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第5回:祖父にもらった成人のお祝い金がきっかけで旅人に~トラベルフォトライター田島知華氏編

~旅に出て、現地で見て感じたものを文章と写真にして発信

 5人のプロクリエイターにASUSのクリエイター向け製品を体験してもらう本連載。第5回目は、トラベルフォトライターの田島知華(たじま はるか)氏に話を伺った。

トラベルフォトライター田島知華氏
1991年福岡県生まれ。東京都在住。「旅人」「フォトグラファー」「ライター」すべてを一人で担う新しい職業「トラベルフォトライター」としてオリジナリティのある記事をさまざまな媒体で発信。旅行会社のパンフレット撮影やオリジナルツアー企画、イベントプロデュース、企業カレンダーなども監修する。著書『旅ガール、地球3周分のときめき』など。

旅人になるきっかけを与えてくれたのはおじいちゃん

 田島氏の肩書きは「トラベルフォトライター」。その名のとおり、旅をして、写真を撮り、感じたことを文字にするのが仕事だ。文章を書くのはもともと好きだったと言うが、はじめて海外に旅行したのは大学生のときだった。

 大学では建築を専攻しており、就職もその道でと考えていた。そんな折、19歳のころ、成人になるお祝いにと、祖父からお祝い金をもらった。田島氏の祖父はかなり厳しく、それまでお小遣いなどももらったことはなかったのだが、「自分のために使いなさい」と渡してくれたのだという。

 当時、趣味のバンドでボーカルをやっていた田島氏は、マイクや洋服なども欲しかったが、大学の授業でスペインのサグラダファミリアや、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城などの写真を見て、そういった建築物を自分の目で見てみたくなり、旅行に行くことに決めた。行き先は、ドイツ、チェコ、オーストリア、ハンガリー。初の海外旅行は一人旅で、予算も切り詰め、バックパッカーとして各地を回った。

 最初は、建築物や、美術館などを巡るつもりだったが、一人旅だったこともあって、現地で出会った人々と親しくなり、その出会いにはまってしまった。いまでも、建築物を見たりしたいとは思うが、旅の目的は人と出会い、コミュニケーションし、見識を深めることだ。

 そんな人生の転機となる旅を終え、帰国してすぐ、田島氏の祖父が亡くなってしまった。「成人になる1年前にお祝いをくれたのは、もしかしたら自分の死期を悟っていたのかもしれません」、と田島氏。

 じつは田島氏の祖父も一人旅が好きで、アラスカにオーロラを見に行ったりし、土産話を田島氏にしてくれたこともあった。その頃はまだ旅に興味はなく、話半分にしか聞いていなかったのが悔やまれたが、この一連のできごとを契機に田島氏は、祖父の意思を継ぐ想いで、旅人になることを決意した。

 とは言え、海外に行くにはお金がかかる。でも、大学生にはお金がない。一人暮らしをしていた田島氏は、家賃は奨学金を充てていたが、自炊をして食費を1日100円にまで切り詰め、使っていない家電製品のコンセントを抜いて待機電力を減らすなど、徹底した倹約を行ない旅費を貯めた。

 そうして、旅をしているうちに、これを仕事にしたいと思うようになったのは自然な流れだった。これまでに回った国・地域は60カ国、200都市にも及ぶ。

 お気に入りの地域は、南米とヨーロッパ。とくに南米の人の温かさや、カラフルな町並みが好きだという。南米へは、大学4年生のときにはじめて行った。行き先すら決めず、言葉も通じないなか、ユースホステルを探して泊まり、そこのキッチンで自炊するなどして2カ月を過ごした。その間に、少しずつスペイン語も話せるようになった。南米には危険なイメージもあるが、夜に出歩かないなどの最低限のことに気をつけていれば、はじめて会う異国の旅人も温かく歓迎してくれるのだという。

ZenBook Pro 15は発色がいいので、目に負担が少なく、作業効率も向上

 仕事として行く先々の景観や人々を紹介するにあたり、写真は欠かせない。最初の旅行のときは、コンパクトデジカメを買って持参。もともとカメラにはそれほど興味がなかったが、旅行の写真を友人に見せて喜んでもらえるのが楽しく、より綺麗な写真を撮ろうと、1年後にはミラーレスカメラを購入し、現在ではPENTAXの「K-1 Mark II」を使っている。

 「いまもカメラのハードウェアについての知識は少ないんです」と田島氏は話すが、シャッターを切るうちに、構図などを学んでいった。

 自分が感じたことを見たままに伝えたいという田島氏は、撮った写真に大きな加工は施さない。編集に使うソフトはPhotoshopとLightroomで、多くの場合はLightroomだけで済ませる。明るさを調整したり、シャープネスを上げたりする程度で、被写体の持つイメージをなるべくそのまま伝える。

タッチパッドとディスプレイが統合されたScreenPadを搭載したASUS ZenBook Pro 15を田島氏にも使ってもらった

 今回じっさいに、ASUSの「ZenBook Pro 15」を使ってLightroomで作業してもらった。まず田島氏が感じたのが、ディスプレイの精細さと発色の良さだった。ZenBook Pro 15(型番:UX580GE-8950)は、4K(3,840×2,160ドット)で、Adobe RGB 100%の色空間をカバーしている。

 前述のとおり、田島氏は、極端な修正は行なわないが、細かい調整にはかなり時間をかける。画面に顔を近づけてずっと作業していると、たとえば赤系の写真の作業を終えて、次は青系の写真という場合に、目が疲労するだけではなく、前の写真にひきづられて正確な判断がしにくくなる。ZenBook Pro 15であればそういった心配から解放され、作業効率も向上する。タッチ操作に対応しているので、スワイプで写真をめくれるのも高評価だった。

Photoshopを使うこともあるが、多くはLightroomで写真の編集を行なう
画面の精細さや発色の良さに加え、タッチで写真を選べることも高評価だった

 性能面でも、6コアのCore i9-8950HK、メモリ16GB、GeForce GTX 1050 Tiを搭載していることから、ストレスなく快適に作業できることを確認できた。田島氏の記事や写真を見る人はノートPCやスマートフォンなどの小型の端末が多いだろうと、みずからも普段からデスクトップPCではなくノートPCで作業している田島氏だが、ZenBook Pro 15は、氏が求める性能を十二分に満たしていると言える。

 普段から作業中に常に音楽を再生しているという田島氏。フルHDのタッチ液晶を埋め込んだタッチパッドとなる「ScreenPad」について、試しにScreenPadで、Google Play Musicの画面を表示、再生してみせたところ、かなりお気に入りの様子だった。Harman/Kardonと協業し、歪みが少なく、通常の1.4倍の音量を確保したスピーカーの音質にも普段自宅で聴いているよりもいい音だと、大いに満足していた。

作業中いつも音楽を聴いているので、ScreenPadで音楽アプリを使えるのが便利と田島氏

 ひじょうにシンプルなアプリだが、ScreenPadの電卓アプリも意外にも(?)高評価だった。旅費の計算など、電卓をはじくことも多いという田島氏は、書類はPCで見ながら、計算はスマートフォンの電卓アプリでと2つの端末を行き来することが多いのだが、ScreenPadを使えばスマートフォンが不要になるのがいいという。

自分の写真を見て旅に出たいと思ってもらえたら

 田島氏に、この仕事をやっていてうれしいと感じるときとつらいと感じるときのそれぞれを伺ってみた。

 うれしいと感じるのは、撮った写真を見て、SNSなどで「そこに行ってみたい」と言ってもらえたときだという。「もともと学生時代にはじめた一人旅がきっかけでこの仕事をはじめたので、私の写真がきっかけで一人旅をしてくれたらトラベルフォトライター冥利に尽きますね」。

 ただ、どちらかと言うとうれしいことよりつらいことの方が多いのだという。フリーなので、いつ仕事がなくなるかもしれない。毎回「これが最後の仕事になるかもしれない」と自分に言い聞かせつつ、最後の仕事にならないように全力を尽くす。

 長いときには1日20時間くらい仕事をする。文章で行き詰まったときは、気分転換に歌を熱唱するという田島氏。入浴中に文章を考えることも多く、ほぼ常時、頭のなかは仕事のことでいっぱいだ。書いた文章はまず一晩寝かして、翌日起きてから見直す。夜の方が集中力が増して一気に書けるが、翌日に冷静な目で文章を見直して、推敲を行なう。

 そして、最終的にクライアントが求める以上のものを提出するのが田島氏のモットーだ。旅程や撮影場所など、大半を田島氏の判断に任せられる案件も多い。そんなときは、現地を歩き回り、現地の人に聞き込みもして、徹底的に求めるシーンを探す。観光局からの依頼で受けた仕事で、観光局の人すら知らないスポットを発見して、クライアントを驚かせたこともあった。

 トラベルフォトライターを名乗りはじめたころは、「その変な仕事、いつまでやるの?」と言われたり、仕事と認めてもらえないことも少なくなかった。だが、その悔しさをバネに努力した。そして3年前、「いまから1年のうちに、出版、連載の執筆、メディアへの出演の3つを実現しよう。それが果たせなかったら、この仕事は諦めよう」と心に決め全力で取り組んだ結果、その目標を達成。いまでは、胸を張って「トラベルフォトライター」として活動している。