそあるが、実売面では受け入れられない可能性もある。なぜ、同社はそういったリスクを背負ってまで、新しいものを提供し続けるのか? そんな素朴な疑問をぶつけてみたところ、シンシア氏は次のように答えてくれた。
「弊社は長年、"Start with People"、すなわち、人を中心に据えた製品開発を信念としています。技術を提供する企業として、どういう技術が人々に必要とされているかを常に考え、それをカタチにした製品を作り続けているんです」。
ノートPCとして高い性能を発揮
以上のように、ZenBook Proは、クリエイターの求める要素を凝縮させた完成度の高い製品だ。クリエイターではなくとも、クリエイティブな作業を行なうのであれば、購入の選択肢に入れたい製品だろう。
前述のとおり、さまざまなシーンにおけるじっさいの使用感は個別にお伝えしていくが、本稿ではベンチマークを掲載しておくので、参考にしていただきたい。結果に表われているとおり、ノートPCでありながら、写真の現像、動画のエンコードや3Dなどでとくに高い性能を実現している。
ZenBook Pro 15 UX580GE-8950 | ZenBook Pro 15 UX580GD-8750 | Core i7-7560U搭載の薄型ノート | |
---|---|---|---|
CPU | Core i9-8950HK(2.90~4.80GHz) | Core i7-8750H(2.20~4.10GHz) | Core i7-7560U(2.4~3.8GHz) |
GPU | NVIDIA GeForce GTX1050 Ti(4GB) | NVIDIA GeForce GTX1050(4GB) | Intel Iris Plus Graphics 640(300MHz~1.05GHz) |
メモリ | DDR4-2400 SDRAM 16GB | DDR4-2400 SDRAM 16GB | LPDDR3-1866 SDRAM 16GB |
ストレージ | 1TB SSD(M.2 PCIe NVMe) | 512GB SSD(M.2 PCIe NVMe) | 1TB SSD(M.2 NVMe PCIe) |
ディスプレイ | 15.6型3,840×2,160ドット(282ppi) | 15.6型3,840×2,160ドット(282ppi) | 12.3型3,000×2,000ドット(293ppi) |
PCMark 10 v1.1.1739 | |||
PCMark 10 Score | 4803 | 4549 | 3,543 |
Essentials | 8186 | 8211 | 7,407 |
App Start-up Score | 9955 | 11946 | 8,902 |
Video Conferencing Score | 7870 | 6820 | 6,565 |
Web Browsing Score | 7002 | 6795 | 6,956 |
Productivity | 6695 | 6147 | 6,266 |
Spreadsheets Score | 8346 | 7684 | 7,427 |
Writing Score | 5371 | 4918 | 5,287 |
Digital Content Creation | 5486 | 5061 | 2,602 |
Photo Editing Score | 6202 | 4766 | 3,422 |
Rendering and Visualization Score | 5968 | 5566 | 1,440 |
Video Editting Score | 4463 | 4889 | 3,578 |
3DMark v2.6.6174 | |||
Time Spy | 2344 | 1826 | 430 |
Fire Strike Ultra | 1764 | 1197 | 289 |
Fire Strike Extreme | 3402 | 2627 | 513 |
Fire Strike | 6537 | 5449 | 1,077 |
Sky Diver | 18587 | 17386 | 4,134 |
Cloud Gate | 21215 | 20188 | 6,552 |
Ice Storm Extreme | 50798 | 50233 | 41,531 |
CINEBENCH R15.0 | |||
OpenGL | 126.31 fps | 111.55 fps | 49.01 fps |
CPU | 1197 cb | 1146 cb | 312 cb |
CPU(Single Core) | 195 cb | 173 cb | 129 cb |
Geekbench 4.3.0 | |||
32-bit Single-Core Score | 4949 | 4349 | 4,068 |
32-bit Multi-Core Score | 21982 | 20829 | 7,935 |
64-bit Single-Core Score | 5531 | 4897 | 4,564 |
64-bit Multi-Core Score | 23355 | 21558 | 8,699 |
OpenCL | 86086 | 74079 | 28,113 |
CUDA | 92289 | 75773 | - |
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】 | |||
1,280×720ドット | 30772 | 27370 | 5,967 |
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト | |||
1,280×720ドット | 21197 | 19494 | 10,880 |
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク | |||
1,280×720ドット 高品質(ノートPC) | 15823 | 12831 | 3,741 |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク | |||
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) | 15360 | 13802 | 2,044 |
1,280×720ドット 高品質(ノートPC) | 14200 | 12273 | 1,588 |
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC) | 12564 | 10948 | 1,633 |
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC) | 10299 | 9031 | - |
SSDをCrystalDiskMark 5.5.0で計測 | |||
Q32T1 シーケンシャルリード | 2928.091 MB/s | 2459.283 MB/s | 3,256.691 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1764.243 MB/s | 1421.504 MB/s | 1,773.259 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 343.766 MB/s | 316.130 MB/s | 523.804 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 286.157 MB/s | 255.244 MB/s | 457.636 MB/s |
シーケンシャルリード | 835.199 MB/s | 1228.871 MB/s | 1,339.288 MB/s |
シーケンシャルライト | 1057.285 MB/s | 1126.691 MB/s | 1,514.566 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 39.916 MB/s | 35.469 MB/s | 47.449 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 91.714 MB/s | 84.237 MB/s | 172.948 MB/s |
Adobe Photoshop Lightroom Classic CCで50枚のRAW画像を現像 | |||
4,912☓3,264ドット、自動階調 | 1分8秒44 | 1分21秒73 | 2分36秒68 |
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し(H.264) | |||
1,920×1,080ドット、30fps | 2分37秒81 | 2分42秒38 | 7分15秒32 |
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス) | |||
バッテリ残量5%まで | 4時間35分34秒 | 4時間40分38秒 | 7時間49分5秒※7%まで |